遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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執事vs手品師

 というわけで、イベント当日。

 

 会場となったデュエルスタジアムは、かなりの熱気に包まれていた。

 

「で、だ。何でお前らがいるんだよ」

 

 戦、遊羽、虹花、その後ろに春樹、響とならんだ席。日向は今日は用事があるらしく、欠席している。

 遊羽の前には、よく見知ったボサボサの黒髪の頭があった。その隣には、黒髪を短くポニーテールにした頭がある。

 龍塚兄妹、息吹と手鞠だ。

 

「いや~偶然だね遊羽♪ 席まで近いだなんて」

 

「本当に凄いのです! どんな確率なのです?」

 

 一方は白々しく、一方は純粋に。

 

「・・・・・・おい春樹。どういうことだ?」

 

「こんな奴だが、一応上司だ。逆らうことはオレのポリシーに反する」

 

 生真面目な春樹だが、若干笑いをかみ殺しているのが見て取れる。

 

「まぁまぁ落ち着いて。もう始まるよー」

 

 外見は男子、中身は今時のJKな遥がその場をとりなす。

 

「・・・・・・後で覚えておけよ」

 

 とりあえずは放置し、スタジアムに目を向ける。

 

 ちょうど、二人が入場したところだった。

 

「はじめまして、『執事』凪風磨。おれは『手品師』だ」

 

「ええ、はじめまして。かの覆面デュエリストと戦えて、私も嬉しいです」

 

 『手品師』はマントとシルクハットと仮面を身に付け、『執事』はその名の通り執事服にモノクル。

 

「長話もなんですし、デュエルとしましょうか」

 

「そうだな。デュエリストはデュエルで語るものだ」

 

 お互いにディスクを構え、火花を散らす。

 

「「デュエル!」」

 

手品師

LP8000

 

凪風磨

LP8000

 

「ではでは、おれのターン! モンスターを一枚伏せ、カードを一枚セット! これでターンエンド」

 

手品師

LP8000 手札3

場 メイン:伏せモンスター 魔法・罠:伏せカード

 

「私のターン、ドロー。カードを二枚伏せ、カードカー・Dを召喚しましょう」

 

カードカー・D ☆2 攻撃力800

 

「効果を発動し、カードを二枚ドロー。エンドフェイズとなり、ターン終了ですね」

 

凪風磨

LP8000 手札5

場 魔法・罠:伏せカード×2

 

「おれのターン、ドロー! 反転召喚、スケープ・ゴースト!」

 

スケープ・ゴースト ☆1 攻撃力0

 

 アンデット化した準制限。

 

「リバース効果発動! おれの場に好きな数だけ黒羊トークンを特殊召喚! おれは四体呼ぶぜ!」

 

黒羊トークン ☆1 守備力0

 

「冥界の宝札を発動! おれは二体以上リリースしてアドバンス召喚するたび、二枚ドローできる! 黒羊トークンを二体リリースし、クラッキング・ドラゴンをアドバンス召喚!」

 

クラッキング・ドラゴン ☆8 攻撃力3000

 

「冥界の宝札の効果で二枚ドロー! よし、二重召喚を発動! おれはこのターン二回通常召喚できる!」

 

 どこかで見たことのあるプレイング。遊羽と虹花は後ろの席の響を見つめる。

 

「・・・・・・ア、アハハ。どうしたんスか、二人とも? デュエルを見なくていいんスか?」

 

 目を逸らす響。

 

「おれは黒羊トークンとスケープ・ゴーストをリリース! 来い、バスター・ブレイダー!」

 

バスター・ブレイダー ☆7 攻撃力2600

 

 二連続の大型モンスターの登場に、会場が湧く。

 

 そして、遊羽達が響を見つめる目が鋭くなる。冷や汗を流す響。

 

「冥界の宝札の効果で二枚ドロー! バトルだ! バスター・ブレイダーでダイレクトアタック!」

 

「手札から速攻のかかしを墓地に送り、バトルフェイズを強制終了しましょう」

 

 かかしがぶつかり、竜破壊の剣士の斬撃は防がれた。

 

「カードを二枚伏せて、ターンエンドだ」

 

手品師

LP8000 手札3

場 メイン:クラッキング・ドラゴン バスター・ブレイダー 黒羊トークン 魔法・罠:冥界の宝札 伏せカード×3

 

 じーっと見つめられ続けた響は、堪えきれなくなったように叫んだ。

 

「あーもう! そうッスよ! あれはウチの兄貴ッスよ! 何か文句あるッスか!?」

 

「いや、文句はねぇよ。言いにくかったんだろうし」

 

「はい。ですが、冷や汗をかいて焦っているのを見てると、とても面白くて、つい・・・・・・」

 

 そう、プロデュエリスト『手品師』は、響の兄、水瀬日向だったのだ!

 

「まぁ、これで何で先輩が邪神とか伝説の騎士なんてレアカードを持ってるのかはわかった。元々、普通の高校生じゃあんなにカードは買えないと思っていたさ。まさかプロとはな・・・・・・」

 

「ちなみに、オレは知ってました♪」

 

 前でドヤ顔をする息吹。遊羽は無性に蹴りたくなった。もう足は上げている。

 

「ほ、ほら! 次は凪プロのターンだ! デュエルを見よう、デュエルを!」

 

 必死に話を逸らす息吹。

 

 尚、この会話は周囲の熱狂で他のお客さんには聞こえていない。

 

「私のターンですね。ドロー。まずはフィールド魔法、ディフェンスゾーンを発動します」

 

 スタジアムが別の競技のための物に変わる。

 

「神獣王バルバロスを妥協召喚します」

 

神獣王バルバロス ☆8 攻撃力3000→1900

 

「クラッキング・ドラゴンの効果で、攻撃力とライフは頂く!」

 

神獣王バルバロス 攻撃力1900→300

 

凪風磨

LP8000→6400

 

「では、バトルと行きましょうか。バルバロスでバスター・ブレイダーを攻撃しましょう」

 

「攻撃力の低いモンスターで攻撃? 何かあるのか」

 

「勿論です。速攻魔法、禁じられた聖典。ダメージステップの間、モンスターの効果を無効にし、元々の攻撃力でダメージ計算を行います」

 

神獣王バルバロス 攻撃力300→3000

 

 一気に十倍の攻撃力に跳ね上がった攻撃力。その勢いのまま、バルバロスの槍が剣士を貫く。

 

手品師

LP8000→7600

 

「この効果の適用後、バルバロスの攻撃力は3000のままとなります」

 

 クラッキング・ドラゴンの効果も、自身の効果も、一度無効になれば解除される。効果の上書きを利用したプレイングだ。

 

「私はカードを一枚伏せ、ターン終了です」

 

凪風磨

LP6400 手札2

場 メイン:神獣王バルバロス 魔法・罠:伏せカード×3 フィールド:ディフェンスゾーン

 

「痛ててて・・・・・・おれのターン、ドロー」

 

 まだ高校生の日向と凪では年期が違う。それでも、確実に負ける訳ではない。

 

「N・グラン・モールを召喚!」

 

N・グラン・モール ☆3 攻撃力900

 

 そのモンスターの登場に、会場の一部の人が失神する。それを尻目に、遊羽が呟く。

 

「おー、懐かしいな。鬼畜モグラ。まだデッキに入ってたのか」

 

 日向のHEROデッキによく入っていたモグラ。シンクロモンスターをバウンスされたのは思い出だ。

 

「バトル! 行け、グラン・モール!」

 

「リバースカード、スキルドレイン! モンスターの効果を全て無効にします」

 

凪風磨

LP6400→5400

 

 以前から使っている風磨のカード。バルバロスの後ろにあるため、破壊するにはバルバロスを倒してからではないといけないという鬼畜ぶりだ。

 

 効果が無効となり、あっけなくバルバロスに蹴られるグラン・モール。

 

手品師

LP7600→5500

 

「くっ、どうするかなぁ・・・・・・」

 

 ここで、彼は一つの選択を迫られる。クラッキング・ドラゴンで攻撃するかどうかだ。

 

 攻撃すればバルバロスを破壊できるが、クラッキング・ドラゴンも破壊されてしまう。

 攻撃しなければ、バルバロスを野放しにしてしまう。

 

「・・・・・・おれはこれでターンエンドだ」

 

 彼は、攻撃しないことを選んだ。

 

手品師

LP5500 手札3

場 メイン:クラッキング・ドラゴン 魔法・罠:冥界の宝札 伏せカード×3

 

「私のターン、ドロー」

 

 いいカードを引いたのか、モノクルがキラリと光る。

 

「アドバンスドローを発動し、デッキから二枚ドローします」

 

「? 何のつもりだ」

 

 切り札を手札に変える。一見、可笑しなプレイングだが、次のカードでその意見は変わる。

 

「墓地のカードカー・Dとバルバロスを除外し、獣神機王バルバロスUrを特殊召喚します!」

 

獣神機王バルバロスUr ☆8 攻撃力3800

 

 バルバロスの進化形態。特殊召喚のコストに、獣戦士族と機械族を除外する。フィールドからもコストにできるため、バルバロスをそのまま除外しても特殊召喚できた。だが、アドバンスドローによって手札に変換し、アドバンテージを取ったのだ。

 

「ここでクラッキング・ドラゴン以上の攻撃力・・・・・・ハハ、キッツいなぁ」

 

 本来は相手を傷付けることもできないモンスターだが、スキルドレインによってそれも無効となっている。

 

「更に、可変機獣 ガンナー・ドラゴンを妥協召喚します。スキルドレインにより、攻撃力は元のままですが」

 

可変機獣 ガンナー・ドラゴン ☆7 攻撃力2700

 

「なら、リバースカード、帝王の連撃を発動しておく」

 

「構いません。バルバロスUrでクラッキング・ドラゴンを攻撃します!」

 

「帝王の連撃の効果発動! 相手メインフェイズかバトルフェイズに、アドバンス召喚を行う!」

 

 日向のフィールドには、クラッキング・ドラゴンと黒羊トークンの二体。上級モンスターを出す準備はできている。

 

「なるほど。それで、その二体をリリースしてどんなモンスターを出すつもりですか?」

 

「いや、おれがリリースするのはなんたのモンスターだ! チェーンして速攻魔法、帝王の烈旋! おれがアドバンス召喚するとき、相手モンスター一体もリリースできる!」

 

「私のモンスターを!?」

 

 本日初めて驚いた声を出す風磨。

 

「おれはバルバロスUrと黒羊トークンをリリース! 来い、V・HERO ウィッチ・レイド!」

 

V・HERO ウィッチ・レイド ☆8 攻撃力2700

 

「まずは冥界の宝札の効果で二枚ドロー! チェーンしてリバースカード、サイクロン! スキルドレインを破壊!」

 

 緑色のメモリがカードから飛び出し、スキドレを破壊する。

 

「・・・・・・ほう。バルバロスUrをリリースすることで、私のディフェンスゾーンをかいくぐるとは。いいプレイングですね」

 

 スキルドレインが発動していたのは、バルバロスの後ろ。ならば、そのモンスターをコストにすれば、ディフェンスゾーン効果の圏外となる。

 

「まだだ! スキルドレインが破壊されたことで、ウィッチ・レイドの効果が復活する! やれ、レイドバスター!」

 

 ウォッチ・レイドが杖を振るうと、風磨の魔法・罠ゾーンが一枚を残して全て消える。

 

「素晴らしい。こんな方法は初めてです。私はターンを終了しましょう」

 

凪風磨

LP5400 手札2

場 メイン:可変機獣 ガンナー・ドラゴン 魔法・罠:伏せカード

 

 風磨の伏せカードは一枚。ガンナー・ドラゴンの後ろにあったために、ウォッチ・レイドの効果から逃れたカードだ。

 

 風磨の伏せカードは二枚。

 

 日向の手札は四枚。スキルドレインを破壊したが、まだ気は抜けない。

 

「おれのターン、ドロー」

 

 引いたカードは《相乗り》。六十枚デッキを回すためのカードだが、風磨のデッキとは相性が悪い。

 

「バトルだ。クラッキング・ドラゴンでガンナー・ドラゴンを攻撃! クラックアップ・フィニッシュ!」

 

 ワニを連想する技名と共に、クラッキング・ドラゴンが共食いをする。

 

凪風磨

LP5400→5100

 

「次だ! ウィッチ・レイドでダイレクトアタック!」

 

「リバースカード、ガード・ブロック! 戦闘ダメージを0にし、カードを一枚ドローします」

 

「なら、おれはモンスターを伏せて、ターンエンド」

 

手品師

LP5500 手札2

場 メイン:クラッキング・ドラゴン V・HERO ウィッチ・レイド 魔法・罠:冥界の宝札 連撃の帝王

 

 拮抗したまま、減らないライフ。観客達は静まり返り、デュエルを見つめる。遊羽達も例外ではなく、誰も、一言も発さない。

 

「私のターン、ドローします」

 

 盤面だけを見れば、日向の有利。風磨のフィールドは更地だ。

 先ほどのガード・ブロックによって、風磨の手札は四枚となったが、日向も同じ枚数ある。

 

 それでも、何故か焦燥感を感じる。日向の仮面の下で、汗が一筋垂れる。

 

「再びフィールド魔法、ディフェンスゾーンを発動します」

 

「? 今発動しても、意味はないはず・・・・・・」

 

 更地のフィールドでは、守るべきカードはない。

 しかし、フィールドがなければならないモンスターにとっては、意味のある行動だ。

 

 

「エクストラデッキのサイバー・エンド・ドラゴンを除外し、Sinサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!」

 

Sin サイバー・エンド・ドラゴン ☆10 攻撃力4000

 

 罪にまみれたサイバー・エンド。その登場に、会場がざわめく。

 

 凪風磨と言えば、エクストラデッキを使わないデュエリスト。そんな共通認識が、観客達の中にはあったのだ。

 しかし、それをいい意味で裏切るプレイング。デッキのシナジーも合っている。

 

「魔法カード、愚鈍の斧を装備します。これにより、効果は無効。攻撃力が1000アップします」

 

Sinサイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力4000→5000

 

 攻撃力、5000。日向がその攻撃力を超えるには、邪神しかない。

 

(次のターンで引かなきゃ、負ける・・・・・・!)

 

 覚悟を決め、バトルフェイズに備えようとした日向。

 

 だが、それも無意味に終わる。

 

「速攻魔法、リミッター解除。機械族モンスターの攻撃力を倍にします」

 

Sinサイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力5000→10000

 

 身体が紅く輝き、出力が三倍になりそうなサイバー・エンド。つまりトランザム。実際には二倍だが、それでも、日向を倒すには十分だ。

 

「バトルフェイズ。これで終わりにしましょう。Sinサイバー・エンド・ドラゴンで攻撃! エンド・オブ・シンズ!」

 

 サイバー・エンドの三つの首からブレスが放たれ、クラッキング・ドラゴンを破壊した。

 

手品師

LP5500→0

 

 静まったままの会場。決着から一泊置いて、割れたように歓声と拍手に包まれる。

 

「いやー、負けた負けた。完敗だ。全部手の平の上だったんだろ?」

 

 負けたばかりにも関わらず、飄々としたようすの日向。風磨に近づき、握手を求める。

 

「いえ、そんなことはありません。私も、奥の手を使わされてしまいました」

 

 風磨は、決して手を抜いたわけではない。プロデュエリストという仕事柄、あまり自分の手の内を見せられないのだ。

 

「逆に、貴方はまだ切り札を温存していましたね。それが、少し残念です」

 

 それは、日向も同じこと。

 

「・・・・・・バレてたのか」

 

 お互いに握手を交わし、更に拍手と歓声をもらう。

 

「次デュエルするときは、おれもこのデッキの全力を出す。約束するよ」

 

「わかりました。楽しみにしています」

 

 今回の執事と手品師のデュエルは、執事に軍配が上がった。




息吹「それでは、リア充をワンキルしよう! のコーナーです♪」

遊羽「おい、どういうことだよこれ」

息吹「いいからいいから。先攻どうぞ」

遊羽「俺のターン、竜の渓谷でドゥクスを手札に、んで通常召喚、さっきコストにしたファランクスを装備、特殊召喚。シンクロ、ガジャルグ。効果でゼピュロスサーチして墓地へ。これでターンエンド」

息吹「オレのターン! フォトン・ドラゴンでトレイン、サンクチュアリでトークン生成、リンクでソルフレア! 効果でフォトン・ドラゴン回収、ギャラクシー・ワームと銀河の修道士をコストに銀河戦士二体、効果で騎士サーチ、エクシーズでノヴァからインフィニティ! 効果でガジャルグを座布団に。手札のフォトン・ドラゴン見せびらかして銀河剣聖、騎士を妥協召喚、効果でフォトン・ドラゴン特殊召喚! 騎士と剣聖でオーバーレイ、プライム!」

遊羽「ソルフレアにインフィニティ、でフォトン・ドラゴンとプライム・・・・・・殺意MAXじゃねぇか!!」

息吹「リア充爆発しろ! 破滅の(逆恨みの)フォトン・ストリィィィィィィーーーーームッ!」

遊羽「う、うわあぁぁぁぁあ!?」
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