遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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ギャグが書きたかったんです。

デュエルなしです。


彼らの名

 結希とレイが和解してから、二ヶ月ほどが過ぎた休日。

 

 マクロコスモスで使われない、それどころか存在すら忘れられている節がある『太陽神ヘリオス』が怒っているのかもしれない、と孝之は沸騰しそうな脳で考えた。

 

 要は、それほどまでに気温が高い、ということだ。無駄にハイなのである。

 

「あちぃーあちぃー、超あちぃ。スッパカンスッパカン超あちぃ。あちぃーあちぃー、超あt「うっさい」ブベラッ!?」

 

 ジュエルペットというもはや誰が知っているんだというアニメのワンシーンを回想しながら謳う孝之の脳天にかわらわりをしたのは、彼の姉である瑞浪なつきだ。

 

「ねーちゃん、痛いんだけど? ただでさえ勉強できないオレが、もっとバカになったらどーすんのさ」

 

 頭をさすりながらソファーの上の身体を起こす孝之。なつきはアイスを頬張りながら、無視して孝之の隣に腰掛けた。

 

「つーかそのアイスオレが買ってきたやつじゃあ・・・・・・」

 

「そう。ありがとう、とてもおいしいわ」

 

 そういうことじゃない、と孝之は呻くが、いつものことだと諦めた。

 

 黒く染めたツーサイドアップ、同じく黒いスーツ。どこかへ出掛けるらしいことを察した孝之は、それ以上何も言わず、姉のいない休日をゆっくり過ごすことにした。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 翌日。昨日よりも涼しく、快適な空気であることに喜びを感じながら孝之は学校へ向かう。

 

 『セプスロ麻薬』という怪しげなカードセットを売っている店の前を通り、『新商品!『キサラギ印のAMIDA汁、メロン味』!』と書かれた自動販売機の置かれた角を曲がり、学校へたどり着く。

 

 丁度進行方向に見慣れた背中を見つけ、孝之は手を大声で挨拶する。

 

「ぐっもーにん星河!」

 

「孝之か。ああ、おはよう」

 

 声をかけられたことに驚く素振りもなく、星河もまた挨拶を返す。

 

 その際、周囲から奇異の目で見られていたが、彼らは気にせず話を続けた。

 

「今日、理科で実験やるんだってよ。何をするのかね?」

 

「少なくとも、危険な実験ではないだろう」

 

 化身カードやトワイライトの実験についてある程度の情報を持っている星河からすれば、大抵の実験は危ない内に入らないのだが。

 

「日向! 日向じゃないか!? 逃げ出したのか!? 自力で脱出を!?」

 

 視界に入ってきた青年に対し、孝之はオーバーリアクションで挨拶(?)する。

 

「ああ、聞いてくれ・・・・・・朝目が覚めたら、通学路を歩いていたんだ・・・・・・何を言っているかわからねぇとは思うが、おれにもわからねぇ・・・・・・」

 

 つまり、さっきまで寝ぼけていた、ということだろう。習慣とは恐ろしいものである。

 

「おいおい、大丈夫かよ。そんなんで今日の授業受けられんのか?」

 

大丈夫だ、問題ない(エルシャダイ)

 

 どこか不安を覚える返事をしながら、日向は薄く笑う。

 

 彼に続いて、二人も教室に入っていった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 そして、理科の実験の時間。

 

 普段すっ飛ばしている授業の時間を描写しているということはつまり、何か起こるということである。

 

「・・・・・・ということで、エタノールと水の蒸留実験だ。厳密には分留なんだが、エタノールと水の場合は蒸留でいいらしい。何でかは知らん。偉い人に聞け」

 

 面倒くさげな態度の先生だが、これでも評価は高い。同じことを教えるのが面倒、という理由でとてもわかりやすい授業をしてくれるからである。

 

「・・・・・・んが」

 

「おい寝ていただろう今」

 

 船を漕いでいた日向が鼻提灯を破裂させて意識を取り戻すと、間髪入れずに星河が注意する。

 

「いや、すまない・・・・・・昨日夜遅くまで起きていてすまない・・・・・・」

 

 目をこすりながら謝る。プロの仕事で遠出し、帰りが遅くなったのだ。彼は自分の布団でないと寝れない体質のため、移動中の睡眠も難しく、結果がコレである。

 

「ちょっと、大丈夫なの? 失敗してもいいけど、私まで巻き込まれるのは嫌よ」

 

 デッキ作りを手伝ってもらった相手だが、それはそれ、これはこれ。彼女も成績は大事なのだ。

 

 ひとまず半睡眠状態の日向は放っておき、三人で実験を始める。

 

 が、そこで問題が発生した。

 孝之が酔った。

 

「ぅうん? 何か、こう、クラッと・・・・・・」

 

 酒に弱いらしい孝之。甘酒でも酔う彼は気化したエタノールもダメだったようだ。

 

 手がすべり、隣の班が付けていたガスバーナーの火へとエタノールが飛ぶ。

 

 そして、ギャグ的な力でそれは爆発に変わる。

 

「「「「あっ」」」」

 

 爆発音と共に何故か開いていた窓へと突っ込む星河、日向、孝之。

 

 しかし、タダで終わってはデュエリストではない。

 

 助かるべく、近くのものに手を伸ばす。

 

「・・・・・・これ、カーテン・・・・・・」

 

 そのまま破け、一緒に吹き飛ぶ。

 

「うわあぁぁぁああ!」

 

「Zzzzz・・・・・・」

 

「フォトン、頼む」

 

 三者三様の反応、そしてたなびく黒いカーテン。

 

 彼らは、烏になった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 またもギャグ的な力によって運よく木の上に落ちた三人。孝之はビビってずっと震えており、日向は終始寝たままであり、星河は表情を変えず二人が落ちないよう支えていた。木の上に落ちるようフォトンの力を使ったのも彼である。

 

 そして、体育の授業中、偶然彼らの姿を見ていた生徒たちはこう言った。

 

「アイツらの名前、三羽烏ってどう?」

 

 と。




おい、デュエルしろよ。

三羽烏編はこれにて終了ですが、孝之の姉にはまた登場してもらう予定です。

次回は、そんなに間を空けたくないですね・・・・・・。
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