捻くれた少年と海色に輝く少女達 Guilty Kiss編 作:ローリング・ビートル
「あらダイヤじゃない。グッモーニン♪」
「破廉恥ですわっ!」
「「?」」
黒澤姉のいきなりの発言に、俺と小原は顔を見合わせ、首を傾げた。
すると、黒澤姉はわなわな震えながら、こちらを指差してきた。
「このような朝早い時間から、人気のない海で男女が逢瀬を交わすなど……破廉恥ですわっ!」
「「…………」」
波の音が一際大きく聞こえたのは何故だろうか。
とりあえず小原の方をちらりと見やると、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべていた。おそらくこれは、どうからかってやろうかと考えているのだと思う。
「あーあ、ただ二人で遊んでいるだけなのに、そんなこと言い出すなんて……ダイヤってもしかして、お子ちゃま?それともムッツリ?」
「なっ!?だ、誰がお子ちゃまですの!?誰がムッツリですの!?わたくしはただ、慎みを持てと言ってるだけですわ!」
「慎み……そのバストみたいに?」
「おだまらっしゃい!こういうのは形が大事なんですの!大きさだけでアピールできると思ったら大間違いですわ!」
「あら?アピールしたい男の子がいるの?」
「そんなのいませんわっ!あなた、人の話くらい真面目に聞きなさい!」
「ダイヤったら相変わらずおこりんぼなんだもーん」
「だ・れ・が!そうさせているのですか~!」
「…………」
やべえ。なんだ、この置いてきぼり感。
入っていけそうにない。別に入ろうとも思わないが……。
とりあえず、親友同士で積もる話もあるだろうから、邪魔にならないよう、俺はさっさと立ち去ろう。抜き足、差し足、忍び足……。
「ハチマン、逃げられると思ったら大間違いデース」
「いや、気を利かせてるだけだから。俺の事は気にせず存分にやり合っていいから」
「べ、別にわたくし達はやり合ってなんか……」
「ざっぱーん!!」
「「っ!!」」
いきなり海水をかけられた。
そりゃもうたっぷりと。
「……ええぇ」
「ふふふ、これでもう逃げられまセーン」
全然そんなことはないけど、と言いかけたが、隣にはひたすら怒気を放っているお方がいたので、俺は口をつぐんだ。
「鞠莉さん。よくもやってくれましたわね……」
「あらあら、ダイヤ……怒った?」
「おだまらっしゃ~~~~~い!!!」
黒澤は、さっきの小原より大量の水を掬い上げ、俺もろとも小原をずぶ濡れにした。おい。
「ふっふっふ、昔やった水かけ合戦の決着をつけるのデース!」
「望むところですわよ!」
「…………」
とりあえず、このまま帰るのも癪なので、こっそり俺も水をかけた。
思ったより多くの水を掬い上げ、長い間こういう遊びをしていなかった事を思い出す。何だか笑みが零れそうだった。
そして、そのまましばらく三人で海ではしゃいだ。