遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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最近、全然執筆ができません・・・・・・。

デュエル回、前編です。


五章
新たな始まり


 学園祭が終わって、しばらく経った。

 

 クリスマスで各々イチャコラし、相手のいない息吹と孝之はそのストレスを花火にぶつけた。

 

 その次はお正月。浴衣姿で集まり、参拝した。合掌したときに虹花の左手薬指の指輪がよく映えた、というのは写真を撮っていた息吹談。

 

 節分もした。鬼役をしたのは息吹と孝之。公平なくじの結果ため仕方がないが、余りに運がない二人だった。後遊羽が息吹に豆を投げるときにマジだった。第三宇宙速度出てた。

 

 そして、卒業式。流石の三羽烏も大人しくなり、つつがなく儀式は終わった。・・・・・・かに見えた。

 

 卒業後のパーティーで三人がまたバカをやり、日向は謝り、孝之は笑い、星河は呆れていた。

 

 時は更に流れ、春休みが過ぎ、新学期。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 入学式、始業式の後の、最初の週明け。

 

「それにしても、中々だったな、あの映画」

 

 遊羽が春休みにレンタルして見た映画『我が名は』を思い出しながら言うと、隣を歩く虹花も内容が蘇り、頷いた。

 

「そうですね。特に主人公の片方が名前を思い出して「我が名は!」と叫ぶシーンとか、時を超えて二人が再会するシーンとか、うるっとしちゃいました」

 

 そうこう話している内に、学校へと着く。

 そこには新入生らしき生徒たちの姿がチラホラと見え、先輩になったことを自覚させられる。

 

「おら、邪魔だ! どけ!」

 

 その中を、一人の男子生徒が押し通る。

 

 周りの生徒からは奇異の目で見られているが、そんなことを気にせず、ドカドカと進む。

 遊羽の前に。

 

「テメエが如月遊羽だな?」

 

 睨み付けるように遊羽を見る男子生徒に、遊羽は不快感を覚えるが、それを抑える。

 

 星河と、約束していたのだ。遊羽の子供にデュエルを教える代わりに、遊羽はなるべく問題を起こさずにいるように、と。

 引き分けになったため、無条件で頼みを聞くわけにはいかない、と。

 

「そうだが、何か用か?」

 

「オレ様は久我 修也(くが しゅうや)。一年の主席だ」

 

 彼――修也はまず名乗り、ビシッと遊羽を指差す。

 

「オレ様は最強だからな、この学校最強だっつうテメエに宣戦布告する! 昼休み、屋上に来やがれ! いいな!」

 

 そう一方的にまくし立てると、修也は校舎へと戻っていった。

 

「・・・・・・何だったんだ、アイツ」

 

 面倒事で虹花との時間が減らなきゃいいが、と遊羽は愚痴りながら呟く。

 

「どうするんですか、遊羽? 彼の挑戦を受けますか」

 

 上目遣いで問う虹花に対し、遊羽は笑顔で言う。

 

「受けるわけねぇだろ? 昼休みは虹花といる。何なら、生徒会の仕事も手伝うぜ」

 

 新年になった辺りから、遊羽は生徒会の手伝いをしていた。無論、一秒でも多く虹花と共にいるためではあるが、星河との約束や異世界でのことの影響もある。

 彼自身、元々スペックが高いので、生徒会の仕事の効率は格段に上がった。

 

「はい、お願いします。遊羽がいれば、百人力です」

 

 主に愛の力で。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「おはよう、遊羽くん。さっきは災難だったね」

 

 遊羽と虹花が教室に入ってきたのを確認し、戦は二人に話しかけた。遊羽、虹花、戦、春樹は二年一組で同じクラスになった。

 

「ああ。あんなのが主席なら、今年の一年は大したことねぇな」

 

 それは先入観で偏見だが、そう思われても仕方がないことを、修也という少年はしたのだ。

 

「う~ん、まだわからないよ? 礼儀正しい生徒はいるかもしれないし」

 

 戦はそれを否定しようとしたが、遊羽はそこじゃねぇ、と首を振る。

 

「あんな奴に負けるっていうことは、奴に気押されたってことだ。奴に対して反感や怒りを覚えたなら、何が何でも勝とうとするハズだ。それで負けたら、心が折れる。実際に戦ってない奴もいるだろうが、殆どの奴は諦めてるだろうよ」

 

 あくまで推測の域を出ないが、先程の修也の態度を見る限り、概ね合っているだろう。

 

「・・・・・・ああいう、強さを傘に力を振るう人って、嫌いなんだよね」

 

 遊羽の推察を聞き、戦は忌々し気に零す。

 

「問題は起こすなよ、如月。ああいう輩は、放っておくに限る」

 

 話を聞いていた春樹が言うと、遊羽は当たり前だと頷く。

 

「虹花との時間が減るからな。昼休みは生徒会室に行くぜ」

 

 だったら、と戦は思い付いた考えを告げる。

 

「あの子、僕が相手していい?」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 三羽烏が卒業したことでいくらか静かになった授業の描写はかっ飛ばし、昼休み。

 

 屋上で待ち構えていた修也は、十分待っても遊羽が来ないことに苛立ち、身を震わせていた。

 

「野郎・・・・・・このオレ様の呼び出しを蹴りやがったのか・・・・・・! ふざけんじゃねぇ、ふざけんじゃねぇぞ・・・・・・!」

 

 床を何度も踏み、少しでもイライラを抑えようとする修也。

 丁度その時、屋上の扉が開いた。

 

「来やがったか、如月遊羽! 遅れてくるとはどういう了見だ!」

 

 叫ぶ彼だったが、入って来た人物を見るなり眉を顰める。

 

「あん? 誰だ、テメエ」

 

「僕は遊民戦。遊羽くんなら来ないよ。君なんかの相手をしてる暇はないって」

 

 嘲笑うように言う戦に、修也の苛立ちは更に大きくなる。

 

「ふざけんな! 野郎、探し出して無理やりでもデュエルさせてやる!」

 

 今にも走り出しそうな修也に、戦は落ち着くようジェスチャーし、ディスクを掲げる。

 

「代わりと言っては何だけど、僕が相手するよ。僕に勝てたら、放課後に遊羽くんとデュエルさせてあげる」

 

 あくまで上から目線で話を続ける戦に、少し収まっていた修也の苛立ちが再熱する。

 

「上等じゃねぇか! デュエル!」

 

 まるで相手のことを考えていない態度に辟易としながらも、それを表情に出さず戦もデュエルを開始する。

 

久我修也

LP8000

 

遊民戦

LP8000

 

「先攻はオレ様だ、緊急テレポート発動! デッキからサイキック・リフレクターを特殊召喚! 効果でバスター・ビーストを手札に加え、墓地に送ってデッキからバスター・モードを手札に加える!」

 

サイキック・リフレクター ☆1 チューナー 守備力300

 

 相手がチェーンをする隙間をまるで作らずに展開する修也。その態度に、戦もまた不快感を覚える。

 

「手札のバスター・モードを見せてやることで、サイキック・リフレクターの効果! 墓地のバスター・ビーストを特殊召喚!」

 

バスター・ビースト ☆4→7 守備力1200

 

 白い機械念導士が腕を振るうと、墓地から剣盾の獣戦士が呼び出される。

 

「っていうことは、シンクロ・・・・・・レッドデーモンかな?」

 

 彼の態度を見て推測を立てる戦。

 

「ハッ、勝手に決め付けんじゃねぇよ! 開きやがれサーキット!」

 

 だが、彼の推測を鼻で笑う修也。その前にサーキットが現れ、それを二体のモンスターが通り抜ける。

 

「リンク召喚! 来やがれ、ハリファイバー!」

 

水晶機巧-ハリファイバー link2 攻撃力1500

 

「ハリファイバーの効果でデッキから来やがれオライオン!」

 

幻獣機オライオン ☆2 チューナー 守備力1000

 

 ハリファイバーの後ろに人工衛星のモンスターが降り、浮遊する。

 

「オライオン? サモン・ソーサレスは禁止カードだよ」

 

「わかってるに決まってんだろ!? ナメんじゃねぇよ! リンク召喚、トロイメア・フェニックス、そしてマーメイド!」

 

幻獣機トークン ☆3 守備力0

 

 オライオンが遺した遺産。惜しい奴を亡くした。

 

トロイメア・マーメイド link1 攻撃力1000

 

 マーメイドが門からにゅるりと出ると、修也の手札から『バスター・モード』が墓地へ送られ、代わりにデッキから黒髪の少女が現れる。

 

夢幻崩壊イヴリース ☆2 守備力0

 

「トークン、マーメイド、イヴリースでリンク召喚! 来い、空牙団の大義フォルゴ!」

 

空牙団の大義 フォルゴ link3 攻撃力2400

 

 三体が門に吸い込まれ、刀を持った美しい獣剣士が降り立つ。

 

「!? 空牙団のモンスター!?」

 

 驚く戦のフィールドに、先程の黒髪の少女が漂う。

 

「これは・・・・・・」

 

「イヴリースの効果だ。まあ、破壊するからどうでもいいだろ」

 

 一方的にモンスターを寄越し、一方的に破壊する。どこまでも自分本位な態度だった。

 

「フォルゴの効果で、デッキからリンク素材になった種族以外の空牙団を特殊召喚する。来いビート!」

 

空牙団の剣士 ビート ☆3 守備力500

 

 フォルゴの号令に応じるようにして、彼の後ろに獣剣士が並ぶ。

 

「ビートの効果、手札から空牙団を特殊召喚する! 来い、ドンパ!」

 

空牙団の撃手 ドンパ ☆2 守備力1000

 

 ビートに続き、獣の狙撃手が並ぶ。

 

「ビートの効果発動だ。コイツがいるときに空牙団が特殊召喚された時、デッキから空牙団を手札に加える!」

 

 かなり無茶苦茶な効果だが,十期のカードだから仕方ない。

 

「オレ様はサジータを手札に加え、ドンパの効果で特殊召喚! 来い、サジータ!」

 

空牙団の孤高 サジータ ☆5 守備力2400

 

 ドンパに続き、射撃手も並ぶ。

 

「ドンパの効果とサジータの効果! サジータの効果でフィールドのサジータ以外の空牙団の数だけ、500ダメージを与える! 喰らいやがれ!」

 

 サジータが仲間から力を受け取り、それを弾丸にして撃つ。

 

「うわっ」

 

遊民戦

LP8000→6500

 

 弾丸がイヴリースを掠めながら戦を撃ち抜き、イヴリースが驚いてパニックをお起しあっちこっちへ走りまわる。

 

「ドンパの効果、コイツがいる時に空牙団が特殊召喚されたことで、相手モンスター一体を破壊する!」

 

 『え?』と動きを止め修也を見るイヴリース。ドンパに呆気なく撃ち抜かれて退場となった。

 

(一方的に押し付けておいて・・・・・・)

 

 戦は渋い顔をするが、修也のターンは終わらない。

 

「フォルゴの効果発動! 相手のカードが破壊された時、一枚ドローする! 更に、場に他の空牙団が三種類以上いれば、追加で二枚ドローだ!」

 

「・・・・・・は?」

 

 合計、三枚ドロー。条件付きとはいえ、破格の効果だ。手札が五枚に戻ってしまった。

 

 そして、彼はまだ通常召喚権を使っていない。

 

「シールを通常召喚! 効果で手札から空牙団を特殊召喚するぜ! 来い、ラファール!」

 

空牙団の参謀 シール ☆4 攻撃力1600

 

空牙団の英雄 ラファール ☆8 攻撃力2800

 

 場を埋め尽くすほどに並んだ空牙団。初動とはえらい違いだ。

 

「ラファールの効果で場の他の空牙団の種類分、デッキの上からカードを捲り、空牙団モンスターを手札に加えるぜ。オレ様が手札に加えるのは『空牙団の闘士 ブラーヴォ』!」

 

 これで手札は四枚。そしてラファールは手札の空牙団を捨てることでモンスター効果を無効にできる。

 

「カードを伏せて、ターンエンドだ。オラ、この布陣を突破してみやがれ!」

 

久我修也

LP8000 手札3

場 エクストラ:空牙団の大義 フォルゴ メイン:空牙団の剣士 ビート 空牙団の撃手 ドンパ 空牙団の孤高 サジータ 空牙団の参謀 シール 空牙団の英雄 ラファール 魔法・罠:伏せカード

 

「・・・・・・僕のターン、ドロー」

 

 戦は修也の盤面に冷や汗をかきながらカードを引く。

 

「調律を発動して、デッキからジャンク・シンクロンを手札に加えて、召喚! 効果発動!」

 

ジャンク・シンクロン ☆3 チューナー 攻撃力1300

 

「ラファールの効果! 手札のブラーヴォをコストに無効だ!」

 

 オレンジ帽の調律師が仲間を呼ぼうとすると、ラファールがブラーヴォを呼び出し、ブラーヴォがジャンク・シンクロンを止める。

 

「手札一枚をコストに、ワン・フォー・ワン発動! デッキからチューニング・サポーターを特殊召喚!」

 

チューニング・サポーター ☆1 守備力500

 

 無理矢理押し通し、フライパン(最強の武器)を被ったミニロボを呼び出す。

 

「速攻魔法、地獄の暴走召喚! 僕はチューニング・サポーターを墓地とデッキから特殊召喚するよ」

 

「チッ、オレ様はフィールドが埋まってるから特殊召喚できねぇか」

 

 先攻であれだけ好き放題した罰だろうか。

 

「更に、墓地のボルト・ヘッジホッグの効果! 特殊召喚!」

 

ボルト・ヘッジホッグ ☆2 守備力800

 

 一気に並ぶモンスター。しかしそれを、修也は鼻で笑う。

 

「ハッ、それだけやって並んだのがそんな弱小モンスターかよ」

 

 ――そうして、彼は地雷を踏み抜いた。

 

「『弱小』・・・・・・? 僕が、弱いって言いたいの?」

 

 にこやかに死の宣告を突きつける戦。自覚がない修也は、あっさりとそれを肯定する。

 

「ああ、弱ぇな。こっちの無効効果を強引に抜けてまで出したのがそれかよ」

 

 戦は、静かに決めた。

 

(彼には・・・・・・絶対に勝つ)

 

「ジャンク・シンクロンとボルト・ヘッジホッグでリンク召喚、トラックブラック」

 

トラックブラック link2 攻撃力1200

 

 現れたカラスのようなモンスターを、修也はやはり鼻で笑う。

 

「いくらキレたって出すのがそんな弱小モンスターじゃあ、このオレ様は倒せねぇよ!」

 

 それを聞き流し、戦は手を正面に掲げる。

 

「手札一枚をコストに、ジェット・シンクロンを特殊召喚! そしてチューニング・サポーター三体をチューニング! シンクロ召喚! スターダスト・チャージ・ウォリアー!」

 

スターダスト・チャージ・ウォリアー ☆6 攻撃力2000

 

 白銀の星戦士が戦場に舞う。

 

「チャージ・ウォリアーと、チューニング・サポーター三体の効果。合計四枚ドロー」

 

「んなっ、四枚だと!?」

 

 彼の三枚ドローを一枚上回る数。それに修也は怒りを覚える。

 

「テメエ、挑発のつもりか!?」

 

「まさか。僕はまだドローする予定なんだけどな」

 

 お返しと言わんばかりに戦が鼻で笑うと、修也は益々苛立つ。

 

「トラックブラックの効果発動。リンク先のモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊するたび、一枚ドローできる。そしてチャージ・ウォリアーに月鏡の盾を装備」

 

「あ? だからどうした」

 

 状況をわかっていない修也に対し特に反応せず、戦はデュエルを進める。

 

「スターダスト・チャージ・ウォリアーは、特殊召喚された相手モンスター全てに攻撃できる。そして、月鏡の盾は戦闘する相手モンスターの攻守の高い方足す100の攻撃力を、装備モンスターに与える」

 

 修也の顔の血の気が引いていく。

 

「ま、待っ」

 

「スターダスト・チャージ・ウォリアーでシール以外の全モンスターに攻撃! オールバスター・ターミナイト!」

 

 チャージ・ウォリアーがファンネルの銃口を向け、一斉に照射する。

 

久我修也

LP8000→7900→7800

 

 サジータには自身以外の空牙団に攻撃させない効果があったが、それすら関係ない。

 

「じゃあ、僕は合計で五枚ドロー。これで手札は八枚、君の倍以上あるね」

 

 修也の伏せカードは『空牙団の修練』。しかし、発動してもドローされるだけなのでできなかった。

 

「クソッ! 何で、そんな雑魚に、オレの空牙団が!」

 

 叫ぶ修也。しかし、そこにあるのは純粋な悔しさのみで、憎しみや恨みといった感情は読み取れない。

 

 そのことに疑問符を浮かべる戦だったが、それも一瞬だった。

 

「テメエ! テメエだけは許さねぇ。このデュエル、ゼッテェに勝ってやる!」

 

 戦への憎しみと激憤が入り混じった瞳で戦を睨む。

 

「・・・・・・まあ、いっか。カードを四枚伏せて、ターン終了だよ」

 

遊民戦

LP6500 手札4

場 エクストラ:トラックブラック メイン:スターダスト・チャージ・ウォリアー 魔法・罠:月鏡の盾(装備:スターダスト・チャージ・ウォリアー) 伏せカード×4

 

「オレ様のターン、ドロー! 強欲で貪欲な壺! 二枚ドロー!」

 

 修也がカードを引くと、その一枚から大量の黒い()()のようなものが溢れ出る。

 

「エクストラデッキ十一枚を裏側で除外し! 来やがれ百万喰らいのグラットン!」

 

百万喰らいのグラットン ☆1 攻撃力?→2100

 

 それは、万物を喰らう悪食。

 

『主殿! あれは、』

 

「うん、闇のカードみたいだね」

 

 戦の危機にジャンが顕現し、彼の前に立つ。

 

『デュエルの結果など、もはやどうでもいい! 全て喰らえば問題ない!』

 

 意☆味☆不☆明な暴論をかざし、グラットンはルールを無視して戦に襲いかかる。

 

「でも、召喚されるまで出てこなかったってことは、身体はカードに縛られてるってことだよね」

 

 戦は伏せてあるカードの一枚に手を重ね、発動する。

 

「どれだけ強い闇のカードだろうと、これなら関係ないよね・・・・・・超融合、発動」

 

 そのカードから融合の渦が現れ、中から植物のツルのような触手が伸び、グラットンとトラックブラックを絡め捕る。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 ガタッ

 

「? どうしました、遊羽」

 

「いや・・・・・・ドラゴンの気配がしただけだ」

 

「そうですか。見に行きますか?」

 

「いや、いい。それより、虹花といたい」

 

「もう、遊羽ったら」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

『な、何を!?』

 

 触手から逃れようと身をよじるグラットンだが、触手は巻きついて離れない。

 

「無駄だよ。超融合にチェーンはできない。まあ、手札のない君じゃあチェーンすらできないだろうけど」

 

 既にトラックブラックは渦に呑まれ、中にいるモンスターの餌となっている。

 

「諦めた方がいいよ。彼、君よりも悪食だから」

 

『何!? まさか』

 

 抵抗するグラットンに痺れを切らしたのか、渦の中から触手の主顔を出す。

 

 毒々しい紫、植物のような身体。

 

「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン」

 

 戦がそう呟いたのと、スターヴが咆哮したのが同時だった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 ガタッ

 

「遊羽?」

 

「悪ぃ・・・・・・俺の知らないドラゴンの声が聞こえただけだ」

 

「そうですか。でも、急に立ち上がらないでください。皆さんが驚くので」

 

「そうだな。悪い」

 

「いえ、気にしないでください」

 

「「「いや、こっちは気になるよっ!?」

            なりますよっ!?」

            なりますからねっ!?」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 スターヴはトラックブラックの残骸を吐き出すと、続けてグラットンを食らおうと大口を開ける。

 

『なっ!? よ、よせ! やめろぉぉお!!』

 

 断末魔の叫びも虚しく、悪食は悪食に食われた。

 

 静かになった戦場(いくさば)に、咀嚼音だけが響く。

 

「さて、ここからどうしよう? デュエルを中断して、彼を保健室に運んで――」

 

「いや、その必要はないです」

 

 倒れているであろう彼に目線を向けた戦が見たのは、立ち上がり、闘志を燃やす修也の姿だった。

 

「状況はよくわからねぇし、多分不利な状況だが・・・・・・」

 

 手札、フィールド、墓地、除外をそれぞれ確認し、まだ戦えると判断。

 

「折角の先輩とのデュエルだ、無駄にするなんて勿体ないんですよ!」

 

 正気を取り戻した彼は、デュエルを続行した。




状☆況☆説☆明

春休みの内容とかが思いつかなかったので超カット。クリスマスは特別編の通りです。なので今の虹花の左手には指輪があります。
さて、この空白の五ヶ月間ですが、今のところ内容を考えていません。後から入れて辻褄を合わせます。
つまり、彼らはもうコラボ編の後なのだ・・・・・・辻褄合わせに苦しむ未来の自分が見えますね。

新キャラの修也くんですが、詳しくは次回(多分)明かされます。

卒業したキャラ達も、今後また出番はあります。
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