遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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息吹と遊兎メインのはずの三章。
今回は、別のメンバーが中心のお話です。

・・・・・・こんなハズじゃなかったんや・・・・・・気がついたらこうなってたんや・・・・・・。


星と星との戦い

 遊兎と息吹がデュエルをしていたころ。

 

「さーて、今日は何が出るかなー?」

 

 ペリッ《ジャンク・ウォリアー》

 

 ペリッ《スクラップ・フィスト》

 

 ペリッ《スピード・ウォリアー》

 

「ちょっと待て」

 

「? どうしたの?」

 

 遊戯王チップスの付録カードを眺める戦に、遊羽が声をかけた。

 

「何だそのピンポイントな内容は」

 

「何か、僕ってこんなカードしか当たらないんだよね。後はジャンク・シンクロンと融合くらい」

 

 それは運がいいのか悪いのか。あるデュエリストは、融合ばかり出るらしいので、それよりはまだマシだと言えよう。

 

「一袋食べる?」

 

「あ、ああ。もらっとく」

 

 驚きながらも遊戯王チップスを受け取る遊羽。二人してそれを食べる。

 

「そう言えば、真宮さんはどうしたの?」

 

「生徒会の仕事らしい。ま、仕方ねぇな」

 

「大変だね」

 

 会話が途切れる。夏休み中にあった異世界での出来事での疲れが、未だに残っているのだ。

 

「・・・・・・平和だね」

 

「そうだな。まぁ、世界の危機なんて、そうそう起こるものでもねぇし、それに一々遭遇してられねぇよ」

 

 彼らが夏休み中に行った世界は、八ヶ月の間に様々な事件が起きていたらしいが。

 

「そうそう起こるものじゃない、ってことは、この世界でもあったの?」

 

「あったぜ。アーミタイルが闇のカードとして出現して、世界を混沌に陥れようとした」

 

 今すぐにでも遊羽は思い出せる。突然ケータイに謎の連絡があったと思えば、『世界を救ってください!』と言われ、アーミタイルと壮絶な戦いを繰り広げ、身体がボロボロになってしまったので誤魔化すために治るまで失踪して・・・・・・と。

 彼がデッキを作るために失踪するようになったのは、この時に虹花に「デッキを作るのに必要なカードを探しに行ってた」という嘘をついたのが始まりなのだ。

 

「・・・・・・そんなことがあったんだ」

 

「おう。後は虹花がキメラフレシアに襲われて、それを倒したり。日向先輩と出会ったのだって、闇のカードに襲われているのを俺が助けたのがキッカケだったっけな。ったく、あのカード、ドラゴンかと思ったら幻竜族とかいう意味わかんねぇカードだったんだよなぁ」

 

 遠い目をして、しみじみと語る遊羽。そしてそんな彼を何とも言えない目で見る戦。

 

 ふと、戦のケータイがメッセージの着信を告げた。

 

「誰からだ?」

 

「龍塚くんから・・・・・・って、露骨に嫌そうな顔はしないであげてよ」

 

「ドラゴン擬人化至上主義者にかける情けはねぇ」

 

 今日もこの世界は平和だった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 放課後。

 

「それじゃあ遊兎。行くよ♪」

 

「へ? どこにだよ? ・・・・・・っておい!? ちょっと!?」

 

 問答無用で息吹にさらわれた遊兎は、彼に引きずられるまま、ワンキル・ソリティア研究会の部室に来ていた。

 

「何だってんだよ! 急に部室に連れて来て!」

 

「まぁ落ち着きなって♪ 今にわかるよ」

 

 息吹が指を指す先には、デュエルを始めようとしている二人がいた。

 

 片方は遊兎に銀河眼の二枚を渡した青年、銀 星河。

 

 もう片方は、星河と同じく三年生の瑞浪 孝之(みずな たかゆき)だ。

 

「あれ、早いね。先輩方♪」

 

 息吹が声をかけると、彼に気がついた二人が振り返る。

 

「ん? ああ、部長か。授業が早く終わったんでね。星河に相手を頼んだんだ」

 

「今朝の一年生か。デュエルするなら場所を空けるぞ?」

 

「いや、いいよ♪ 代わりに、先輩方のデュエルを見学させて?」

 

 星河の気遣いに感謝しながらも別の注文をする息吹。星河は気にした様子もなく了承した。

 

「で、何でここに連れて来たんだよ?」

 

「遊兎に足りないのは実践経験さ♪ 強いカードを持ってても、使いこなせないと意味がない。だから、先輩方のデュエルから学んでもらおうと思って♪」

 

 息吹の気遣いに気付いた遊兎は、そっぽを向く代わりに星河と孝之に目を向けた。

 

 そして、二人の後ろにはそれぞれ精霊が。

 

『ふむ、彼とのデュエルは久しぶりだな』

 

『そうね。夏休み中は会えなかったし、一ヶ月ちょっとくらい空いているかしら?』

 

『オレサマノ出番ガアルトイイノダガナ』

 

 上から銀河眼の光子竜(フォトン)No.107 銀河眼の時空竜(タキオン)(女)、星態龍。星河の精霊達だ。

 

『頑張ろうね、ご主人様!』

 

『とは言え、主は俺達のことを見えていないのだがな』

 

『それはしょうがないよ。それでも、僕達は主さんを支えるだけだよ』

 

 星杯を戴く巫女(イヴ)星杯に誘われし者(ニンギルス)星杯に選ばれし者(アウラム)。孝之の精霊達だが、彼は精霊を見ることができないため、彼らの存在を知らない。

 

(・・・・・・いつ見ても、不憫だなぁ)

 

 この場で精霊が見えるのは息吹と星河だけ。遊兎はモンスターの姿に戻れば見ることができるが、その事実に息吹は悲しくなる。

 

『そうだったな。大半の精霊は、そうやって主との日々を過ごすのだったな』

 

 哀れむかのように孝之の精霊達に目を向けるフォトン。だがそれに、ニンギルスが怒り混じりに反発する。

 

『俺達はそれを不幸と思ったことはない。貴様の勝手な推測で哀れむな』

 

(そうだぞ、フォトン。それは失礼だ)

 

 星河も同意し、フォトンを叱る。フォトンもまた気まずそうな顔をし、ニンギルス達に詫びる。

 

『・・・・・・すまない。私の勝手な言動を許して欲しい』

 

『いや、気にしないでいいよ。夏休みで暫く会ってなかったんだし、今日は思いっきり闘おうよ!』

 

 アウラムが明るく笑い、彼らの空気が和らぐ。

 

「? どうした、星河。急にニヤけて」

 

「・・・・・・ああ、すまない。デュエルを始めよう」

 

 こうして、精霊の見えないデュエリストと、精霊の見えるデュエリストとのデュエルが始まった。

 

「「デュエル!」」

 

瑞浪孝之

LP8000

 

銀星河

LP8000

 

「先攻はオレだな。先ずは手札からサイバネット・マイニングを発動! 手札の星杯の守護竜をコストに、デッキからドラコネットを手札に加えて、そのまま召喚だ!」

 

ドラコネット ☆3 攻撃力1400

 

「ドラコネットの効果発動! デッキからレベル2以下の通常モンスターを特殊召喚できる! オレは星杯を戴く巫女を特殊召喚するぜ」

 

星杯を戴く巫女 ☆2 守備力2100

 

『先ずは私の出番だね、ご主人様!』

 

 孝之の後ろにいたイヴがフィールドに飛び出す。

 

「現れろサーキット。オレは星杯を戴く巫女をリンクマーカーにセット、リンク召喚! 来い星杯竜イムドゥーク」

 

星杯竜イムドゥーク link1 攻撃力800

 

 イヴが門に吸い込まれると、そこから彼のデッキの過労死枠が現れる。

 

「一応訊いておこう。長いか?」

 

「当たり前じゃん。オレたちゃワンキルやらソリティアやらが大好きなワンキル・ソリティア研究会でっせ? 代わりに手札誘発とかロックデッキとかパーミッションとか嫌いだけど」

 

 そうか、と暫く口を閉じておくことにした星河。肯定したものの、星河は別にワンキルやソリティアが好きという訳ではない。自分の好きなモンスターを並べるのにソリティアが必要なだけで、そして並べた結果ワンキルになってしまうことが多い、というだけだ。

 孝之もまた、自分の好きなモンスター達がソリティア向きだからそうしているのであって、どうしてもしたい、という訳ではないのだが。

 

「イムドゥークの効果で、オレはもう一度星杯モンスターを召喚できる。イムドゥークをリリースして、星遺物ー『星杯』をアドバンス召喚でい!」

 

星遺物ー『星杯』 ☆5 攻撃力0

 

「イムドゥークがフィールドから墓地へ送られたことで、手札から星杯モンスターを特殊召喚できる。来い、星杯に選ばれし者!」

 

星杯に選ばれし者 ☆3 攻撃力1600

 

『次は僕だ!』

 

 イムドゥークがフィールドを去るのと同時に、アウラムが躍り出る。

 

「そして現れろサーキット。星杯に選ばれし者と星遺物ー『星杯』をリンクマーカーにセット。来い星杯剣士アウラム!」

 

星杯剣士アウラム link2 攻撃力2000→2300

 

『じゃーん! パワーアップ!』

 

 ドヤとフォトン達に武器を見せびらかすアウラム。フォトンと星態龍は気にしていないが、タキオンだけは反応した。

 

『べ、別に悔しくなんかないわよ! 私にだってカオス状態あるし! 最悪バリアンにだってなれるもの!』

 

『そうだ。負けず嫌いなだったな、あのドラゴン』

 

 思い出した、という風に手を打つニンギルス。それをジト目でイヴが見る。

 

『お兄ちゃん! もう三年も一緒なんだから覚えなよ!』

 

『正直、主とイヴ以外のことに興味がないな』

 

 (イヴ)から注意を受けるも、それを聞き流すニンギルス。

 

『もう! そんなんだから私が死んじゃってお兄ちゃんが闇堕ちしちゃうんだよ!』

 

『悪かった。それは本当に洒落にならないから止めてくれ』

 

 イヴが死んでニンギルスはヤンデレ化、オルフェゴールを作り出しアウラムと対峙。一方アウラムはイムドゥークと共にパラディオンになって星遺物の力を集め、現段階では勇者化。そしてリースがラスボス化と混沌としてきているのが彼らの物語だ。結末はどうなることやら。

 

「通常召喚した星遺物ー『星杯』が墓地へ送られたことで、デッキから星杯モンスター二体を特殊召喚できるぜ。カモン、星杯の妖精リース、星杯に誘われし者!」

 

星杯の妖精リース ☆2 守備力2000

 

星杯に誘われし者 ☆4 攻撃力1800

 

『出番か』

 

『ニンギルスさん。今の主さんの手札だと、ニンギルスの出番はないです』

 

『何ッ!? ・・・・・・本当だな』

 

 アウラムの言葉に慌てて孝之の手札を確認するニンギルス。自分がリンク召喚されないとわかると、少し肩を落とした。

 

「星杯の妖精リースの効果で、デッキから星杯に誘われし者を手札に加える。そして墓地の星杯の守護竜の効果発動! 除外して、墓地の星杯を戴く巫女を、アウラムのリンク先に特殊召喚!」

 

星杯を戴く巫女 ☆2 守備力2100

 

『わーい! 皆揃ったね!』

 

『多分、皆素材になるけどね』

 

『言うな。多分俺はイヴの素材だ』

 

 両手を挙げて喜ぶイヴに、アウラムが余計な事を言う。そしてそれを認めたくないニンギルス。

 

「三度現れろサーキット。星杯を戴く巫女と星杯の妖精リースをリンクマーカーにセット、リンク召喚。星杯神楽イヴ!」

 

星杯神楽イヴ link2 攻撃力1800

 

『じゃじゃーん! 私もパワーアップだよ!』

 

 ふわふわした衣装に喜ぶイヴ。それを微笑まし気に眺めるニンギルスだったが、直後リンク素材にされる。

 

「四度現れろサーキット。星杯に誘われし者とドラコネットをリンクマーカーにセット、二体目の星杯神楽イヴだ!」

 

星杯神楽イヴ link2 攻撃力1800

 

『よいしょ、よいしょ!』

 

 フィールドに現れる二体目のイヴがだが、彼女が二人になれるはずもなく、新しい方はハリボテだ。

 

『ハリボテも大変だね』

 

『じゃあ手伝ってやったらどうだ?』

 

『いや、僕別のモンスターだし』

 

 手伝いたいのは山々だが、それはしてはいけないのが精霊界のルールだ。面倒な。

 

「最後だ。五度現れろサーキット。星杯剣士アウラムと星杯神楽イヴをリンクマーカーにセット、サーキット・コンバイン!」

 

 ハリボテの方のイヴとアウラムが門に入っていき、ハリボテがアウラムの新たな鎧と武器へと変化する。

 

「星杯に選ばれし剣士よ! 戦いを糧とし、全てを救う救世主となれ! リンク召喚! リンク4、双穹の騎士アストラム!」

 

双穹の騎士アストラム link4 攻撃力3000

 

『うーん、身長が急に伸びて、何か違和感・・・・・・』

 

『しょうがないよ、本当はパラディオンとかジャックナイツとか間にあるんだし』

 

 大きく成長したアウラムが身体に馴染めずにいると、イヴが苦笑した。ニンギルスは一人墓地で拗ねている。

 

『俺の出番は無しか・・・・・・』

 

「星杯剣士アウラムが墓地へ送られたことで、手札から星杯モンスターを特殊召喚できる。来い星杯に誘われし者」

 

星杯に誘われし者 ☆4 攻撃力1800

 

 突然フィールドに駆り出されたニンギルスは、呆然としながら呟く。

 

『・・・・・・俺達が見えていないにも関わらず、これか。素晴らしいな、主は』

 

『良かったですね、ニンギルスさん』

 

『良かったね、お兄ちゃん!』

 

 そんな精霊達のやりとりを、息吹と星河は信じられないものを見る目で見つめる。

 

「・・・・・・孝之」

 

「え、何? 何かプレミした?」

 

「いや、何故先に出したイヴではなく、後から出した方をアストラムのリンク素材にしたんだ?」

 

 キョトンとする孝之に、星河は質問をぶつける。

 

 孝之はうーん、と唸り、

 

「なんとなく!」

 

 あっけらかんと言い放った。

 

「・・・・・・そうか」

 

 星河もそれ以上は何も訊かずに、デュエルに目を向けた。

 

「? まぁいっか。オレはカードを一枚伏せて、ターンエンド」

 

瑞浪孝之

LP8000 手札0

場 メイン:双穹の騎士アストラム 星杯神楽イヴ 星杯に誘われし者 魔法・罠:伏せカード

 

「俺のターン、ドロー」

 

 カードを引き、孝之のフィールドを見つめる星河。

 

 アストラムは自分以外に攻撃させず、特殊召喚したモンスターとの戦闘においてほぼ負けることはない。そして、自身は効果の対象にならない。強引に墓地へ送れば、デッキバウスを飛ばしてくる。

 イヴはリンクしていることで戦闘でも相手の効果でも破壊されず、リンク先のモンスターの身代わりになることができる。

 

(厄介な布陣だな・・・・・・)

 

 溜め息をつきたい気分になりながらも、突破するための手を探す星河。

 そして、それは簡単に見つかった。

 

(あのカードが妨害系のカードなら止まる、か。問題ないな)

 

 手札から緑色のカードを引き抜き、デュエルディスクに差し込む。

 

「妨げられた壊獣の眠りを発動! フィールドのモンスターを全て破壊し、俺のデッキからお互いのフィールドに壊獣を一体ずつ特殊召喚する!」

 

「何でごく自然に制限カード握ってんだよ!? 星杯神楽イヴの効果発動! 墓地へ送ることで、双穹の騎士アストラムの破壊を無効にする!」

 

『チッ、後は頼んだ!』

 

『お願いね、アウラムくん!』

 

 地面に入った亀裂に、ニンギルスとアウラムをかばったイヴが飲み込まれ、代わりに黒い巨人がタップダンスしながら孝之のフィールドに現れる。

 

『・・・・・・』

 

 何とも言えない微妙な表情になったアウラム。目を背けて相手側を見れば、そこには三首の龍がいた。最も、雷族なのだが。

 

多次元壊獣ラディアン ☆7 攻撃力2800

 

雷撃壊獣サンダー・ザ・キング ☆9 攻撃力3300

 

「更に俺は終末の騎士を召喚。効果でデッキから亡龍の戦慄-デストルドーを墓地へ送る」

 

終末の騎士 ☆4 攻撃力1400

 

「ライフ半分を支払い、亡龍の戦慄-デストルドーの効果発動。墓地から特殊召喚」

 

銀星河

LP8000→4000

 

亡龍の戦慄-デストルドー ☆7→3 守備力3000

 

「開け、銀河を震わすサーキット。俺は終末の騎士と亡龍の戦慄-デストルドーをリンクマーカーにセット、リンク召喚。水晶機巧ーハリファイバー」

 

水晶機巧ーハリファイバー link2 攻撃力1500

 

「ハリファイバーの効果発動。デッキより、ギャラクシーサーペントを特殊召喚」

 

ギャラクシーサーペント ☆2 チューナー 守備力0

 

「俺はギャラクシーサーペントでサンダー・ザ・キングをチューニング」

 

2+9=11

 

 銀河の名を持つ龍と雷族の龍とが合わさり、星の輝きを持つ龍へとその身を変える。

 

「我が手に拍動せし大いなる銀河よ、この手を離れて全てを照らせ! シンクロ召喚! さあ、この世界に顕現せよ、星態龍!!!」

 

星態龍 ☆11 攻撃力3200

 

『久シブリノオレサマノ出番ダ。暴レサセテモラウゾ』

 

 巨大な、星と同等の力を持つ龍。

 

『攻撃力が下がった・・・・・・とは言えないね』

 

 その龍を見て、冷や汗を流すアウラム。このモンスターはそれほどの力を持つ。

 

「まだ終わりではない。俺はワン・フォー・ワンを発動。デッキより、SRアクマグネを特殊召喚」

 

SRアクマグネ ☆1 守備力0

 

「アクマグネの効果発動。相手フィールドのモンスターと風属性モンスターをシンクロ召喚する」

 

「お前、運命力どれくらい? ちょっと後で検査しようや」

 

 余りに強い引き運に呆れた孝之。しかし、無慈悲にアクマグネとラディアンは同調する。

 

1+7=8

 

「銀河を流れし星屑よ、大いなる星に導かれ、この世界へ舞い降りよ! シンクロ召喚! スターダスト・ドラゴン!」

 

スターダスト・ドラゴン ☆8 攻撃力2500

 

 星態龍に導かれるように飛翔するスターダスト・ドラゴン。また攻撃力が下がったとか言ってはいけない。

 

「オイオイ、この盤面、まさか・・・・・・」

 

 見慣れた盤面を目の当たりにし、アウラム同様冷や汗を流す孝之。

 

「復活の福音を発動!」

 

「やっぱかよ!」

 

 嫌な予感は的中し、星河のフェイバリットが登場する。

 

「逆巻く銀河よ、我が魂の竜に宿りて、その輝きを解放せよ! 銀河眼の光子竜!」

 

 星河が赤い十字架をフィールドに投擲すると、そこに小規模な銀河が出現し、竜の形を象る。

 

銀河眼の光子竜 ☆8 攻撃力3000

 

『私の出番か。星河の為、尽力を尽くそう』

 

「アストラムをリリースし、粘糸壊獣クモグスを特殊召喚する」

 

粘糸壊獣クモグス ☆7 攻撃力2400

 

 星河のフィールドに並ぶ、三体の龍。

 

 フィールドを離れる切り札(アウラム)

 

「双穹の騎士アストラムの効果で、星態龍をエクストラデッキに戻すくらいは足掻くけども・・・・・・キツいねぇ」

 

 思わず呟いた孝之の一言に、星態龍をエクストラデッキに戻しながらアウラムが言う。

 

『ゴメンね、主さん。僕は壁にもなれないみたいだ』

 

 主が自分の姿をみることができないにも関わらず、健気に尽くすアウラム。墓地でイヴとニンギルスも頷く。

 

「・・・・・・ありがとな」

 

 ふと、孝之が何気なく呟いた。

 

 それは、ただ何となく口に出しただけだったかもしれない。

 

 ただの偶然かもしれない。

 

 それでも、彼の精霊達は。

 

『・・・・・・! どういたしまして!!』

 

『うん、こちらこそ!』

 

『主の為だからな。当然だ』

 

 そして、星河(対戦相手)は。

 

(・・・・・・凄いやりにくい)

 

『マァマァ、少シクライイインジャナイノカ?』

 

『先ほどの彼らへの無礼は、これで相殺しよう』

 

『ぅ、ぅうっ、な、泣いてなんかないんだからねっ!』

 

 渋い顔をする星河と、彼らを見守る精霊達。何だかんだ言って待っている星河も、優しさを隠し切れていない。

 

(・・・・・・うん、いい話なんだけどさ♪ 日常パートでやられると、反応に困るっていうか、何というか)

 

 息吹も感動してはいるのだが、ただのデュエルでこれをやられては困惑するしかない。

 

「えーと、何でデュエルを中断してるんだ? 何か不具合でもあったのか?」

 

 そして、空気を読めないウサギが一匹。

 

「・・・・・・すまない。伏せカードが何かを考えていた。デュエルを再開しよう」

 

 しっかりとフォローし、デュエルを続ける星河。アウラム達も墓地からフィールドに向き直る。

 

「バトルだ。銀河眼の光子竜でクモグスに攻撃。破滅のフォトン・ストリーム!」

 

瑞浪孝之

LP8000→7400

 

 フォトンのブレスを受け、孝之のライフが削られる。

 

「スターダスト・ドラゴンで攻撃!」

 

「受けるわな」

 

瑞浪孝之

LP7400→4900

 

「ハリファイバーで攻撃」

 

「そいつももらおう」

 

瑞浪孝之

LP4900→3400

 

「・・・・・・ターンエンド」

 

銀星河

LP4000 手札0

場 エクストラ:水晶機巧ーハリファイバー メイン:銀河眼の光子竜 スターダスト・ドラゴン

 

「ふいー、何とか生き延びたな。オレのターン」

 

 カードを引き、そのまま発動する孝之。

 

「トップ強いな、何でだろ。貪欲な壺を発動するぜい。墓地の星杯に誘われし者を二枚、星杯に選ばれし者、星杯を戴く巫女、ドラコネットをデッキに戻して、二枚ドロー!」

 

 ドローしたカードを見るなり、驚いた顔をする孝之。しかし、直後に満面の笑みへと変わる。

 

「何か、今調子いいみたいだわ。レスキューラビットを召喚!」

 

レスキューラビット ☆4 攻撃力300

 

 龍が睨みを利かせるフィールドに現れたのは、心ピョンピョンうさぎさん。

 

「・・・・・・(オレ)、まだ使われてたんだな」

 

 喜びの前に驚きを感じたのか、遊兎が呆然としながら呟いた。

 

「んー? そだよー♪ 何々、そんなこと悩んでたの?」

 

「う、うるせぇ!」

 

 そんな彼を息吹はからかい、遊兎はそっぽを向く。

 

(ま、これで悩みが無くなって、デュエルに集中できるなら安いものでしょ♪)

 

 遊兎にからかうような目を向けながら、心の中で息吹は安堵する。

 

「レスキューラビットの効果発動! デッキから、星杯に誘われし者二体を特殊召喚!」

 

星杯に誘われし者 ☆4 攻撃力1800

 

 ニンギルスがフィールドにハリボテを抱えながら現れる。

 

「開けサーキット。オレは星杯に誘われし者をリンクマーカーにセット。リンク・スパイダー、出てこいやぁ!」

 

リンク・スパイダー link1 攻撃力1000

 

 ハリボテが吸収され、掛け声と共に機械のクモが現れる。クモグスを使った星河への当てつけ、という意味ではない。

 

「効果で、手札の星杯に誘われし者を特殊召喚!」

 

星杯に誘われし者 ☆4 攻撃力1800

 

 ハリボテが門に吸いこまえて安堵していたニンギルスだったが、第二のハリボテを設置することになった。

 

「そして、二体の星杯に誘われし者で、オーバーレイ!」

 

『くっ、まだハリボテの用意ができていないというのに・・・・・・』

 

 設置中のハリボテを抱え、黒い渦へと飛び込むニンギルス。せわしない。

 

「禁止になった守護龍よ、今姿を変え、世界(レギュレーション)の壁をぶち壊せ! エクシーズ召喚! ファイアウォール・X・ドラゴン!」

 

ファイアウォール・X・ドラゴン ★4 攻撃力2500

 

 規制という名の()を受けた龍が、姿を変え、召喚法を変え、フィールドに君臨する。

 

「ファイアウォール・X・ドラゴンの効果発動! オーバーレイユニットを二つ使い、墓地のサイバース族リンク4モンスターを、このモンスターとリンク状態となるように特殊召喚する! 蘇れ、双穹の騎士アストラム!」

 

双穹の騎士アストラム link4 攻撃力3000

 

『まさか、復活できるとは思わなかったよ』

 

 ボロボロの鎧と武器を身に纏い、再び主の為に立ち上がるアウラム。

 

「ファイアウォール・X・ドラゴンの攻撃力は、リンクしているリンクモンスターのリンクマーカーの数だけアップする」

 

ファイアウォール・X・ドラゴン 攻撃力2500→5000

 

「バトルだ。ファイアウォール・X・ドラゴンで、スターダスト・ドラゴンに攻撃!」

 

「なら、ハリファイバーの効果発動だ。除外して、フォーミュラ・シンクロンをシンクロ召喚扱いとして特殊召喚」

 

フォーミュラ・シンクロン ☆2 チューナー 守備力1500

 

「効果で一枚ドローする」

 

「問題ない、攻撃続行だ!」

 

 何か引けないかとハリファイバーを使う星河だが、反撃できるようなカードはドローできなかった。

 

「くっ」

 

銀星河

LP4000→1500

 

「これで終わりだ! 双穹の騎士アストラムで、銀河眼の光子竜に攻撃! デュアル・バニッシュ!」

 

 アウラムの剣が光輝き、鋭さを増していく。

 

『僕が特殊召喚されたモンスターと戦闘する時、僕の攻撃力は、そのモンスターの分アップするよ』

 

双穹の騎士アストラム 攻撃力3000→6000

 

 アウラムの剣が、フォトンを斬り裂く。

 

『ふっ、見事だ』

 

銀星河

LP1500→0

 

「だー、疲れた! それにしても、何で急にドロー運が上がったんだろ?」

 

 孝之は自分のデュエルディスクに目を落とす。

 

 最後のターンのドローは、状況を覆し、そのターンで決めきるのには最適なカードだった。

 今までに、こんな風にドローできたことはない。

 

(・・・・・・ま、いっか)

 

 彼は知りようもないことだが、彼が精霊達と無意識に心を通わせたことで、精霊達の力が強まった結果だ。

 

「息吹、次はお前か? ならどくぞ、孝之」

 

 孝之に移動を促してから、星河は最後にドローしたカードを見つめる。

 

(お前か、エクゾディア)

 

『悪い。星河が負けそうだな、と思ったら、つい』

 

 彼の持つ悪霊のカード、エクゾディア。

 尤も、普通の悪霊のカードとは異なり、悪さもしなければ、人に害をなすこともない。

 

 このエクゾディアには、悪霊を元の精霊に戻す能力がある。悪霊に溜まった悪意を、自分の中に封印することで、悪霊を正常な精霊に戻すことができるのだ。その副作用で、自分自身も悪霊になってしまったのだが。

 

『いやー、すまんすまん。次のターンになればドローコンボでオレが揃ったのになぁ』

 

(タラレバを語っても意味はないぞ。俺は負けた、それで終わりだ)

 

 まだ何か言いたげなエクゾディアをデッキに押し戻す星河。

 

 丁度そのタイミングで、ワンキル・ソリティア研究会の部室の扉が開かれた。

 

「ごめん、龍塚くん。授業が長引いちゃって」

 

 入って来たのは、我らが脳筋、遊民 戦。昼休みのメッセージの内容は、放課後にここに来ること。

 

「いいっていいって。じゃ、早速遊兎とデュエルしてくれる?」

 

 そして、遊兎とデュエルすることだ。

 

「・・・・・・あ? 今度は誰だよ、って御前(オマエ)、ハンバーガー屋の!」

 

「え? ・・・・・・誰?」

 

 戦を見て指差す遊兎と、完全に忘れている戦。

 

 彼らの再会は、なんとも締まらない形となった。




デュエル描写が長い。これで3ターン。


オマケ
孝之「今日の最強カードは、これっ!」

ファイアウォール・X・ドラゴン

孝之「ファイアウォール・X・ドラゴン! 何か禁止になったと思ったら、脳筋になって帰ってきました!」
星河「・・・・・・何だこのコーナー」
孝之「いいじゃん、銀河眼の光子竜も出るかもよ?」
星河「いいだろう。付き合ってやる」
孝之「切り替え早っ! まぁ、続くかどうかもわかんないんだけどね」
星河「何っ!?」
孝之「それではまた次回!」
星河「ところで、最後の伏せカードは何だったんだ?」
孝之「ブラフの星遺物に蠢く罠ですぞ」
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