わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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国境を越えて
北の国から勇者さま 1


今日は困ったことがあるのでさっちんと一緒に賢者さまのいる会社って所に来ました。

 

サチ「ここに賢者さんはいつも働いているのね…。みんな薄汚い格好をしているわね…。」

勇者「きっと、このドアの向こうに賢者さまは居ます。」

 

わたしは勢いよくドアを開けました。

 

勇者「賢者さまー!」

矢内「死ね!コラー!」ドカッ!バキ!ドカッ!

???「止めてくれー!」

社長「矢内!お前相手先の社長に何してるねん!止めんか!」

サチ「」

勇者「」

 

賢者さまが知らない人を蹴り続けています…。とにかく止めないと!

 

勇者「賢者さま!」

矢内「勇者!良いところに来た!斧を貸せ!こいつの頭を叩き割ってやる!」

社長「お前!何言い出すねん!!相手先の社長や言うてるやろ!」

相手先の社長「私にこんな事をしてただで済むと」矢内「黙れーーー!!俺はお前が死ぬまで蹴り飛ばすを止めない!!」ドカッ!バキ!

社長「矢内!!安全靴で蹴るの止めんか!お前達、矢内を止めろ!」

サチ「賢者さんがここまで怒ることなんて…。あの人一体何をしたのかしら?」

勇者「賢者さま!何があったか知りませんが止めて下さい!」

矢内「何があったかだと!コイツはスコールをくだらないガキの飲み物だと抜かしやがって!ブラックコーヒー飲んでる奴がそんなに偉いのか!死ね!」ドカ!バキ!

サチ「」

勇者「」

社長「」

相手先の社長「そ、そんな事で…私がどれだけ偉いか分かっているか…」

矢内「お前の何が偉いんだ!お前の会社を立ち上げたのはお前の親父だろうが!親の七光りのお前が調子こいてるんじゃねぇ!カスが!」ドカッ!

社長「お前ら!もう矢内の奴をどこかに連れて行け!」

 

社長さんの許可が出ましたのでファンタルジニアに行きましょう。

 

勇者「でも賢者さま、まだ怒っています…。」

サチ「ゆうりん、大丈夫よ。私に考えがあるから。」

 

さっちんは頼りになります。

 

サチ「賢者さん、実はファンタルジニアにスコールを馬鹿にする酷い奴が居るのだけど…。」

矢内「何!!!!どこのどいつだ!案内しろ!ぶっ飛ばしてやる!」

サチ「さあゆうりん、ゲートを開けて。」

勇者「分かりました。では行きましょう!」

矢内「命拾いしたな!オラ!」ドカッ!

 

相手先の社長「くそ…。肋が折れてる…。二度とお前の会社と取引するか…。」

 

 

 

俺達はゲートを通ってファンタルジニアに来た。どこのどいつだ!ぶっ飛ばしてやる!

 

サチ「あいつよ…。賢者さん、ぶっ飛ばして…。」

矢内「」

 

なんだ!あれは!俺はサチが指を指した方向を見た。馬鹿デカいタコがいる。

 

サチ「あのクラーケンよ…。」

勇者「賢者さま、あいつが邪魔で橋が通れないのです…。」

矢内「とりあえず………退却だ!」

勇者「えっ?」

矢内「えっ?じゃねぇ!逃げるんだよ!」

 

俺達は全速力で橋の麓まで逃げた。麓の先にはエリカ達が待っていた。

 

エリカ「あっ!みんな帰って来た!賢者、お前汚い格好だなぁ。」

 

黙れ、これは会社の作業服だ。

 

矢内「お前ら、どういう事だ!ちゃんと説明しろよ!」

勇者「橋の上に大きな魔物が居ます。」

 

見たら分かるわ!

 

エリカ「すげぇデカいんだよ!」

 

見たら分かるわ!

 

アリマ君「キー!キー!キー!」

 

分からねえよ…。

 

サチ「これからこの大橋を渡って国境を越えて北の国に行くのだけど人が通ろうとするとあのクラーケンが出て来て行くてを阻むのよ…。毎日居ないのだからたまには知恵を出して役に立ちなさいってことよ…。」

 

なんて物の言い方だ、この女!今日のコイツの飯は死なない程度の下剤を混ぜてやろう。

 

矢内「橋を渡ろうとすると現れるのか…。相手は海の魔物だ。船も駄目だな…。」

エリカ「あっ!分かった!端を渡らないで真ん中を渡ればいいんだよ!見てろよ!」

 

そう言ってエリカは橋を渡って行った。そんな一休さんみたいなトンチが通用するか、馬鹿が!

 

エリカ「ウワー!」ボチャーン!

 

エリカはクラーケンの足に捕まり海に投げ飛ばされた。

 

勇者「エリカにゃんはお馬鹿さんですねぇ…。」

矢内「通ろうとするとああやって海に落とされるんだな…。」

勇者「橋の上に魔物が現れるので橋の下を捕まりながら行きましょう!見てて下さい!」

 

海に居る魔物だから丸見えだろうが…。

 

勇者「あっ!そんな…海から現れるなんて!ウワー!」ボチャーン!

 

勇者もクラーケンに捕まり海に投げ飛ばされた。そらそうだ…。

 

サチ「賢者さん…。私の苦労が少しでも分かったかしら?」

矢内「ああ、なんかすまんな…。」

 

俺が悪い訳では無いが一応、謝った。

 

勇者「賢者さま!なんで助けてくれなかったのですか…。」

エリカ「そうだー!あたし達びしょ濡れになったじゃないか!」

 

知るか!

 

サチ「仕方がないわね…。私の黒魔術で撃退しましょう…。」

 

黒魔術だと!また怪しい変な術か…。

 

サチ「橋を少し行った所に真っ二つになった女性の死体を使いましょう。」

 

クラーケンに殺されたのか…。酷いな…。上半身と下半身が綺麗に切られている…。

 

サチ「行くわよ…。『カーズ マリオネット』!」

 

うわっ!死体の上半身が動き始めた!

 

サチ「これは対象者一人を意のままに操る事が出来る黒魔術よ…。みんな、コイツをクラーケンにけしかけるから相手が怯んだ隙に橋を渡るわよ。」

矢内「死者を冒涜するな!」

勇者「さっちん…死んじゃった人が可哀想です…。」

サチ「こんな所で死ぬ奴が悪いのよ!それにもう二つとも魂がないからきっと成仏してるわよ。」

矢内「二つ?下半身は違う人なのか?」

サチ「ええ、そんな事はどうでも良いわ…。さぁ行くわよ!」

 

お前一回呪われろ!サチが死体をクラーケンにけしかけた。

 

クラーケン「キシャアアア!」

 

クラーケンが死体を捕まえて海に投げる。

 

サチ「フフフ、無駄よ。」

 

死体は空を飛びながら戻って再びクラーケンに突っ込んで行く。また捕まった。

 

サチ「あっ死体が食べられてしまったわ…。失敗ね…。撤退よ…。」

 

俺達はまた橋の麓まで戻ってきた。

 

矢内「何が黒魔術だ!全然駄目じゃねぇか!」

サチ「『カーズ マリオネット』!」

矢内「おわっ!体が浮いてる!何をした!」

サチ「喰らいなさい!」

矢内「おわー!」ボチャーン!

 

俺は海に飛ばされた。

 

矢内「クソッ!何しやがる…。びしょ濡れじゃねぇか…。」

 

クソったれ…あいつはあまり怒らせない方がいいな。

 

矢内「あいつ…デカいけどタコだよな。………よし、アリマ君!ちょっと協力してくれ!」

アリマ君「キー!」

矢内「いいか?俺があのタコの注意を引きつける。その隙に空からこの真水を上からあのタコにぶっかけてくれ。」

アリマ君「キー!(分かったよ。)」

 

タコは真水につけると死ぬ。2リットルのペットボトルの水しかないが殺せなくても水をかぶったら慌てて海に逃げ出すだろう。

 

矢内「その前に…」

 

俺は異次元袋から釣り竿を取り出してタコを釣り上げた。

 

矢内「小さいな…。まあいいだろう。」

サチ「そんな小さいタコが何の役に立つのかしら?」

矢内「まあ見てろよ。よし!行くぞ!」

 

俺達は再びクラーケンにやってきた。

 

矢内「お前のガキは預かった!返して欲しかったらその橋をどけ!」

「キシャアアアー!」

 

よしクラーケンが俺の方に向かってきた。よしアリマ君……

 

エリカ「アリマ君、ちょっとのど乾いたからそのお水頂戴。」ゴクゴク

勇者「エリカにゃん、わたしもください!」ゴクゴク

矢内「」

 

あの馬鹿共!切り札の水を飲んでいやがる!クラーケンの足が!しまった!

 

矢内「おわー!」ボチャーン!

 

俺はクラーケンに投げ飛ばされて海に落ちた。

 

サチ「賢者さんは一体何をしているのよ!みんな、撤退よ!」

 

再度橋の麓まで戻ってきた。

 

作戦は失敗した…。

 

エリカ「賢者!全然駄目じゃん!」

 

お前達の所為だ!

 

サチ「雲行きが怪しくなってきたわ…。一度もどりましょうか…。」

 

ん?こりゃ一雨きそうだな。雨か…。

 

矢内「いや待て、雨が本降りなるのを待ってから橋を渡るぞ。」

エリカ「デカいのがいるよ。賢者、馬鹿なのか?」

矢内「馬鹿はお前だーー!」ガン!

 

俺は頭に来たのでエリカに拳骨を喰らわした。

 

矢内「いいか!タコは真水に弱い!だから大雨が降ると海から出てこないはずだ。だからその隙に橋を渡りきる。」

サチ「それでアリマ君に水を渡していたのね…。それをゆうりんとエリカさんが飲んで作戦は失敗したのね…。」

矢内「そうだ、アリマ君。これからはちゃんとアイツの面倒を見ないと駄目だぞ。」

アリマ君「キー…。」

サチ「これじゃどっちが飼い主か分からないわね…。」

 

おっそうこうしている内に降ってきたな。

 

勇者「賢者さま、雨が降って来ましたよ。」

矢内「よし!みんな、橋を渡りきるぞ!」

勇者「はい、賢者さま!」

 

俺達は駆け足で橋を渡った。

 

サチ「クラーケンがいないわね…。」

勇者「賢者さまの言うとおり魔物が居ません。」

エリカ「本当だ!賢者すげぇな!」

矢内「このまま一気に渡りきるぞ!」

勇者「はい、賢者さま!」

 

橋をなんとか渡りきった。

 

サチ「看板が立ってあるわね…。えっと、この先500メートルにノートルランド城下町…私達、国境を越えたのね…。」

エリカ「城下町かぁ。早く行こう!」

アリマ君「キー!」

矢内「そうだな!服びしょ濡れだしさっさと行ってまずは宿をとろう。早く着替えないと風邪をひいてしまう。」

勇者「わたし、今まで風邪なんてひいた事ありませんよ。」

エリカ「あたしも無いぞ!賢者が軟弱なんだよ。」

 

それはお前達が馬鹿だからだ。


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