遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
デュエル回です。
「ふう、少し疲れたな」
校舎の裏にあるベンチに腰掛け、遊羽は一息つく。
(慣れない集団行動をとったために、精神的な疲れが来たのだろう。よく休んだ方がいいぞ)
自身の内から聞こえるレヴの声に頷きながら、肩や首を回す。
「っ、あー疲れンなぁ」
遊羽が休憩を取り始めると、校舎から人影が現れた。
「あ? 何だ如月か。お前も休憩か?」
捲った袖から覗く右腕にある火傷のような跡が特徴的なその青年は、真田 紅(さなだ くれない)。二年生で、響と同じクラスだと遊羽は記憶している。
「も、ってことは真田先輩もか」
「ああ。筋力あるだろってことで雑用に駆り出されてな。流石のオレでも疲れちまった」
傲岸不遜、という言葉が似合う彼は自動販売機に貨幣を入れ、炭酸系の飲み物を購入する。
「・・・・・・っあー、やっぱ炭酸だな」
一口飲んでから、そうだ、と遊羽を見る。
「オレとデュエルでもしようぜ、如月。気分転換によ」
「・・・・・・そうだな。お願いできるか?」
ああ、という承諾の声を受け、遊羽は距離を取る。
「じゃあ行くぜ?」
「「デュエル!」」
如月遊羽
LP8000
真田紅
LP8000
「俺のターン。まずは調和の宝札を発動。手札のドラグニティ-ファランクスをコストに、二枚ドロー。そしてドラグニティ-ドゥクスを召喚。ファランクスを装備し、特殊召喚!」
ドラグニティ-ドゥクス ☆4 攻撃力1500
ドラグニティ-ファランクス ☆2 チューナー 守備力1100
「慣れてンなぁ、その動き」
「ああ。ずっと使ってるからな」
そう受け答えしながら、後でカオスドラゴンのデッキも使わないとな、と思う遊羽。レダメが禁止になったのが痛い、という理由で最近あまり使っていなかった。
「ドゥクスにファランクスをチューニング。シンクロ召喚!」
2+4=6
「来い、ドラグニティナイト-ヴァジュランダ!」
ドラグニティナイト-ヴァジュランダ ☆6 攻撃力1900
ヴァジュランダがフィールドに降り立つと、その手に軍隊が使うような槍が現れる。
「ヴァジュランダの効果でファランクスを装備! そして特殊召喚!」
ヴァジュランダが槍を構えると、その槍が竜へと姿を変え、ヴァジュランダは徒手空拳になった自分の手を呆然と見つめる。
「ファランクスでヴァジュランダをチューニング」
2+6=8
「重なり合え、水晶の翼! 舞い踊れ、白銀の竜! シンクロ召喚! クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン!」
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ☆8 攻撃力3000
ヴァジュランダそっちのけでファランクスがリングへと変わり、光から水晶を身に着けた麗しい竜が舞い踊る。
「カードを伏せる。これでターンエンドだ」
如月遊羽
LP8000 手札3
場 エクストラ:クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 魔法・罠:伏せカード
「ンじゃあオレのターン。スタンバイフェイズ、月の書! その竜には寝ンねしてもらうぜ!」
紅が叩きつけるようにしてカードをディスクに読み込ませ、一冊の本が白銀の竜を地に伏せる。
「チッ、これじゃ効果が使えねぇ」
「これで邪魔はなくなったな。オレはV・HEROヴァイオンを召喚!」
V・HEROヴァイオン ☆4 攻撃力1000
一つ目のヒーローがその瞳をペカーと輝かせると、
「おいその動き出し・・・・・・」
「何、ソリティアはしねぇよ。多分な」
多分て、という遊羽の目線を無視し、紅はヴァイオンと手札のディアボリックガイを融合させる。
「来い、D-HEROデッドリーガイ!」
D-HEROデッドリーガイ ☆6 守備力2600
黒いマントをはためかせ、ようとして失敗しすっ転ぶデッドリーガイ。その頼りない姿におい大丈夫かと
D-ディアボリックガイ ☆6 守備力800
(次はイゾルデにリンク召喚かあるいは・・・・・・)
「二体でオーバーレイッ! 来いベアトリーチェ!」
永遠の淑女 ベアトリーチェ ★6 守備力2800
美しい聖女が祈るように手を合わせるとデッキから『闇黒の魔王ディアボロス』が『ベア公は
「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
真田紅
LP8000 手札3
場 エクストラ:永遠の淑女 ベアトリーチェ 魔法・罠:伏せカード
「クリスタルウィングを除去しなくて良かったのか?」
「まあ、何とかなンだろ」
楽観的な態度を取る彼と伏せられたカードに目を向け、カードを引き抜く。
(エクストラモンスターゾーンが埋まってる。復活の福音でも引ければロムルスのリンク素材にできるんだが・・・・・・)
仕方がないとクリスタルウィングを反転させ、バトルに以降する。
「クリスタルウィングでベアトリーチェを攻撃!」
「ベアトリーチェの効果で、デッキから真紅眼の黒炎竜を墓地へ送るぜ」
墓地へ行ったカードから紅のデッキを把握した遊羽は眉をしかめながらカードを伏せる。
「ターンエンド」
如月遊羽
LP8000 手札4
場 エクストラ:クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 魔法・罠:伏せカード×2
「オレのターン。もっかい月の書だ、眠っとけ!」
再び反転させられたクリスタルウィング。カードの回転によって酔ったのか、裏側で口元を押さえる。
「真紅眼融合を発動! デッキの真紅眼の黒竜と魔晶龍ジルドラスを墓地へ送り、融合する! 融合召喚、来い流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン!」
流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン ☆8 攻撃力3500
真紅眼の黒竜とジルドラスがフィールドの中央で雨乞いのような踊りをすると、空から黒い隕石が落ち、竜の姿を取ると、その衝突の余波でデッキから墓地へ送られた真紅眼の黒炎竜分のダメージが遊羽へ飛ぶ。
如月遊羽
LP8000→6600
「バトルだ、メテオ・ブラックで裏側のクリスタルウィングに攻撃だ!」
メテオ・ブラックが『酔ったのか? ならオレが
「オレはこれでターンエンド」
真田紅
LP8000 手札2
場 エクストラ:流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン 魔法・罠:伏せカード
「よし、エクストラが開いたな。俺のターン、ドロー」
引いたカードに口角を上げながらディスクのフィールド魔法ゾーンを展開する。
「竜の渓谷発動だ! 効果で手札のバスター・ブレイダーをコストにドゥクスを手札に加える」
渓谷内から『ドラゴンだ! 早く俺を出せ、首を取る!』という声が上がるが遊羽はそれを気のせいと自分に言い聞かせドゥクスを召喚する。
ドラグニティ-ドゥクス ☆4 攻撃力1500
ドゥクスが『スノウ・ベルたん萌えー!』とファランクスを使って舞い、それから逃れるようにファランクスが特殊召喚される。
ドラグニティ-ファランクス ☆2 チューナー 守備力1100
「ならリバースカード、崩界の守護竜! メテオ・ブラックをリリースし、二体を破壊だ!」
メテオ・ブラックが『命、燃やすぜ!』と爆発、ドゥクスとファランクスがそれに巻き込まれ、煙がフィールドを包む。
『そんなリリースに釣られディアー』
『そんな効果に釣らレッドー』
煙が晴れると、そこには二体の竜が並び立っていた。
真紅眼の黒竜 ☆7 攻撃力2400
闇黒の魔王ディアボロス ☆8 攻撃力3000
並んだモンスターに遊羽は顔を顰めしかしターンエンドを宣言しる。
如月遊羽
LP6600 手札4
場 魔法・罠:伏せカード×2 フィールド:竜の渓谷
「ぃよしオレのターン。サイクロンで伏せカードを破壊だ!」
破壊された『聖なるバリアーミラーフォース』に真紅眼の黒竜とディアボロスが揃って『『ミラフォダイーン!』』と声を上げる。
「バトル、二体で攻撃!」
「
『バカな、ミラフォが成功するなんて!?』『これは夢だ、そうに違いない!』という声を上げながら二体の竜は揃って退場する。
「・・・・・・モンスターをセット、カードをセット。これでターンエンドだ」
真田紅
LP8000 手札1
場 メイン:伏せモンスター 魔法・罠:伏せカード
「俺のターン。竜の渓谷の効果で破壊剣の伴竜をコストにデッキからドゥクスを手札に加え、召喚!」
ドラグニティ-ドゥクス ☆4 攻撃力1500
都合三度目の登場に息切れしながらもファランクスを杖になんとか立つドゥクスだが、ファランクスが竜へ戻ると支えを無くし倒れた。
ドラグニティ-ファランクス ☆2 チューナー 守備力1100
「ファランクスでドゥクスをチューニング。来いヴァジュランダ!」
ドラグニティナイト-ヴァジュランダ ☆6 攻撃力1900
こちらも二度目の登場に若干疲弊しながらもファランクスを構えると、竜に戻らないかと警戒する。
「ドラグニティの神槍を装備! 効果で、デッキからブランディストックを装備!」
ドラグニティナイト-ファランクス 攻撃力1900→2500
突然増えた槍にヴァジュランダが戸惑いながらもお手玉し三本をどうにか持っていると、
ドラグニティナイト-ヴァジュランダ 攻撃力2500→5000
「バトル、ヴァジュランダで伏せモンスターを攻撃!」
V・HEROヴァイオン 守備力1200
ヴァジュランダがヴァイオンを切り裂き、『何か、行ける気がする!』と続けて紅にダイレクトアタック。
真田紅
LP8000→3000
「ぅおう痛ってぇ」
ようやくダメージを与えられた、と遊羽は少し安堵し、気を引き締める。
「カードを伏せて、ターンエンド」
如月遊羽
LP6600 手札3
場 エクストラ:ドラグニティナイト-ヴァジュランダ 魔法・罠:ドラグニティの神槍(装備:ドラグニティナイト-ヴァジュランダ) ドラグニティ-ブランディストック(装備:ドラグニティナイト-ヴァジュランダ) 伏せカード
「オレのターン。ヴァレット・シンクロンを召喚!」
ヴァレット・シンクロン ☆1 チューナー 攻撃力0
(あのカード、そして真紅眼・・・・・・作者め、流行に乗ったか!)
遊羽が何かを受信し察するがそんなことには関係なく墓地の真紅眼の黒竜が『過労死しそう、給料日まだ?』と顔を出す。
真紅眼の黒竜 ☆7 守備力2000
「ヴァレット・シンクロンで真紅眼の黒竜をチューニング!」
1+7=8
「紅き悪魔よ、その焔をたぎらせ、我が僕の龍に宿れ! シンクロ召喚! 猛々しく吠えろ、レッド・デーモンズ・ドラゴン!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン ☆8 攻撃力3000
『最近、親戚の出番が多いな・・・・・・』と呟きながら登場するレッド・デーモンズ。まさかの素ドモンに遊羽は驚愕する。
「魔法カード、クリムゾン・ヘル・セキュア! 魔法・罠を全て破壊する!」
破壊される『聖なるバリア-ミラーフォース』に「やっぱミラフォは仕事しないか・・・・・・」と遊羽は呟いたがその呟きは破壊音に掻き消された。
「バトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンで攻撃! ブレイジング・フレア!」
『爆☆熱 ゴッドフィンガー! あ、ブローだっけ?』とドモンがヴァジュランダを殴打し、槍が突然消えたことで動揺していた竜騎士はなすすべなく吹き飛ぶ。
如月遊羽
LP6600→5500
「こてでターンエンド」
真田紅
LP3000 手札0
場 メイン:レッド・デーモンズ・ドラゴン 魔法・罠:伏せカード
「俺のターン、ドロー」
既にデッキにドゥクスはないため、遊羽のデッキは初動のカードを失った状態にある。ここから展開し直すのは容易ではないだろう。
尤も、ならば展開し直さなければいいだけの話なのだが。
「復活の福音発動! 蘇れ、クリスタルウィング!」
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ☆8 攻撃力3000
再び舞い踊る白銀の竜。
「バトル、クリスタルウィングでレッド・デーモンズ・ドラゴンを攻撃! 効果発動! レッド・デーモンズの攻撃力を得る!」
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力3000→6000
水晶の輝きが増し、クリスタルウィングの攻撃力が上昇する。
「リバースカード、パワー・ウォール! デッキから6枚カードを墓地へ送り、ダメージを0にする!」
紅の前へ現れる壁にドモンが『オレには?』と紅を見るが反応はない。ただの屍か、とドモンは破壊された。
「ターンエンド」
如月遊羽
LP5500 手札3
場 メイン:クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン
「オレのターン、ドロー」
肥えた墓地を確認し、紅は効果を発動する。
「手札をデッキトップに戻し、ゾンビキャリアを蘇生」
ゾンビキャリア ☆2 チューナー 守備力200
「ディアボリックガイを除外し、今戻したディアボリックガイを特殊召喚!」
D-HEROディアボリックガイ ☆6 守備力800
「ゾンビキャリアでディアボリックガイをチューニング!」
2+6=8
「悪魔の竜よ、閻魔の力を奪い取り、王の炎を燃やせ! シンクロ召喚! 飽くなき衝動をぶつけろ、琰魔竜 レッド・デーモン!」
琰魔竜 レッド・デーモン ☆8 攻撃力3000
『どうも、親戚がお世話になってます』とレッド・デーモンが炎の中から登場し、吠える。
「レッド・デーモンの効果発動、他のモンスターを全て破壊する!」
「クリスタルウィングの効果発動、無効にして破壊する!」
「墓地の復活の福音を除外し、破壊されない!」
チェーン合戦を制したのは紅。遊羽は発動タイミングを見誤ったか、と眉をひそめる。
「墓地の置換融合の効果発動、デッドリーガイを戻して一枚ドロー」
引いたそのカードをすぐさま捨て、墓地から扇風機のような調律機が呼び出される。
ジェット・シンクロン ☆1 チューナー 守備力0
「ジェット・シンクロンでレッド・デーモンをチューニング!」
1+8=9
「深淵より昇りし炎よ、煉獄を超えて現界せよ! シンクロ召喚! 琰魔竜 レッド・デーモン・アビス!」
琰魔竜 レッド・デーモン・アビス ☆9 攻撃力3200
このターン、琰魔竜 レッド・デーモン以外は攻撃できないが、アビスは効果無効の能力を持っている。そのため、相討ちさせるよりもいいと判断したのだろう。
「ターンエンドだ」
真田紅
LP3000 手札0
場 メイン:琰魔竜 レッド・デーモン アビス
「俺のターン。リバースカード、破壊剣士の追憶! 手札の破壊剣-ドラゴンバスターブレードをコストに、デッキからバスター・ブレイダーを特殊召喚!」
「アビスの効果、それを無効にする!」
剣に剣士と竜の過ごした時が流れるが、深淵の魔王はそれを砕く。
「墓地の追憶の効果。除外して、墓地のバスター・ブレイダーとヴァジュランダで融合!」
砕かれた剣から、その主が姿を現す。
「竜を殺す戦士よ、友の力をその身に受け、新たな世界を切り開け! 融合召喚! 竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー!」
竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ☆8 攻撃力2800
バスター・ブレイダーが剣を構えると、その剣に力が宿る。
竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー 攻撃力2800→12800
アーミタイルをコピーしたクリスタル・ベルと同じ攻撃力にまでなったバスター・ブレイダー。
「バトル、バスター・ブレイダーでアビスを攻撃!」
『首、置いてけ!』とバスター・ブレイダーがアビスを斬り裂く。
真田紅
LP3000→0
デュエルが終わり、ソリッドビジョンが収束する。
途中、ダメージを与えた時点でデュエルが終了したために『まだ、まだ俺は首を取ってない!』とバスター・ブレイダーがアビスに斬りかかろうとし、それをクリスタルウィングが羽交い締めにして止め、アビスが『ざまぁ!』と嗤っているのが見えた気がしたが遊羽は気のせいだと思うことにした。
「ふう。いい気分転換になったな。ンじゃ、オレは戻るぜ」
紅が軽く肩を回しながら校舎に戻るのに習い、遊羽も教室へ向かった。
どうでもいい小話という名の本編に出せなかった裏設定
スケープ・ゴースト
日向が使っているこのカード、元の所有者はゾンビのアイツだったりする。とある研究施設をゾンビのアイツが襲撃、スケープ・ゴートの精霊を殺害&アンデット化して生まれた。ゾンビのアイツの一件の後、虹花が所有していたが、お礼ということで日向にプレゼントした。
孝之のエクストラデッキ
『星杯のエンタメ』にて孝之はエクストラデッキからのカードを十七枚使っているが、これは息吹が遊兎に色んな召喚方法を見せるために孝之のディスクを弄って上限を二十枚にしたから。それ以外では普通に十五枚。感想で言及されるだろうからその時に出そう、と思っていた作者だったが誰も言ってくれずに出すタイミングを失っていた。
遊羽の『竜の渓谷』
本編の通り、遊羽のデッキのモンスターたちが暮らしている。遊羽はレヴが『竜の渓谷』に手を加えたことまでは知っているが、中の様子は知らない。カオス過ぎる中の様子を見せない方がいいだろうというレヴの配慮。