遊戯王 デュエリスト・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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コラボ第二回。

前回と違って戦闘描写がないので文字数が少ない・・・・・・。


血戦のヒロインズ

 遊羽と丈澄のデュエルが始まったのと、同時刻。

 

「ふふふ虹花さん、許しを乞うなら今の内よ?」

 

「いえ、お構いなく。そちらこそ、前言撤回しなくていいんですか? デッキの相性的には私が有利ですけど」

 

 バチバチと見えない火花でも散らすように睨み合う二人。《アンデット・ワールド》にはアンデット以外をアドバンス召喚できなくする隠された効果があるため、一見すると遊子が不利である。

 

「さあ、どうかしらね?」

 

 含み笑いをする遊子に、虹花は警戒を強めディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

「私のターンドロー。私はクリバンデットを召喚します」

 

クリバンデット ☆3 攻撃力1000

 

 毛むくじゃらの盗賊的な悪魔が現れると、虹花がもう一枚のカードを発動し、フィールドが屍界に染まる。

 

「そして手札からフィールド魔法アンデットワールドを発動します。そしてカードを2枚伏せ、EM五虹の魔術師をペンデュラムゾーンにセット。エンドフェイズにクリバンデットをリリースして効果発動・・・・・・魔法・罠があるなら一枚回収出来たのですが、今回はありませんでしたね。私はこれでターンエンド」

 

真宮虹花

LP8000 手札0

場 魔法・罠:伏せカード×2 フィールド:アンデットワールド Pスケール:EM五虹の魔術師

 

「私のターンドロー」

 

「スタンバイフェイズに墓地のドーハスーラの効果を発動します! 墓地から守備表示で特殊召喚です!」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 守備力2000

 

 屍の世界で、死霊の王がとぐろを巻く。しれっと寛いでいる。

 

「それならメインフェイズに私は手札から汎神の帝王を発動。帝王の凍気を捨て、二枚ドロー。墓地に送られた汎神の帝王を除外して効果発動。デッキから三枚選んであなたに選ばせるわ。さぁ、どうぞ」

 

 選択肢に提示されたのは三枚の帝王の深淵。

 

「選択肢ないじゃないですか」

 

「そうね。帝王の深淵発動。手札のアイテールをあなたに見せてデッキから真帝王領域を手札に加えて、そのまま発動」

 

 ムッとした顔で虹花が言うが、気にした様子もなく遊子は続ける。

 

「それなら、伏せていたサイクロンを発動します。これでフィールド魔法はなくなります」

 

「やるじゃない。なら私は手札のランドロープの効果発動。あなたのドーハスーラを対象に取って特殊召喚し、裏側守備表示にするわ」

 

 お返しと言わんばかりに虹花が遊子のフィールド魔法を破壊すると、ドーハスーラをひっくり返される。

 

「ドーハスーラをいとも簡単に・・・・・・」

 

「速攻魔法、帝王の烈旋を発動! 効果により私はあなたのモンスターでアドバンス召喚できるようになったわ」

 

「流石ですね、でも私のペンデュラムゾーンには五虹の魔術師がいます」

 

「ふぅん、厄介な効果持ちなのね。それなら墓地の帝王の凍気と深淵の帝王を除外して凍気の効果発動。あなたの裏側の伏せカードを破壊するわ」

 

「っ、ツインツイスターが・・・・・・」

 

 ドーハスーラの管轄外たる手札からの効果、そして墓地効果による伏せ破壊。

 遊子の戦術は、予想外に刺さっていた。

 

「私はカードをセット。これでその魔術師に邪魔されることはなくなったわね」

 

「ですが、アンデットワールドの効果でアドバンス召喚は出来ませんよ」

 

「確かにアドバンス召喚は出来ないわね。この子以外は」

 

「・・・・・・やはり」

 

 含み笑いをして一枚のカードでそれを隠すようにする遊子に、虹花は眉を顰める。

 

「ドーハスーラとランドロープでアドバンス召喚! 冥帝エレボス!」

 

冥帝エレボス ☆8 攻撃力2800

 

 虹花の予想が的中し、冥界の帝たるエレボスが君臨する。帝王領域がないため腰掛ける場所がなく、立ってて辛そうに見えるのはきっと気のせいだろう。

 

「エレボスはアンデット族。あなたのアンデットワールドの制約を唯一無視できる帝よ。そして、エレボスの効果発動! デッキから汎神の帝王と真源の帝王を墓地へ送りあなたのEM五虹の魔術師をデッキバウンスするわ!」

 

「っ、五虹が・・・・・・」

 

「バトルフェイズ! 冥帝エレボスでダイレクトアタック!」

 

「させません! リバースカード、死魂融合を発動! 墓地の牛頭鬼と不知火の隠者を融合し、エクストラデッキから冥界龍ドラゴネクロを融合召喚します!」

 

冥界龍ドラゴネクロ ☆8 攻撃力3000

 

 墓地の屍が混じり合い、骸の龍へと転化する。

 

 虹花が誰かとデュエルすることは少ないが、毎日遊羽とはデュエルしているのだ。デッキだって日々進化している。

 

「良いカード使うじゃない。私はこのままターンエンドよ」

 

桜坂遊子

LP8000 手札2

場 メイン:冥帝エレボス 魔法・罠:伏せカード

 

「私のターンドロー。スタンバイフェイズにドーハスーラは守備表示で蘇ります」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 守備力2000

 

 復活する死霊の王に、遊子は半ば呆れたような声を出す。

 

「ほんと、アンデット族はタフで厄介ね」

 

「それが強みですから。私は牛頭鬼を召喚して、効果を発動します。デッキからドーハスーラを墓地へ送ります。そして、先程クリバンデットの効果で墓地に送られた馬頭鬼を除外して二体目のドーハスーラを蘇生します。バトルフェイズ、ドラゴネクロで攻撃します!」

 

 ドラゴネクロが右腕をエレボスの胸に突き立てる。

 

「・・・・・・破壊されていない?」

 

桜坂遊子

LP8000→7800

 

 しかし確かに減ったライフポイントに、遊子は虹花へ視線を向け、説明を求める。

 

「ドラゴネクロと戦闘を行うモンスターは破壊されません。その代わりに戦闘を行ったモンスターは攻撃力が0になり、そのレベルと攻撃力を持ったダークソウルトークンを生み出します」

 

「なるほど」

 

冥帝エレボス ☆8 攻撃力2800→0

 

ダークソウルトークン ☆8 攻撃力2800

 

 ドラゴネクロが突き立てた右腕を引き抜くと、その腕には黒いエレボスが掴まれており、力を奪われたエレボスはその場に沈む。

 

「ドラゴネクロの効果が発動したことでドーハスーラの効果発動! エレボスを除外します!」

 

「させないわ。伏せカード、帝王の凍志を発動! これにより、私のエレボスは効果を失う代わりにこのカード以外の効果を受けなくなる」

 

「? そのまま二体のモンスターで攻撃します」

 

遊子

LP7800→5000→2200

 

「一気に減ったわね」

 

「私はこれでターンエンドです」

 

真宮虹花

LP8000 手札0

場 エクストラ:冥界龍ドラゴネクロ メイン:死霊王ドーハスーラ×2 ダークソウルトークン

 

「私のターン、ドロー! 墓地の汎神の帝王を除外して効果発動! デッキからこの三枚を選ぶわ」

 

 今回提示されたのは深淵の帝王二枚と再臨の帝王。

 

「再臨の帝王で」

 

「了解したわ。私は手札から強欲で貪欲な壺を発動! デッキ十枚を除外して二枚ドロー!」

 

「ここに来てドローカード!?」

 

 そのドロー力には驚愕せざるを得ない虹花。引けないカードに用はないと言わんばかりに遊子はカードを除外しドローする。

 

「フッ、来たわね。私は手札からコズミック・サイクロンを発動! 1000ライフポイントを支払ってアンデットワールドを除外するわ」

 

桜坂遊子

LP2200→1200

 

「そして、再臨の帝王を発動! 墓地のエレボスを蘇生して、このカードを装備よ。そして、このカードを装備したモンスターは二体分のリリースに出来る! 私はエレボスをリリース!」

 

 エレボスが闇に飲み込まれ、収縮していく。

 

「闇を飲み込む、暗き深淵の帝。この世の怨念を力に変え、眼前の怨敵を滅ぼせ!」

 

 収縮された闇はやがて小さな球体へと変化した。そして、一瞬の間を置いてからひびが入り、一気に破裂して黒い霧が広がる。

 

「アドバンス召喚! レベル8、怨邪帝ガイウス!!」

 

「なんて禍々しさ・・・・・・!!」

 

怨邪帝ガイウス ☆8 攻撃力2800

 

 現れたのは『黒闇(くらやみ)』を体現したようなモンスター。そのオーラに、虹花は悲鳴に近い声を出す。

 

「怨邪帝ガイウスがアドバンス召喚に成功した時、フィールドのカードを一枚選んで除外し、1000ポイントのダメージを与える! そして、闇属性モンスターを素材にアドバンス召喚した場合、この効果対象は二枚になるわ!」

 

「そんな!?」

 

「くらいなさい、次元覇射(じげんはしゃ)!!」

 

『でやあああああぁぁぁ!!!!』

 

 ガイウスが腕を振るい、ドーハスーラとドラゴネクロ次元の彼方へ飛ばす。

 

「うくっ!」

 

真宮虹花

LP8000→6000

 

「怨邪帝ガイウスの効果で除外したのが闇属性モンスターだった場合、そのコントーローラーの手札・デッキ・エクストラデッキ・墓地から同名カードを除外するわ」

 

「デッキからドーハスーラを除外します・・・・・・」

 

「バトルフェイズ! ドーハスーラに攻撃!」

 

「破壊されます」

 

「私はターンエンドよ」

 

「私のターンドロー! 私は馬頭鬼を召喚します! バトルフェイズ、ダークソウルトークンでガイウスに攻撃!」

 

「通すわ」

 

 相打ちで互いに破壊。

 

「続けて馬頭鬼でダイレクトアタック! これで私の勝ちです!」

 

 馬頭鬼の攻撃力は1700。遊子のライフを削りきるには十分な攻撃力だ。

 

「フラグ建てるのはやめたほうがいいわよ。墓地の真源の帝王の効果発動! 再臨の帝王を除外して守備力2400のモンスターとして守備表示で特殊召喚するわ!」

 

 しかし、それでやられる遊子ではない。クスリと小さく笑い、新たに壁を立てる。

 

「阻まれましたか・・・・・・私はターンエンドです」

 

「私のターン、ドロー! 真源の帝王をリリースして、邪帝ガイウスをアドバンス召喚! 召喚時効果で馬頭鬼を除外するわ」

 

邪帝ガイウス ☆6 攻撃力2400

 

「馬頭鬼の蘇生効果を封じられましたか」

 

「バトルフェイズ! ガイウスでダイレクトアタック!」

 

「くぅッ!?」

 

虹花

LP6000→3600

 

 虹花のライフが半分を下回り、遊子がターン終了を宣言する。

 

桜坂遊子

LP1200 手札2

場 メイン:邪帝ガイウス

 

「私のターンドロー。・・・・・・カードを一枚伏せ、ターンエンドです」

 

真宮虹花

LP3600 手札0

場 魔法・罠:伏せカード

 

 モンスターを引けなかったのか、悔しそうにカードを伏せた虹花。遊子はそれに警戒するように目を向ける。

 

「私のターン! 墓地の真源の帝王の効果、帝王魔法・罠を除外してフィールドにモンスターとして特殊召喚! 真源の帝王をリリースして、アドバンス召喚! 風帝ライザー! 召喚時効果で伏せカードをデッキの上に戻すわ!」

 

風帝ライザー ☆6 攻撃力2400

 

「これでフィールドが空っぽですね」

 

 諦めたように呟く虹花。そのタイミングで、遊羽の声が聞こえた。

 

「向こうも終わったみたいだし、こちらもフィナーレといきましょうか。バトルフェイズ! 二体のモンスターでダイレクトアタック!」

 

真宮虹花

LP3600→1200→0

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 二つのデュエルが終わり、それぞれ感想などを言い合っていると、ガイウスが何かに気づく。

 

『そろそろ戻らねばならんぞ、遊子、丈澄』

 

「え、もう!?」

 

「早かったわね」

 

 二人がそれぞれ反応し、丈澄は名残惜しそうに、遊子は振り返ることなくガイウスの生み出した黒い球体に入っていく。

 

「じゃあな、遊羽。・・・・・・また、どこかで」

 

「ああ。いつになるかわからねぇが・・・・・・またな」

 

 遊羽が拳を突き出すと、一瞬キョトンとした丈澄だったが、察した様に自分の拳をぶつける。

 

「早く行くわよ、丈澄。・・・・・・お仕置きが必要かしら?」

 

「え、ちょ!? またな、遊羽!」

 

 遊子に呼ばれ(脅され)、慌てて丈澄が駆け出す。

 

「いやー、二人ともいいデュエルだったね♪ オレは除け者だったけど!」

 

 二人の姿が見えなくなって、息吹が何ともなしに声をかける。

 

「龍塚くん? いたんですか?」

 

「もう帰ったと思ってたぜ」

 

「ちょ、酷いな! 一人寂しくデュエルを観戦してましたとも!」

 

 そんな息吹の言葉に、遊羽が笑うと、それに釣られたように虹花も笑い出す。

 

「クッ、ハハハハハハ!」

 

「うふふ、ふふふふ」

 

「二人して笑わないでくれない!? 流石のオレも傷付くよ!?」

 

 息吹はこの時傷心で気付かなかったが、遊羽が笑うことは珍しい。

 

 そんな彼の心をここまでほぐした彼らに、息吹は心の中で感謝した。




遊・虹「「今日の最強カードは、コレ!」

虹花「EM五虹の魔術師です」

遊子「いいえ、怨邪帝ガイウスよ。というか、そのカード今回全然活躍してないじゃない」

虹花「そ、それはそちらの作者に責任があります!」

遊子「デュエルシナリオ書いて貰った側が何言ってるのかしら?」

虹花「もう一戦しますか?」

遊子「いいわよ、また私が勝つけど」

遊・虹「「デュエル!」」

ガイウス『女子ってこんなに怖いのだな・・・・・・』

スレイター『離れておくか』

クリボール『クリリ(そうだね)

遊羽「つーわけで、コラボは終わりだ」

レヴ『次回からはいつも通りのストーリーズだ』

丈澄「俺もレギュラーで登場するぜ!」

遊羽「しれっと重大な嘘つくんじゃねぇよ」

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