捻くれた少年と海色に輝く少女達 Guilty Kiss編   作:ローリング・ビートル

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Your song #16

「あはは、はは、ど、どうしたの、二人とも?」

 

 桜内は平静を取り繕いながら、二人に笑いかけた。

 いや、慌てすぎだろ。出くわす可能性がそれなりにあることは予想つくだろうに……。

 とはいえ、このタイミングとは思わなかった。

 俺は口を開いたまま、なんかアホみたいなことになっていた。

 ……うん。やっぱすげえ恥ずかしい。何を血迷ったのか、俺は。

 高海と渡辺は驚き混じりの笑みをこちらに向けている。

 

「でも、本当に仲良いんだね~」

「うん、こんなに堂々と……」

「「…………」」

 

 俺と桜内は自然と顔を見合わせた。とりあえずこのまま食うのはやめとこう……。

 

「えいっ」

「んぐっ!?」

 

 閉じようとした口に、無理矢理生クリームが突っ込まれる。

 えっ?そのまま続けちゃうの?めっちゃ恥ずかしいんだけど……ダレカタスケテェ……。

 

「わぁ……」

「人目も憚らずに……」

 

 二人は掌で目を覆いながらも、指の隙間からしっかり見るという定番のボケをかましながら、キャッキャウフフと騒いでいる。やめて。本当にやめて!

 だが、桜内は不敵な笑みを見せた。こいつマジか。どんなメンタルしてんだよ。

 

「あははっ、ほら、私達ラブラブだから~?」

 

 何だよ、最後のでかい疑問符は。せめてやりきれよ。いや、やらなくていいか。

 そして、俺の隣まで回り込んできた桜内は口元をひくつかせながら、腕を絡めてきた。

 

「っ!?」

 

 いやいや、当たってる!当たってる!とっても控えめな何かが!

 高海達は、そんなこちらの様子に呆れたような眼差しを向けていた。

 

「千歌ちゃん。邪魔しちゃ悪いからそろそろ行こっか」

「あ、そうだね!お邪魔しました~。梨子ちゃん、また学校でね~!」

 

 二人はぺこりと頭を下げ、商店街の奥の方へと歩いていった。

 何故かそれだけで脱力してしまう。

 それは桜内も同じだったらしく、机に突っ伏していた。

 

「ふぅ……何とかやり過ごしたわ」

「やり過ごした……のか?」

「ええ、ご、ごめんなさい。いきなり……………………して」

 

 最後のほうは聞こえなかったが、とりあえず謝ってるのはわかった。いや、いきなりしおらしくされても、それはそれでリアクションに困るんだが……。

 桜内もそれに気づいたのか、自分の頬を両側からつねっていた。なんかアホな顔になってんだが……。

 

「あ、変な空気になりましたね。さて、そろそろ行きましょうか。」

「あ、ああ……」

 

 *******

 

「で、次はどこ行く?もう帰る?」

「帰りませんよ!なんでそんな自然に帰宅提案できるんですか!?」

「…………」

 

 どうやらこの手段は沼津でも使えないらしい。女ってこわい。

 女子の面倒くささを再認識していると、桜内は立ち止まり、こちらを振り返った。

 

「つきましたよ。ここです」

 

 桜内が指差す先には、少し古びた看板が特徴の、小さな楽器店があった。

 

 

 

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