遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
というわけで投稿します。デュエルはしません。
家に入り、遊羽と虹花が夕食を作る。
「さて。カツカレーでも作るか」
「そうですね。昨日の残りのカツを使いましょう」
昨日は余る程カツを作ったのか。
(カツカレーといえば赤ぶちメガネ・・・・・・)
おい待てやめろ。
「じゃ、おれらはできあがるまで遊ぶか」
「兄さん、後輩に料理を任せて遊ぶのはどうかと思うッスよ」
「日向先輩、僕とデュエルしてください」
「おう!」
「聞いてないッスね・・・・・・」
リビングで料理が出来るまでテーブルデュエルする二人。
戦が大量ドローし、日向は大型モンスターを並べる。
「ふふふ。クラッキング・ドラゴンがいる状況できみのライフは残り1100! 勝った!」
「バトルフェイズ終了時、拮抗勝負発動しますね」
「ウゾダドンドコドーン」
「ジャンク・シンクロン召喚、ドッペル・ウォリアー特殊召喚、シンクロ。ジャンク・ウォリアー。スクラップ・フィストとラッシュ・ウォリアーで」
「マジ脳筋ッスね・・・・・・」
一瞬でひっくり返された盤面を見て、響が思わず呟く。
「そろそろ出来ますよ」
「手伝ってくれ」
遊羽と虹花に呼ばれ、三人はテーブルを片付ける。
「あ、おれトイレ借りるわ」
そう言って部屋を出た日向を見送りながら、遊羽は眉を寄せる。
「虹花。最近トイレに行った記憶がねぇんだが」
「奇遇ですね。私もです」
はて? と首を傾げる二人に、顕現したレヴが言う。
『恐らく、精霊に近い存在となったからだろう。精霊は食事や排泄を必要としない』
その説明を聞きながら、遊羽はふと考える。
(もし俺達が人間に戻れる機会があったとして、虹花は戻って平気なのか? 一度死んでアンデットになったんだから、人間に戻ったら死ぬのか?)
そこまで考えて、意味のない考察だと忘れる遊羽。
そのタイミングで、日向がトイレから戻ってくる。
「わりーわりー。さ、食べようぜ」
皆で席につき、夕食を食べる。
「美味しいッス!」
「さすが遊羽と虹花ちゃん。夫婦のコンビネーションか?」
「日向先輩、結婚はまだ二年先だぜ?」
「するってもう決まってるんだ・・・・・・」
「当たり前です」
バカップル空間が作り出され、他三名はかなり微妙な雰囲気となる。
「で、先輩。あのカードは何なんだ? 戦が欲しがってた、って」
「ああ。戦くんがリスペクトしているプロデュエリストと、前にデュエルしたことがあって。使ってるカードはわかるから、あげた」
「その人、二年前にプロを追放されてるんだ。だから、DVDとかあんまり出回ってなくて」
戦の尊敬するプロデュエリスト。彼はプロを追われているため、DVDなどももう出回っていない。そのため、リスペクトしようにも出来ない状況だった。
しかし、日向はプロデュエリスト。彼ともデュエルしたことがある。そのため、戦は彼についての話を聞くことができたのだ。
「なるほど。初めて先輩がプロで良かったと思えたな」
「ひでぇ!? なんで先輩のおれがこんな扱いを・・・・・・」
「いじられキャラってことッス。諦めるッスよ」
響の言葉で、食卓が笑いに包まれた。
「ふぅー、くったくった」
「ご馳走様ッス」
食事を終えると、そのまま帰り支度を始める水瀬兄妹。
「なんだ、もう帰るのか?」
「わり、明日プロとしての仕事があってさ。先、かえるわ」
「お邪魔したッス」
そう言って玄関先から出る二人。どうやら、本当に急いでいるらしい。
「じゃあ、僕もそろそろ帰ろうかな」
戦も荷物を纏め始める。
「そか。虹花はどうする? 泊まってくか?」
「はい。そうさせていただきます」
虹花はこのまま泊まるらしい。もう同棲したらいいんじゃないかと思う。
「それじゃ。またね」
「おう、またな」
「気をつけて帰ってください」
戦も遊羽の家を後にした。
そうして、二人っきりになり静まり返った家。
「・・・・・・やることもねぇし、食器洗ったら寝るか」
「そうですね。あ、隣いいですか?」
「おう。当たり前だろ」
ーーーーーーーーーー
「まったく、オレ抜きでデッキ作りとか、流石にヒドくない?」
『さべつだ~!』
翌日。
日向からデッキ作りをしたとのチャットをもらった息吹は、精霊であるオッドアイズを連れて、遊羽の家を訪れた。
インターホンを鳴らし、反応を待つも、家からは音一つ聞こえない。
『はんのうないね~?』
「・・・・・・遊羽?」
怪しんだ息吹はオッドアイズをドラゴンに戻すと、その背にまたがる。
それを待って、オッドアイズは屋根までジャンプした。
「よっと。非常時だ、許してくれよ♪」
屋根からベランダに降りた息吹は、窓から遊羽の部屋を覗く。
「・・・・・・いない?」
『あれれ~?』
二人揃って首を傾げる。息吹は《罠はずし》のカードを使い、窓の鍵開けると、不法侵入をした。
『いいの? マスター』
「おかしい。いつもなら、この時間はまだ家にいるはず」
何で把握してるんだ。
「いない・・・・・・どこ行ったんだ、二人とも!?」
息吹の問いに、答えてくれる者はいなかった。
誰も、彼らが異世界に行っているとは思わないだろう。
次回の幕間を挟んで、三章に入ります。
すみませんが、次回もデュエルはありません。