遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
夏休みに入ってから、ほぼ毎日のようにくつろぐ遊羽と虹花。
虹花がテレビを見ていると、『ニートの実態!! 働かない決闘者達』と音声が流れて来た。
「これって、私たちのことですよね・・・・・・」
危機感を覚え、キッチンで料理している遊羽に目を向ける。
彼は器用に片手でフライパンを持ちながら、もう片方の手で電話をしていた。
「もしもし? ・・・・・・あぁ何だホッさんか。何か用か? ・・・・・・ヲーがドジリスとオベリスクが使われたのに自分だけって拗ねてる? 知らん、そんなん俺の管轄外だ。魔術師Pデッキでベアトから不死鳥落としてスターヴでコピーして使ってもらえ、割と強いぞ。つうか何で俺に電話してくるんだよ。前もアーミタイルを倒せって無茶ぶり言ってたよな? あれは本当ににキツかったんだぞ。・・・・・・あ? 忙しいからもう切る? じゃぁ電話すんなよ、ってもう切れてるし・・・・・・ったく」
相手が誰だかはわからないが、何やら働いているような雰囲気は感じる。そのことに、虹花の焦りは加速する。
「ゆ、遊羽! デュエル、デュエルをしましょう! 私とデュエルをしてください!」
「お、おう。わかった、わかったから落ち着け」
名前を呼ばれた遊羽が一度火を止めてリビングに戻ると、その肩を掴みガックンガックン揺らしながら虹花が懇願する。そのときに虹花の小さくはない胸も揺れたが、遊羽はそれどころではなかった。
「どうしたんだよ、急に。何かテレビでやってたのか?」
虹花の頭を撫でて落ち着かせながら、遊羽は改めて訊く。
少し落ち着いた虹花は、ちょっと涙目で叫ぶ。
「私! ニートになりそうなんです! 生徒会の仕事はありませんし、遊羽の家でゴロゴロしてばかり!」
「それが何か問題か?」
家でゴロゴロしてばかりの駄白龍が頭にうかぶも、そこに問題は感じない。
「大問題です! このままでは、ダメ人間になってしまいます!」
「虹花と一緒なら俺は構わないぜ」
いい笑顔で言う遊羽。コイツはもう本当にダメかもしれない。
「た、確かに遊羽と一緒なら怠惰な生活もいいですが! でも、女として、こう・・・・・・」
上手く言葉が見つからない歯がゆさにモジモジする虹花。そんな彼女を見て、遊羽は付き合いの長さから言わんとすることを察した。
「まぁ、なんとなく言いたいことはわかった。レヴ!」
『料理は任された。気兼ねなくデュエルしてくれ』
呼ばれた瞬間に遊羽の中から現れ、自分のすべきことを把握したレヴ。付き合いの長さでは、こちらも負けていない。
「さすがレヴだな、頼んだぜ。いくぜ、虹花!」
「ありがとうございます、レヴ。いきますよ、遊羽!」
リビングであるにも関わらず、お互いにディスクを構え、少し離れて向き合う。
「「デュエル!」」
真宮虹花
LP8000
如月遊羽
LP8000
「私が先攻です。まずはクリバンデットを召喚です!」
クリバンデット ☆3 攻撃力1000
クリボーの仲間なのにクリボー名称のついていない盗賊コスプレのクリボー。そう思うと、ちょっと不憫だ。
「私はカードを一枚伏せて、エンドフェイズにクリバンデットの効果を発動です! このモンスターをリリースして、デッキの上からカードを五枚墓地へ送って、くず鉄のかかしを手札に加えます。これでターンエンドです」
真宮虹花
LP8000 手札4
場 魔法・罠:伏せカード
「俺のターン! まずはドラゴン・目覚めの旋律発動! 手札の星間竜パーセクをコストに、デッキから青眼の白龍と青眼の亜白龍を手札に加えるぜ! オルタの効果で、自身を特殊召喚だ!」
青眼の亜白龍 ☆8 攻撃力3000
またも残念な駄白龍が頭をよぎるが、彼はかぶりを振ってデュエルへと意識を戻す。
「今、私以外の女性のことを考えませんでした?」
(んなバカな。何故・・・・・・あ、精霊になったからか)
虹花は現在、アンデットモンスター《屍界のバンシー》の精霊だ。精霊にはマスターと心を通わせる能力があるが、主のいない場合は周囲の人間の心を読めると息吹が言っていたのを遊羽思い出す。
「・・・・・・すまん、なるべく考えないようにする。竜の渓谷発動! 効果を発動し、手札の青眼の白龍をコストに、デッキから嵐征竜ーテンペストを墓地へ送るぜ」
フィールドが竜達の住まう谷に切り替わり、青眼の白龍とテンペストが谷底に落っこちる。それを見て、遊羽は眉を寄せる。
「確かに死んだら墓地に行くが、ドラゴンってそのくらいで死ぬのか? まぁいいか。墓地の青眼の白龍と星間竜パーセクを除外し、テンペストを特殊召喚!」
嵐征竜ーテンペスト ☆7 攻撃力2400
谷底から風が吹き荒れ、テンペストが舞い上がる。この演出には遊羽も目を見張り、デュエルディスクに感謝する。
「テンペストとオルタをリンクマーカーにセット! 来い天球の聖刻印!」
天球の聖刻印 link2 攻撃力0
一瞬遊羽の脳裏に『ドラゴン! ライダーシステム! エボリューション!』と火星人が現れたが無視する。現れたのは奴が天球儀モチーフだからだろうか。
「続けて復活の福音を発動! 墓地のオルタを蘇生だ!」
青眼の亜白龍 ☆8 攻撃力3000
再び現れる残念ドラゴン。青眼の白龍がテンペストのコストにされたからか、頬を膨らませ遊羽から顔を背けている。
「・・・・・・何故か怒っていますけど・・・・・・」
「俺は悪くない。文句は弟分にでも言え」
そう言い切る遊羽。デュエリストの世界は非情なのだ。
「バトル、オルタでダイレクトアタック!」
「そのまま受けます」
真宮虹花
LP8000→5000
「リンク召喚する必要はなかったか? カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
如月遊羽
LP8000 手札1
場 エクストラ:天球の聖刻印 メイン:青眼の亜白龍 魔法・罠:伏せカード フィールド:竜の渓谷
「私のターン、ドロー! ドローフェイズにリバースカード、針虫の巣窟を発動です! デッキの上から五枚を墓地へ送ります」
今まで虹花が使ったことのないカードに、遊羽は困惑する。
「虹花、そのカードは?」
「私なりに考えて、デッキを新しくしました」
そのセリフと、ドローフェイズに発動されたカード。そこから連想される、虹花のデッキ内容。
「スタンバイフェイズ、墓地の死霊王 ドーハスーラの効果発動です! フィールド魔法があるとき、このモンスターを特殊召喚します!」
死霊王 ドーハスーラ ☆8 守備力2000
狭いリビングの中に現れた、死霊の王。既に精霊としての力はなく、普通のカードだ。
「虹花、そのカードは・・・・・・」
「確かに、私はこのモンスターにひどい目に合わされました。ですが、それはあの子が命令したからであって、このモンスターに罪はないと思います。例えあったとしても、それは私のデッキで活躍してもらうことで相殺します」
とうとうと、自分の胸の内を語る虹花。彼女なりの決心があったのだろう。そのことを察した遊羽は、黙って虹花のデュエルを見ることにした。
「あ、でも絶対に《ゾンビマスター》は使いません。絶対に」
付け加えるように断言する虹花。そこは絶対に譲らないらしい。
「あぁ、そうしてくれると助かる。俺もそのモンスターを見たらどうなるかわからない」
そう言いながら頷く遊羽。彼もそのモンスターを使うと言ったら流石に許容できないところだった。
「・・・・・・続けますね。墓地の馬頭鬼の効果を発動です。墓地から不知火の隠者を特殊召喚します」
不知火の隠者 ☆4 守備力0
「隠者の効果を発動します。リリースすることで、デッキからユニゾンビを特殊召喚です」
ユニゾンビ ☆3 チューナー 守備力0
「ユニゾンビの効果発動です! 手札一枚を墓地へ送って、ドーハスーラのレベルを一つアップします! 更にドーハスーラの効果をチェーンして、オルタさんは除外です!」
「天球の聖刻印の効果発動! 自身をリリースすることで、フィールドのカード一枚を手札に戻す! 俺はオルタを手札に戻すぜ!」
ドーハスーラが杖を振るうと光線がオルタに向かって放たれる。が、それを遮るように天球がオルタを包み、手札へと非難させる。
死霊王 ドーハスーラ ☆8→9
「更に、今コストにした牛頭鬼の効果を発動です! 墓地のピラミッド・タートルを除外して、手札からアンデットモンスターを特殊召喚します! 私は
屍界のバンシー ☆4 守備力200
現れる、虹花とそっくりのアンデット。
「なら俺も天球の聖刻印の効果発動だ! デッキからレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを攻守0で特殊召喚!」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ☆10 守備力2400→0
「構いません! ユニゾンビで
3+4=7
「朽ちた屍の竜よ、不死の名の下、今こそ蘇りなさい! シンクロ召喚! 真紅眼の不屍竜!」
真紅眼の不屍竜 ☆7 攻撃力2400
朽ちて尚、生かされ続けた竜。そのモンスターの登場に、思わず顔をしかめる遊羽。
「・・・・・・すみません、遊羽。やはりレッドアイズを使われるのは嫌ですか?」
そんな遊羽の反応に、虹花は使ってよかったのか心配になる。
「あ、いや、すまん。この盤面でそのモンスターはつらいなと思っていただけだ。むしろ、虹花に使われてコイツも嬉しいだろうよ」
遊羽は慌てて否定する。もし嫌だったとしても、虹花が相手ならば妥協しただろう。
「・・・・・・ありがとうございます。大切に使います」
顔を綻ばせ、遊羽を見つめる虹花。普段ならお互いに見つめ合うところだが、そのタイミングでいつの間にか遊羽の後ろにいたレヴが咳払いをした。
「お楽しみ中にすまないが、料理ができた。冷めない内に食べてもらえないだろうか」
レヴとて主の邪魔をしたい訳ではないが、冷めてマズくなった料理を主が食べるなど言語道断、という思いで仕方なくデュエルを中断させた。
「お、おう。ほら虹花。飯にしようぜ」
「そ、そうですね! 冷めない内にいただきましょう!」
お互い顔を赤く染めながらダイニングへと移動する二人と一体。
二人は食事中もずっと顔が赤いままだった。
息吹「お便りのコーナーです♪ まずは、『オッドアイズ・レイジング・ドラゴン』さんから! 『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの精霊をエクシーズ素材にして出してください』だそうです。続いて、『ドーハスーラ』さんからのお便り。『あんのクソガキがあああ! 我の株が減ったらどうしてくれる!』とのこと。というわけで、またもゾンビさんにはボコられてもらいます! それでは、どうぞ♪」
少年「な、またここか!? 盗賊王に便乗して冥界から逃げようとしてたのに!!」
息吹「おぉ怖い。でもまぁ、オレに勝てたら冥界から出してあげるよ♪ さぁ、デュエルだ!」
少年「クソ、またか! ボクのターン、不知火の隠者を召喚、効果でユニゾンビを特殊召喚! 効果で手札の馬頭鬼とデッキのボクを墓地へ! 馬頭鬼を除外してボクを特殊召喚、効果で手札一枚をコストに隠者を特殊召喚! これで守備表示モンスターは三体! テッペキだ!」
息吹「ではオレのターン! 手札のドーハスーラをコストに、ペンデュラム・コール! デッキの相克の魔術師と相生の魔術師を手札に加えて、Pスケールにセット! ペンデュラム召喚! オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン! 真紅眼の黒竜! 真紅眼の黒炎竜!」
オッドアイズ『やっほ~♪」
少年「な、精霊のカード!?」
息吹「それでは、二体のレッドアイズでエクシーズ! フレアメタル! 相克の魔術師の効果で、更にエクシーズ! オッドアイズ・レイジング・ドラゴン!」
オッドアイズ『レイジングの衣装だよ♪ 今のわたしにさわるとヤケドじゃすまないよ~』
息吹「レイジングの効果! 相手のカード全てを破壊し、その数だけ攻撃力がアップする! レイジング・バースト!」
少年「ボクの壁達が!!」
息吹「最後に、生者の書-禁断の呪術-でドーハスーラを復活♪ トドメに一斉攻撃だ!」
少年「うわあああぁぁぁぁぁぁあ!!」
息吹「ふぅ。これでアフターケアもばっちり♪ これで溜飲も下がったでしょ」