自分の中でのレディリーのだらけてるイメージが凄まじい(風評被害)
「『エンデュミオン記念式典に魔の手迫る!?若手社長苦渋の決断!!』ね……」
エンデュミオンの
「『エンデュミオンの記念式典当日、エンデュミオン施設が犯行グループに占拠され、エレベーター中継地点付近が爆破されるという事態が発生する。この爆発によって応力を失ったエンデュミオンが地上へ墜ちる前に、オービット・ポータル社の社長であるレディリー=タングルロード氏がエンデュミオンの
先日起こった出来事を頭の中で整理する為に新聞の内容を声に出して読むレディリー。新聞やニュースに流れている情報の大半は彼女と
彼女は共同生活をしている隆二の
「今の私って無職なのよねぇ……」
その現実を、しみじみと呟いた。
★
「という訳で、どうすればいいと思うかしら?隆二」
「何故それを俺に聞いたんだ」
自身の膝の上に座りテレビゲームをする様子から、レディリーが全くもって無職である事を気に掛けていないことを悟っている西崎。彼は自分に対するレディリーの問いかけの真意が分からず困惑した表情を見せた。
「いえね。今の私って
「いいんじゃないか?このままでも」
西崎はそんな彼女を肯定した。
「普通の人間であれば、生きる為に何かしら手に職を持たなければいけないが、幸いにもレディーは不死な訳だ。なら、多少なりとも無気力になる時間があっても問題では無いと思うがな。というより曲がりも何も今まで数百年も職に就いていたのだから、今は余生をのんびり過ごしても良いだろう」
「あ~~~、ありがと」
「出来ればその
「それは無理。今の私は無気力であると同時に途方もない幸福を噛み締めてもいるのだから」
西崎に体を預け、ずるずると西崎の体を滑り落ちていくレディリー。気の抜けた彼女の姿は余り見られるものでは無くこれはこれで新鮮なのだが、出来ればゲームをしながら滑るのは控えてもらいたい西崎であった。
★
「所で私ってとっくに成人過ぎてるのよね……」
「どうした?突然思い出したように」
突然そんなことを言い出すレディリーを心配する西崎。最早この寮では何時もの光景になりつつあるやり取りである。
「私の青春は灰色だったわ」
「待て、こちらを見ながらそんな事を言うな」
「所で話は変わるのだけれど隆二のご両親って今どちらに居られるのかしら?」
「変わってない。話変わってないぞ」
「もうすぐ
「あー……」
「どうしたの?そんなに歯切れ悪くして」
外堀を埋めようと
「何か事情でもあるの?ご両親?」
「いや、まあレディー相手なら話しても大丈夫か」
「実は俺の両親は……」
「両親は……?」
「普通の様で普通じゃない」
「…………はい?」
西崎の言葉に首を
「まずどれだけ外聞を漁ろうが、俺の両親に関しては普通以外の情報を得られない。強いて言えば父の趣味が旅行で、しょっちゅう色々な場所に赴いている位だな」
「で?」
「ただ、父と母の特異性は人目の無い場所でのみ発揮されてな。いや、
「目撃者が居なければ事件は明るみに出ないという理論ね」
「その通り。両親はどちらも戦闘に
「へぇ。普段の隆二よりも強いのね」
「そうだ。母は純粋に戦闘のセンスが凄まじい。なんせ音速以上の速度で飛んできた
「えぇ……(困惑)」
「父はもっと
「えぇ……(ドン引き)」
「俺が言うのも何だけど、俺の両親って本当に同じ人間か……?」と悩む西崎。そんな彼の様子を見て、レディリーは決心する。
そんな人物のうろつく大覇星祭に誰が行くか。私はいつも通り部屋に引き籠らせて貰うわよ、と。
★
「エスタ~」
「はい?」
「膝枕~」
「はいはい」
「ん~~~」
「気が緩んでますねレディー。私の膝枕なんて、そんなに良い物では無いと思いますが」
「ん~、そんな訳無いわよ。仮に一流ホテルの高級ベッドとエスタの膝枕の二択を迫られたら膝枕をとる位には良い物だと思うわよ」
「そうですか?」
「少なくとも私にとってはそうよ」
レディリーの我儘に付き合い、彼女を膝枕するエスター。レディリーは暫くそんな彼女の膝枕を堪能したかと思うとそのまま眠りについてしまった。
エスターはそんなレディリーの頭を優しく
「全く、手の掛かる妹が出来たものです」
脳裏に浮かぶのは、初めて彼女と出会った時のこと。時の流れに置き去りにされ、一人
けれど、今は違う。
「でも、それも悪くないかもしれませんね」
彼女はこれからもアンブロシアの実によって与えられた不死という呪いに
「ですから覚悟しておいて下さいね、レディー。
心なしか、エスターの膝の上でレディリーがブルリと身震いした気がした。
西崎の両親は旧約9・10巻で多少登場する予定ですが、設定だけ先出しです。
因みに両親の一族の起源を遡ると、どちらも蛇を祀る土着信仰の根付いていた地域の一族に流れ着くとか……。