遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
本当は遊兎のデュエル回を入れようと思ったのですが、没になったので別の話。
デュエルなしです。
「ふぁああ、眠ぃ」
背中を岩に預け、青い鎧を身にまとった騎士は欠伸をする。
「ドラゴエクィテス。最近出番がないからといって、弛んでいるぞ」
そう告げるのは、この場所の主、レヴだ。
ここは、遊羽のデッキの『竜の渓谷』の中だ。レヴがカードの外に出ることのできない下位精霊のために作った場所で、遊羽のデッキのモンスターたちはデュエルがないときは殆どここにいる。
「レヴ様ー、新入りを連れてきたぞー」
どこからか飛んできたのはドラグニティ-ジャベリン。その後ろにいるのは、一人の剣士と一匹の竜だ。
「君がバスター・ブレイダーか。伝説のデュエリストの僕と共に戦えること、嬉しく思う」
バスター・ブレイダーにレヴが手を差し出すと、バスター・ブレイダーはその手を握り返す。
「あぁ。俺もこんなのどかな場所に来れて嬉しいよ」
デュエル中とは打って変わって穏やかな雰囲気のバスター・ブレイダーに、レヴは首を傾げる。
「いえ、すみません。ブレイダーはデュエルになると人が変わってしまうんです」
すると、彼の足元から少年のような声が返ってきた。
「君は、破壊剣の伴竜か」
「はい。バスター・ブレイダーのお供、後のバスター・ドラゴン。気軽に伴竜とでも呼んでください」
どこかインテリ系の雰囲気を漂わせるその子竜はえっへんと胸を張ると、バスター・ブレイダーの肩に登る。
「というわけだ。暫く厄介になる」
「ああ、宜しく頼む。早速だが、この渓谷内を案内しよう。付いて来てくれ」
「了解だ。俺のことはブレイダーでいい」
「わかった。私もレヴで構わない」
そう名乗り合い、レヴは歩き始める。
二人と一匹が去ったのを見届けると、ドラゴエクィテスは一度伸びをした。
「くぁああ、もう一眠りするか」
「エクィテス、おめーはいつまで寝てる気だ。門番なんだからしっかり働け」
ジャベリンは白い目を向けるが、ドラゴエクィテスは気にせず微睡む。
「はー、またか。しゃーない、おれが代わりに見張っとくか。どーせ何もないだろうけどな」
ーーーーーーーーーー
少し歩くと、岩で出来た一件の建物が見えてくる。
「ここはカフェテリアになっている。ウィンドウィッチたちが働いてくれている」
「いらっしゃーい! 新入りさんかしら?」
店内から出てきたのはアイス・ベル。早速ブレイダーにトリシューラパフェをご馳走している。
「おや、こんな可愛い子も来たんですか。主にしては珍しいですね」
ブレイダーの肩にいる伴竜を撫でながら声を掛けるのはグラス・ベル。
「初めまして、破壊剣の伴竜です。伴竜とでも呼んでください」
「はぁ、どうも。グラス・ベルです。それで、あっちがスノウ・ベル」
グラス・ベルが手で示した先では、スノウ・ベルが体を揺らして音を奏でていた。
「~~♪ ~~~~~♪」
曲が終わると、それを聞いていたドゥクス、プリムスピルスが拍手を送る。
「いやー、これで明日も頑張れそうだわ。ありがと」
「ま、オレは多分出番ないけどな。デッキにも入ってないし」
ドゥクスがスノウ・ベルに手を振りながら飛び立ち、プリムスピルスが後に続く。
「・・・・・・済まないな、ここは鳥獣族やドラゴン族が住むように作ったから、戦士族の君には少し住みづらいかもしれない」
その様子を見ていたブレイダーにレヴが申し訳なさそうに言うと、ブレイダーは手を振って否定する。
「大丈夫だよ。崖くらい登れないと、ドラゴンは殺せないし。特訓と思えば丁度いい」
爽やかな笑みと共に聞こえた物騒な言葉に、レヴは苦笑したきりだ。
「すみません、多分滅多なことがない限りは大丈夫ですので」
伴竜が一応の弁明をするが、レヴの苦笑は消えないままだ。ただ、その原因は別にあるのだが。
「ドラゴン殺しの剣士だって! 私たち魔法使い族で良かったー!」
「シッ、聞こえますよ。それと、隣のあの竜、敵をドラゴンに変えるらしいです。気をつけましょう」
「うん、そうだね!」
「~~♪」
同意するようにスノウ・ベルが音を奏でる。
「ああ、気にしないでくれ。慣れてるからな、こういうの」
ブレイダーは言葉通り気にした様子もなくパフェを頬張る。
「いや、そこではなくてな。これは彼女たちなりの挨拶なんだ。この程度の毒舌に耐えられなければ、デュエルでも役に立たないだろう、というな」
レヴがそう言うと、ブレイダーはなるほど、と頷いただけでパフェを食べ続ける。
「・・・・・・甘党なのか?」
「実は、かなり」
そうか、というレヴの応答に反応することもなく、パフェをがっつくブレイダー。伴竜は退屈になったようでグラス・ベルと戯れている。
「ごろにゃーん」
「おや、猫の竜ですか? 兎の竜は聞いたことがありますが、珍しいですね。記念に撫でておきましょう」
「気安く触るとヤケドするよ? なんてね」
「そうですか。では一度冷やしてから触りましょうか。-273度くらいまで」
「それ絶対零度だよね。冷やすどころか氷付けだよね」
「竜の氷像、中々絵になると思いませんか?」
「うん。ただそれをボクでやろうとしないでくれない?」
相性はいいようで、仲良くなれそうな雰囲気だ。
「おかわりはしてもいいのか?」
「・・・・・・そろそろ、他も回りたいのだが」
二杯目に行こうとしたブレイダーの肩をレヴが掴む。
「またのご来店、お待ちしてまーす!」
「待ってます」
「~~♪」
大きく両腕を振るアイス・ベルと、小さく右手を振るグラス・ベル。体を揺らすスノウ・ベル。彼女らに見送られ、レヴは次の場所へ進む。
ーーーーーーーーーー
「ここは、修練所だ。体を動かしたい時などは、ここに来るといい」
次にレヴたちが訪れたのは、大きく地面が穿たれたクレーター。修練所だというそこでは、ガンドラXがレダメとダークマターにボコられていた。
「テメーのせいで禁止になっちまったじゃねーかー!」
ブレス。
「闇のカードでオリジナルのナンバーズっていう設定どうしてくれるんだ!」
闇の球体による打撃。
「つうか守護竜が悪いんだー! 何であんなバカ共を作ったコンマイー!」
翼による斬撃。
「あー! ごめんなさい攻撃しないでください! 痛、ちょっ、やめっ…ヤメロォー!!」
最後は確実に八つ当たりだろ、とレヴが心の中で呟いくと、彼の隣でブレイダーが震える。
「? ブレイダー?」
ブレイダーはカッと目を見開くと、剣を構え、叫ぶ。
「ドラゴンだ!! ドラゴンだろう!? なあ、ドラゴンだろうおまえ首置いてけ!! なあ!!!」
そう言うが早いか突っ込み、三体の竜相手に互角以上の戦いを繰り広げる。
レヴが唖然としていると、足元の伴竜がヤレヤレというように肩をすくめた。
「ブレイダー、戦いになるとああなっちゃうんです。気をつけてくださいね」
「・・・・・・いや、あれは戦い以前の問題の気がするのだが」
レヴの心境などお構いなしに、戦いは激化する。
「首、置いてけ!」
「やめてランボーにする気でしょ!! サティスファクションタウン編みたいにサティスファクションタウン編みたいに!!」
「やめろー! こんなの
「ま、待て! 待ってくれ! オレには家で待っている子供がいるんだ!」
「お前それ黒竜の雛か? 別個体だろ」
「DA☆MA☆RE! もしかしたら同情とか・・・・・・あ、ないですねーはい」
「首落ちて死ね!」
どこからか集まって来た他のドラゴンも混じりながらドッカンバッコンとクレーターの中にクレーターを作り繰り広げられる戦いに、レヴはどう収拾をつけようかと思案するが、数秒で思考を放棄した。
「助けて元祖!」
「そんな効果に釣らレッドー」
「オラオラオラ!」
「イイッ↑タイ↓
「月島流、富嶽鉄槌割り!」
「ぐはぁあ!」
「レ、レダメダイーン!」
「切腹丸・・・・・・あいつは人の話を聞かなかったからな。まぁ良い奴だったよ」
「闇魔法、闇纏い・次元斬!」
「待て、ウィザードバスターブレードって魔法使えるのか!?」
「言ってる場合か!?」
「花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う『花天狂骨』」
「卍解だと!?」
「いや、あれ始解じゃね?」
「そっちでもいいから逃ゲルォ!」
お茶を飲み出したレヴをそっちのけでブレイダーがドラゴンたちを斬り裂いていく。が、ドラゴンたちも負けじと攻撃を仕掛け、ブレイダーもかなりの傷を負っている。
「レヴ様ー、デュエルが始めるみたいですよー」
「そうか。ならば、今回は私達で戦おう」
飛んで来たドラグニティ-パルチザンからのメッセージに、レヴは翼を広げる。
「あれー、どうしますー?」
パルチザンの目線の先では、ブレイダーvsドラゴンズという戦いが未だに繰り広げられていた。
「・・・・・・放っておこう。下手に仲裁に入ると、私達ドラゴン族では返り討ちに合う可能性が高い」
「そうですねー」
そして、レヴは飛び立ち、デュエルへと向かった。
遊羽のデッキ内の『竜の渓谷』は、今日も平和だった。
平和だった!
こちら、せっかく描いたのに前回出し忘れたデフォルメ星態龍です。
【挿絵表示】
うーむ、前回よりはマシ・・・・・・かな?
はい、次回からようやく四章です。ええ本当に。
これにもワケがありまして(以下言い訳)
アニメ見て面白そうだと思ったので『境界線上のホライゾン』を四巻くらいまで買って読んで、そうしたら書いている途中だった遊兎の話のアイデアが激流葬されまして。(読み終わるまでにもかなり時間がかかり)
仕方がないのでWiiの遊戯王をやってダークダイブボンバーと王宮の鉄壁、ボルトヘッジホッグ+チューナーというコンボにどっぷりハマり、抜け出すのに時間がかかり。
よし書くぞと一念発起すれば人生初の花粉症というものにかかりまして。何ですかアレ最悪ですね。今まで花粉症で苦しんでいた方々に敬礼を送ります。
そうしてやっていなかった高校の課題に追われ。
ようやく投稿するに至ったというワケです。
あ、ホライゾンでは鈴が好きです。このSSが終わって次回作とか書くことになったら高確率で目隠れキャラが出ます。
以上、見苦しい言い訳でした。
次回はなるべく早めに書きます。遊戯王のSS書いている中で(多分)一番若いので、頑張らなければ。