わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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シンデレラハネムーン 1

わたし達は今、勇者の兜を持っているという王様のお城に向かっています。その王様は面白い事が大好きな人で王様を笑わせたらご褒美が貰えるそうなのです。

 

勇者「着きました。このお城です。」

サチ「ゆうりん、お城に行く前に先に宿を取りましょう。」

エリカ「お腹も空いてきたしなぁ…。」

アリマ君「キー…。」

勇者「わたしは賢者さまを呼んで来ますのでさっちん達は宿屋に行ってて下さい。」

サチ「分かったわ…。みんなお腹が空いているから早くね。それから向こうで寄り道をしないようにね。」

勇者「分かりました。行って来ます!」

 

わたしはゲートを開いて賢者さまの所に行きました。

 

 

 

俺は勇者に連れられてゲートを通ってサチ達が待っている宿屋に着いた。勇者の兜を貰うのに王様を笑わせたらいいらしい。こういうドラクエ的な展開を俺は待っていた!

 

矢内「お前ら、待たせたな。」

エリカ「賢者!今日は早かったなぁ。」

サチ「賢者さん、ご飯はまだかしら?」

 

いきなりそれか…。

 

サチ「………。ハァァァァ!」ポン!

 

何も無い所からお釜が出てきた!

 

サチ「ご飯は炊けたわ…。おかずを早く作って貰えるかしら?」

矢内「ちょっと待ってろ!」

 

俺は自分の荷物を漁った。しまった!油を切らしている。缶詰めもあんみつしかねぇ…。仕方ない…。勢いで誤魔化そう!

 

矢内「今日のご飯は!卵!かけ!ご飯!TKG!」

サチ「ハァア!?」

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

勇者「なんか賢者さま、ノリノリですねぇ。」

エリカ「何これ?」

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!さぁご一緒にー!」TKG!

エリカ「TKG!」TKG!

アリマ君「キー!キー!キー!」TKG!

勇者「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

サチ「黒魔術、筋力増加法…全開…。」

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

矢内「TKG!」TKG!

サチ「エン…ト…トライ…。」

矢内「ヒィィーーハ!」

サチ「スマッシュ!」バチン!

矢内「オワー!」ガシャーン!

勇者「賢者さまー!」

 

サチの放ったビンタで俺は二階の窓から外に吹っ飛ばされた。

 

矢内「イテェ…。なんて威力だ…。クソッ!」

サチ「私の黒魔術は無敵よ。」

 

 

 

矢内「クソッ!酷い目に遭った…。」

ガツガツ

サチ「もう一度喰らいたいのかしら?」ガツガツ

 

俺達は卵かけご飯をがっついている。

 

サチ「だいたい料理の出来ない賢者さんなんて虫けら以下の存在じゃない!」ガツガツ

 

そこまで言う事無いだろ。

 

勇者「たまにはこういうのも良いですよ。」サクサク

エリカ「あっ勇者!お前だけ何食べてるんだよ!」ガツガツ

勇者「エリカにゃんはいやしんぼさんですねぇ。しょうがないので特別に一つ分けてあげます。」

 

そういって勇者はエリカの茶碗に何か置いた。

 

エリカ「何するんだよ。あたしの茶碗の上に虫を置くなよ!」

勇者「クマゼミです。羽がサクサクしておいしいですよ。」

 

やっぱりセミだった。

 

矢内「何も無い所から釜が出てきたがあれはなんだ?」ガツガツ

サチ「はぁ、いちいち説明しないといけないのかしら?あれは私の黒魔術、『お釜でポン!』よ。」ガツガツ

 

だから何だそれは…。

 

サチ「これは瞬時に4大精霊、土のノームにお釜を作らせ、風のシルフに世界中の金持ちの家からお米をバレない程度に捕って来させて、水のウンディーネがお釜に水を入れて火のサラマンダーがお釜に火をつけてお米を炊き上げる黒魔術よ。あっ卵もう一ついただくわ。」ガツガツ

 

ただの米泥棒じゃねえか。それにしてもこいつ等よく食うな…。

 

矢内「よし、腹も膨れたし、そろそろ行くか。」

勇者「はい、賢者さま。」

 

そして、俺達は王様の居る城に向かった。今回はまあ直ぐに片が付くだろう。

城にたどり着いた。俺達の前に何人も人が並んでいる。こいつ等も褒美目当てで来た連中か。

 

サチ「私達の番はこの次の次ね…。」

矢内「ああ…。」

勇者「賢者さま、なんか落ち着いていますねぇ。」

サチ「何か秘策が有るのかしら?」

矢内「ああ、任せろ。」

 

少し時間がたった。

 

「中にお入り下さい。」

 

城の兵士に案内された。俺達の前に居た人が芸を初めた。

 

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!ご一緒にー!」

「B K B!」

矢内「B K B!」

勇者「B K B!」

矢内「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!ヒィィーーハァ!」

エリカ「さっき賢者がやってたやつだ。」

「どーもー!今日もアクセル全開で頑張って行こうと思います!バイクだけにね。」ブン!ブン!

矢内「ブン!ブン!」

 

 

 

 

 

しばらくネタが続いた。

 

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!」

「B K B!ヒィィーーハァ!どうもありがとうございました!」

 

ネタが終わった…。

 

王様「ハハハハハハ、面白かった褒美を授けよう!」

「じゃあ、川崎のバイクNinjaで。」

 

勇者の兜じゃなくて良かった。

 

王様「では、次の者。芸を見せよ!」

 

俺達の番だ。俺は王様の前に出た。

 

王様「どうした、早く芸を見せよ!」

矢内「しかしながら王様、わたくしには王様を笑わせることは出来ません。」

王様「何?!」

矢内「ですが!わたくしを連れて来たこの者達なら王様を笑わせることが出来るでしょう。」

 

もう一息だ。

 

矢内「どうか彼女達に勇者の兜をお与え下さい。世界を平和にし人々を笑顔に導くこの勇者一行こそ王様をそして全ての人が心から笑わせることが出来るでしょう!」

 

決まった!パーフェクトに決まった!

 

王様「はぁん?お前は何を言っている馬鹿か!儂は芸をして笑わせたらと言っているのだ!そんな愚民共の笑顔などどうでもいいわ!儂は儂さえ楽しければそれでいい!平和など関係無いわ!芸をしないなら去れー!次に下らない事を抜かすと死刑にするぞー!消え失せろー!」

 

何だと!パノン方式が通用しないだと!予想外だ。こんな事になるなんて…。

 

矢内「出直そう…。」

 

俺達は城を出て宿に戻った。

 

エリカ「賢者!何やってるんだよ!」

矢内「ああ、すまん…。王様があんなクズだと思わなかった…。」

サチ「ちゃんと芸をして笑わせないといけないのね…。」

矢内「そうだな…。俺の物まねを披露するしかないな…。」

勇者「賢者さまは何でも出来るのですねぇ。」

サチ「見せて貰えるかしら?」

 

マジか?仕方ない、披露するか。

 

矢内「では、取って置きをやる。ミュージックスタート!」

 

矢内「いーつでも♪ふーたりは♪シンデレラ ハネムーン♪」

エリカ「何これ?」

アリマ君「キー?」

矢内「時計に♪おーわれる♪シンデレラ ハネムーン♪」

エリカ「何でアゴを突き出して歌っているだ?」

サチ「元ネタが分からないわ…。」

勇者「賢者さま、こうですか?シンデレラ♪ ハネムーン♪」

矢内「おっ上手いな!そうだ、そんな感じだ。もっとアゴを突き出すんだ!シンデレラ ハネムーン♪」

サチ「実物を見たら似てるか分かるわ…。黒魔術、『パーソン エンター』。」

矢内「日暮れに♪はーじまる♪」

勇者「シンデレラ ハネムーン♪」

矢内「夜明けに♪わーかれる♪」

勇者「シンデレラ ハネムーン♪」

「……それ、私の真似したコロッケの真似よね。」

 

俺は後ろを振り返った。

 

「止めてくれるかな?」

 

げっ!本人が居る。どういう事だ?

 

サチ「元ネタが分からないから私の黒魔術で本人を呼んだわ…。」

矢内「余計な事をするな!怒られるだろ!」

勇者「シンデレラ ハネムーン♪」

「今、止めろって言ったよね。それにアゴ突き出してないから!次やったら許さないから!」ヒュン

 

光の中に消えて行った…。

 

サチ「帰ったようね。」

勇者「あの人、怒ってましたね…。」

サチ「当然よ。二人共、殴られなかっただけありがたく思うのよ。」

矢内「これだけじゃあ無いぞ。レパートリーはまだまだあるんだ。」

サチ「いえ、もう結構よ。賢者さんはあてにならないわね…。助っ人を呼びましょう。」

エリカ「助っ人?」

サチ「ええ、そういえばエリカさん達はまだ会ってなかったわね…。」

勇者「誰ですか?」

サチ「今から私の黒魔術で召喚するからみんな黙って居ててね。」

エリカ「分かった!どんな奴だろうなぁ。」

アリマ君「キー!(楽しみだね。)」

サチ「あまり期待しない方が良いわよ。『パーソン エンター。』」

 

何か光の渦が出てきた!何をするつもりなんだ?

 

サチ「えー、コホン。かー、矢内!お前って奴は…。ハッハーwww」

 

何だ今のは?

 

エリカ「うわっ!光の中から誰か出てきた!」

アリマ君「キー!キー!(エリカちゃん気を付けて!)」

畑中「ハッハーwww!矢内!ここは何処だよ!俺はゴッド打ってたはずだぞ!」

 

誰か出てきたと思ったら寄りによってコイツか…。期待して損した。

 

勇者「屑野郎さん、こんばんは!」

畑中「おぅ!勇者ちゃん!」

エリカ「誰?」

サチ「そうね。エリカさん達は初めてだったわね…。紹介するわ。そいつの名は畑中…。毎日、プラプラしている屑野郎よ…。」

勇者「屑野郎さんは賢者さまのお友達なのですよ。」

エリカ「そうなんだ。あたしエリカ!よろしくな屑野郎!」

アリマ君「キー!キー!(屑野郎、よろしく!)」

 

初対面で失礼だろ…。まぁ畑中だから良いが…。

 

畑中「ハッハーwww!魔物じゃねえか!矢内、コイツも仲間か?」

矢内「ああ、アーリマンのアリマ君だ。この中じゃ一番優秀な奴だ。」

畑中「ハッハーwww!まあいいや、よろしくな!」

アリマ君「キー!」

サチ「挨拶も済んだ所で用件を言うわ。実はこの国の王様を笑わせて勇者の兜を手に入れないといけないの…。それであなたのそのおかしな顔で王様を笑わせて欲しいのよ…。」

 

酷い言い草だな…。まぁ相手が畑中だから良いが…。

 

矢内「サチ、何でいきなり畑中が出てきた?」

サチ「賢者さん…。いちいち説明するのは面倒なのよ…。今のは、私の黒魔術、『パーソン エンター。』光の渦を出して物まねをした相手を召喚する黒魔術よ。」

矢内「さっきのは畑中の真似か…。お前、物まね下手くそだな…。」

サチ「黙りなさい…。あなたも人の事言えないじゃない…。」

 

大きなお世話だ!

 

畑中「なんかドラクエみたいな展開だな…。なら、パノン方式で楽勝じゃねえか!」

矢内「さっきそれをやって失敗したんだ。次失敗したら俺達は死刑になる。」

畑中「かー!お前って奴は…。勝手に俺を巻き込むな!」

矢内「別に良いだろ!お前が死んでも誰も困らないから。」

畑中「お前一人で死ねよ!」

エリカ「アイツ、面白いなぁ…。」

サチ「やはり賢者さんと息がぴったりね…。」

 

コンコン!誰か来たのか?こんな時間に誰なんだ?

 

???「失礼します。」

勇者「誰ですか?」

大臣「私はこの国の大臣です。こちらはこの国の兵士長です。実はあなた方にお願いがあります!」

エリカ「お願いって何?」

大臣「国王のこの馬鹿げた行為を止めていただきたいのです!」

矢内「どういう事だ?」

大臣「分かりました、説明します。今、このお触れのために国民は重い税金を払わされています。」

兵士長「そして、王様やその娘は国民のことなどお構いなしに贅沢三昧…。自分は王女に虫けらのような扱いを受けています…。」

矢内「何で俺達に言うんだ?お前達がクーデターでも起こせば良いだろ。」

大臣「それがあの王が神のご加護を受けているのです…。凡人の我々には手が出せないのです。」

矢内「って事はここの国王は勇者なのか?」

サチ「出たわね…。その中二病設定…。」

畑中「かー!矢内、お前もう三十才過ぎてるのに中二病って!ハッハーwww!」

 

黙れ!真面目な話だ。

 

兵士長「はい、勇者になります…。なので国王に逆らう事は神への反逆になるのです…。」

大臣「国民はその事を知っているので誰も逆らえないのです…。」

矢内「で、なんで俺達に頼むんだ?俺達余所者だったら後でどうなっても良いって事か?」

大臣「それは…相手が勇者だと神も手は出せないからです…。」

畑中「そうか!じゃあ大丈夫だ。」

 

大丈夫じゃねえ!そいつは勇者でもなんでもねえ…。

 

矢内「いや、しかしだな…」

兵士長「我々はあなたの演説で感動してここに来ました!この国を変えるのはあなたしか居ないと!」

 

コイツ、なかなか分かっているじゃねぇか。

 

大臣「お願いします、賢者様!我々を救っていただけるのは賢者様達おいて他におりません!どうかこの国を救って下さい!賢者様!」

矢内「ハハハ!そうだろう!そうだろう!この賢者様に任せておけば全て解決だ!ハハハハハハ!」

大臣「ありがとうございます!」

兵士長「我々も出来る限りは協力させていただきます!それでは、今日の所は我々は失礼します!」

 

大臣達は部屋を出て行った…。

 

サチ「で?賢者さん?どうするつもりかしら?」

畑中「かー!矢内、お前は煽てられたら直ぐに調子に乗る…。悪い癖だぞ…!」

矢内「まぁ、俺の物まねで大丈夫だろう…。」

勇者「シンデレラ ハネムーン♪」

矢内「シンデレラ ハネムーン♪」

サチ「ハァ…。ため息しか出ないわ…。」

畑中「お前の下手くそな物まねでいける訳ないだろ!」

エリカ「なぁ賢者…。王様は悪い奴なんだから普通にやっつけたらいいじゃん。」

矢内「エリカ、王様から褒美を根こそぎ頂いてからやっつけるんだ!」

畑中「そうだぞ!ただやっつけたらタダ働きだからな!ハッハーwww!そういう事で今からネタを作るぞ、矢内!」

 

俺と畑中は一晩中ネタ合わせをした。

そして、夜が明けた。

 


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