捻くれた少年と海色に輝く少女達 Guilty Kiss編 作:ローリング・ビートル
「あはは、はは、ど、どうしたの、二人とも?」
桜内は平静を取り繕いながら、二人に笑いかけた。
いや、慌てすぎだろ。出くわす可能性がそれなりにあることは予想つくだろうに……。
とはいえ、このタイミングとは思わなかった。
俺は口を開いたまま、なんかアホみたいなことになっていた。
……うん。やっぱすげえ恥ずかしい。何を血迷ったのか、俺は。
高海と渡辺は驚き混じりの笑みをこちらに向けている。
「でも、本当に仲良いんだね~」
「うん、こんなに堂々と……」
「「…………」」
俺と桜内は自然と顔を見合わせた。とりあえずこのまま食うのはやめとこう……。
「えいっ」
「んぐっ!?」
閉じようとした口に、無理矢理生クリームが突っ込まれる。
えっ?そのまま続けちゃうの?めっちゃ恥ずかしいんだけど……ダレカタスケテェ……。
「わぁ……」
「人目も憚らずに……」
二人は掌で目を覆いながらも、指の隙間からしっかり見るという定番のボケをかましながら、キャッキャウフフと騒いでいる。やめて。本当にやめて!
だが、桜内は不敵な笑みを見せた。こいつマジか。どんなメンタルしてんだよ。
「あははっ、ほら、私達ラブラブだから~?」
何だよ、最後のでかい疑問符は。せめてやりきれよ。いや、やらなくていいか。
そして、俺の隣まで回り込んできた桜内は口元をひくつかせながら、腕を絡めてきた。
「っ!?」
いやいや、当たってる!当たってる!とっても控えめな何かが!
高海達は、そんなこちらの様子に呆れたような眼差しを向けていた。
「千歌ちゃん。邪魔しちゃ悪いからそろそろ行こっか」
「あ、そうだね!お邪魔しました~。梨子ちゃん、また学校でね~!」
二人はぺこりと頭を下げ、商店街の奥の方へと歩いていった。
何故かそれだけで脱力してしまう。
それは桜内も同じだったらしく、机に突っ伏していた。
「ふぅ……何とかやり過ごしたわ」
「やり過ごした……のか?」
「ええ、ご、ごめんなさい。いきなり……………………して」
最後のほうは聞こえなかったが、とりあえず謝ってるのはわかった。いや、いきなりしおらしくされても、それはそれでリアクションに困るんだが……。
桜内もそれに気づいたのか、自分の頬を両側からつねっていた。なんかアホな顔になってんだが……。
「あ、変な空気になりましたね。さて、そろそろ行きましょうか。」
「あ、ああ……」
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「で、次はどこ行く?もう帰る?」
「帰りませんよ!なんでそんな自然に帰宅提案できるんですか!?」
「…………」
どうやらこの手段は沼津でも使えないらしい。女ってこわい。
女子の面倒くささを再認識していると、桜内は立ち止まり、こちらを振り返った。
「つきましたよ。ここです」
桜内が指差す先には、少し古びた看板が特徴の、小さな楽器店があった。