遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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タイトルからもうネタバレ感ありますが、どうかご容赦を。


挫折

Side遊羽

 

 林間学校二日目。

 

 デュエリストなのに何故か体を鍛えるようなことばかりしながら、俺は退屈さを感じていた。

 

「今日はデュエルなしと言われちゃ、モチベーション下がるなぁ」

 

「自分には体力も筋力もあるっていう嫌味?」

 

「そんなことはある」

 

「あ、あるんだ」

 

 (幽鬼)うさぎ跳びをしながら戦がちょっとイマイチなツッコミをしてくる。虹花ならもうちょい上手いんだけどな・・・・・・。

 

 ちなみに虹花達女子は別メニューらしい。デス・ウサギ跳びでもしてるのか? 女子なのに男子よりハードそうだな。

 

「ん? 誰だ、あれ」

 

 四谷が誰か見つけたみたいだ。俺と戦が二人してそっちを向く。

 

 ―――――背中に、悪寒が走った。

 

「戦、アイツ・・・・・・」

 

「うん、とんでもなく強いね。どこかで見たような・・・・・・?」

 

 白髪でメガネをかけてヒョロッとしているが、デュエリストとしての直感が告げている。アイツは、ただものではないと。

 

「ちょっとデュエルしてくる」

 

「え、ちょっと如月くん!」

 

 戦の声を無視してその青年の方へ走った。

 

『いいのか?』

 

 レヴが心配したような声をかけてくる。

 

「アイツと戦って罰一つなら安いな」

 

 それに対して、俺は自らの本心を述べた。

 

 そして、俺はその青年の前にたどり着くなり言い放った。

 

「おい、デュエルしろよ」

 

「・・・デュエルですか。いいでしょう」

 

 お、ノリがいいな。

 

「「デュエル!」」

 

如月遊羽

LP8000

 

青年

LP8000

 

「先攻は私がもらいましょう。まずは神獣王バルバロスを妥協召喚」

 

神獣王バルバロス ☆8 攻撃力3000→1900

 

「そしてフィールド魔法、ディフェンスゾーンを発動。カードを二枚伏せてターン終了しましょう」

 

青年

LP8000 手札1

場 メイン:神獣王バルバロス フィールド:ディフェンスゾーン 伏せカード:二枚

 

 なんだ、ただのスキドレバルバか? それとも8軸エクシーズか? 思っていたほどじゃないな。

 

「俺のターン、ドロー」

 

「ドローフェイズにリバースカードを発動しましょう。スキルドレイン。お互いに場のモンスター効果が無効となります」

 

青年

LP8000→7000

 

神獣王バルバロス 攻撃力1900→3000

 

 やっぱただのスキドレバルバか・・・・・・。今時流行んねぇぞ?

 

「ちなみに、ディフェンスゾーンの効果でお互いに自分のモンスターゾーンにモンスターがいれば、その列の魔法・罠は相手に破壊されず、効果の対象にもなりません」

 

神獣王バルバロス 攻撃力3000→1900

 

 えーと、スキルドレインの位置は、っと。・・・・・・やっぱりバルバロスの後ろかよ。

 

「えーい、面倒な。ハーピィの羽根帚発動だ! 全部破壊だ破壊」

 

「早速対処してきましたか。ならばリバースカード、針虫の巣窟。デッキからカードを五枚墓地へ送りましょう」

 

 ディフェンスゾーンは破壊できた。とはいえ、スキルドレインはどうにもできないんだけどな。

 

「モンスターをセット、カードをセット、ターンエンドだ」

 

如月遊羽

LP8000 手札3

場 メイン:伏せモンスター 伏せカード:一枚

 

 ・・・・・・あれ、他にも除去カード来てから羽根箒使った方が良かったんじゃ? やべー、プレミったかも。

 

「私のターン、ドローしましょう」

 

 さて、次はどんなカードが出てくるかね。

 

「私はテラ・フォーミングを発動しましょう。デッキからディフェンスゾーンを手札に加えてそのまま発動」

 

 さっきのターンとやっていることは同じだな。つまらねぇ。

 

 ・・・・・・あれ? でもこれ無理ゲーじゃね? 俺のデッキってモンスター効果でモンスターを展開するデッキだから、スキルドレインが痛いほど刺さる。

 

「さらに私は可変機獣ガンナー・ドラゴンを妥協召喚しましょう。効果が無効化されるので、攻撃力は元通りですね」

 

可変機獣ガンナー・ドラゴン ☆7 攻撃力2800

 

「バトルに入りましょうか。ガンナー・ドラゴンで伏せモンスターに攻撃」

 

ドラグニティーセナート ☆4 守備力600

 

 セナート、初登場なのに見せ場なし、か。

 

「バルバロスで追撃」

 

如月遊羽

LP8000→5000

 

 ・・・・・・久々だな、ここまでライフが削られるの。あ、虹花とのデュエルではもっとライフを減らされたか。

 

「ターン終了としましょうかね」

 

青年

LP7000 手札0

場 メイン:神獣王バルバロス 可変機獣ガンナー・ドラゴン フィールド:ディフェンスゾーン 魔法・罠:スキルドレイン

 

 手札誘発を気にしなくていいのは正直ありがたい。虹花は五虹の魔術師で動きを封じた上で手札誘発を使ってくるからなぁ。・・・・・・今の状況と大差ないな。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 よし、一応動ける。

 

「手札からWWーアイス・ベルの効果発動! 俺の場にモンスターがいなければ、デッキのWWと共に特殊召喚できるぜ! 来いアイス・ベル、グラス・ベル!」

 

WWーアイス・ベル ☆3 守備力1000

 

WWーグラス・ベル ☆4 チューナー 守備力1500

 

「俺はグラス・ベルでアイス・ベルをチューニング!」

 

4+3=7

 

「重なれ、輝きの翼! 舞え、白き竜! シンクロ召喚! クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ☆7 攻撃力2500

 

 まだだ!

 

「俺はドラグニティーブランディストックを召喚! そのままクリアウィングをチューニング!」

 

ドラグニティーブランディストック ☆1 チューナー 攻撃力600

 

1+7=8

 

「重なり合え、水晶の翼! 舞い踊れ、白銀の竜! シンクロ召喚! クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン!」

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ☆8 攻撃力3000

 

 手札で腐ってたブランディストックを使えてよかった。

 

 でも、これだけじゃ足りない。

 

「リバースカード発動! 追走の翼! クリスタルウィングは戦闘、効果で破壊されなくなり、レベル5以上のモンスターとの戦闘時、そのモンスターを破壊してその攻撃力分自身の攻撃力を上げる効果がある」

 

「しかし、それはダメージステップ開始時の効果。巻き戻しは発生しませんね」

 

 ・・・・・・ずいぶん詳しいな。

 

「あぁ、そうだな。でも、これで破壊されなくなった。それに、この効果発動は任意だから、使わないって選択肢もあるしな」

 

 バルバロスの攻撃力は3000、クリスタルウィングと互角。戦闘破壊されない今なら、相打ちじゃなくて一方的な破壊になる。伏せカードもない今が好機だな。

 

「行くぜ、バトル! クリスタルウィングでバルバロスを攻撃! 相打ちだ!」

 

「クリスタルウィングは戦闘破壊されないので、バルバロスだけ破壊ですね」

 

 これで、一応巻き返しただろ。

 

「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

如月遊羽

LP5000 手札2

場 EX:クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 魔法・罠:追走の翼 伏せカード:一枚

 

「私のターン、ドロー」

 

 今マズいのは、追走の翼を除去するカードだ。それを引かれると、こっちも返す手段がほぼない。

 

「強欲で貪欲な壺を発動しましょう。デッキ上十枚を除外して二枚ドローしますね」

 

 ここでドローカード!? 何つー運命力だ。

 

「サイクロン発動、追走の翼を破壊ですね」

 

 ・・・・・・終わった。今の手札じゃ返せない。スキドレバルバを舐めていたな。

 

「では、私も切り札を出しましょう。墓地のバルバロスとカードカーDを除外。現れよ、獣神機王バルバロスUr」

 

 神に最も近いと云われるモンスターが、フィールドに現れた。

 

獣神機王バルバロスUr ☆8 攻撃力3800

 

「バルバロスUrは、本来ダメージを与えられないモンスター。しかし、スキルドレインの効果でそれは打ち消されています」

 

「そうだな」

 

 ここで、クリスタルウィングを超える攻撃力のモンスター。

 

「・・・・・・これが、詰みってやつか?」

 

 初めて、生まれて初めてデュエルで勝てないと思った。

 

『・・・・・・遊羽』

 

「・・・・・・レヴ、俺が勝てないのはお前のせいじゃないからな」

 

 俺の実力不足だ。

 

「・・・精霊を連れていましたか」

 

 ・・・・・・コイツ。見えてるのか、レヴが。

 

「あぁ。ついでに訂正しとくと、コイツが俺の切り札だ。クリスタルウィングじゃないぜ」

 

 抗議の声を上げるな、クリスタルウィング。これは昔決めたことだ。諦めろ。

 

「そうでしたか。すみませんね」

 

「・・・・・・なぁ。お前、名前は?」

 

 俺は謝罪を無視して質問を投げかけた。

 

「私のでしょうか?」

 

「あぁ。生まれて初めて負ける相手だ。名前くらい知っておきたい」

 

 俺の言葉に少々驚いた様子の白髪メガネ。

 

「私もまだまだ、ということでしょうか」

 

 一つため息をついて、名前を告げた。

 

「私は凪 風磨(なぎ ふうま)と申します」

 

「凪風磨な。覚えたぜ」

 

 ・・・・・・どっかで聞いたことある気がするが、今はどうでもいいな。

 

「・・・・・・サレンダーだ」

 

如月遊羽Lose

 

ーーーーーーーーーー

 

『大丈夫か、遊羽』

 

「・・・・・・レヴ」

 

 デュエルが終わった後。

 

 凪は用事があるとかで凪庵に向かっていった・・・・・・名前からして、あのバーサンの孫か何かだろう。

 

「・・・・・・負けたな」

 

『あぁ。負けたな』

 

「・・・・・・負けるのって、こんなに悔しいんだな」

 

『そうだな。悔しいな』

 

「・・・・・・クソッ! 悔しいなぁ・・・・・・」

 

『・・・・・・遊羽』

 

 今日、この日。

 

 俺は、生まれて初めて『悔しさ』を知った。




ちょっとした小ネタ

戦「あーあ、如月くん行っちゃった」

春樹「授業すっぽかしてデュエルとか、ある意味デュエルスクールの生徒らしいな」

戦「・・・・・・春樹って誰?」

春樹「忘れているみたいだが、四谷だ」

戦「・・・・・・ごめん。影薄くって」

春樹「ただお前らが名字で呼んでるからだよな? オレ、影薄くないよな?」

戦「本当にごめん・・・・・・」

春樹「せめて否定くらいはしてくれよ・・・・・・」
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