捻くれた少年と海色に輝く少女達 Guilty Kiss編   作:ローリング・ビートル

14 / 25
Your song #13

 ファーストライブも終わり、いよいよ本格的に活動が始まる私達は、空いた時間を使って、部室の掃除をしていた。

 

「はぁ~、やっと終わったよ~」

「あはは、お疲れ様」

「ほらほら、掃除終わったからって寝転がらないの。早く片付けて帰るわよ」

「そだね。今日は私も水泳部の練習あるし」

「は~い」

 

 普段はこんな感じなんだけど、ステージだと頼りになるのよね。

 すると、千歌ちゃんはこちらを見て、口を開いた。

 

「梨子ちゃんは今日はデート?」

「ぶふぉあっ!!げほっ!げほっ!」

「ど、どうしたの梨子ちゃん!?」

 

 曜ちゃんが背中をさすってくれる。ありがたいけど、力強すぎませんかね?

 

「いえ、別に……彼の事を思うあまりむせただけだから」

「そうなの?何て言うか、ウソついてる人がギクッとしてむせたみたいな感じだったから」

「…………!」

 

 この子、わざとやってるんじゃないかしら。ニアピンどころかホールインワンよ。

 何とか気を取り直した私は、なるべく大人びた笑顔と優雅な仕草を心がけて、彼女達に向き直った。

 

「ほら、うちの彼氏、今年受験があるから。あんまり遊んでばかりもいられないの」

「そうなんだぁ。やっばり梨子ちゃんの彼氏だから頭いいんだろうなぁ」

「そ、そうねぇ……まあ、うん」

「あれ、梨子ちゃん大丈夫?なんか汗かいてるけど」

「大丈夫大丈夫大丈夫。ほら、りっこりっこり~」

「「…………」」

 

 あ、滑った。

 「うわ……」と顔に書いてる感じ。やだ、めっちゃ恥ずかしい。

 とにかく!今度あの人に詳しいことを聞いておかなくてはならない。

 

 *******

 

「ふぅ……どっと疲れたわ……」

 

 『りっこりっこり~』は可愛いと思うんだけどなぁ。そもそもやってる私が美人なわけだし……。 

 帰ったらゆっくりピアノでも弾いて、気持ちを落ち着かせよう。

 

「って、私ったらいつの間にかこんな所まで……」

 

 気がつけば、だいぶ長い距離を歩いていたみたいだ。

 そういえば、この辺りに図書館があったわね。たまには寄ってみようかな。

 ひとまず足を踏み入れてみると、中はそこそこ人がいた。それでいて静寂が保たれているのだから、図書館ってやはり独特な空間だと思う。

 さて、何か借りようかな。それともここで読もうかな……ん?あれは……。

 視界の片隅に、見覚えのある人物がいたので、ついそちらに足が向かう。

 なるべく近づいて、もう一度確認してみると、やはり比企谷さんだ。どうやら図書館で勉強しているらしい。

 ふむ……こうして見ると、イケメンっぽく見えなくもないというか……目つきはあれだけど……って、私ったら何やってんのかしら。いや、これもボーイフレンド(仮)の生態を知るには必要なことよね。ふむ……。

 

「あの……どうかされましたか?」

「はっ!い、いえ、何でもありません!」

 

 いきなり職員さんに声をかけられ、肩が跳ねる。そ、そんなに怪しかったかしら?

 さらに、近くに置いてあった脚立を蹴り倒してしまう。

 ガシャンっと静寂な空間に罅をいれるように、大きな音が響いた。

 同時に数多の視線がこちらに向く。あ、気まずい。申し訳ない。

 

「す、すいません!」

 

 慌てて脚立を立て直し、職員さんに頭を下げる。ていうか、この声も大きいし、あーもう何やってるんだろう、私……。

 

 

「お前、何やってんの?」

「……別に」

「……あっそ。じゃあな」

「あ~!ひ、一人で行かないでくださいよ~!」

 

 *******

 

「ふぅ……」

「いや、何黄昏てリセットしてんの?全然できてないからね。むしろ俺も巻き込まれて、しばらく行きづらいわ」

「それはさておき、比企谷さんの得意科目とか教えてくださいよ」

「え、何?何なの?唐突すぎて怖いんだけど……」

「はーい、怖くないですから吐きましょうね♪私のも教えますから♪」

「ええぇ……交換条件になってなさすぎるんだけど……」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。