不死殺し 作:ユルト
三章からなる物語の第一章
不死の英雄が使命を授かり
様々な冒険をしたことが綴られている
強大なソウルを持つ者
彼らを打ち倒し強大なソウルを得た英雄が火を継ぐ物語となっている
しかし、最後の選択とは別に火を継ぐことを止め『闇の王』となるものもある
著者は不明である
▼ソウルと錬成
『太陽の神殿』の最奥の地下部屋。その部屋の中心では篝火が轟々と燃えている。
『火継ぎの間』。そう呼ばれている此処には表には出せない多くの収集物や研究資料が眠っている。
この部屋への入室を普段から許可されているのは、
彼の仲間である
そして、この施設の管理者である
他にも存在を知っていたり、特別な時に入室を許可される人物もいたりする。
そんな特別な部屋で
「……やはり、一度で壊れるか」
『
だが、『錬成炉』はソウルの錬成を終えるとボロボロと崩れて跡形もなくなった。
「やはり、贋作は贋作だな。素材も貴重だから無駄にはしたくないのだが」
錬成炉はある書物に載っていた。『小人の王』が生み出したものを参考にして製作したものであり、素材は結晶トカゲの抜け殻などを貼り合わせてある。
「あちゃー…今回も駄目だったかぁ」
「ソウルの錬成自体は成功しているから失敗とも言い難いがな」
その様子を端から眺めていた
対して
「対象のソウルが小さい場合は錬成自体が失敗し、大き過ぎると今度は錬成炉が壊れる」
「材料の蜥蜴も特定の遺跡で稀に見る程度だからねぇ。このまま使うのは厳しいね」
「私は研究者ではないからな。元より簡単に再現できるとは考えてない。しかし、進歩がないとなると協力してくれるお前たちに申し訳ないな」
「そんなこと考えなくていいよ!私もあの子も好きでやってるんだからさ!」
にこやかに笑う
「それにしても凄い技術だよね。対象のソウルを固形化し、それを武器などに変えるなんてさ」
「『ソウルの業』はここでは外法とされても致し方無い。
急に彼は話を止め考え込む。
あの地で見つけた
それは彼の精神を蝕んだ。親しかった者すら
それでも彼の足は歩みも止めなかった。止めてしまえば
「大丈夫。私は君の選択を尊重するよ」
「…ありがとう、私は大丈夫だ」
「じゃあ、研究を続ける?」
「そうだな。まず、素材から見直す必要があるかもしれん」
「結晶蜥蜴以外を使うの?」
「いや、小さいのではなく大きいやつを使うのはどうだ?」
「ああ…アイツかぁ…地味に強かったよね。結晶ブレスなんてものを使ってくる辺り、いつか竜にでもなりそうだよ」
「結晶ブレスを吐く竜には良い思い出がないのだがな」
「取り敢えずは冒険者たちに小さい結晶トカゲの買い取り依頼を出しておいて、自分達は大きい方を探してみる?」
「そうだな、後日ギルドの方に依頼を出しておく」
「そういえば、あの魔道書なんだけど…」
「あれか…あれは…」
篝火が燃える音と彼らの話し声は日が暮れ、火防女が呼び来るまで続くのだった。
▼女魔術師と研究《
女神官は
皆がそれぞれの道を歩いていく中、私は路頭に迷っていた。学院に戻ったところでいろいろな噂をされ、まともな環境で学ぶことが出来ない。
そんな私の元へ一人の女性が訪ねて来た。どうやら彼女は魔術を研究していて、様々な魔術師に声を掛けているとの事だった。
この辺境での互助会、魔術師ギルドのような物で多くの魔術師が名を連ねている。
今は研究所の所員を募集しているらしく雑用などの仕事をしながら魔術を教わることが出来るとのことで私には丁度良い。
そんなことで私は『魔術・呪術研究所』の職員として働くことになった。
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「新しい魔道書が入ったから運び込んで…」
「はい」
「それは呪術だから『禁書』の部屋へ…結晶の魔術もね」
「わかりました」
ここへ来てから一月は経った頃。所属している大半が冒険者なので住み込みの職員は私だけだが何とかなっている。
所長も冒険者なのだが基本的にはここで研究を進めている。最近は私に魔術を教えるため更にここに籠る事が多くなった。
「搬入終わりました。他にすることはありますか?」
「…ないね。こっちも一区切りついたからこの前の続きから始めようか」
「この前の続きというと…所長や
「そうよ。私もそれらに関しては若輩なのだけど…あの人みたいに手当たり次第に手を着けるよりも自分に合ったものを見つけるのがいいわね」
「魔術は『
「禁書なのだけど魔術は『闇術』、『深淵』や『深み』と呼ばれるもの。呪術は『混沌』と『罪の火』ね」
所長が次々と語るがそれらを研究所でも研究しているのは所長と
そも呪術に関しては一般の書物も禁止されている。術の発動にも特別な触媒が必要なので研究者もまともにいないのが現状である。
「呪術は危険だもの…。彼の許可なく『呪術の火』を分ける気にはなれないわ」
「私は魔術を学びたいのでいいですけどね。『火を畏れよ』でしたっけ?」
「ええ、それを理解出来ない人には教えるつもりはないから。あと危険なのは『魔術』も変わらないわ。貴方は筋がいいから、いつか学ぶことになるかもしれないけれど。『結晶』の魔術には魂を魅了する効果があるみたいなの」
「魂を魅了…ですか…」
「『ビッグハット』の魔術は魂との結び付きが強いですから。それを発展させる『結晶』の魔術は元となった『白竜』の妄執に取り付かれる可能性が高いみたいなのよ」
「興味はありますけど、私にはまだまだ先の話です。まずは
特に音の魔術にはその傾向が顕著に出ている。使用者の足音を消し、高所から飛び降りた際の衝撃を消す『隠密』。
『音無し』と『落下制御』という魔法を複合したものが
「
「『竜の二相』ですか?」
「『吠える竜』と『佇む竜』というものよ。『外面は佇む竜の如く、内面は吠える竜のように』。
「なるほど…では…」
こうして私たちは魔術談義に熱が入り、夢中になって話し合う。気が付けば窓からは朝日が昇る時間になっていた。
▼
「やりました…ついにクリアです!今回は鍵もちゃんと三つ取りました!」
「おめでとうございます。前回の冒険の経験も活きてスムーズに進めましたね」
「はい!今回は首狩り族に捕まったり、罠に引っ掛かることもありませんでした」
ギルドの机で本を広げているのは受付嬢と女神官。見ているのは卓上演習のひとつである。
基本的にダイスは使わず、状況に応じて適切な対応を取ることで進めるもの。
女神官は前回の心残りだった。三つの鍵を見つけるべく、受付嬢ともう一度この卓上演習をした。
「私も一人でも冒険できればいいんですけどね」
「女神官さんでは難しいですよね…
「あはは…私には無理ですね…」
二人が談笑しているとギルドの扉が開かれる。そこに居たのは
「あっ!
「そのようだな……それはいつぞやの卓上演習か」
「はい!先程終わったところです」
「
受付嬢が冗談混じりに提案してみると
「いいかもしれんな。俺は一度もやったことがない」
「いいんですか?!」
「牧場の柵の点検等は終わった。
「えーっと…先程のものはソロ用なので別のものを用意しますね」
受付嬢が別の卓上演習を探すために席を立つと二人へ二階から声が掛かる。
「はぁー…二人ともおはよぅ…」
「あはは…もうお昼ですよ?」
「
妖精弓手は冒険がないとき。この様に昼間まで寝ていることはザラで酷いときは二度寝で1日寝ているときもあった。
「お前も冒険の時は朝早くから行動しているだろう」
「冒険と普段は別よ、別。で、また卓上演習?」
「はい、
「うーん…じゃあ、やってみようかしら」
妖精弓手が席に着くと受付嬢が手に一冊の本を持って戻ってきた。
「あら?
「ええ、それって三人でも大丈夫かしら?」
「はい、四人までなら大丈夫ですよ」
「よかったわ。それでどんな卓上演習なの?」
「えっとですね。これは最近寄贈されたんですよ」
「最近ですか?一体何方からですか?」
「
「
「難易度はそこそこ高いですが初心者用の冒険もあるので大丈夫かと」
「それで何て言う
受付嬢の口から出た言葉は
『