捻くれた少年と海色に輝く少女達 Guilty Kiss編 作:ローリング・ビートル
「あ~、久しぶりにエキサイティングな時間だったわ!」
「……そっか」
「あら。ハチマン、ずぶ濡れデ~ス!」
「いや、驚いてるがけど犯人目の前にいるんだが……」
「ウフフ、ソーリー♪じゃあ、ウチに来て。服乾かすから」
「あ、ああ。…………家?…………は?」
「もしもし、アイリ?迎えに来てくれない?場所は……」
「…………」
マジか。なんか勝手に話が進んでいるんだが……。
え?てか、い、いきなり家?やだ、この子大胆。俺じゃなきゃ勘違いして舞い上がっちゃうね。
電話を終えた小原は、こちらを見て、にっこりと微笑んだ。
迎えが来るのには5分もかからなかった。
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「おお……」
思わず感嘆の息が漏れる。
遠くから見た時もすごいと思っていたが、近くで見るとさらにすごい。写真撮って小町に見せたいくらいだ。さすがにそんな真似はしないが。
小原は当たり前だが、慣れた足取りで入り口へ向かい、振り返って手招きした。
「さ、はやくはやく!」
「……お、お邪魔します」
無駄に礼儀正しく頭を下げて中に入ると、そこは別世界だった。
きらびやかなシャンデリアに、イタリアの名画を彷彿とさせるような噴水。小原そっくりの銅像とか、なんか見慣れないものに視界が満たされている。
あれ、俺異世界転移した?ゼロから異世界生活始めちゃうのか?この素晴らしい世界を祝福しちゃうのか?
そんなアホなことを考えてしまうくらい浮世離れした光景に目を丸くしていると、小原にまた手招きされた。
「ハチマン、こっち来て」
「はい」
思わず「はい」とか返事しちゃったよ。庶民の卑屈さに苦笑いしてしまいそうだ。情けない。
さっきまで少しでも変な妄想がちらついたのが嘘みたいだった。
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かつてない高級なバスルームでシャワーを浴び、用意された服に着替えると、まだ小原はいなかった。
……はやく出てこねえかな。場違いな空間すぎて気まずいんですけど。何なら今すぐにでも帰りたい。
すると、ぱたぱたと足音が聞こえてきた。
「お待たせ~♪」
「おう……おおぉ……」
また変な声が漏れてしまった。
なんと小原はバスローブに実を包んでいた。
真っ白なバスローブとあらわになった胸元や生足の肌色のコントラストに、つい目を奪われかけるが、何とか逸らした。
「どうかしたの?」
「……な、何でもない」
「もしかして……照れてる?やっぱりウブデスネェ」
「…………」
ええい、近い。いい匂い。あとエロい。どストレートにエロい。変な気分になるだろうが。
まだ湿っている金髪を揺らし、彼女はいたずらっぽく微笑んだ。
「それじゃあ、ティータイムデース♪」
「……ティータイム?」
楽しそうに言う彼女を見て、どうやらまだここから帰れそうもないことを悟った。