遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
「おい待てオラ! ぶっ飛ばす!!」
『へん、誰が待つかよ! これから牢屋行きなんだ、それまでは自由にさせてもらうぜ!』
街の中を、遊羽が走る。その先には、BF-隠れ蓑のスチームの悪霊。
「人の女に手を出したんだ、容赦はしねぇ!」
新レギュレーションにて禁止カードとなるスチーム。そうなる前に、自分のやりたいことをやろうとして悪霊化したのだ。
その扇を使っての、女子のスカート捲り百連続を。
「虹花の下着を見ていいのは俺と虹花の親御さんだけだ! セクハラキャラはレズだけにしろ!」
それか心を許し合っているなら水属性使い、と口の中で呟く。
『うおっ、行き止まりかよ!』
スチームの逃げた先は裏路地の行き止まり。その後方には遊羽。袋のネズミならぬ袋のカラスだ。
「虹花のスカートを捲ったのがお前の運のツキだ・・・・・・覚悟しろよ?」
指をバキバキ鳴らしながら、遊羽はスチームの処刑方法を考える。
(《満足アンカー》で強制的にデュエルをしかけ、お互いのカード効果が全て非表示になる《アンノウンパーツ》で困惑させたところを《電撃ビリビリヘルデュエルセット》で痛めつけ、最後には負けた相手の顔写真を撮って顔芸に変換してカードにする機能で一笑いするのもいいが、誰もが嫌いなドレッドバスターの注射でもするか? 中身はビタミン剤じゃなくてスターヴの毒で)
情け容赦の一切ない遊羽の思考に、遊羽の中でレヴが溜め息をつく。
『くそ、こうなったらヤケだ!』
遊羽に向かって扇を投げ、その隙に逃げようとするスチーム。
だがしかし、その扇はあっさりと遊羽に受け止められる。
「ドラゴンになってから、目とか良くなったんだよなぁ。一々レヴと融合する必要がなくて楽だぜ」
『な!? くっ!』
それでも尚空に逃げようとするスチームを、遊羽が軽くジャンプして殴る。
『ぐえっ!!』
地面と過激にファーストキスをするスチーム。そのまま遊羽に縛りあげられる。
せっかくの虹花との買い物を邪魔された遊羽は、スチームのカードを確保し、不機嫌にデパートへと戻る。
(そういえばアイツ、今は何やってるんだろうな・・・・・・)
スチームから関連して、ワンキル・ソリティア研究会の会長を思い出す。
まぁ、どうせワンキルかソリティアだろうが。
ーーーーーーーーーー
そのころ息吹がいたのは、ワンキル・ソリティア研究会の部室。
夏休みにも関わらず、そこは活気に溢れていた。
「リプロドクスでデビル・フランケンをサイキック族にしてヴァイロン・キューブの効果で念動増幅装置を装備してボム・フェネクスとインディペンデント・ナイチンゲール! 効果でバーン、リンクでスカルデット! 更にパープリッシュ・ヘルアーマゲドン二体を特殊召喚して覇王スターヴ! ナイチンゲールをコピーしてバーン! 先攻ワンキル!」
「簡易ユーゴじゃねぇ、簡易融合だ! ナイチンゲールを特殊召喚、バーン、リンク、リンクリボー! 天空の虹彩で破壊してオッドアイズ・フュージョンで覇王スターヴ! 効果でナイチンゲールをコピーしてバーン&貫通攻撃! 後攻ワンキル!」
「悪魔の調理師を召喚してシエンの間者でプレゼント! カバーカーニバルで自爆特攻! ドロードロードロー! 収縮打って、超カバーカーニバル! 自爆特攻、ダメージを受けたのでドラコエディア! 神秘の中華なべでライフ回復! 更にカバーカーニバル! 自爆特攻! ドロードロードロー! KI☆TAエクゾディア!」
「ミラージュネクロデーモンリベンジワンハンガンネクロデーモンリベンジetc……etc……カード五枚セットにモンスターゾーンも埋まってしまいましたね」
「やめろー! こんなのデュエルじゃない!」
「何を今更」
「妨げられた壊獣の眠り、ラディアンをあげるからサンダーさん特殊召喚するね。マスマティからのジェットロン、手札切ってss、リンクでハリファ、効果でオライオン、シンクロで星帯龍。オライオンでトークン、ワンフォでアクマグネからのラディアンとシンクロ、スターダスト。福音でフォトン・ドラゴン。総攻撃で後攻ワンキルだ!」
「新レギュレーション前に祭りだ! トーチゴーレムでトークン、アカシックマジシャン、トーチ、ファイアウォール、トーチ、・・・・・・etc、etc・・・・・・先攻エクストラリンク!」
「甘い! ラヴァゴ二体プレゼントしてやるよ! 所有者の刻印で返してもらうぜ! エクシーズ、光波からFA、破壊、ダークマター! デッキ圧縮、除外してカオス・ソルジャー、最後に死者蘇生でラヴァゴ! 後攻ワンキルだオラァ!」
「嘘だドンドコドーン!」
活気というか、殺気に。
「オレのターン、真紅眼融合で流星竜♪ デッキからレダメ送ってバーン、黒炎弾打って左腕をぶった切って黒炎弾サーチ、発動! オレの勝ち♪」
それは会長たる息吹も例外ではなく、部活開始からドラゴンを使ってワンキルだのソリティアだのやりたい放題だった。
「さて、次! ケルベロス張って効果で王様の方のジャッカルさんをPゾーンに置いて自爆、ケルベロス特殊召喚♪ 目覚めで青眼と駄白、違う亜白龍サーチ、特殊召喚! トレインで青眼、エクシーズ、タキオン! レギュレーション前だしいいよね、ダークマター! デッキ圧縮、白石で青眼、エクリプスでガンドラX除外、ダークマター除外してレダメ! 効果で白石特殊召喚してリンク、ハリファ、効果でスチーム! ハリファとスチームでアークロード・パラディオン! スチーム効果でトークン、死者蘇生でタキオンからもっかいダークマター! デッキ圧縮、墓地の青眼とエクリプスとケルベロス除外してレヴィオニア! 効果でレダメ蘇生、エクリプス効果でガンドラXを手札に加える! レダメ効果でガンドラX! 全部破壊して先攻ワンキル♪」
「せめて除外するカードくらい宣言させろよ・・・・・・」
『手札誘発を握っていない方が悪い』。ワンキル・ソリティア研究会の格言の一つだ。
「・・・・・・お前ら、デッキに手札誘発は?」
「「「「「「「入れてない。ワンキルとかソリティアの邪魔だから」」」」」」」
全員揃って答える。上手く組めば邪魔にならないように出来ないこともないが、それでも手札に複数枚来たら邪魔になる。ならば、サーチカードのサーチカードのサーチカードくらいをデッキに入れた方がいいというのが全員の意見だ。コイツらの頭はネジがしまってないらしい。
その中でも比較的常識人の春樹が嘆息しながら全員をさとす。
「邪魔になったらコストにすればいい。というか、手札誘発も織り交ぜてワンキルやソリティアができるようになれ。それが最善の道だ」
「「「「「「「わかりました、副会長!」」」」」」」
前言撤回、コイツもダメだ。
「新しく出たゴッドアイズって、後攻ワンキルできるじゃん♪ 名前は微妙だけど」
前日に(あれ、オレってモンスライドできるのかな?)と徹夜で試していた彼は、そのままのハイテンションで無双していた。
「ならオレとやるか」
「よしきた春樹! オレの先攻、ドロー! って、あら? あらら?」
とうとう脳がオーバーヒートしたのか、そのままぶっ倒れる息吹。
「・・・・・・ターンエンドでいいな? 黒蠍盗掘団を召喚してシエンの間者。カバーカーニバルで自爆特攻。ジャックポット7三枚で終わりだ」
「容赦ないね、君・・・・・・」
その言葉を最後に眠る息吹。
春樹は彼を放置したまま、他の部員とワンキルやソリティアをしに行った。
次回はちゃんとデュエルします。