遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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大変長らくお待たせいたしました。

しばらく投稿できずにスミマセンでした。

デュエル回です。


幕間:星河の1日

『・・・・・・はぁ』

 

 部屋の隅で、黒い巨人が体育座りをしながら今日何度目かわからないため息をつく。

 

「どうしたんだ、あれは」

 

 青い髪と不思議な色の瞳を持つ青年が、朝食の準備をしている女性に訊くと、女性は青年と同じ輝きを持つ瞳で答える。

 

「何でも、作者が中古屋の100円ストレージで見つけちゃったらしいのよ、守護神エクゾディアのカード」

 

「・・・・・・そうか」

 

 女性の答えに対し、自分のことも思い出したのか、青年は渋い顔をする。

 

『タキオンはいいよなぁ、ストレージに入ったことなんてないだろう』

 

 その巨人―――エクゾディアは、少しげんなりした表情で告げる。

 

「そうね。この前再録されたけど、むしろそっちの方が高いもの」

 

 黒髪をかきあげながら、女性―――タキオンが告げると、

 

「だが、その分色んな人に使われるということだと私は思う。現に私はノーマルカードになって、様々な人の手に渡っている。」

 

 青年―――フォトンは顎に手を当て、言葉を選ぶように言う。

 

『何だ、慰めてくれんのか?』

 

 少し嬉しそうなエクゾディアに、フォトンは首を左右に振って答える。

 

「いや、星河の言葉を借りただけだ。私もストレージに落ちた時は少ないからずショックを受けたからな」

 

 そこで、タキオンが自分たちの主の不在に違和感を覚え、フォトンに視線を向ける。

 

「星河はどうしたのかしら。冥と魔導院は地下でしょうけど」

 

「そうだな・・・・・・少し様子を見てくる」

 

 フォトンはそう言って、部屋を出て、階段を上がる。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ねぇ、どいてくれないかしら。掃除ができないのだけれど」

 

 星河の家の、地下。

 

 メイド服を着た黒髪巨乳の少女が告げると、その視線の先で影がもぞりと動く。

 

「もう少し待ってくれませんか? 丁度研究が終わりそうなんです」

 

 パソコンに向き合ってキーボードを打ち込み、プリンターから資料を吐き出すのは、魔導院。以前は悪役だったが、今ではただのニートな研究者だ。

 

「早くしないと、私の朝ご飯がなくなっちゃうんだけど。魔導院の巻き添えを食らうのは嫌だわ」

 

 箒を支えに脱力する少女は、冥。混沌帝龍の精霊であり、なんやかんやあって、魔導院と共に星河の精霊となった。

 

「いいんですか? これは星河の能力をカード化する研究ですよ?」

 

「早く完成させて、魔導院。私も星河のスペックについては気になってるんだから」

 

 あまりに早い変わり身に、魔導院はため息をつきたくなる。

 

(以前は様付きで呼んでくれていたんですがね・・・・・・どこで間違えたのでしょう)

 

 自分の行ってきた数々の悪行(洗脳、殺人、ゾンビ化、少女誘拐未遂)を棚に上げ、魔導院は心の中で肩をすくめる。

 

 そして、エンターキーを叩くと、一枚のカードが画面に表示される。

 

「さて、出来ましたよ。星河のカードが」

 

「え、ちょっと、見せて!」

 

 

星河龍(セイガリュウ) グラン・ギャラクシアス

 

★10 光属性 ドラゴン族 攻撃力4500 守備力4000

エクシーズ・効果

 

レベル10モンスター×5

このカードは自分フィールドのランク8以上の「ギャラクシー」エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚することもできる。その場合、そのモンスターの「エクシーズ素材にできない」効果は適用しないものとする。

このカードはエクシーズ召喚及びこのカードの効果でしか特殊召喚できない。

このカードはルール上、カード名に「フォトン」「サイファー」「ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン」を含むものとする。

「星河龍 グラン・ギャラクシアス」の②、③の効果は1ターンに一度しか発動できない。

①このカードは相手の効果を受けず、相手によってリリースされず、相手はこのカード以外のモンスターを攻撃対象にできない。

②このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。その相手モンスターとこのカードを除外する。この効果に対し、相手は効果を発動することができない。

③このカードが除外された時に発動できる。このカードを特殊召喚する。エクシーズ素材を持ったこのカードが除外されていた場合、その数×500ポイント攻撃力をアップする。

④このカードが破壊された場合に発動できる。墓地のモンスター一体を特殊召喚する。

⑤自分フィールドのモンスターの攻撃力は、自分の墓地の光属性モンスターの数×200アップする。

 

 

「「・・・・・・うわぁ」」

 

 何とも言えない顔になり、画面を呆然と見つめる二人。あえてその心境を語るなら、「アイツ本当に人間か」といったところだろう。

 

「星河って、結構人外だったのね。どうなってるのかしら」

 

「いや、このカードは星河がフォトンとタキオン、星龍態、エクゾディアと合体した状態のステータスです。流石に常にコレはないでしょう」

 

 そんな奴がいてたまるか、と言外に示唆する魔導院。

 

「・・・・・・そういえば、星態龍はどうしたの?」

 

 丁度出た名前に反応し、姿が見えないことを気にする冥。先程リビングでフォトンとタキオン、エクゾディアの姿は確認している。

 

「まだ寝ているのではないですか? 彼はどちらかというと夜型ですから」

 

「そうかもしれないわね。・・・・・・ところで魔導院、そろそろ本当にどいてくれないかしら。いい加減邪魔よ」

 

「・・・・・・はい」

 

 抵抗する材料のなくなった魔導院は、大人しく部屋から出た。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「星河? 入るぞ」

 

 ドアをノックし、星河の部屋に入るフォトン。

 

 そこには、机に突っ伏し、「止まるんじゃねぇぞ・・・・・・」のポーズをした星河がいた。

 

「星河!?」

 

 慌ててフォトンが駆け寄り、肩を揺する。

 

「星河、何があった!? 誰にやられた!?」

 

 取り乱しながらフォトンが問うと、星河はむくりと起き上がり、

 

「おはよう、フォトン」

 

 と、何もなかったかのように言った。

 

「・・・・・・」

 

「新レギュレーションでのワンキルやソリティアについて考えていたら、寝てしまったようだな」

 

 唖然とするフォトンをそっちのけで、星河は軽く伸びをする。

 

「そろそろ朝食の時間だな。下に行こう」

 

 椅子から腰を上げ、部屋を出る。

 

 フォトンは少し額に手を当て、ため息をつく。

 

「全く、星河の悪い癖だな」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 朝食を食べ終えた星河は、黒いロングコートに着替え、白いDホイールに跨がった。

 

『そうか。今日はセキュリティに顔を出す日だったな』

 

 竜の姿に戻ったフォトンが思い出したように呟くと、その隣で小さな赤い龍が声を出して笑った。

 

『ゲギャギャギャ。オマエ、トウトウボケタカ? 最近物忘レガ酷イゾ』

 

 からかうように言うその龍を、フォトンは軽く掴み、冷ややかな目で睥睨する。

 

『私が年寄りだと言いたいのか?』

 

 しかし、その龍はまるで動じずに笑う。

 

『オイオイ、攻撃力ハオレサマノ方ガ上ダゾ? マルデ効カナイナ』

 

 そう、この龍は星態龍。あまりに体が大きいため、普段はデフォルメ状態で過ごしている。

 

「今日は何か連絡があるらしい。直接会う程のことだ、恐らく重要なことだろう」

 

 その言葉を聞き、三体の精霊は気を引き締める。冥と魔導院は留守番、エクゾディアは星河の中だ。

 

「行くぞ」

 

 そう精霊たちに告げると、星河はDホイールを発進させた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 星河が向かったのは、アベシ郊外にあるスタジアムだ。閉鎖され、現在はセキュリティの訓練施設の一つになっている。

 

「来たか、銀。待っていたぞ」

 

「・・・・・・予定の十分前なのですが、何故待たれているのでしょうか。濱野さん」

 

 スタジアムに入った星河を待ち構えていたのは、濱野 秀夫(はまの ひでお)。セキュリティの隊員で、星河の上司だ。

 

「何、お前なら一時間前にでも来そうだったからな。昨日からここに泊まった!」

 

 ガハハと笑う秀夫に、星河は呆れたような視線を向ける。

 

「それで、俺への用事というのは? こちらは休暇中に呼び出しを食らっている身なのですが」

 

 星河はセキュリティだが、現在休暇中だ。そのため、デュエルスクールに通うことができている。

 デュエルスクールに入学する前は、セキュリティの養成学校に通い、力を付けてきた。

 

「お前に上からの指令だ。デュエルスクールを卒業した後、こことは別の支部に行って欲しいという、な」

 

「それは・・・・・・左遷、ということですか」

 

 流石に三年も休暇をとるのはやり過ぎたか、と星河は過去を思い返すが、二年の途中で一度出張があったことを思い出し、自分に非がないことを確認する。

 

「違うぞ。何でも、支部で異変があったらしくてな。セキュリティの中でも五本の指に入るお前が、左遷なんてされる訳がないだろう」

 

 秀夫はもう一度ガハハと笑ってから、本題に入る。

 

「オレはな、銀。お前の腕がなまっていないか心配なんだ」

 

「・・・・・・なるほど。つまり、デュエルですね」

 

 星河がDホイールから取り外しておいたデュエルディスクを腕に装着し、デッキをセットする。

 

「察しがいいな」

 

 秀夫もまた、ディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

銀星河

LP8000

 

濱野秀夫

LP8000

 

「俺の先攻。敬語は面倒なので省くぞ」

 

「いいぞ。デュエルの時は無礼講、それがセキュリティでの暗黙の了解だからな」

 

 セキュリティにおいて、求められるものは二つ。実力と実績だ。そのため、上司と部下という関係は、形式上のものでしかない。

 

「まずは手札一枚をコストに銀河戦士を特殊召喚。効果でデッキから銀河眼の光子竜を手札に加える」

 

銀河戦士 ☆5 守備力0

 

 星河の手札から白銀の鎧を纏った戦士が飛び出し、星河にフォトンのカードを献上する。

 

「トレード・インを発動。フォトンをコストに、二枚ドロー。更に、おろかな埋葬でジェット・シンクロンを墓地へ送り、手札一枚をコストに、墓地から特殊召喚する」

 

ジェット・シンクロン ☆1 チューナー 守備力0

 

「次だ、銀河騎士の効果発動。妥協召喚し、墓地の銀河眼の光子竜を特殊召喚する」

 

銀河騎士 ☆8 攻撃力1800

 

銀河眼の光子竜 ☆8 守備力2500

 

「なるほどな。つまり、リンク召喚か」

 

「わかっているならば言わなくていい。サーキットコンバイン。来い水晶機巧-ハリファイバー」

 

水晶機巧-ハリファイバー link2 攻撃力1500

 

 銀河騎士とジェット・シンクロンが門の中に入り、水晶の機械戦士へと姿を変える。

 

「ハリファイバーの効果でデッキからジャンク・チェンジャーを特殊召喚」

 

ジャンク・チェンジャー ☆3 チューナー 守備力900

 

「ほう、珍しいカードを入れているな」

 

「通常召喚権が余ることがあるからな。シンクロもエクシーズもできるので、試している」

 

 レベル変動によってスターダスト・ドラゴンやランク4エクシーズに繋げられ、スターダスト・チャージ・ウォリアーにもなれる。星態龍のシンクロ召喚も狙えるなど、星河のデッキとの相性は悪くないと言える。

 

「最後だ。ジャンク・チェンジャーで銀河戦士をチューニング」

 

3+5=8

 

「銀河を流れし星屑よ、大いなる星に導かれ、この世界へ舞い降りよ! シンクロ召喚! スターダスト・ドラゴン!」

 

スターダスト・ドラゴン ☆8 攻撃力2500

 

 舞うようにしてフィールドに現れる白銀の竜。フォトンと並ぶその姿は圧巻の一言に尽きる。

 

「ターンエンドだ」

 

銀星河

LP8000 手札2

場 エクストラ:水晶機巧-ハリファイバー メイン:銀河眼の光子竜 スターダスト・ドラゴン

 

「あれだけ展開して、まだ手札を残しているとはな。ドロー」

 

 秀夫はカードを引き、少し口角を上げると、そのままスタンバイフェイズを経由しメインフェイズに入る。

 

「お前のギャラクシーアイズとスターダストをリリースし、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを特殊召喚!」

 

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ☆8 攻撃力3000

 

「やはり握っていたか」

 

 フォトンとスターダストを溶かしながら自分の場に現れる溶岩魔神に、星河は舌打ちしたくなる。

 

 この溶岩はかなり熱いらしく、ハリファイバーが汗をかいている。

 

「更に、召集の聖刻印を発動! デッキから、聖刻竜-トフェニドラゴンを手札に加える」

 

 その動きを見て、星河は秀夫のフェイバリットがすでに手札にあることを察する。

 

「フィールド魔法、闇黒世界-シャドウ・ディストピア! 効果でお前のラヴァ・ゴーレムと、手札のトフェニをリリースし、DDD覇龍王ペンドラゴンを特殊召喚!」

 

DDD覇龍王ペンドラゴン ☆7 攻撃力2600

 

 闇の世界で溶岩魔神と聖なる竜が生け贄となり、覇龍王が召喚される。

 

「来たか、濱野さんのフェイバリット」

 

「おうよ! リリースされたトフェニの効果発動! デッキのガード・オブ・フレイムベルを特殊召喚」

 

ガード・オブ・フレイムベル ☆1 チューナー 守備力2000

 

「レベル1のチューナー、ということは・・・・・・」

 

「その通り、ガード・オブ・フレイムベルでペンドラゴンをチューニング!」

 

 フレイムベルの眷属が光の輪となり、覇龍王を包む。

 

1+7=8

 

「シンクロ召喚! DDD呪血王サイフリート!」

 

DDD呪血王サイフリート ☆8 攻撃力2800

 

 呪血王は剣を構え、星河と向き合う。

 

「行くぞ、バトルだ」

 

「バトルフェイズ開始時、ハリファイバーの効果発動。来いフォーミュラ・シンクロン」

 

フォーミュラ・シンクロン ☆2 チューナー 守備力1500

 

「効果で一枚ドローする」

 

「構わん、サイフリートで攻撃!」

 

 呪血王が剣を振るい、フォーミュラを撲殺する。血で剣が錆びていたようだ。

 

『撲殺トハナ、中々面白イ』

 

『・・・・・・そうか?』

 

 デフォルメ状態でゲラゲラ笑う星態龍に、フォトンは首を傾げる。

 

「オレはこれでターンエンドだ」

 

シャドウ・トークン ☆3 守備力1000

 

濱野秀夫

LP8000 手札2

場 エクストラ:DDD呪血王サイフリート メイン:シャドウ・トークン×2 フィールド:闇黒世界-シャドウ・ディストピア

 

「俺のターン。復活の福音を発動!」

 

「サイフリート!」

 

 星河の発動したカードはサイフリートの効果によって効果が無効となった。

 

「だが、これは囮だ。妨げられた壊獣の眠り、発動!」

 

「流石にそれは読めなかったな。通そう」

 

 サイフリートと影たちが地面の亀裂に落ち、代わりに三つ首の雷竜と海亀竜がそれぞれのフィールドに君臨する。

 

雷撃壊獣サンダー・ザ・キング ☆9 攻撃力3300

 

海亀壊獣ガメシエル ☆8 攻撃力2200

 

「ギャラクシーサーペントを召喚。そしてサンダー・ザ・キングをチューニング」

 

ギャラクシーサーペント ☆2 チューナー 攻撃力1000

 

2+9=11

 

「我が手に拍動せし大いなる銀河よ、この手を離れて全てを照らせ! シンクロ召喚! さあ、この世界に顕現せよ、星態龍!!!」

 

星態龍 ☆11 攻撃力3200

 

『サテ、暴レルトスルカ!』

 

 デフォルメ状態を解除し、その巨体を現す星態龍。これにはマッチポンプ役(ガメシエル)もビックリだ。

 

「バトルだ。星態龍でガメシエルを攻撃。スター・イーター!」

 

『コレデモ食ラッテナ!』

 

 星態龍が星の輝きを持つブレスを放ち、ガメシエルを消し飛ばす。

 

濱野秀夫

LP8000→7000

 

「ターンエンドだ」

 

銀星河

LP8000 手札1

場 エクストラ:星態龍

 

「どうやら、腕はなまってなさそうだな、銀」

 

「・・・・・・なら、デュエルは終わりか?」

 

 答えをわかっていながらも、星河は敢えて訊いた。

 

「そんな訳はないだろう。さっきのは口実で、オレがお前とデュエルしたかっただけだからな!」

 

「・・・・・・」

 

 否、わかっていなかった。星河の予想以上の答えだった。

 

「行くぞオレのターン。ドロー!」

 

 これで手札は三枚。手札の少ない星河は少し警戒するが、秀夫のデッキならばこのターンにやられる可能性は低いだろうと見積もる。

 

「DD魔導賢者ケプラーを召喚し、効果で地獄門の契約書を手札に加え、発動! 効果でDDラミアを手札に加え、ラミアとお前の星態龍をリリースしペンドラゴンを特殊召喚! 更に、ケプラーでリンクリボーをリンク召喚!」

 

DDD覇龍王ペンドラゴン ☆7 攻撃力2600

 

リンクリボー link1 攻撃力300

 

 目まぐるしいDDムーヴの最中、星態龍が『ドウヤラ、オレサマハココマデノヨウダ・・・・・・』とリリースされ、フォトンとタキオンが敬礼を送る。そして現れたペンドラゴンにビシッと親指を下す。

 

(何をアホなことをしている)

 

 星河が心の中で告げると、二体の竜は少し動揺する。

 

『いや、これはだな・・・・・・』

 

『か、身体が勝手に動いたのよ! 私は悪くないわ!』

 

 二体の言い訳に、星河は軽く溜め息をつき、

 

(やるならとことんやれ。俺も便乗するから)

 

 と、いつも通り悪ノリする気満々だった。

 

「バトルだ。行け、ペンドラゴン!」

 

「チッ、ライフで受ける」

 

 違うカードゲームのセリフを使いながら、ペンドラゴンのブレスを受ける。

 

銀星河

LP8000→5400

 

「続け、リンクリボー!」

 

「同じくライフだ」

 

 リンクリボーの体当たり。効果は抜群だ! などの表示は出ないか一瞬期待する星河だったがそんなことはなかった。

 

銀星河

LP5400→5100

 

「オレはこれでターンエンド。さて、どう出る?」

 

シャドウ・トークン ☆3 守備力1000

 

濱野秀夫

LP7000 手札1

場 エクストラ:リンクリボー メイン:DDD覇龍王ペンドラゴン シャドウ・トークン×2 フィールド:闇黒世界-シャドウ・ディストピア

 

「・・・・・・俺のターン、ドロー」

 

 デッキからカードを引き抜き、確認する。

 

「銀河天翔! 羽ばたけ、フォトン! 銀河剣聖!」

 

銀星河

LP5100→3100

 

銀河眼の光子竜 ☆8 守備力2500

 

銀河剣聖 ☆8 守備力0

 

 星河のライフを糧とし、墓地のフォトンが羽ばたく。そしてそれに追従するように銀河剣聖が剣を掲げる。

 

『さて、私の出番・・・・・・と言いたいところだが、』

 

 フォトンはチラリと星河の後ろにいるタキオンに目を向ける。

 

『星河。タキオンが最近、出番が少ないと騒いでうるさいのだが、どうするべきだろうか?』

 

『なっ!』

 

 突然文句を言われたタキオンが物申そうとすると、その前に星河が告げる。

 

「そうか。なら、活躍させないとな」

 

 星河が腕を正面の向け、黒い渦を出現させる。

 

「フォトンと銀河剣聖でオーバーレイ!」

 

 二体のモンスターは光点となって渦に呑まれる。

 

「渦巻く銀河よ、時を超え空を超え時空を超え、我が僕の瞳に宿れ! エクシーズ召喚! No.107銀河眼の時空竜!」

 

No.107銀河眼の時空竜 ★8 攻撃力

 

『・・・・・・本当に久しぶりの出番ね』

 

 喜びよりも先に驚きを感じたらしいタキオンは、戦場の空気を噛み締めるようにゆっくりと腕を動かす。

 

「バトルだ。タキオンの効果発動! オーバーレイユニットを一つ取り除き、フィールドのモンスターの効果を無効にする!」

 

『跪きなさい!』

 

 タキオンが咆哮すると、リンクリボーとペンドラゴンが地に伏せる。

 

「行くぞ。タキオンでリンクリボーに攻撃! 時空のタキオン・ストリーム!」

 

 タキオンのブレスから逃れようとリンクリボーがもがくが、咆哮による重圧で地面に抑えつけられ、モロに食らう。

 

濱野秀夫

LP7000→4300

 

「これでターンエンド」

 

銀星河

LP3100 手札1

場 エクストラ:No.107銀河眼の時空竜

 

「ふむ、オレのターン」

 

 カードを引き抜き、フィールドを見る。

 

「スタンバイフェイズ、地獄門の契約書の効果でダメージを受ける。だが、それにチェーンして手札のDDD反骨王レオニダスの効果発動! このカードを特殊召喚し、受けたダメージ分のライフを回復する!」

 

濱野秀夫

LP4300→3300→4300

 

DDD反骨王レオニダス ☆7 攻撃力2600

 

 自作自演のダメージコンボを作り出した秀夫はニヤリと笑う。

 

「墓地のDDラミアの効果発動! 地獄門の契約書を墓地へ送り、特殊召喚!」

 

DDラミア ☆1 チューナー 守備力1900

 

 契約書をベシンと叩いてどかしながら、ラミアがフィールドに座る。

 

「チューナーとそれ以外のモンスター・・・・・・来るか」

 

「おうよ! DDラミアでDDD反骨王レオニダスをチューニング! シンクロ召喚、出でよ、覇王眷竜クリアウィング!」

 

覇王眷竜クリアウィング ☆8 攻撃力2500

 

 ラミアがレオニダスを叩いてチューニングし、闇へ堕ちた白銀の竜が飛翔する。

 

「クリアウィングの効果発動! 相手フィールドのモンスター全てを破壊する!」

 

「手札からトラップ発動! タキオン・トランスミグレイション! クリアウィングの効果を無効にし、デッキに戻す!」

 

『吹き飛びなさい!』

 

 タキオンが全身から光の波動を放ち、クリアウィングを吹き飛ばす(エクストラデッキに戻す)

 

「くっ、ならばペンドラゴンの効果発動! 手札を一枚捨て、攻撃力を500アップ! エクスカルペイト・チャージャー!」

 

DDD覇龍王ペンドラゴン 攻撃力2600→3100

 

 ペンドラゴンの周りをオーラが漂い、力を増す。

 

「バトルだ。ペンドラゴンでタキオンドラゴンを攻撃!」

 

 ペンドラゴンの周りを漂うオーラが収束し、ブレスに重なって放出される。

 

銀星河

LP3100→3000

 

 シャドウ・トークンでは反撃された時のダメージが大きいので攻撃しない。

 

「これでターン終了。お前のターンだ」

 

濱野秀夫

LP4300 手札0

場 メイン:DDD覇龍王ペンドラゴン シャドウ・トークン×2 フィールド:闇黒世界-シャドウ・ディストピア

 

 どう巻き返すか、試すように星河を見る秀夫。その視線を感じながらも反応はせず、星河はカードを引く。

 

「俺のターン。貪欲な壺を発動! ジャンク・チェンジャー、銀河戦士、銀河騎士、フォトン、タキオンをデッキに戻し、二枚ドロー!」

 

 引いたカードを見つめ、少し考える星河。

 

「復活の福音、死者蘇生! 蘇れ、スターダスト・ドラゴン! フォーミュラ・シンクロン!」

 

スターダスト・ドラゴン ☆8 守備力2000

 

フォーミュラ・シンクロン ☆2 チューナー 守備力1500

 

「フォーミュラ・シンクロンでスターダスト・ドラゴンをチューニング!」

 

2+8=10

 

「集いし星屑の輝きが、天に流れる流星となる! アクセルシンクロ! シューティング・スター・ドラゴン!」

 

シューティング・スター・ドラゴン ☆10 攻撃力3300

 

「ッ! だが、五枚めくれない限り、オレがこのターン負けることはないッ!」

 

「濱野さん」

 

 チッチッチ、と星河は指を振り、続ける。

 

「それは、フラグだ」

 

 星河がデッキの上からカードを五枚引き抜く。

 

「亡龍の旋律-デストルドー、ジャンク・チェンジャー、ジェット・シンクロン、デブリ・ドラゴン、ギャラクシーサーペント! これにより、シューティング・スター・ドラゴンは五回攻撃が可能ッ!」

 

 流星の輝きを纏い、白銀の決闘竜が飛翔する。

 

「バトルだ! シューティング・スター・ドラゴン、グォレンダァ!」

 

「うのわああぁあ!」

 

濱野秀夫

LP4300→3700→400→0

 

 ふぅ、とやり切った感で額の汗を拭う星河。

 

『ちょっと! 私、フィニッシャーになってないじゃない!』

 

『落ち着け、タキオン。流石に今回は仕方ないだろう』

 

『ゲギャギャギャギャ! オマエノ負ケダナ、タキオン』

 

 星態龍の発した『負け』という言葉に、タキオンはピクリと反応する。

 

『負け・・・・・・? 私の、敗北ですって・・・・・・』

 

(あ、おい星態龍。何地雷を踏み抜いているんだ! 後で大変なんだぞ!?)

 

『(すねたタキオンを慰めるのは結構面倒なんだぞ!? 何てことをしてくれるんだ)』

 

『(ア、マズイ)』

 

 冷や汗を流しながら星河たちがアイコンタクトで会話していると、

 

『う、うわぁぁあん! e・ロえも~ん!』

 

 と何処かへ飛び去ってしまった。恐らくは酒場。

 

『・・・・・・どうするか』

 

『イヤ、ドウスレバイインダコレ。モウオレサマノ手ニハ負エナイ。後ハ頼ンダ、星河』

 

「いや、おい」

 

『クハハハハ! やっぱり星河の中は面白いことだらけだな』

 

(お前が締めるのか、エクゾディア)

 

『いや、何か忘れられてそうでな』

 

 精霊たちとそんなやり取りをしながら、星河はDホイールに跨がった。




―言い訳―

いえ、私も忙しかったんです。高校の入学許可候補者説明会とかデュエルリンクスとか中古屋で買ったWiiの遊戯王ゲームとかアンデットでソリティアしたりとか高校の課題とかpixivで擬人化ドラゴンイラスト漁ったりとか。ん? 何か一部おかしい気が。

二つ目の幕間は半分ほど書けているので、次回までにはそんなに間が空かない予定です。

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