遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
この小説のラスボスが登場しますが、本編登場は最終章です。
真っ暗で、何もないような空間。
「ふむ。やはり乱れておるな」
世界の様子を見ていた彼は、甘栗で作られた棒状のお菓子、リン栗棒をかじりながら呟いた。
「この菓子も世界の乱れによるもの。放っておくわけにはいかん。・・・・・・にしても、美味いな」
この栗棒シリーズのお菓子は、最近バリエーションが増えて栗ボールといった商品も出ているが、そのせいで栗棒派と栗ボール派で派閥戦争が起きているらしい。
「次はこれを食べてみるか」
彼がどこからか取り出したのはビッグコアラのマーチ。隅々までたっぷりチョコの入った腹黒そうなお菓子だ。派閥戦争の間で頭角を現しているらしい。
「ふむ、これも美味いな。・・・・・・やっぱり、世界の乱れを直すの、やめようかな」
意思が弱いラスボスとか今日日聞かねぇぞオイ。
「あーでもなー。直さないと多分色んな世界に支障が出るしなー。モリンフェン様とかは黙認してるし、ホルアクティに至っては気付いてすらいないし。俺がやるしかないよなぁ」
気を緩めたのか、以前の言葉使いで呟く彼。
「やぁ我が覇王」
「うのわっ!? 何だ白か」
突如その空間に現れた白と呼ばれた青年は、その長い白髪を揺らしながら彼に話しかける。
「ご注文通り、ジャンクハングリーバーガーを買ってきましたよ。こちらです」
手に持った紙袋をガサゴソさせ、ジャンクハングリーバーガーを取り出す。彼の頼みで、わざわざ『ジャンクフード』まで出向いたらしい。
「おー、ありがとう。暫く休んでたら?」
「我が覇王。口調が以前のものに戻っていますよ」
白の指摘にう゛、となる彼。ラスボスなのに臣下に弱いらしい。
「あ、コホン。うむ。大儀であった。して、他の三人は?」
気を取り直して、といったニュアンスで彼は白に訊く。すると、白は空間の一角に目を向け、少し嫌そうな顔をした。
「・・・・・・帰って来たようです」
そう白が告げると同時に、空間に新たな気配が二つ現れる。
「いつになったら捕食植物のリンクモンスターは出るんだよ? ヒーローのリンクは残念効果だしよ。つか何だよグランドマンって。グリッドマンのパクりか?」
「まぁまぁ落ち着いて。捕食植物はペンデュラムが出たんだしいいでしょ。僕の幻影騎士団にはまだいないよ」
「二枚ないとペンデュラム召喚できねぇのに一種類だけな! テメェはリンクが有用すぎるだろうが! ホープダブルも強ェしなぁ!」
「五月蝿いですよ。負け犬の遠吠えは止めてください」
「アァ!?」
「まぁまぁ」
ボサボサの紫色の髪をかきむしりながら白を睨む青年と、それを止める黒髪の少年。
「帰ったか、紫。黒。ご苦労だった」
「おう。言われた通り、イベントに行ってアーミライルをゲットしてきたぜ」
「僕も憑依覚醒を三枚、しっかりと」
何それ羨ましい。
「はぁ、コンマイは何を考えているんだろうなぁ。汎用カードをイベント限定にするとか」
「王様、口調が戻ってるぜ」
溜息をつく彼に、今度は紫が指摘する。
「それにしても、まだ捕食植物について引きずっていたのですか? 醜いですね」
「テメェはいいよなぁ! SRで新規リンクとペンデュラムかよ。こっちはスターヴ・ヴェネミーが進化前すっ飛ばしてリーサルドーズだとよ」
「それならまだいいでしょ。僕のダーク・アンセリオンなんて、弱体化され過ぎだし・・・・・・」
「黒、貴方には幻影騎士団のリンクモンスターがいるでしょう。それに、いざとなったら覇王黒竜がありますし」
「あれは嫌だよ白さん。トマトと合体してるし」
「んなこと言ったら、全員アイツと合体してるぜ? オレのスターヴも、お前のクリアウィングも」
「いえ、あのモンスターはオッドアイズ・シンクロンを使わない限りオッドアイズにチューニングされませんのでノーカンです。貴方のスターヴは融合素材にオッドアイズが指定されていますが」
「い、いや、まだ融合呪印物とかあるし? オッドアイズとかいなくても平気だし? ヨユーヨユー」
明らかに動揺している紫。覇王は彼らを放置して世界の様子を見ることにした。
「そもそも、ヒーローは規制され過ぎだろ! 何でアライブ制限なんだよ!」
「そんな事を言ったら、私もベイゴマックスが規制されていますし、ダンディライオンもスティーラーも死んでいます。ヒーローはサーチが豊富でしょう? 規制されて当然ですよ」
「調律、増援でジャンク・シンクロンはサーチできて、スピードリフトでSRもイケるだろうが!」
「僕、サーチとか全然ないんだけど」
「「テメェ/あなたはドローンとタクティクスでのドローがあるだろうが/でしょうが!!」」
「うわぁ、正論」
やいのやいのと口論を続ける彼ら。そこへ、赤と緑のトマトヘッドの少年が参加する。
「ヤッホー皆さん、ワタクシの帰還ですよ!」
「「「黙れ、振り子メンタル」」」
「ひどっ!?」
そして、呆気なく撃沈。確かにメンタルが弱い。
「お前はいいよな。20thのボックスで超強化されて」
「ブラマジとガイアの融合、おめでとう。新しい儀式モンスターも出て、良かったね」
「貴方だけ全ての召喚方法を使えるのですから、当たりがきつくて当然です」
「なんという扱い!? 皆も強化されたじゃん! 白はスピーダー、紫はネビュラ、黒はダブルって」
「テメェはアドバンスや笑顔のアレとブラマジ関連の二種類も強化されてるよな。オレはヒーローのリンクが残念だよ」
「何でこんなのが一番強化されてるんだろうね。僕はオノマトペシリーズのリンクが欲しいよ。せめてNo.関連のリンクが欲しいよ」
「後でオッドアイズ・ドラゴンの精霊に会ったら強化おめでとうと言っておいてください。私はコネクターが残念です」
「理不尽な!? ワタクシも残念なカードくらい・・・・・・アレ?」
「テメェ、今のはワザとだな?」
「ルールはマスタールール3の3対1でいいよね。強化されたんだし」
「満足アンカー用意、射出。これで逃げられませんね」
「HA☆NA☆SE!? ワタクシが何をしたと言うのです!?」
強制的にデュエルモードに移行するデュエルディスク。三人でトマトを囲む形だ。
「懺悔は冥界でATMにでもするんだなぁ。オレのターン、ドリルガイからディシジョンガイ、融合でスターヴ。おろまいでネオス墓地に送ってオーバーソウルで蘇生だぁ。来い、ネオス!」
「あ、ついでにドン・サウザンドによろしく言っておいてね? 僕のターン、ゴブリンドバーグ召喚してガガガマジシャン特殊召喚。ついでにカゲトカゲも特殊召喚して、エクシーズでホープ! カードを伏せて、発動! 幻影騎士団シェード・ブリガンダイン! エクシーズ! ダーク・リベリオン!」
「私のターン、ドロー。手札からベイゴマックス特殊召喚、効果でタケトンボーグを手札に加え、更に特殊召喚。リリースして赤目のダイスを特殊召喚します。ダイスの効果でベイゴマックスをレベル6にして、シンクロ召喚! クリアウィング! さらにソウルチャージでベイゴマックスとダイスを特殊召喚し、ダイスの効果でベイゴマックスをレベル7に。シンクロ召喚、スターダスト!」
マスタールール3にしたのが運のツキ。全員が二体ずつエースモンスターを出した。殺意が高い。
「ではワタクシのターン! レディースエーンドジェントルメーン!! これより、このワタクシ
「ジャッジ、遅延行為です」
「承諾したぜ。お前の負けだ」
「デュエルするまでもなかったね」
「せめてデュエルさせてくれませんかねぇ!?」
「「「却下」」」
「ひどっ!?」
トマトヘッドの少年の名前は、二色というらしい。今となってはどうでもいいことかもしれないが。
「・・・・・・おい、貴様ら。ここでのデュエルは我の復活が遅くなるから禁止だと、言ってあったはずなのだが?」
四人が振り返れば、そこには緑色のオーラを漂わせる覇王が。
「・・・・・・オネスティ・ネオス!」
「追走の翼!」
「幻影翼!」
「あ、逃げた!?」
それぞれ翼を使って飛翔し、空間から逃げ出す三人。翼をもつモンスターを探してワンテンポ遅れた二色も、紙飛行機を実体化させて逃げようとするが、覇王にガッチリ頭を掴まれる。
「これで、我の復活がまた一年遅れて、二年後となったな」
「マジスイマセンゴメンナサイ許してください何でもはしませんけど」
「じゃ、ブルーアイズマウンテン・ツインバースト一年分で」
「・・・・・・マジッスか」
最後だけ素に戻った覇王。その注文によって、二色の財布が粉砕玉砕大喝采されたのは、言うまでもない。
ラスボスの正体については、感想欄に書かないでください。バレバレですが、一応。
後、学校が始まってしまったので、更新頻度がだいぶ下がります。下手すれば、三月まで投稿できません。