遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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修正が終わったので即投稿です。眠い。


シルクハットのトリック

 戦が暴走パックを開けて頭痛に悩んでいたころ。

 

「失礼します」

 

 遊羽は一人、校長室を訪れていた。

 

「よく来たね。これが景品のカードだ。有意義に使ってくれたまえ」

 

 中に入るなり、初老の校長が出迎える。

 差し出されたのは、ガラスの板に挟んで保管してある二十枚のカード。

 

(全部リンクモンスターか。幻影騎士団、SR、ハーピィ、サンダードラゴンにパーシアス・・・・・・ん? これは・・・・・・)

 

 いいカードがあったのか、遊羽は少し目を見開く。

 

「なぁ校長。このカードって、誰かにあげても問題ないよな?」

 

 遊羽の質問に、校長は少し考えるような素振りを見せてから

 

「それはもう君のものだ。売ろうが捨てようが構わない」

 

 遊羽は知らないが、このカード達はまだ市場に出回っていないカードだ。それをKC社がデュエルスクールにサンプルとして送り、デュエルスクールは大会の景品としたのだ。

 

「こんちわーっす。おろ? 遊羽じゃんか」

 

「失礼するッス。カードがもらえるっていうので来たッスよ」

 

 二人の生徒が新たに校長室にやってきた。ネクタイの色を見るに、三年生と二年生だろう。

 

「あ? 日向先輩と響先輩じゃねぇか」

 

「やっぱり一年のトーナメント優勝者はお前かぁ。さすがだな」

 

 三年生の方が水瀬 日向(みなせ ひゅうが)。ちょっとチャラい印象を与えるイケメンだ。

 

「兄さん、校長先生に対して失礼ッスよ。遊羽も敬語ぐらい使うッス」

 

 二年生は水瀬 響(みなせ ひびき)。日向の妹であり、兄とは逆に大人しい印象だ。

 

「君達にもこれを。改めて、トーナメント優勝おめでとう」

 

「ありがとさん。大事にするよ」

 

「ありがとうございますッス」

 

 二人に与えられたのは、遊羽に渡したものと同じカードだ。

 デュエルモンスターズでは同じカードは三枚まで。なのでサンプルとして各カード三枚ずつ送られたのだ。それを三学年で分けた、ということだ。

 

「う~ん、あんまり使うカードがないなぁ。強いて言うならこの幻影騎士団かな?」

 

「自分も使うカードがないッス・・・・・・。何スかこの残念HERO。これならイゾルデで充分ッスよ」

 

 しかし、あまりいい反応ではない。そのことを校長は内心残念に思った。

 

「私は仕事に戻る。君達も学生としての本分を果たしなさい」

 

 そう言って職員室に引っ込んだ校長。

 それを見て、三人は校長室を後にした。

 

ーーーーーーーーーー

 

 校長室の前の廊下。

 風呂敷包みを持った虹花は、遊羽を待っていた。

 

「悪い、待たせたな」

 

「あ、いえ。気にしないでください」

 

 校長室から出てきた遊羽に、虹花は笑顔で返す。

 

「さっきぶり、虹花ちゃん。四人で一緒に昼飯にしない?」

 

「兄さん、せっかく二人っきりのところを邪魔しちゃ悪いッスよ。ちゃんと考えるッス」

 

 二人も校長室に入る時に虹花とは会っている。四人は中等部からの付き合いだ。

 

「それもそうかぁ。じゃ、おれ達は家族水いらずで食べるか」

 

「何でそうなるんスか! ・・・・・・自分は別に、構わないッスけど」

 

 日向の言葉に、少し恥じらいながらも肯定する響。兄妹間の仲は良好のようだ。

 

「ハハ、相変わらずだな、先輩方」

 

「そうですね。懐かしいです」

 

 二人のやりとりを見て、昔を思い出す遊羽と虹花。

 

「なぁ日向先輩。放課後、俺とデュエルしてくれないか? 二人に会ったら、久々にやりたくなった」

 

「おれはオッケーだ。場所は第二デュエル場で」

 

 そう言って水瀬兄妹はその場から立ち去る。

 

「ところで、第二デュエル場ってどこだっけ?」

 

「もう! 締まらないッスね! 放課後、案内するッスよ」

 

 聞こえてくる会話の内容に和む遊羽と虹花。

 

「そうだ。虹花、これ」

 

 遊羽はガラスプレートからカードを一枚を取り出し、虹花に手渡す。

 

「? ・・・・・・えっ、このカードは!?」

 

 驚く虹花に、遊羽は笑いながら語る。

 

「クリボーのお礼だ。俺は使わないし、虹花にぴったりのカードだろ?」

 

「・・・・・・わかりました。ありがたくいただきます」

 

 渡されたのは、カオス・ソルジャーのリンクモンスター。恐らくとても貴重なカードだが、虹花は遊羽の意志を汲んで、受け取ることにした。

 

「じゃ、今日は外で食べようぜ。校長室って玄関から近いし」

 

「そうですね。たまには外もいいでしょう」

 

 そんなことを話しながら、二人は校庭に向けて歩きだした。

 

ーーーーーーーーーー

 

 ということで放課後。

 

「クソ、青眼クラブと真紅眼クラブめ。後で覚えてろよ」

 

 校庭で昼食をとったために、青眼クラブと真紅眼クラブの戦いに巻き込まれた遊羽。虹花に申し訳なく思いながらもデュエルで武力解決をする羽目になったのだ。悪態の一つもつきたくなる。

 

「さて、第二デュエル場だったな」

 

 椅子から立ち上がる遊羽に、隣の虹花が声をかける。

 

「私は生徒会の仕事があるので、終わったら先に帰っていてください」

 

「わかった。まぁ、俺の方が遅いかもな」

 

 軽く冗談を言ってから、遊羽はデュエル場に向かう。

 

『遊羽、私は図書館に寄りたい。今日も行ってきていいだろうか』

 

(おう。手鞠に迷惑かけるなよ)

 

 実体化できるようになってから、レヴは単独行動をすることが多くなった。遊羽はあまり本を読まないが、レヴは読書家だったのだ。今回のように、図書館にでかけることがほとんどだ。

 

(手鞠も喜ぶだろうし、問題ないだろ)

 

 手鞠は遊羽や兄の息吹と同じようにドラゴン好きだ。レヴがいても喜ぶことこそあれど、嫌がることはないだろう。

 

「お、ちわーっす遊羽。早速入ろうぜ」

 

 デュエル場の入り口には、日向と響が揃って待っていた。

 

「悪いな、待たせたか?」

 

「うんにゃ、今来たところ。って恋人のやりとりみたいだなぁ」

 

 何気なく言った日向の一言に、響がジト目で兄の腕をつねる。

 

「痛い痛い! ちょっ、何だよマイリトルシスター!?」

 

「兄さんに恋人とか、認めないッスよ。あとそれも止めて欲しいッス」

 

 懐かしいやりとりに遊羽は口元を緩ませる。

 

「いちゃつくのはそこまでにして、早くデュエルしようぜ」

 

「・・・・・・仕方ないッスね」

 

 本当に仕方がない、といった様子で兄の腕を放す響。日向の腕は、真っ赤に腫れていた。

 

「あー痛い。デュエルディスクつけられないかもなぁ」

 

「知らないッス。早くしないと、遊羽に悪いッスよ」

 

 とことん酷い扱いを受ける日向だった。

 

ーーーーーーーーーー

 

「行くぜ、先輩!」

 

「かかってこい、遊羽! あ、優しめでね?」

 

「知るか!」

 

「「デュエル!」」

 

水瀬日向

LP8000

 

如月遊羽

LP8000

 

「先攻はもらった、おれのターン」

 

(手札はそこそこ。まぁ、このデッキならこんなもんか)

 

 手札を確認する日向。彼のデッキは扱いが難しく、ピーキーなのだ。それを使いこなすから三年最強なのだが。

 

「モンスターをセット、カードを三枚伏せて、ターン終了」

 

水瀬日向

LP8000 手札1

場 メイン:伏せモンスター 伏せカード:三枚

 

「守備表示か。カオス・MAXで吹き飛ばしてやるぜ! 俺のターン!」

 

 久しぶりの日向とのデュエルでテンションが上がっているのか、ややキャラ崩壊している遊羽。そこまでキャラが立っていないのだが。

 

「高等儀式術を発動! デッキの青眼の白龍をコストに、来い、ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン!」

 

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン ☆8 攻撃力4000

 

「バトル! カオス・MAXで攻撃! カオスマキシマムバースト!」

 

「リバースカード、威嚇する咆哮! このターン、攻撃宣言はできない!」

 

 カオス・MAXに威嚇しても効かなそうだが、仕方ない、といった様子でブレスを止めるカオス・MAX。どちらかというと彼(?)は威嚇する側だろう。

 

「チッ、ターンエンドだ」

 

如月遊羽

LP8000 手札4

場 メイン:ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン

 

「優しめでって言ったじゃん! 殺意もMAXかよ! おれのターン!」

 

 これで日向の手札は二枚。まだデッキのギミックを見せてもいない。

 

「召喚僧 サモンプリーストを召喚。守備表示になる」

 

召喚僧サモンプリースト ☆4 攻撃力800→守備力1600

 

 最近、孫が禁止カードになったらしい、元制限カードのおじいちゃん。いつか孫も許されるかもしれない。

 

「おれはサモンプリーストの効果発動! 手札の魔法カード一枚をコストに、デッキからレベル4のモンスターを特殊召喚する! 来い、幻影騎士団フライジャルアーマー」

 

幻影騎士団フライジャルアーマー ☆4 守備力1800

 

「反転召喚、メタモルポット!」

 

メタモルポット ☆2 攻撃力700

 

「メタモルポットのリバース効果発動! お互いに手札を全て捨てて、デッキから新たに五枚ドローする」

 

「俺は四枚捨てて五枚ドロー」

 

「おれは手札なし、ハンドレス! 五枚ドロー!」

 

 手札から墓地に送るカードがないのは果たしてメリットかデメリットか。それはデュエリストによるが、遊羽はドラゴン族を蘇生するカードがあるので、メリットの方が多いだろう。

 

「おれはサモンプリーストとフライジャルアーマーでオーバーレイ! エクシーズ召喚! No.39 希望皇ホープ!」

 

No.39 希望皇ホープ ★4 攻撃力2500

 

「この状況でホープ、ってことは・・・・・・」

 

「イエス! ホープレイから大正義まで!」

 

CNo.39 希望皇ホープレイ ★4 攻撃力2500

 

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング ★5 攻撃力2500

 

「バトル! ホープ・ザ・ライトニングで攻撃! ホープ剣大正義スラッシュ!」

 

「迎え撃て、カオスマキシマムバースト!」

 

 正義を背負う剣士と混沌の力を持つ竜が対峙する。

 

「ホープ・ザ・ライトニングの効果! オーバーレイユニットを二つ使い、攻撃力が5000となる!」

 

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング 攻撃力2500→5000

 

 ライトニングの剣が、混沌竜の首を落とした。

 

如月遊羽

LP8000→7000

 

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング 攻撃力5000→2500

 

「まだまだ! メタモルポットで攻撃!」

 

「うのわっ!」

 

如月遊羽

LP7000→6300

 

 メタモルポットに攻撃されるという珍しい経験をする遊羽。

 

「ターン終了!」

 

水瀬日向

LP8000 手札5

場 エクストラ:SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング メイン:メタモルポット 伏せカード:二枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

(大正義とか、そっちも殺意高いカードじゃねぇか!)

 

 自分のことを棚に上げ、前方を睨む遊羽。睨まれてビクゥ! っとなる日向。

 

「ドラゴン・目覚めの旋律を発動! 手札一枚をコストに、デッキの青眼の白龍と青眼の亜白龍を手札に加え、亜白龍を特殊召喚!」

 

青眼の亜白龍 ☆8 攻撃力3000

 

「亜白龍の効果! 大正義を破壊!」

 

「うそん!?」

 

 オルタのブレスにより呆気なく破壊される大正義。正義とは脆いものだ。

 

「死者蘇生を発動! 墓地のレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚!」

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ☆10 攻撃力2800

 

「レダメの効果発動! 墓地の銀河眼の光子竜を特殊召喚!」

 

銀河眼の光子竜 ☆8 攻撃力3000

 

「二体のレベル8モンスターでオーバーレイ! エクシーズ召喚! 来い、銀河眼の光波竜!」

 

銀河眼の光波竜 ★8 攻撃力3000

 

「おいおい、どんだけドラゴン出てくるんだよ」

 

「俺のデッキに、ドラゴン以外のモンスターは入っていない!」

 

 キリッとした表情で告げる遊羽。メインデッキはもちろん、エクストラデッキも全てドラゴンだ。もう一つのデッキは家族のために作ったデッキだったが、こちらは自分のため作ったデッキだ。自分の好きなものだけで何が悪い?

 

「光波竜に重ねて、エクシーズ召喚! フルアーマーエクシーズチェンジ! 来い、ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン!」

 

ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ★8 攻撃力4000

 

「フルアーマーの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、メタモルポットを破壊!」

 

 フルアーマーの肩の砲台から光の弾丸が放たれ、メタモルポットが木っ端みじんとなる。

 

「まだまだ! フルアーマーを素材に、ランクアップエクシーズチェンジ! 来い、銀河眼の光波刃竜!」

 

銀河眼の光波刃竜 ★9 攻撃力3200

 

「光波刃竜の効果! オーバーレイユニットを一つ使い、お前のカード一枚を破壊する! 右の伏せカードだ!」

 

 光波刃竜の翼から小さな刃が降り注ぎ、伏せカードが破壊される。

 

「ほぼ更地!?」

 

 これで、日向のフィールドには伏せカードが一枚のみ。ドラゴン達の力により、焼け野原となった。

 

「バトル! レダメでダイレクトアタック!」

 

「墓地の幻影騎士団シャドー・ベイルの効果発動! このカードをモンスターとして特殊召喚!」

 

幻影騎士団シャドー・ベイル ☆4 守備力300

 

「ならその亡霊を攻撃だ!」

 

「まぁ待てって。もう少し選択肢をあげよう」

 

 おどけた調子でウインクと共に言う日向。

 

「リバースカード、マジカル・シルクハット! デッキの魔法・罠二枚をモンスターとしてセット!」

 

 どこからかシルクハットが現れ、亡霊を隠し、シャッフルされる。

 

「・・・・・・攻撃中止だ」

 

「おろ? いいの?」

 

「どうせアーティファクトの神智とか伏せてあるだろ! 読めてんだよ!」

 

(あらら、バレてる)

 

 遊羽に策を見透かされ、面白くなさそうな顔をする日向。

 バトルフェイズが終了し、シルクハットが消える。

 

「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「エンドフェイズ、墓地に送られたヒステリック・サインの効果発動! デッキからハーピィカード三種を手札に加える。羽根箒、ハーピスト、チャネラーの三枚!」

 

 一気に日向の手札が増える。

 

如月遊羽

LP6300 手札3

場 エクストラ:銀河眼の光波刃竜 メイン:レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン 伏せカード:一枚

 

「おれのターン! まずは、ハーピィの羽根箒発動! そして、ハーピィ・チャネラーを召喚!」

 

ハーピィ・チャネラー ☆4 攻撃力1400

 

「チャネラーの効果! 手札のハーピストをコストに、デッキからハーピィズペット竜を特殊召喚! チャネラーは場にドラゴン族がいればレベル7になる」

 

ハーピィズペット竜 ☆7 守備力2500→2800

 

ハーピィ・チャネラー ☆4→7

 

「おれはレベル7モンスター二体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! No.11 ビッグ・アイ!」

 

No.11 ビッグ・アイ ★7 守備力2000

 

 巨大なとんがり目玉。これでも魔法使い族。

 

「ビッグ・アイの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使い、光波刃竜のコントロールを得る!」

 

「あ゛」

 

 とんがり目玉の怪しい光! 光波刃竜は混乱した!

 

「それでは早速。光波刃竜の効果! レダメには退場願おうか!」

 

 混乱した光波刃竜が光の刃でレダメを切り裂く。これで遊羽のフィールドは完全に焼け野原だ。

 

「ビッグ・アイをコストに、モンスターゲート発動! デッキからモンスターが出るまでカードを墓地に送り、モンスターが出たら特殊召喚する!」

 

 一枚、二枚、三枚、・・・・・・・・・・・・。

 

E・HERO シャドー・ミスト ☆4 守備力1500

 

「シャドー・ミストの効果! デッキからマスク・チェンジ・セカンドを手札に加える。そしてそのまま発動! 変身召喚! M・HERO ダーク・ロウ!」

 

M・HERO ダーク・ロウ ☆6 攻撃力2400

 

 日向のデッキにHEROはシャドー・ミストのみ。そのため、サーチ効果は発動しない。まあ、シャドー・ミストのサーチは一ターンに片方しか使えないので関係ないが。

 

「バトル! ダーク・ロウでダイレクトアタック!」

 

如月遊羽

LP6300→3900

 

「光波刃竜も続け!」

 

如月遊羽

LP3900→700

 

(やべぇ、結構ライフ持っていかれた・・・・・・)

 

 残りライフ700。その事実に、内心焦る遊羽。

 

「カードを二枚伏せて、エンドフェイズにハーピストの効果でチャネラーを手札に加える。ターン終了!」

 

水瀬日向

LP8000 手札3

場 エクストラ:M・HERO ダーク・ロウ メイン:銀河眼の光波刃竜 伏せモンスター:一枚 伏せカード:三枚

 

「俺のターン!」

 

 これで遊羽の手札は四枚。果たして、その中に逆転の可能性はあるのか。

 

「復活の福音を発動! 墓地のオルタを蘇生!」

 

青眼の亜白龍 ☆8 攻撃力3000

 

「オルタの効果発動! ダークロウを破壊だ!」

 

 復活の福音は除外されてしまったが、手札一枚でダークロウを除去した遊羽。デッキに、というよりはドラゴンに愛されているのだろう。

 

「貪欲な壺を発動! 墓地の青眼の白龍、フルアーマー、カオス・MAX、光波竜、レヴィオニアをデッキに戻し、カードを二枚ドロー!」

 

 手札が増えたが、遊羽の狙いはそこではない。

 

「星間竜パーセクは、場にレベル8がいればリリースなしで召喚できる! 来い、パーセク!」

 

星間竜パーセク ☆8 攻撃力800

 

「レベル8二体でオーバーレイ! 来い、光波竜! 続けてフルアーマー!」

 

銀河眼の光波竜 ★8 攻撃力3000

 

ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ★8 攻撃力4000

 

「フルアーマーの効果! 光波刃竜を破壊!」

 

 ギャラクシーアイズによって破壊される銀河眼。仲間割れなのか、漢字とカタカナの争いなのかはわからない。

 

「バトル! フルアーマーで攻撃!」

 

「リバースカード、マジカルシルクハット! シャドー・ベイルをデッキの魔法・罠と共にセット!」

 

 またもシルクハットに包まれるシャドー・ベイル。これで日向のモンスターは三体となる。

 

「更にライバル・アライバル発動! バトルフェイズに召喚を行う!」

 

「何ッ!?」

 

 よく見知ったカードの登場に驚く遊羽。

 

「モンスター三体をリリース! アドバンス召喚! 来い、邪神イレイザー!」

 

邪神イレイザー ☆10 攻撃力?

 

「邪神のカードだと!」

 

 現れたのは、邪神。神のカードと対となる存在。

 邪神のカードを始めとする伝説のカードは、オリジナルのカードが世界に一枚ずつ、レプリカが世界に十数枚、というとんでもなく希少なカードだ。三幻神のカードはオリジナルがまだ存在しているかすらわからないほど。

 オリジナルのカードには魔法・罠がほとんど効かないという噂もある。

 

「イレイザーの効果! このカードの攻撃力は、相手の場のカード×1000ポイントとなる!」

 

邪神イレイザー 攻撃力?→2000

 

「それじゃ足りねぇぜ! フルアーマー! 邪神を粉砕しろ!」

 

 フルアーマーのブレスにより、邪神竜が崩れ落ちる。

 

水瀬日向

LP8000→6000

 

「イレイザーの効果! このカードが破壊された時、フィールドのカード全てを破壊する! リバース・エンド!」

 

(マズい! 復活の福音は除外されたから、防ぐ手段がねぇ!)

 

 崩れ落ちたイレイザーから闇が解き放たれ、フィールドを包み込む。

 闇が晴れた時には、何も存在していなかった。

 

「・・・・・・ターンエンド」

 

如月遊羽

LP700 手札3

場 なし

 

「おれのターン、ドロー!」

 

 日向の手札は三枚。どれもこの状況では使えない、腐ったカードばかりだ。

 

「ハーピィ・チャネラーを通常召喚!」

 

ハーピィ・チャネラー ☆4 攻撃力1400

 

 手札の中で唯一腐っていなかったカードを使い、日向はトドメを刺しにかかる。

 

「バトル! チャネラーでダイレクトアタック!」

 

「手札からクリボーを捨てて、ダメージを0にするぜ!」

 

「なっ!?」

 

 遊羽の使ったカードに、日向は二重の意味で驚く。

 彼が手札誘発を使ったことと、ドラゴン以外を使ったことの二つだ。

 

「ドラゴン以外入ってないんじゃなかったのか?」

 

「悪い、コイツは別だ。御守りみたいなものだな」

 

 嫁(確定だが結婚はまだ)のカードで九死に一生を得た遊羽。

 

「なら、カードを一枚伏せて、ターン終了」

 

水瀬日向

LP6000 手札1

場 メイン:ハーピィ・チャネラー 伏せカード:一枚

 

(ブラフのライバル・アライバルだけど、ないよりマシだ)

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードを確認し、口元を緩める遊羽。

 

「引いたのは復活の福音! 来い、フェルグラント!」

 

巨神竜フェルグラント ☆8 攻撃力2800

 

「フェルグラントの効果! お前の邪神を除外! 攻撃力がアップするぜ!」

 

巨神竜フェルグラント 攻撃力2800→3800

 

 しかし、トドメには一歩足りない。

 

「竜の霊廟発動! デッキのドラグニティアームズ-レヴァテインを墓地へ! バトル! 巨神竜フェルグラントで攻撃!」

 

「・・・・・・何もないな」

 

水瀬日向

LP6000→3600

 

「フェルグラントが戦闘でモンスターを破壊した時、ドラゴンを蘇生するぜ! 来い、ドラグニティアームズ-レヴァテイン!」

 

ドラグニティアームズ-レヴァテイン ☆8 攻撃力2600

 

 中身が空っぽだが、それでも彼の相棒はこの竜だ。

 

「ドラグニティアームズ-レヴァテインの効果! 墓地のドラグニティ-ブランディストックを装備!」

 

 彼の十八番。二回攻撃。

 

「トドメだ! ドラグニティアームズ-レヴァテインで二回攻撃!」

 

(幻影騎士団で抵抗してもいいけど・・・・・・)

 

 日向はデッキを見やる。

 そこには、カードが一枚しかなかった。

 

(これ、ハーピィズペット竜なんだよなぁ)

 

「・・・・・・ライフで受ける」

 

水瀬日向

LP3600→→1000→0

 

ーーーーーーーーーー

 

「危ねぇ、ギリギリ勝てた・・・・・・」

 

「あーあ。邪神まで使ったっていうのに、このザマかぁ」

 

 デュエルが終わり、二人の口から異なる種類の溜め息が出る。

 

「お疲れ様ッス。いいデュエルだったッスよ」

 

 二人に労いの言葉をかける響。

 

「それにしても、後輩に本気出すとか大人気ねぇな」

 

「いや、そうじゃないとお前が後で文句言うだろ? 本気の相手に勝たないと意味がない、とかさ」

 

 それもそうか、と納得する遊羽。

 

「それじゃ。もう遅いし解散、ってことで」

 

「さよならッス」

 

「おう、またな」

 

 そのまま帰ろうと校門まで歩き、レヴのことを思い出して一度図書館に戻ってから再度校門を出た遊羽だった。

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