遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

37 / 93
筆が進んだので早速投稿。

今回、胸糞注意です。


裏話

「クソ・・・・・・クソクソクソ! 何でボクがこんな目に・・・・・・」

 

 ゾンビマスターは逃げていた。デュエルの決着がつく瞬間、倉庫の地下通路に逃げ込んだのだ。

 

『だがこれが最善手だ。セキュリティに包囲されていては、彼らをアンデットにしたところで逃げられるかどうかわからなかったのだからな』

 

 彼らは遊羽にわざと負け、一時撤退をすることを選んだ。

 トドメのタイミングで《リターン・オブ・アンデット》を使えば、デュエルを続けることはできたが、それでは逃亡のための体力が保たないとドーハスーラが判断した。

 

「クソ! 絶対、ゼッタイに許さない! 必ずアンデットにして、一生こき使ってやる!」

 

 天を睨み、固く誓うゾンビマスター。

 

「ネクロナイズは完了してるんだ。ボクのお嫁さんも、いつでも回収できる」

 

 そう言って、《アンデット・ネクロナイズ》のカードを確認する。

 

 彼らの《アンデット・ネクロナイズ》は、精霊としての力により死人をアンデットとして思うがままにできる。やろうと思えば、今すぐ《屍界のバンシー》となった虹花を操ることが可能なのだ。

 

 だが。世の中は、そう上手くいかないのが常だ。

 

「おーおーおっかないこと言うねぇ。なら、尚更見逃すわけにはいかなくなったな」

 

「そうッスね。可愛い後輩を殺された上、操られたとあっては先輩としての顔がないッス」

 

 彼らの行く手を阻む、二つの影。

 

「《満足アンカー》(提供:ワンキル・ソリティア研究会)射出!」

 

 その声と共に、ゾンビマスターのディスクにアンカーが巻きつく。

 

「ここを通り抜けたければ、このおれ水瀬日向を倒してからにしな! ・・・・・・くぅ! 一回言ってみたかったんだよこのセリフ!」

 

「兄さん、今の発言で色々台無しッス」

 

 影の正体は、遊羽達の先輩、水瀬兄妹だ。

 

(おれがあの時、デュエルに誘ってなければ、こんなことは起きなかったかもしれない。ただのタラレバだけど、それでもおれの気が済まないッ!)

 

 日向達も、彼らなりに責任を感じていたのだ。そのため、遊羽達には知らせず、ゾンビマスター達を完全に葬るつもりだった。

 

(だが、もしここでおれが負ければ・・・・・・)

 

 恐らく、彼らの言葉通りにアンデットにされるだろう。だが、それでも。

 

「響。もしおれが負けたら」

 

「デッキなら拾うッスよ。安心してデュエルするッス、兄さん」

 

「そうしてくれ」

 

 せめて、デッキと妹だけは守る。人として、デュエリストとしての最低限のラインだ。

 

「ただ、それは保険ッス。本当に負けたら、承知しないッスよ」

 

 響の言葉を背に、日向は腰のポーチからデッキを取り出し、ディスクにセット。そのデッキは、明らかに分厚い。

 

「クソ! 上等だ、まずはキミからアンデットにしてやるよ!」

 

「「デュエル!」」

 

水瀬日向

LP8000

 

ゾンビマスター

LP8000

 

「おれのターンだ。モンスターとカードをセット。これでターンエンド」

 

水瀬日向

LP8000 手札3

場 メイン:伏せモンスター 魔法・罠:伏せカード

 

「ハッ! 威勢の割にはそれだけか! ボクのターン、ドロー!」

 

『分厚いデッキ故の事故か? 哀れなものだな』

 

 好き勝手に日向を馬鹿にするアンデット共。

 しかし、日向は無表情だ。

 

「チッ! ボクは闇竜の黒騎士を召喚!」

 

闇竜の黒騎士 ☆4 攻撃力1900

 

 現れたのは、白竜の聖騎士によく似たモンスター。ステータスも同じことから、恐らく狩った精霊をアンデット化したのだろう。

 

「バトル! やれ、闇竜の黒騎士!」

 

 自身を殺した主の命を受け、屍は攻撃を行う。

 

「伏せモンスターは、翻弄するエルフの戦士だ」

 

翻弄するエルフの剣士 ☆4 守備力1200

 

 翻弄する、という名前とは裏腹に、がっちりと攻撃を受け止めるエルフの剣士。

 

「(クソ! さっきのデュエルでデッキのカードをいくつか失った!)・・・・・・ボクはカードを一枚伏せてターンエンド」

 

「まぁ待てよ。バトルフェイズ終了前に、マジカル・シルクハットを発動! デッキから二枚の魔法・罠をモンスターとして伏せる。そして、バトルフェイズ終了時に破壊される」

 

 登場三秒で消えるシルクハット。彼の代名詞とも言えるカードだ。

 

「破壊されたZ-ONEの効果発動だ! 墓地から冥界の宝札を手札に加える」

 

「クソ! ボクのターンだぞ! 改めて、ターンエンドだ!」

 

ゾンビマスター

LP8000 手札4

場 メイン:闇竜の黒騎士 魔法・罠:伏せカード

 

「おれのターン、カードドロー」

 

 これで彼の手札は初期値と同じ五枚。トリッキーなカードを使う割には堅実なプレイングだ。

 だが、それもここまで。

 

「冥界の宝札を発動! これでおれはモンスターを二体以上リリースアドバンス召喚するたび、カードを二枚ドローできる!」

 

「何かと思えば、時代遅れなアドバンス召喚か! 大したことないな、キミ!」

 

 ゾンビマスターから無邪気な悪意を受けながら、日向はカードをディスクに置いていく。

 

「ジェスター・コンフィは特殊召喚できる。特殊召喚!」

 

ジェスター・コンフィ ☆1 攻撃力0

 

「おれは二体のモンスターをリリース! アドバンス召喚! 来い、EM スカイ・マジシャン!」

 

EM スカイ・マジシャン ☆7 攻撃力2500

 

 ステータスが主人公の相棒なマジシャン。実際は主人公の父親のエースだ。

 

「冥界の宝札の効果で二枚ドロー! よし、ドラゴノイド・ジェネレーターを発動!」

 

水瀬日向

LP8000→7000

 

「スカイ・マジシャンの効果発動! 1ターンに一度、魔法カードを発動すれば攻撃力が300上がる! Sky・Hi!」

 

EM スカイ・マジシャン 攻撃力2500→2800

 

「ドラゴノイド・ジェネレーターの効果! 1ターンに二度まで、おれの場にドラゴノイド・トークンを特殊召喚する! エンドフェイズに、相手の場に同じ数だけドラゴノイド・トークンを特殊召喚されるが、問題ない! 来い、トークン達!」

 

ドラゴノイド・トークン ☆1 攻撃力300

 

 竜をあしらった置物が二つ、《ドラゴノイド・ジェネレーター》から飛び出す。

 

「更に、二重召喚を発動! おれはもう一度通常召喚を行える! ドラゴノイド・トークン二体をリリースし、アドバンス召喚! 来い、クラッキング・ドラゴン!」

 

クラッキング・ドラゴン ☆8 攻撃力3000

 

 ヒャッハノイやリボルバーやバイト愛用のドラゴン。ただし機械族。

 

「バトル! クラッキング・ドラゴンで闇竜の黒騎士を攻撃! クラックアップ・フィニッシュ!」

 

 ワニを連想するような攻撃名から、クラッキング・ドラゴンがブレスを放つ。

 

「ぐわぁっ! クソ!」

 

ゾンビマスター

LP8000→6900

 

「続けて、スカイ・マジシャンで攻撃! スカイスクレイパー・シュート!」

 

 HEROを使っていたためか、摩天楼を幻視するような攻撃名。

 それに従い、スカイ・マジシャンがスカイダイビング。

 

「どわっ!」

 

ゾンビマスター

LP6900→4100

 

「おれはカードを一枚セット。エンドフェイズ、おまえにドラゴノイド・トークンをプレゼントだ」

 

ドラゴノイド・トークン ☆1 攻撃力300

 

「クラッキング・ドラゴンの効果発動! 相手がモンスターを召喚、特殊召喚したとき、そのレベル×200、攻撃力を下げて、その分のダメージを相手に与える!」

 

ドラゴノイド・トークン 攻撃力300→100

 

ゾンビマスター

LP4100→3900→3700

 

「クソ、こんなヤツらいらないっていうのに!」

 

「おれはこれでターンエンド」

 

水瀬日向

LP7000 手札3

場 メイン:クラッキング・ドラゴン EM スカイ・マジシャン 魔法・罠:冥界の宝札 ドラゴノイド・ジェネレーター 伏せカード

 

『これだけのモンスターを召喚しながら、手札を三枚残すだと・・・・・・』

 

 驚愕と感嘆の入り混じった声を出すドーハスーラ。敵ながらも、やはり精霊としてはプレイングが気になるらしい。

 

「ボクのターン、ドロー! 牛頭鬼を召喚!」

 

「クラッキング・ドラゴンの効果発動だ」

 

牛頭鬼 ☆4 攻撃力1700→900

 

ゾンビマスター

LP3700→2900

 

「クソ、アンデットワールドを発動! ここは、ボクらの楽園となる!」

 

 辺りに腐った肉の匂いが立ち込め、屍の世界だ出来上がる。

 

「牛頭鬼の効果発動! デッキから、グローアップ・ブルームを墓地に送る! そして効果発動! 墓地から除外して、デッキからボクらの王サマ、死霊王 ドーハスーラを特殊召喚!」

 

「させるか! リバースカード、虚無空間! お互いにモンスターを特殊召喚できない!」

 

 便利な汎用カードの一枚。だが、この状況には強く刺さる。

 

『おのれぇ・・・・・・!』

 

「クソ、クソ、クソ! ボクはドラゴノイド・トークン二体を守備表示に変更! ターンエンドだ!」

 

ゾンビマスター

LP2900 手札3

場 メイン:牛頭鬼 ドラゴノイド・トークン ドラゴノイド・トークン フィールド:アンデットワールド

 

 もはや涙目になっている少年。日向は子供を泣かせたことに若干の罪悪感を覚えるが、後輩を殺した相手だと思い出し、それもなくなる。

 

「おれのターン、ドロー。帝王の烈旋を発動! これで、おれはアドバンス召喚するとき、おまえのモンスター一体をリリースできる! 更に、虚無空間も解除される! 更に更に、スカイ・マジシャンの攻撃力も上がる!」

 

EM スカイ・マジシャン 攻撃力2800→3100

 

 虚無空間のデメリットは、自分のフィールドかデッキのカードが墓地に送られること。当然、魔法カードは使った後に墓地へ行く。

 

「ドラゴノイド・ジェネレーターの効果発動! 来い、ドラゴノイド・トークン!」

 

ドラゴノイド・トークン ☆1 攻撃力300

 

 再びカードから置物が二つ飛び出す。よく考えれば、この置物で27回顔面を殴ればデュエルに勝てる。ナニソレ怖い。

 

「魔法カード、サイクロン! アンデットワールドを破壊だ!」

 

 アンデットワールドの隠れた効果、アンデット以外アドバンス召喚できない制約を解除するためだ。

 

「ドラゴノイド・トークン二体と、おまえのドラゴノイド・トークンをリリース! 来い、邪神アバター!」

 

邪神アバター ☆10 攻撃力?

 

『な、邪神のカードだと!? このような子供が何故!?』

 

 驚愕するドーハスーラ。先程特殊召喚を妨害されたことが吹っ飛ぶ程の驚きようだ。

 

 邪神アバター。彼が従える三体目の邪神にして、最強の邪神。オリジナルの力は、オリジナルのラーの翼神竜に匹敵する。

 

「まずは冥界の宝札の効果で二枚ドロー! そしてアバターの効果! このカードの攻撃力と守備力は、フィールドの一番高い攻撃力を100上回った数値となる!」

 

邪神アバター 攻撃力?→3200

 

「クソ! 何だよソレ! 邪神のカードとか聞いてない! 無効だ無効! そんなの無効だ!」

 

 子供のように泣き喚くゾンビマスター。実際に身体は子供だが、それでも相手の心を苛立たせる。

 

「バトルだ。クラッキング・ドラゴンで牛頭鬼を攻撃! クラックアップ・フィニッシュ!」

 

 クラッキング・ドラゴンが牛頭鬼に噛みつき、噛み砕き、吐き捨てる。機械の舌にもアンデットは不味いらしい。

 その吐き捨てた牛頭鬼だったものが、少年に直撃する。

 

「うわぁぁぁあっ!」

 

ゾンビマスター

LP2900→1600

 

「スカイ・マジシャンでドラゴノイド・トークンを攻撃!」

 

 軽く置物を壊す魔術師。フラフープを回しながらで余裕そうだ。

 

「終わりだ。邪神アバターでダイレクトアタック!」

 

 主の命を受け、ゆっくりと少年に近づく邪神アバター。

 

「う、うわぁぁぁあっ! く、来るな、来るなぁっ!」

 

 蠢きながら、近づく暗黒の太陽には、どんなモンスターであれど、本能的な恐怖を覚える。

 

「ーーーー! ーーーっ!」

 

 もはや声にならない叫びを上げ、邪神から逃げようとする少年。だが、走り出したところで腕が引っ張られ、その場で転倒する。

 

「っ!?」

 

 日向が最初に放った《満足アンカー》だった。それにより、逃げることは許されない。

 それでも尚もがき、地面を這う。

 

「ーーーーぁ」

 

 抵抗も虚しく、彼は邪神にあっさりと飲み込まれた。

 

『・・・・・・』

 

 それを見ていた死霊王。しかし、彼は逃げることもしない。

 

 

 

 理解してしまったのだ。『王』では『神』には勝てない、と。

 

 

 

 数秒後、蛇は少年と同じ末路を辿った。




日向はシルクハットを使うデッキを三つ持っています。それぞれに邪神が一体(柱?)。
今回のは芝刈りもない60枚デッキ。彼が使いたい高レベルモンスターを全部つぎ込みました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。