遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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これまでのあらすじ

主人公二人が出会いました。
デュエルしました。
林間学校行きました。
主人公の一人が失踪しました。←イマココ


カードショップ

Side戦

 

 如月くんが失踪してから、三日ほど経った。

 

 彼がいなくなったことで、真宮さんはやつれ、皆どこか活気が無い。僕も、何もする気が起きない。・・・・・・なんてことは無く。

 

 僕らはいたっていつも通りだった。

 

『戦。資料にあるエジプトの石版のモンスター、わかるか?』

 

「如月くんが失踪したはずなのに、何で平気なの、レヴ?」

 

 あと今のはトラゴエディアだよ。

 

『そういう年頃なのだろう。なら仕方あるまい』

 

 レヴは特に心配している様子無い。

 

『それに、こういうことは昔からちょくちょくあったのだ。突然いなくなって、ひょっこり帰ってくる。特に心配はいらないだろう』

 

「遊民くん。授業中ですから静かにしてください」

 

「あー、うん。ごめんね真宮さん」

 

 真宮さんも変わった様子が無い。

 

「さっきから、独り言ですか? 遊羽ならその内帰ってきますよ。心配するだけ無駄です」

 

 うーん、如月くんがそれだけ信頼されてるってことなのかな、これは。判断に悩むなぁ。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 休み時間。

 

「それにしても、如月くんはどこに行ったんだろう?」

 

 二人(一人と一体)がそんな様子だから、僕は特に何も気にすること無くこの話題を出せた。

 

「昨日、隣町のカード屋で見かけたな」

 

「・・・・・・え?」

 

 隣町? カード屋?

 

「本当ですか? 四谷くん」

 

「あぁ。カードが足りない、とか言いながらカードを買っていた」

 

 ・・・・・・うわぁ。本当に心配するだけ無駄だったね。

 

「あ、ボクも一昨日見かけたよー」

 

 こちらにも目撃情報が。

 

「コンビニでお弁当買ってたよー」

 

「・・・・・・失踪しきれてないね」

 

「ええ本当に。失踪、というよりは不登校に近いですね」

 

 ・・・・・・あの意味深な置き手紙は何だったんだろう。家にも帰ってないみたいだし。

 

『遊羽は昔から他人に頼れない性格なのでな。思い詰めると一人になりたがる』

 

『拙者達の心配とは・・・・・・』

 

 これは酷い。いくら何でもこれは酷い。

 

「あれ、じゃあ何でデッキを置いていったの?」

 

 思い詰めただけなら、デッキを置いていく必要は無いはず。

 

「遊羽は新しいデッキを作る時にこうするんです。一度、リセットしてから作りたいんでしょうね」

 

 ・・・・・・デッキを作るために失踪ですか。もう無茶苦茶だね。

 

『レヴ殿まで置いていくのですかな?』

 

『あぁ。今のデッキを作る時も、私を置いて失踪していた』

 

 ・・・・・・うわー。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 放課後。

 

 四谷くんがカードショップに行くというので、ついて行くことにした。

 

「・・・・・・僕、誰かとカードショップに行くの初めてかも」

 

「そんな告白をされて、オレはどうすればいいんだ?」

 

 いや、反応を期待したわけじゃ無いんだよ?

 

 そんなこんなで、カードショップに着いた僕ら。自動ドアから店内に入る。

 

「・・・・・・あれ?」

 

 そこには、見知った顔があった。

 

「お、四谷か。今日は戦も一緒なのか?」

 

「如月くん!?」

 

「? 他の誰かに見えるか?」

 

 見えないからこそ驚いているんだけどね!?

 

『遊羽、デッキは順調か?』

 

「デッキ作りなら順調だぜ。必要なカードが売ってないこと以外はな」

 

 いつも通りの会話をする如月くんとレヴ。・・・・・・本当にいつも通りだね。

 

「ここで話すのもなんだし、そっち座ろうぜ」

 

 その言葉に大人しく従い、近くのテーブルデュエル用のスペースに腰掛ける僕ら。

 

「必要なカードが手に入らないのか。レアカードか?」

 

「あぁ。青眼の亜白龍だ」

 

「・・・・・・確かに、手に入りにくいカードだな」

 

「あれってレアなだけじゃなくて、恐ろしく高いんだよね」

 

『ワンキル・ソリティア研究会は持っていないのですかな?』

 

「おい副会長」

 

「断る」

 

「せめて聞いてからにしろ。というわけで、一枚でいいから譲ってくれ」

 

「・・・・・・それをオレが呑むとでも?」

 

 如月くんの頼みに渋い顔をする四谷くん。まぁ、高価なカードだし、渋るのは普通だ。というか、僕なら譲らないと思うし。

 

「呑まないなら仕方無い。お前のデッキ内容を全て公開する」

 

「・・・・・・脅しか?」

 

「というのは冗談で。何でも一つ、お前の言うことを聞いてやる、というのはどうだ?」

 

「・・・・・・今なんでもすると」

 

「言ったな」

 

 ・・・・・・如月くん、本気かな? 何か、カードをもらったらすっぽかしそう。

 

「なら、今すぐオレとデュエルしろ」

 

「・・・・・・それだけでいいのかよ? もっと色々あるだろ?」

 

 本当にそれだけでいいの、四谷くん? 今までのこと全てに謝罪させる、とかでもいいんだよ?

 

『何のつもりだ?』

 

『ワンキルでもして、遊羽殿へのストレスを解消する、とかですかな?』

 

 うーん、どうだろ?

 

「それと。オレにはお前らが見えている」

 

 そう言った四谷くんは、真っ直ぐレヴとジャンを見た。

 

「・・・・・・なんだと」

 

「ドラグニティアームズ-レヴァテインと、ジャンク・ウォリアーだな。別に、オレがデュエルする理由はストレス解消ではない」

 

『・・・・・・どうやら本当のようだな』

 

『なんと! 主殿と遊羽殿の他にも、拙者達を見える者がいたとは!』

 

「・・・・・・でも、どうして今そんな事を?」

 

 理由がわからない。今まで僕らに隠していたみたいだし、バラす必要は無いはずだ。

 

「オレのデッキにも、精霊がいるのでな。紹介しようかと思ってな。いや、それはデュエルで見せるとするか」

 

「・・・・・・そうだな。展開が急すぎて付いていけねぇ。なら、デュエルでもして頭をスッキリさせるか」

 

 そう言いながら立ち上がる二人。

 

 僕は観戦でもしてよう。あ、ポップコーンないかな? できればフライドポテトも。

 

戦SideOut

 

ーーーーーーーーーー

 

Side遊羽

 

 さてと、四谷とのデュエルは半年ぶりくらいだったな。

 

「・・・・・・あ。俺のデッキ、まだ出来上がってねぇんだけど」

 

「そうだな。お前を倒すにはまたと無い機会だ」

 

 ・・・・・・四谷ぁ! 図ったな、四谷ぁ!

 

「一応、形にはなっているのだろう? さぁ、ディスクにデッキをセットしろ」

 

「クソ、そういうことかよ」

 

 コイツ、地味に去年の事を根に持ってんな。

 

「四谷くんて、以外と小さいのかな」

 

『主殿、恐らく聞こえておりますぞ。もっとオブラートに包むとかですな・・・・・・』

 

「そこ、後で覚えておけよ」

 

 うっわ。小っさ!

 

「実はこのデッキ、39枚なんだ」

 

『・・・・・・遊羽』

 

「もちろんレヴ、お前の枠だ。出番は減るかもしれないが、俺のデッキにお前が入ってないなんて事は有り得ねぇ」

 

『・・・・・・そうか』

 

 レヴのカードを戦から受け取り、デッキに入れる。・・・・・・つうか、ポップコーン食うなよ。映画じゃあるめぇし。

 

「そろそろいいか?」

 

「待たせたな。いくぜ!」

 

「「デュエル!」」

 

如月遊羽

LP8000

 

四谷春樹

LP8000

 

「先攻はもらうぜ。俺のターン!」

 

 俺の新しいデッキは、前のデッキよりも更に展開力がある。足りないカードが多いが、充分に動けるはずだ。

 

 まぁ、先攻1ターン目から動くのは難しいけどな。

 

「俺はモンスターをセット、カードを伏せて、ターンエンドだ」

 

如月遊羽

LP8000 手札3

場 メイン:伏せモンスター 伏せカード:一枚

 

「オレのターン。カードドロー」

 

 さっき、四谷は『オレのデッキ』と言っていた。恐らく、ワンキル・ソリティア研究会副会長としてではなく、アイツ本人のデッキだ。

 

 まぁ。だとしても、恐らくワンキルかソリティアのデッキではあるんだろうけど。

 

 細かい説明は長いから省く。

 

「オレは覇王眷竜ダークヴルムを召喚。効果でデッキから、覇王門零を手札に加える。手札から慧眼の魔術師と黒牙の魔術師をPスケールにセット。慧眼の効果で自身を破壊しデッキから紫毒の魔術師をPスケールにセット。ペンデュラム召喚。エクストラデッキから慧眼の魔術師、手札から覇王門零、覇王門無限、調弦の魔術師。調弦の効果でデッキから虹彩の魔術師を特殊召喚。オレはダークヴルムと慧眼をリンクマーカーにセット、リンク召喚。ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム。効果でデッキから白翼の魔術師をエクストラデッキに加える。零の効果発動、紫毒と自身を破壊しエクストラデッキから覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンを効果無効、攻守0で特殊召喚。零はPゾーンに置かれる。エレクトラムの効果で1ドロー。無限の効果発動、黒牙と自身を破壊しエクストラデッキから覇王白竜オッドアイズ・ウィング・ドラゴンを効果無効、攻守0で特殊召喚。無限もPゾーンに置かれる。リベリオンとウィングをリリース。覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを特殊召喚。Pゾーンの零の効果発動。零と無限を破壊しデッキから簡易融合を手札に加える」

 

「長ぇよ」

 

 ちょっと状況整理するか。

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム ☆8 攻撃力2800

 

調弦の魔術師 ☆4 守備力0

 

虹彩の魔術師 ☆4 守備力1000

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム link2 攻撃力1800

 

 もうホント壁とやってろと思う。手札誘発を引けてない俺も悪いけど。

 

「簡易融合を発動、LL-インディペンデント・ナイチンゲールを特殊召喚」

 

 鳥のような、美しい女性型モンスターが現れる。

 

LL-インディペンデント・ナイチンゲール ☆1 攻撃力1000→1500

 

「ん? お前が精霊か?」

 

『正解よ。よろしくね』

 

 てっきり魔術師のどれかかと思っていたけど、ハズレだったな。

 

「ディペ。今はデュエル中だ」

 

『えー、少しくらいいいじゃない。それに、このデッキ私の見せ場ほとんど無いし』

 

「それはすまないと思っている」

 

 ・・・・・・四谷が素直だ。ナニコレ珍しい。

 

『・・・・・・やはり出番が少ないものですな』

 

『精霊の宿命か呪いなのか? これは』

 

 おーい、そこの二体。出番に関しては俺らも申し訳ない気持ちくらいあるぞ。

 

『あら。私は見せ場が少ないだけで、このデッキでのデュエルにはほぼ毎回出ているわよ?』

 

『なんと!?』

『なんだと!?』

 

 ・・・・・・うわー。後で面倒だな、これ。

 

『遊羽! 早く私を出してくれ! 新参者に負けてはいられない!』

 

 何の勝負だよ。

 

『主殿! もっと拙者が活躍するデッキを!』

 

「いや、それだと他のカードに申し訳ないし。とりあえず、考えておくよ」

 

『頼みますぞ、主殿!』

 

 あっちもあっちで大変そうだな。

 

「・・・・・・もういいか?」

 

『えー。私、もう少し居たいのだけれど』

 

「後で機会を設けよう」

 

『そう。それならいいわ』

 

 四谷はコホン、と咳払いをした。

 

「仕切り直しだ。ディペの効果発動。レベル×500ポイントダメージだ」

 

如月遊羽

LP8000→7500

 

「ディペとエレクトラムをリンクマーカーにセット。リンク召喚。セフィラ・メタトロン」

 

セフィラ・メタトロン link3 攻撃力2500

 

「スターヴの効果。ディペの名前と効果を得る。得たディペの効果発動。レベル×500ポイントダメージを与える」

 

如月遊羽

LP7500→3500

 

「バーンだけでこれかよ。酷いな」

 

 ・・・・・・あれ? 覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの効果って、名称指定ついてたっけ。

 

「虹彩と調弦をリリース。二体目の覇王眷竜スターヴ・ヴェノムだ」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム ☆8 攻撃力2800

 

 ・・・・・・うわー。終わったー。

 

「スターヴの効果でディペの名前と効果を得る。レベル×500ポイントダメージ、お前の負けだ」

 

「納得いかねぇ!?」

 

如月遊羽

LP3500→0

 

 ・・・・・・これ、俺が相手する意味あったのか? つーか新デッキ・・・・・・俺の新デッキ・・・・・・見せ場が一つもねぇよ・・・・・・。

 

「ふぅ。スッキリした」

 

『・・・・・・やはり、ワンキルしてストレスを解消したかっただけなのでは?』

 

「うん。今となっては僕もそう思う」

 

 俺は、そんなことを話している二人に向かって言った。

 

「ポップコーンはおいしかったか? 一つわけてくれよ」

 

「もう全部食べたよ」

 

「早ぇなおい」

 

 いや、普通残しとくだろ? デュエルお疲れ様的なあれで。

 

『あー、疲れたわ。出番は少ないのに効果だけ乱用されて、普通の精霊なら激おこよ?』

 

「そうか。ならオレはディペに感謝しないとな」

 

『そうよ。沢山感謝なさい』

 

「そうだな。感謝する」

 

 ・・・・・・ブラックコーヒー買ってきていいか?




小ネタ

遊羽「そもそも、何で亜白龍が出回ってないんだ?」

春樹「・・・・・・元々数が少ない上に、オレ達ワンキル・ソリティア研究会がワンキルのパーツとしてほぼ全員が三枚持っている。流通していないのはそのせいだろう」

遊羽「つまり、お前らが諸悪の根源、と」

春樹「・・・・・・根源と言えば、混源龍レヴィオニアだな。どうだ? 一枚くらいなら譲るが」

遊羽「それは根源違いだ。レヴィオニアはもらうが、お前はしばく!」

春樹「理不尽なッ!」
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