戸山香澄になっちゃった!?   作:カルチホ

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4年半のようです…この前の話が投稿されてから…
内容見るとなんつーところで止めてるねんって話ですね
なんだか急に少しやる気が出たのでまた投稿します
このやる気が持つかは自分にも分からない…


16話:約束を君と

 

 

「…君…本当に香澄ちゃん?」

 

「……………え。」

 

 

突如として放たれたその言葉。ポピパの面々に怪しいような、心配なような目で見られた事はあるが、ここまで直球に聞かれた事は無かった。そもそも、常識的に考えて有り得ない質問だ。普通の思考回路をしていればこんな質問は浮かばない。しかし、これが氷川日菜という人なのだ。バンドリにおける同じ奇人枠のこころを相手になんとかやり切れたせいか、油断していたのかもしれない。

 

 

(いや…そもそも、薫さんの登場が無ければあの時も危なかった…)

 

 

こんな事を考えている場合では無いのだが、思考は何故か冷静になっていた。

 

 

「ひ、日菜ちゃん…?何を言っているの…?」

 

「ねーねーどうなのー?」

 

 

狼狽える千聖に目もくれず、返事を催促する日菜。

 

 

「日菜さん…!少し落ち着いて…!一体何を言ってるんですか…?」

 

「私は落ち着いてるけどねー?だってなーんか香澄ちゃん、香澄ちゃんって感じじゃないんだよねー。」

 

「香澄さんじゃ、無い?」

 

 

日菜は本来なら有り得ない事を言っている。しかし、彼女が冗談のトーンで無い事も分かる。勿論、俺がそれを分かって他の面々が分からないという事はないはずだ。だからこそ、ここまで戸惑っているのだ。

 

 

「…仮に彼女が香澄ちゃんで無ければ、一体誰なのかしら?」

 

「そこなんだよね〜!外見はどう考えても香澄ちゃんなのに、内面に全然香澄ちゃんを感じないっていうか〜…」

 

 

会ったばかりでここまで分かるのかと、もはや彼女を賞賛したい気持ちすらあった。しかしここで認める訳にはいかない。認めたところで話は良い方向には進まない。むしろ、悪い方向へと一直線だろう。ここで実は中身はどこの誰とも知らない者と入れ替わっていますと言っても、そんな現実離れした内容を信じてもらえるとは思えない。常識では計り知れない思考回路をしている日菜だけは、もしかしたら信じる可能性があるかもしれないが…少なくともこの他の皆もいる状況で言うのは悪手だ。しかし、誤魔化したところで日菜の追及から逃れられる気もしない。要するに、日菜にこの話を持ち出された時点で詰んでいる。

 

 

「え〜っと…何、言ってるんですか?」

 

 

目線を逸らしながら、苦し紛れに出てきたのはこの程度の言葉。この場をどうにかしようにも最善の選択肢と思われるものは頭に浮かばない。

 

 

「うーん、な〜んか違うんだよね〜。」

 

 

今の返答にも納得いっていない様子。ここで香澄だったらなんと返すのが正解なのだろうか?そもそも香澄がその状況下にいる事が有り得ないので、想像もつかない。

 

 

「ちょっと触ってみていい?」

 

「何言ってるんですか!?」

 

 

触ったら何か分かるのだろうか。というか本当にどうにかしないとまずい。しかし何も思いつかない。どうすれば、どうすれば…

 

 

prrrrr…

 

 

「あら…?」

 

「…え?」

 

 

突然聞こえてきた着信音は、自分の服のポケットから聞こえてきた。こんな時に誰から…と一瞬思ったが、よく考えたらこんな時だからこそありがたいかもしれない。ポケットからスマホを取り出し、相手を確認する。

 

 

「…有咲だ…ちょっと出ますね。」

 

 

そう言って俺はスマホを通話状態へと変える。この時、俺はある事を思いついたのだ。

 

 

「もしもし?」

 

『もしもし?蒼?』

 

「どーしたの?有咲から電話掛けてくるなんて〜。」

 

『…蒼?』

 

 

事情を分かっている有咲に対し、敢えて香澄を演じながら言葉を選ぶ。周りに日菜達がいるのでこうするしかないのだが、これは同時に有咲にも今【蒼川蒼】ではいられないという事を伝えられる。

 

 

「ふ〜ん……えっ、そうなの?」

 

『へ?』

 

「そっか〜…でも今は…あ〜うん、分かった。それなら今からそっち行くね?」

 

『………分かった。』

 

「また後でね!バイバ〜イ!」

 

 

そこで俺は電話を切る。一人で勝手に話している俺に戸惑っているように思えたが、最終的には察してくれたように思えた。要するに俺は、急用が出来た事を装いたかったのだ。

 

 

「あの…ごめんなさい!なんだかポピパの事で至急集まって話したい事があるとかで…。」

 

 

思い出したという体ならやや苦しいが、電話が来て今言われたという事ならそこそこ信憑性があるはずだ。といってもタイミングが良すぎる事には違いないのだが…。

 

 

「……分かったわ。そういう事ならしょうがないわね。」

 

「え…?」

 

 

意外にも、この状況からの離脱を許したのは千聖だった。彼女なら怪しいと思った俺を問い詰めてくる可能性も考えていたのだが…。

 

 

「どうしたの?有咲ちゃんから呼ばれたのでしょう?」

 

「は、はい!すみません、失礼します!」

 

「じゃあね〜♪」

 

 

予想外の助け舟だったが、これに乗らない手は無い。呆気に取られている様子の麻弥とイヴ、さっきまでとは打って変わって笑顔で別れを告げてくる日菜を横目に、俺はそそくさとその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…良かったんですか?千聖さん…なんというか…様子が変だった…ような…。」

 

「…バンドの事で急がなきゃいけない事があるのならしょうがないでしょう?」

 

「それは…そうなんですが…。」

 

 

彼女には分かっていた。明らかに戸山香澄は何か隠していると。しかし、どうにも追及する気にはなれなかったのだ。それをしてしまえば、何かが壊れてしまう気がしたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで…一体どうしたんだ?」

 

 

逃げるようにして市ヶ谷宅の蔵にやって来た。訊けば、パスパレメンバーとお出掛けになった俺が心配でつい電話したとの事。心配し過ぎかもしれないのだが、実際助かった。あの着信が無ければ脱出する事は出来なかっただろう。

 

 

「あー…ちょっとまずい事になったかもしれん…」

 

「…もしかしてだけど…」

 

「率直に言ってしまえば、日菜さんにバレそうになった。」

 

「…まじかー…」

 

 

有咲はある程度予想していたようで、やっぱりかと言わんばかりに頭を抱えた。あんな電話の内容聞けばそれはそうか。

 

 

「すまん…と言いたいところだけど、あの人いくら何でも察しが良すぎないか…?ボロは出さなかったと思うんだが…」

 

「ん〜…確かに蒼はかなり香澄の特徴を掴んでるとは思うけど、相手はあの日菜さんだしな…」

 

 

常識が通用する相手では無い、という事だろうか。いや確かに天才として描かれていたキャラだけど、あんな突然見抜かれるとは…

 

 

「でもよく考えたら私も知らない時は中身蒼の香澄に違和感あったしな…」

 

「それは有咲が香澄大好きだからだよな?」

 

「バッ…うるせーな!!ちが……くも、無い…けど…」

 

 

怒られちまったぜ。でも否定もしたくないのか後半頬を赤くしながらもにょもにょしている。可愛い。

 

 

「可愛い。」

 

「はぁ!?」

 

「あっやべ。」

 

「ちょ…そういうのやめ…!ほんと…!」

 

 

つい思った事をそのまま言ってしまった。でも多分喜んでくれてるっぽい?うっかり香澄の身体のまま有咲ルートに入ってしまうがな。

 

 

「うぅ〜…そんな事言ってる場合じゃないだろ…?その…話戻すけど、結局バレずには済んだんだよな?」

 

 

もうちょっとこの有咲を堪能したさがあったけど、そろそろ可哀想なので本題に戻るか…ちょっと俺キモくね?

 

 

「バレずに済んだ、と言い切っていいのか分からんが…日菜さん以外の面々には、何か大きめの隠し事をしてるくらいには思われたかもしれんな…」

 

「それ大丈夫か…?一番心配する状態だぞ…?」

 

「実際有咲はすげー心配してたもんな。」

 

「ま、まぁ…」

 

 

またしても顔を赤くしながら頬をポリポリと指で掻いている。この光景自体は微笑ましいものだが、あそこまで憔悴させてしまった事を考えると笑えないな…

 

 

「いや…あの時はすまなかった。俺が中途半端に隠したから…」

 

「謝ることじゃないって。蒼だって好きでこんな状況になってる訳じゃないし…結局ちゃんと伝えてくれたしな…」

 

 

そう言って彼女は少し微笑んだ。きっとあの時言わなければ、いよいよ彼女は壊れてもおかしくは無かったのかもしれない。そう考えると、勇気を出して良かったと思える。

 

 

「…なんだよ、あんまじっと見るな!」

 

 

そんな事を考えながら彼女の顔を見ていたらふいっとそっぽを向かれてしまった。照れ隠しだと思うとまたしても微笑ましくなってしまう。

 

 

「まあ、なんだ。俺も正直この秘密を一人で抱えてたら気持ち的にヤバかったかもしれん。有咲が知ってくれてるだけでもかなり楽になったんだ。俺も我ながら勇気を出したとは思うが…有咲も受け入れてくれてありがとう。本当に感謝してるよ。」

 

「む、むず痒い…よくそういう事さらっと言うなお前…まあ、悪い気は、しないけど…」

 

「それならよかったよ。」

 

 

今でこそ馴染んできたが、こんなとんでも話を彼女が受け入れてくれて協力してくれてるのは本当に奇跡だと思う。これからも、そんな彼女に感謝をしつつ、香澄を取り戻す方法を探していこう。

 

 

「有咲、絶対に香澄を取り戻そうな。約束だ。」

 

「…うん、そうだな。」

 

 

その時少し、指切りを交わした彼女の表情に陰りが見えたのに、俺は気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「香澄は取り戻す…でも、それが出来た時…蒼は…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued…




めちゃめちゃぶった切った終わりのとこで失踪していたのは申し訳無い…
やる気が続けば続きます()
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