力の目覚め 魔法の力 1
ヒコマロと村で別れて3日後、俺は休日を利用して朝早くから釣りに出かけている。
矢内「よし、キタ!」
俺の竿が大きくしなる!これはデカイ!大物だ!ヤバイ、竿が折れそうだ!
バジャーン!!
勇者「け、賢者さま!泳いでいたら何かに引っ掛かって…。」
矢内「」
俺に休日は無いのか…。
勇者「賢者さま、お迎えに来ました!」
久しぶりに大物がかかったと思ったらお前か!チクショウ!
矢内「いいか、勇者。俺は今、今日お前達が食う魚を釣っているんだ。」
勇者「じゃあ、わたしもお手伝いします。お料理は出来ませんが泳いだりするのは得意なのですよ。」バシャン!
そう言って勇者は再び海を泳いで行った。
矢内「このあたりは勇者の馬鹿が暴れたからもうダメだな。少し移動して再開するか。」
そして、俺は少しポイントを移動して釣りを再開した。
矢内「よし、いきなりかかった!」
これは良形のメバルだ!この後、立て続けに三匹のメバルをゲットできた!
勇者「賢者さまー!お魚取れましたよー!」
勇者の奴が戻って来た。
勇者「見てください!二匹も取れました。お腹が大きく膨らむお魚です!」
矢内「…勇者よ、海に返して来なさい。」
勇者「えっ?」
矢内「これは草フグって言って毒魚だ。食べられない。」
勇者「あっ!でもエリカにゃんなら食べてくれるかもしれません。」
お前はエリカに恨みでもあるのか。アイツは前回、毒キノコ食ってるんだ。止めてやれ!少しスコールを飲んで落ち着こう。
矢内「よし、まあ良いだろう。サチとエリカ達が待ってるんだろう。そろそろ行くか。勇者、それ海に返しておけよ。」
俺達は勇者が開いたゲートを通りまた冒険に出かけた。
サチ「あら?ゆうりん、ビショビショじゃない。中二病のキチガイに何かされたの?」
何故来てそうそうに文句を言われないといけないんだ。
勇者「さっちん、おかずのお魚を取ってました。」
エリカ「また魚かー。お肉の方が良いなぁ。賢者、ハンバーグがいい!」
矢内「そうか、エリカは魚が嫌なんだな。そうか、そうか。じゃあ、今日のおかず無しでいいな。」
エリカ「嫌じゃないぞ。食べるよ!あっ!村が見えてきた。賢者、あたしのおかず取ったら戦士長に言いつけるからな。」
メバルは4匹しか釣れなかったからな。このままじゃあまずいな。
村にたどり着いた。寂れた村だ。宿屋に入っても誰も居ない…。
変だな…。何者かの気配はするのだが…。
勇者「誰も居ませんねぇ…。」
矢内「仕方ない、勝手に部屋を使わしてもらうか。」
サチ「賢者さん、少し外を探索してくるわ。」
矢内「ああ、少し様子が変だ…。何か気配はするが人が居ない。」
サチ「賢者さんも気づいていたのね。」
エリカ「サチは心配性だなぁ。みんなきっとお昼寝してんだよ。」
そんな訳あるか!
勇者「ちょうどごはんの時間なのでみんなお家に居るのですよ。」
そんな訳あるか!
サチ「はぁ…。行ってくるわ。」
矢内「アリマ君、サチについて行け。嫌な予感がする。」
アリマ君「キー!」
エリカ「あたしも行く!」
勇者「わたしも行きます!」
矢内「お前らはここで待ってろ!たまには飯の準備を手伝え!」
サチとアリマ君に村の探索を任せて俺はトラブルメーカーの馬鹿二人を見ることにした。
気にしても仕方ない、飯の準備をするか。このメバルはやはり煮付けだな。後は味噌汁を作ろう。たまには和風でいくか。よし、後一品は卵焼きにしよう。今日の献立は完成だ。
勇者「賢者さま!」バン!
勇者の奴が勢いよくドアを開けた。
矢内「なんだ?」
勇者「賢者さま!お化けです!」
矢内「お化けだぁ?」
勇者「はい、わたしとエリカにゃんが部屋に入ると出てきました!いっぱいいます!」
矢内「隣の部屋だな。ちょっと見てくる。お前は、メバルの入った鍋を見ててくれ。」
俺はメバルの入った鍋の火を弱火にして隣の部屋に向かった。
勇者「あっ、わたしの取ったお魚をいっしょに入れて置きましょう。」
俺は隣の部屋に入った。
エリカ「け、賢者!あれ!」
矢内「マジか…。」
エリカが窓に指を指した。見ると窓の外にたくさんの幽霊がこっちを見ている。
矢内「めっちゃ居るな…。」
エリカ「あいつら空飛んでる…。スゲーな!」
驚くとこはそこじゃねぇ!
「う~ら~め~し~や~。」
壁をすり抜けて入ってきた!
エリカ「裏?裏は飯屋じゃなかったよ。お前ら、お腹空いてるの?」
「…。」
幽霊達が呆れてる…。
勇者「賢者さま。どうしましょう。あっちの部屋にもいっぱい入って来ました。」
勇者の奴がこっちの部屋に入ってきた。隣の部屋にも幽霊がきたのか!あれを試して見るか。
矢内「とりあえず除霊する!」
何もしないよりましだ!やるか!
矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!
俺は自分のケツを叩きながら精一杯叫んだ!
矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!
「…。」
「…。」
「…。」
幽霊達の動き止まった!もしかして、効いているのか?
矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!
「…。」
「…。何あれ?」
「…。ワロタ…。」
「…。幽チューブに配信しよう。」
「…。バカがいる…。」
幽霊達が集まってきた!襲ってこない、確実に効いている!このまま一網打尽に除霊してやる!いくぞ!
矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!
勇者「幽霊達の動きが止まっています!ずっとこっちを見ています。」
矢内「よし、効いている証拠だ!このまま決める!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!
「…。ずっとやってる…。」
「…。おもしろい…。」
その頃、サチはアリマ君を連れて村を探索していた。
サチ「誰も居ないわね…。」
アリマ君「キー…。」
サチは家のドアを片っ端から開けていくが誰も居ない…。
サチ「アリマ君、空から誰か居ないか見渡してもらえるかしら?」
アリマ君「キー!」
アリマ君が空高く飛ぶが何か見えない壁にぶつかって落ちてきた。
アリマ君「キー…。」
サチ「アリマ君、大丈夫?」
アリマ君「キー!キー!」
サチ「言葉が分からないわね。アリマ君、字は書けるかしら?」
アリマ君「キー!」コクン
サチ「じゃあ、この紙に今起きた事を説明できるかしら?」
アリマ君「キー。」コクン
アリマ君がうなずいて字を書き始めた。
サチ「えっと、空を飛んだら見えない壁にぶつかった?もしかして…。一度村を出てみましょう。」
サチとアリマ君は村を出ようとしたが見えない壁があり出る事が出来なかった。
サチ「やっぱり、思ったとおりだわ。」
???「この村に一度入ると二度と出られないよ。」
サチ「誰!」
サチは後ろを振り返り声の主を確認した。
???「う~ら~め~し~や~。って、あー!貴方、もしかしてサチ?」
サチ「えっ?もしかして…。お静?」
お静「やっぱりサチだ!久しぶりだね。あたいが死んだ時ぐらいぶりだね!」
サチ「お静?どうしてここに?」
お静「あたいが死んじゃってから浮遊霊としてフラフラしていたんだけど、ある日突風が来て飛ばされたらここに来たんだよ。あたいも出るに出れなくて困っているの。それより、サチは何で居るの?」
サチ「私は、旅の途中でこの村に入ったのよ。」
お静「旅?サチはソフトボールはもうやってないの?あんだけ凄いピッチャーだったのに。」
サチ「ええ。」
お静「え~。もったいないよぅ!あたいとサチでバッテリー組んでた時は敵無しだったのにー。」
サチ「私が調子に乗って魔球なんて投げたせいで…。お静が…。」
お静「あー。まさかあの球であたいがぶっ飛んで死んじゃうとは夢にも思わなかったよ。」ケラケラ
幽霊はケラケラ笑っている。
サチ「私の事、恨んでいないの?」
お静「何で?」
サチ「だって、私のせいで貴女、死んじゃったのよ。」
お静「う~ん。まぁ死んじゃった事は気にしてもしょうがないよ。サチも一度死んじゃったら分かるよ。」
サチ(貴女を殺してしまった事が原因で引きこもりになったのに…。それに死んじゃったら駄目じゃない…。)
お静「でもね、幽霊になっても楽しい事はあるんだよ。例えばこれ、幽チューブ動画!」
幽霊は何か小さい機械を取り出した。
サチ「何かしら、それ?」
お静「これはみんなが登録した動画を見ることが出来るの。それに自分でも面白い動画を撮る事が出来るんだよ。あたいのオススメはこれ!『生きてる奴の体を乗っ取ってやった!』シリーズかな。」
サチ「乗っ取られた人はたまったもんじゃないわね…。」
お静「それが面白いんだよ。サチなら他人に遠慮なんてしないから人気幽チューバーになれそうなんだけど…。あっ!新しい動画だ!えっと、『頭のおかしい賢者って奴!』プッ!ハハハ!何してるんだろ!ハハハ!」
サチ「賢者?もしかして…。ちょっとお静、それ見せてくれる?」
お静「いいよ。もしかして幽チューバーになってくれるの?」
サチは幽霊のお静から小さな機械を受け取りアリマ君と動画を見た。
『ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!』パン!パン!
アリマ君「キー…。(やっぱり賢者様だ…。)」
サチ「お静…。もしかして…これって世界中の幽霊が見れるの?」
お静「そうだよ。」
矢内は世界中に恥をさらした事になる。
サチ「はぁ~。お静…。ごめんなさい。一度、宿に戻るわ…。」
お静「せっかくだからあたいもついて行くよ。」
サチとアリマ君は浮かない表情で宿に戻った。