遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
デュエル回です。
遊羽と星河がデュエルした翌日。
「ドラグニティ-アキュリスは裁定が変わってからあんまり強くなさそうだったけど、パラレル・ツイスターがあったか」
「サイバー・ダークでも
星河と日向が教室で遊羽とのデュエルについて考察などを述べていると、一つの影が近づいていく。
「グッモーニン! ぐーてんたーく! ボンジュール! ジャンボ! コップンカーップ!」
「・・・・・・は?」
にこやかに手をあげながら複数の挨拶をかました青年に、星河は面食らう。
「あ、ナイストゥーミーチューか? オレは瑞浪孝之。よろしくな」
孝之と名乗った彼はそのまま二人に近づき、話しかける。
「昨日の授業での二人のデュエル、凄かったぜぃ。オレともしようぜ!」
つまり、そういうことらしい。
「日向、頼む」
「りょーかい。放課後でいいか?」
昨日の遊羽とのデュエルでの疲れか、はたまたそれ以外の理由かはわからないが、星河は日向にデュエルを託した。
「おk。じゃあ放課後な」
ーーーーーーーーーー
かったるい授業描写は飛ばして放課後。
授業中にあったできごとなど日向が欲しいカードのリストを作っていて先生にバレ廊下に立たされたにも関わらずデッキのアイデアを思い付いたと叫んでいたことくらいだ。
昨日とは異なり、第三デュエル場で相対する日向と孝之。
「じゃあ、いくぜ」
「「デュエル!」」
瑞浪孝之
LP8000
水瀬日向
LP8000
「オレのターン。魔導契約の扉を発動! 成金ゴブリンを受け取るがいい!」
「ははー! 有り難き幸せぇ!」
フハハハハハと社長笑いをしながらカードを投げる孝之。だがアニメのように上手く飛ぶはずもなく落下するに終わり、日向が気を使って拾って跪く。
「あ、ごめん。オレはデッキからトーチ・ゴーレムを手札に加えるぜよ」
「うぉい、待てぃ」
別に待って欲しいわけではなかったが、色々と性能がおかしいカードに日向は思わず手をTにしタイムを宣言する。
「まったなしだろ!! 行くぜェ!! ガルガンチュア-「それは違うカードゲームだ」」
「いいだろ、やってみたかったんだよ。じゃまトークンを精製しトーチ・ゴーレム特殊召喚」
トーチ・トークン ☆1 攻撃力0
トーチ・ゴーレム ☆8 攻撃力3000
今度はキチンとゆ両手でカードを掴みお辞儀しながら日向に差し出す孝之に、星河は額を押さえる。
「トークンでリンク召喚。ああ! それってリンクリボー? そしてツー」
リンクリボー link1 攻撃力300
トークンが門をくぐり、球体状の身体をした電子生命体が二体現れる。
「リンクリボー? 一体どんな効果が・・・・・・」
「このモンスターは二体揃えることで、あるモンスターの素材となることができる! リンク召喚、出でよ、アカシック・マジシャン!」
アカシック・マジシャン link2 攻撃力1700
主のアホさ加減に呆れた様子でフィールドにしゃがみ込むアカシック・マジシャン。彼女の苦難は続く。
「アカシック・マジシャンの効果。リンク先のモンスター全てを手札に戻す!」
「何!? あのモンスターのリンク先には、おれのトーチ・ゴーレムが!」
プロとしての活動によって疲れているのか、それとも見慣れたソリティアを少しでも退屈でなくすためか、ネタを交えながら二人のデュエルは進む。尚まだ1ターン目である。進んでねぇ。
「トーチ・ゴーレムの効果発動。ラッキーカードだ。君の元へ行きたがっている」
トーチ・ゴーレム ☆8 攻撃力3000
トーチ・トークン ☆1 攻撃力0
再び日向のフィールドに現れる鋼鉄の悪魔。悪魔には血も涙もないはずだが、あまりのブラックさにか涙が滲んでいる。
「トークン二体でリンク召喚、カモンセキュリティ・ドラゴン」
セキュリティ・ドラゴン link2 攻撃力1100
星河は「名前的に俺が使うべきだろう」と思ったが、ただでさえ長いこのターンがさらに長引きそうだったので堪えた。
「名前的に星河が使うべきじゃね?」
しかし鈍い彼は言った。
「? ?」
そしてバカである孝之は意味がわからなかった。
結果、星河が危惧した事態は起きなかったものの、どこか釈然としない雰囲気となる。
「セキュリティ・ドラゴンの効果発動だ返せぇ! 返してくれよぉぉ!! 俺のトーチ・ゴーレムゥゥゥゥゥ!!!」
ふざけることしか脳のない孝之の言動は無視していい。
「そしてリンク召喚。星杯に選ばれし剣士よ! 戦いを糧とし、全てを救う救世主となれ! リンク召喚! リンク4、双穹の騎士アストラム!」
双穹の騎士アストラム link4 攻撃力3000
苦笑しながら主の前で剣を構える戦士を見て、星河は目を細める。
(あのモンスター・・・・・・精霊か?)
まだ力は弱いが、精霊になりかけのカードだと気づく。何かキッカケがあれば恐らく完全に精霊として確立されるだろう。
「ふっ、まあ今日はこの辺で勘弁してやろう。ターンエンドだ」
瑞浪孝之
LP8000 手札4
場 エクストラ:双穹の騎士アストラム
何故か偉そうにターンを終了した孝之に日向は苦笑しながらも安心する。
(確かに強いみたいだけど、プロほどじゃないなぁ)
プロならば魔導契約の扉で成金ゴブリンなんて渡さない。相手が絶対に使わないようなカードか、相手が使った場合自分もアドバンテージを得られるようなカードを渡す。成金ゴブリンもライフは増えるが、それでは相手のドローと釣り合わない。
まあ日向もつい先日、光の護封剣を貰ったときには相当驚いたのだが。バトルフェイズ2なんて存在を知ったのはその時だ。
「おれのターン。折角だから使わせてもらうか、成金ゴブリン。一枚ドロー」
成金ゴブリン用のメタカードなんてなかったよな、と記憶を掘り返しながらカードを引く。
瑞浪孝之
LP8000→9000
「ヴァイオンを召喚し効果でディアボリックガイを墓地へ送り除外してアナザーワン。リンク召喚聖騎士の追想イゾルデ。効果でネオスをサーチしデッキからインスタント・ネオスペース、団結の力、アサルト・アーマー、月鏡の盾を墓地へ送って三沢違うエアーマンを特殊召喚、効果でオネスティ・ネオスをサーチ」
聖騎士の追想イゾルデ link2 攻撃力1600
E・HEROエアーマン ☆4 攻撃力1800
流れるように展開されていくモンスターに目を白黒させる孝之。だが日向は手を止めない。
「超融合発動! エアーマンとアストラムで融☆合! 来いシャイニング!」
E・HERO The シャイニング ☆8 攻撃力2600
「くっ、アストラムが・・・・・・」
「バトルだ! シャイニングでダイレクトアタック!」
腕組みをした純白のヒーローが、腕組みをしたまま光を放つ。
しかし、それは鐘の音に遮られる。
「バトルフェーダー・・・・・・!」
バトル・フェーダー ☆1 守備力0
「お察しの通り。バトルフェイズはお仕舞いデス!」
首を曲げ顔を横にしながら言う彼にペテ公かと内心ツッコミながら日向はターン終了を宣言する。
水瀬日向
LP8000 手札6
場 エクストラ:聖騎士の追想イゾルデ メイン:E・HERO The シャイニング
「おいおい、手札まだ六枚もあんのかよ? まあいいか、まずはトーチ・ゴーレムをプレゼントだ」
トーチ・トークン ☆1 攻撃力0
トーチ・ゴーレム ☆8 攻撃力3000
三度現れる機械の悪魔。疲れたのか完全に横になりぐうたらしている。
「そして死者蘇生! 蘇れ、アストラム!」
双穹の騎士アストラム link4 攻撃力3000
傷だらけの身体で戦線復帰するアストラム。恐らく神殿で復活してもらったのだろう。ゴールド払って。
「トークン一体でリンク召喚、来いリンク・スパイダー! そしてリンク・スパイダーとトークンでリンク召喚! かもーんイヴ!」
星杯神楽イヴ link2 攻撃力1800
アストラムの横に現れた少女を、星河はアストラムと同じく精霊のなりかけだと見極める。
「バトル・フェーダーを攻撃表示に変更してバトル! 行けー、バトル・フェーダー! トーチ・ゴーレムを倒せー!」
「えっ!?」
一瞬動揺し、次の瞬間何が起こるか日向は悟った。
瑞浪孝之
LP9000→6000
「全てを壊すんDA! ヘル・テンペスト!」
トーチ・ゴーレムに突っ込み砕け散ったバトル・フェーダーに天が悲しんだのか、降ってくる巨大な隕石の数々。
「星降りだー! デスマーチが終わったー!」
「それ異世界狂想曲始まってんなぁ!!」
それを聞いた星河はならばと魔力を弾丸にする拳銃を取り出す。無論、取り出しただけではあるが。
「これにより、デッキと墓地のモンスターは全☆滅! フハハハハハ・・・・・・は?」
E・HERO The シャイニング 攻撃力2600→6800
そこにいたのは、ただ静かに腕組みをして仁王立ちする白銀のAU。しかし、その攻撃力は甚大である。・・・・・・まあ二年後には攻撃力四八万とか百万とか一千万とかゴロゴロ出てくるのだが。
「フフフ・・・・・・自らの失態より生まれたこの攻撃力、超えられるかな?」
「アストラム、GO!」
双穹の騎士アストラム 攻撃力3000→10800
「あ、まってそれダメなやつ」
アストラムの剣でエイヤと切り裂かれるシャイニング。彼は融合召喚でしか特殊召喚できないためもう蘇ることはないだろう。
水瀬日向
LP8000→5000
一瞬で吹き飛ぶライフにまあこんなものかと日向は特に何も感じない。酷いときはワンショットだってされるのがプロだ。そしてそれはワンショットされる側が悪い。
「メイン2! イゾルデをリリースしドゴラン、出て来いやぁ!」
怒炎壊獣ドゴラン ☆8 攻撃力3000
イゾルデを踏み潰しながら現れたゴジラっぽい竜に、日向は違和感を覚える。
(これでおれの場には攻撃力3000が二体・・・・・・何を・・・・・・あ)
孝之が口角を上げながらディスクにセットしたカードを見て、日向は察した。
「所有者の刻印! 戻って来い、トーチ・ゴーレム、ドゴラン! そしてオーバーレイ! ヤンデレニーサン最終形態! 宵星の機神ディンギルス!」
宵星の機神ディンギルス ★8 攻撃力2600
三体目の精霊になりかけのカード。これには星河も怪訝な顔をする。
「ターン終了! さあ、この布陣を突破できるもんならしてみやがれってんだ!」
瑞浪孝之
LP6000 手札0
場 メイン:宵星の機神ディンギルス 双穹の騎士アストラム 星杯神楽イヴ
手札全てを使って孝之が作ったこの布陣。普通なら頑張れば突破できる。そう、普通ならば。
ヘル・テンペストなどという文字通りの天災を振りかざした後でなければ。
「おれのターン・・・・・・うん、モンスター来ない!」
いい笑顔で絶望する日向。しかし、それでもサレンダーはしない。
「大欲な壺を発動! 除外されているアナザーネオス、レインボー・ドラゴン、ソリッドマンをデッキに戻し、ドロー」
引いたカードを見て、日向は不敵に笑う。
「まずはE・HEROアナザーネオスを召喚し・・・・・・ネオス・フュージョン発動! デッキのネオスとレインボー・ドラゴンで融合! 来い、レインボー・ネオス!」
レインボー・ネオス ☆10 攻撃力4500
虹色のオーラと共に現れるヒーローに、孝之はピンチを感じ取る。
「レインボー・ネオスの効果発動・・・・・・アナザーネオスをリリースし、お前のモンスター全てをデッキ送りだぁ!」
レインボー・ネオスがアナザーネオスを掴み、アストラム達へ投擲。アタフタする二人と直立不動のニーサンの内イヴに当たり、跳ね返ってニーサンに当たり、そして跳ね返ってアストラムの腹部を直撃しユーゴ並みの顔芸を披露させる。
「バートールだぁ! レインボー・ネオスでダイレクトアタック!」
「けど、次のターンで・・・・・・」
言いかけて、孝之は思い出す。その言葉がフラグであること、そして、
「
手札にヤツがいたことを。
レインボー・ネオス 攻撃力4500→7000
瑞浪孝之
LP6000→0
「だー負けた負けたー。よし、もっかいやるか」
「切り替え早っ!?」
デュエルに負け、地面に寝転がって悔しがった孝之は、一秒後に起き上がり立ち直った。
「いやー、何時までも引きずっててもしゃーないでござるよ。オレは勝ち負けよりもデュエルを楽しみたいし」
そう言って笑った彼に釣られるようにして、日向と星河も笑顔になる。
この日、彼ら三人は出逢った。それが何を呼ぶのかはわからないが・・・・・・少なくとも、先生方の手元に胃薬を呼び込むことはしたようである。
今私はアキュリスの裁定のためだけにタッグフォース5が欲しいです。
補足 日向のデッキ
元々はネオスと融合HERO混合デッキ。しかしそれではプロの世界では通用せず、現在のような邪神だの伝説の騎士だののデッキを使うようになった。それでもHERO達は使っている模様。
ハーピィイレイザー→マスクチェンジセカンドとカミカゼ、ダークロウ
戦士族ドレッドルート→ヴァイオンとディアボ、シャドミス
アドバンス軸アバター→鬼畜モグラ及びネオス
次回は来週以降になりそうです。