不死殺し 作:ユルト
強力な力を持つ者たちはそのソウルもまた希少である。
特別なソウルからは特殊な武器や奇跡・魔術等を作り出すことが出来た。
ソウルを武器へ組み込む鍛冶屋の巨人。異形の如き姿の武器屋。錬成炉を造り出した小人の王。
彼らの技術を模倣しようとする者たちは各地に存在する。
西の辺境に神殿を持つ不死人もその一人だ。
▼水の都へ
太陽の神殿の礼拝堂に四人の人物が集まり話し合っている。
黒衣の
異色の組み合わせだがこの神殿では彼らは上位の存在である。そんな彼らはテーブルを囲み、その上にある依頼書について話し合っていた。
「水の都から…いや、至高神の神殿ということは彼女からの依頼だな」
「はい。どうやら水の都の地下に未知の空間が在ることが判ったそうで。皆さんにはその調査依頼が来ています」
「水の都って街中に巡る巨大な水路があるのよね?誰も構造を把握してないの?」
「建設当時にマッピングされた地図しかない為。現在はどのようになっているか分からないみたいです」
「水の都には
「なるほど、冒険者も出入りしないため最新の地図もないのか」
普通ならば地下水路とは下水が流れる場所であり、定期的に巨大鼠や巨大蟲の駆除をしなければならない。
放置すれば疫病の温床であるモンスターが溢れ出てくるからだ。
過去に地下水路での駆除依頼をしてなかった街が地下から溢れ出たモンスターによって黒死病の発生源となり、『医者』に『治療』されたという話もある。
巨大な水路が地下に張り巡らされている水の都で駆除依頼がないというのはおかしな話である。
「先行した冒険者はいるのですかな?」
「はい。ですが、先行した一つの
「いくら古いとは言っても地図があるのに帰還してないってことは死んだか、地図にない区画に囚われたのかしら?」
「何にせよ危険性の高い依頼だな、私一人なら死んでも問題ないのだが」
「行けませんぞ、
「君は相変わらず自己犠牲の精神が強いよね…よくないぞぉ」
そんな不死人特有である彼の感覚を仲間二人は咎める。
「ふむ…昔の感覚とは抜けきらないものだよ」
「どうしましょう?危険というのなら依頼を受けない方がよろしいですか?」
「今、水の都に異変が起こると交易の盛んな都市が機能しなくなることになる。魔神王との決戦前に不足の事態は防いでおくに越したことはない」
そういうと依頼書を手に取り礼拝堂を出ていく。それに続くように
「私はここで皆様の帰りを信じて待ち続けます。皆様の旅路に太陽の導きがあらんことを…」
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太陽の神殿を出て、私は二人と冒険者ギルドへ依頼を受けたことを報告した。個人への依頼でも一応ギルドへ報告した方が安全である。
ギルドを介さず個人で依頼を受ける場合は完全な自己責任だ。一部の依頼人は依頼料の未払いをすることがある。
そもそもギルドを介さずに来る依頼を受ける者はほぼいない。それが上位の冒険者であるほど恨みを買うからだ。
今回のように証明印などの偽装が難しく依頼主が明確ならまた別の話だが、迂闊に依頼を受けて
「報酬は金貨一袋にその後の進展で追加報酬有りと」
「普通の調査依頼としては破格の報酬だよね」
「水の都の冒険者達はどう思ったのか知らん。だが、私は下水の駆除依頼や墓地のスケルトン討伐依頼を楽だとは思えん」
「まあ、どちらも数で押し寄せる者共ですからな。
「未だに車輪骸骨の遭遇報告が出てないから受けるがアレが大量に押し寄せるなら絶対に墓地には行かん」
思い浮かべるのは『三人羽織』前の大量に居た車輪骸骨。何処からか現れては当たり屋的な攻撃を繰り返し、盾で受けようものなら複数の車輪骸骨にタコ殴りにされる。
ロードランの墓地にいる骸骨共はアクロバティックに複数で押し寄せるから嫌いだ。
こちらのスケルトンはロードランの骸骨とは違いローリングしながら迫ってくることはないので対処しやすい。
「話が逸れたが今回の依頼の話だ。目的は地下水路のマッピングと行方不明の冒険者の捜索。前任者たちも同じような地図を渡されていたことから、地図にない区画に踏み込み帰ってこれなくなったのだろう」
「まあ、あまり過去の地図に頼らないようにしましょう」
「せめて、地下の状況が分かればいいのですがな」
「そういえば、今回は
ここ最近、
「どうやら、
「ふむ、拙僧がいない間に
「また今度紹介する。我々が言える立場ではないが中々にバラエティに富んだ
「それはそれは」
「まずは水の都の至高神の神殿で彼女に話を聞く。出立は明日の朝、太陽の神殿前に馬車を用意させる」
「では、拙僧は明日の準備をしますのでこれにて」
「先に戻ってるわ。武器の類いは既に揃っているもの」
「了解した。私は頼んでいたものを受け取りに行く」
「分かったわ、あの子も待ってるんだから早く帰ってきなさいよー」
二人と別れた私が訪れたのは何度も世話になっている武具屋。扉を開けると丁稚の少年が店番をしていた。
「
「前に頼んでいた武器の様子を確認しにな。鍛治師はいるか?」
「はい、奥にいるはずです。親方ぁ!
「そんなに叫ばなくとも聞こえるわ!」
奥から現れた鍛治師の親父は丁稚の頭へ拳を落とす。丁稚はその拳骨の威力から蹲って唸っている。
「おう、お前さんに頼まれてたものは一応出来たぞ」
「ほう…これはいい出来だ…」
店の奥から取り出したのは先日の
「お前さんの云う通りに重心の位置などある程度は調整したがマトモな人間が扱う武器ではないわな」
「問題ない、流石に片手は無理だが両手なら振るうことが出来る」
スモウハンマーよりも
「裏の広場で振るっていくか?」
「いや…その必要はない。似たような武器は所持しているからな……これが今回の代金だ」
私は『
鍛治師は袋から金貨を取り出して数え終わると私の方へ向き直る。
「しかし、お前さんも物好きだな。今さらそんな物は必要ないんだろう?」
「これは趣味であり生き甲斐だからな。
「はぁ…悪趣味なこった」
ロードランでも
この世界に来てからも
一体、この世界の強大なソウルの持ち主たちからはどの様な武器が造られるのだろうか。
「今後も色々と持ち込む際には宜しく頼む」
「こっちとしても呪いの武器とかでないなら金次第でやってやるさ」
「ではな」
私は満足気に武具屋を出た。鍛治師は呆れた様子だが先程の言葉の通り、適正価格の報酬さえ払えば引き受けてくれる。今後も彼には御世話になることだろう。
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▼悪意なき悪意
『幻想』がダイスを振ります。コロコロと音をたてて転がるダイスを二柱は緊張した面持ちで眺める。
何故ならばこのダイスの出目はこの
転がるダイスの出目は…
『幻想』はやった!やった!と跳び跳ねながら喜んでいる。
『真実』は悔しそうにしますが今回の
冒険者達は知恵・勇気・力を駆使して冒険を乗り越えた。時には死にかけたりもしたがそんなピンチさえも乗り越えた彼らは今後も大きな試練を乗り越えていくだろう。
そんな
『深淵』はある『駒』を掌へ載せ、二柱へ話しかけた。この『駒』を配置したいのだが何処へ置けばいいだろうかという内容だった。
『真実』と『幻想』がその『駒』を見ます。それはこの
二柱は興奮しました。『深淵』が来てからは登場する
しかし『深淵』の持ち込む
その為、『深淵』は無闇に駒を置くことを禁止されているのだった。
今回持ってきたのもその例に漏れず『ドラゴン』という強力な駒だった。
『深淵』は是非『水の街』の地下へこれを配置したいと懇願した。
『真実』と『幻想』は了承するがこのまま配置は流石に無理があるとのことで初期は小さく徐々に成長するように設定する。
街の冒険者が
神々は新たに配置した駒と
水の街の地下水路の更に地下。かつて不死人を苦しめたドラゴンの末裔が着々と力を付けていくのだった。
それはロードランとはまた違う成長を遂げ、辿り着く者たちを待ち受ける。
皆さんお久しぶりです…
エタるつもりはないんですけどこれでいいのかと
不安になると中々投稿出来くなりますね
GW中にダクソtrpgをして気合いが入ったので
構想を練り直して再度書き始めました
プロットが出来たので勢いで書いていく所存
今回の水の都篇も出来るだけ連日で投稿していきたいです
皆さんの感想や評価、お気に入りが私に勇気をくれます
毎度、感想や誤字報告をしてくれる皆さんはありがとうございますね
時々、何かを呟くTwitterも宜しくお願いします
@soul_yurt