遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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学校でのストレスから、意味わからないものが出来上がった。

デュエルなしです。


遊羽vs星河

 生徒会の仕事を終えた虹花は、遊羽と合流するべく、屋台の並ぶ道を歩く。

 

「『青眼の白龍のモニュメントの前で待っています』・・・・・・これでいいですね」

 

 メッセージの送信をし、ケータイをセーラー服のポケットへしまう。

 

 周囲から「おい王様、どこ行ってたんだよ?」「心配したんですよ、我が覇王」「悪いな」「ところで、ワタクシの心配は?」「「してない」」というやり取りが聞こえたが、何かあったのだろうか。

 

「ん? グヘヘ、あいつなんかいいんじゃないか?」

 

「そうだな。おい嬢ちゃん、道がわかんなくてよ、案内しちゃあくれねぇか?」

 

 二人組みの男に話しかけられた虹花は、その怪しさから警戒し、眉をひそめる。

 

「すみません、人を待っているので」

 

「そんなこと言わずによぉ、オレたちと一緒に行こうぜ?」

 

「なぁに、何も考えられないくらい気持ちよくさせてやるからよ・・・・・・」

 

 舌なめずりしながら虹花の腕をとろうとした男の腕を、何者かが掴んだ。

 

「テメェ、何虹花に手ェ出してやがんだ?」

 

 そこにいたのは、静かな怒りを燃やす、遊羽だった。

 

「あぁ? なんだ、テメェ?」

 

 邪魔そうに顔を歪める男に対し、遊羽は龍の瞳のように縦長に割れた瞳孔で見返す。

 

「・・・・・・やっぱり、こういう輩はいるんだよな。チッ、似合わないことして損したな」

 

「テメェ、質問に答えやがれ!」

 

 どうでもいいと言うように遊羽は男に対してではなく、独り言のように呟いた。

 

(精霊回収者の真似事でもすれば強くなれるかと思ったが、そうでもないらしいな)

 

 彼は、異世界での敗北から、少しずつではあるが、自分を変えようと思えた。他人を助けることで手に入る強さもあると、そう信じかけていた。

 人は信じるに値するのだと、考えを改めてようとしていた。

 

 だが、そんなことはないらしい。

 

「やっぱ、醜い人間なんざ助けるべきじゃねぇな。それで得られる力があったとしても、俺はいらない」

 

 言いながら、遊羽は男の腕を握り潰す。

 

「あっ、がぁ!? う、腕がぁぁ!!」

 

 折れた腕に苦しむ男と、その横で怒り始めた男を、遊羽は無感情に見つめた。

 

「・・・・・・遊羽?」

 

 今までにない遊羽の姿に、虹花は困惑の声をあげる。

 

「どうした、虹花? コイツらなら、すぐに捨ててくるぜ?」

 

 そう告げる彼の周囲には、黒いもやのようなものが見えた。

 

(悪霊瘴気!? そんな、何で遊羽が!?)

 

 半身が精霊となった遊羽は、当然精霊力を持っている。ならば、マイナスの感情で満たされれば、悪霊にすらなりうる。

 

「さて、テメェら。懺悔の用意はできているか!?」

 

 拳を握り、戦闘準備を整える遊羽。

 

「そうはさせない」

 

 だが、彼を止める者もいる。

 

「・・・・・・星河先輩」

 

「悪いが、止めさせてもらうぞ」

 

 遊羽と男たちの間に入ったのは、輝くオーラを薄く纏った、星河だった。

 

 

「どいてくれねぇか、先輩」

 

「それはできないな」

 

 星河を睨む遊羽だが、彼は怯みもしない。

 

「理由を訊いていいか?」

 

「俺の正義に従った結果だ。悪人ではなく、悪を裁く。それが俺の信じる正義だ」

 

 静かに告げる星河に、遊羽はそうか、とこぼし、

 

「なら、俺の敵ってことでいいんだな?」

 

「・・・・・・場所を変えよう」

 

 答える代わりに星河が指を鳴らすと、二人の姿が消える。

 

 残ったのは、ただ呆然としていることしかできなかった虹花と、逃げ出した男たちだけだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ここは?」

 

 星河が指を鳴らした途端に景色が回り、遊羽が目にしたのはクレーターだらけの地面だった。

 

「月とよく似た星だ。酸素はあるから安心しろ」

 

 正面からの声にそちらを向けば、星河がディスクからカードを取り出すところだった。

 

「フォトン、タキオン、星態龍」

 

 星河が呼び掛けると、彼に付き従う精霊たちが星河を中心とした黒い渦に飲まれていく。

 

「っ!」

 

 遊羽の視界を光が覆う。

 

 目を開けた彼の視界に入ってきたのは、光を体現したかのような龍だった。

 

 サイズは人間と同じほど。だが、全身が白く、各部には銀河色の装甲が見える。

 

 胸元には赤い十字架があり、その上から白いXがあしらわれていた。

 

 『星河龍グラン・ギャラクシアス』。星河の、全力の姿だ。

 

「なら、俺も行くぜ」

 

 遊羽もまた、『融合』のカードを取り出し、レヴのみならず全てのドラグニティドラゴンと融合する。

 

 橙色を通り越して赤い身体に巨大な翼。そして右手にレヴの大剣、左手にミスティルの剣を握り、周囲には槍となったドラグニティの小竜たちがファンネルのように旋回している。

 

 だが、その姿が見えたのは一瞬。黒い瘴気により、全身の色が塗りつぶされていき、黒一色となった。

 

「遊羽・・・・・・お前のその姿、真宮が見たらどう思うのか、わかっているのか?」

 

「わかってるつもりだぜ」

 

 遊羽とて、自分が悪霊になりかけているのは把握している。故に、構える。

 

「だからよ、先輩。少し相手してくれよ」

 

 言い終わった瞬間、星河の前に遊羽が現れた。

 

「っ!!」

 

 振るわれた剣を即座に後ろに跳んで回避する。

 

「やってくれたなっ!」

 

 星河は光を収束させると、二丁の拳銃を作り出し、連射する。

 

「当たらなければどうということはねぇ!」

 

 ドラグニティで受ける!と言わんばかりに槍を盾にし、その激突による煙幕を使った攻撃を警戒して更に高く飛ぶ。

 

「だが俺は、その上を行くっ!!」

 

 飛び上がった遊羽の正面で、星河は光の大剣を上段に構える。

 

「ライトセイバーだと!?」

 

「著作権に引っかかるから止めてもらおうか!」

 

 叫びながら剣を振り下ろす星河。

 

「レディアント・パニッシャー!」

 

「さっきの自分の発言どこいった!?」

 

 言いながら、急速に回転し避ける。

 

「なら次だ。荷電粒子砲!」

 

 右腕に光を溜め込み、射出。

 

「こっちはこれだ、超電磁砲(レールガン)!」

 

 ドラグニティファンネルを展開し、回転するそれをパワーゲートとして十円玉を弾き撃ち出す。

 

 衝突、閃光。

 

「シッ!」

 

「オラァ!」

 

 それが晴れるころには、両者は激突し、鍔迫り合いをしていた。

 

「それフォトンセイバー メテオールとフォトンセイバー フィラメントだよな?」

 

「形状が似ているだけの別物だ」

 

 誰がわかるんだというネタを挟みながら、全力をぶつけ合う。

 

「ダーク・シアン・スパイク!」

 

「くっ、闇落ち限定の技を・・・・・・!」

 

 パイルバンカーのように突き出された槍を受け流す。

 

「鬼斬り!」

 

「なっ、三刀流だと!?」

 

 光そのもので出来た三つの剣をかわし、両手の剣でもって迎撃する。

 

「スターバースト・ストリーム!」

 

「技名的に俺が使うべきだろう!?」

 

 驚愕しながらも、「ジ・イクリプス!」と更に反撃。

 

 もはやどこから突っ込めばいいのかわからない闘いは、終わりに近づいていた。

 

「悪霊瘴気、随分と薄くなってきたな!」

 

「そうだな! 先輩が付き合ってくれたからだぜ!」

 

 そう、お互いにこれを狙っていた。

 

 戦闘というものは、良くも悪くも人を高揚させる。

 

 二人は、それを利用して、負の感情を追い出そうとした。

 

「それに、いい運動にもなったからな!」

 

「全力を出せるような相手は、中々いねぇからな!」

 

 高揚しているためか、感嘆符混じりの星河に、遊羽も応答する。

 

 これが何の小説かわからなくなりそうだが、遊戯王ではよくあることである。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 適度に体力を消耗したため、戦闘を終え、お互いに人間体に戻る。

 

「ふぅ・・・・・・あ、今何時だ先輩? 虹花を放置しちまった」

 

「安心しろ。この空間は千倍に加速されて(バースト・リンクして)いる」

 

 グッとサムズアップする星河に、遊羽は苦笑で返した。

 

「なら先輩、ついでに俺とデュエルしてくれねぇか?」

 

「デュエルか? いいだろう」

 

 軽くディスクを見せ付ける遊羽に、星河もディスクを構える。

 

「それだけじゃあつまらねぇし、負けたら勝った方の言うことを一つ聞く、っていうのはどうだ?」

 

 何かを企んでいる顔で遊羽が提案するが、星河は当然だと頷く。

 

「「デュエル!」」




皆さん、言いたいことはわかる。私も言いたい。

どうしてこうなった!?


次回は遊羽対星河のデュエルの予定です。
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