わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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力の目覚め 魔法の力 2

矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!パン!パン!

「…。」

「…。」

「…。」

「…。」

 

幽霊達の動きが止まっている。一気に決める!

 

矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!

「…。」

「…。」

「…、あいつらは、勇者一行か?よし、ネクロマンサー様にれん…ら…ぎゃー!」ブシュン!

 

一匹成仏した。この調子で…。バーン!後ろのドアが勢いよく開いた!幽霊の親玉の登場か?

 

サチ「賢者さん!!何してるの!!」

矢内「おお、サチか。何って、除霊に決まっているだろ。お前も手伝え。」

サチ「汚い尻を閉まって!貴方の奇行が世界中に流されているのよ!」

エリカ「サチもやろう!」

サチ「やらないわよ!」

勇者「さっちんも一緒にやりましょう!ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」パン!パン!

サチ「はぁ~。もういい…。疲れたわ…。」

矢内「サチ、疲れてる場合じゃないぞ。一気に畳み掛けるんだ!」

サチ「止めなさいって言ってるでしょ!これ以上恥を晒さないで!どうやら強制的に止めさせるしかないようね。エン…ト…トライ…スマッシュ!!」バチン!

 

サチの強烈なビンタが俺に放たれた!

 

矢内「ビックリするほどユートピア!ビックリするほど…。ぐわ!」ガッシャーン!

 

俺は二階の窓から地面に叩きつけられた!

 

勇者「賢者さまー!」

 

 

 

クソ!酷い目にあった。スコールを飲んで気持ちを静めて飯の準備に取り掛かろう。

 

矢内「よし、そろそろメバルもいい頃合いだろう。」

 

俺はメバルの鍋をカセットコンロから退けて卵焼きを全員分作った。味噌汁もちょうどできたな。

 

勇者「賢者さま、わたしがお魚をみんなにお配りします!」

矢内「そうか、勇者は偉いな!俺に暴力を振るった胡散臭い黒魔術とか使うサチとかいう女の分は無しでいいからな。」

勇者「はい、分かりました!」

サチ「ちょ、ちょっとゆうりん!分かりましたじゃないでしょ!」

矢内「いいか?サチ、メバルは4匹しか釣れなかったんだ。誰かが我慢しないといけないんだ、分かるな?」

サチ「だったら賢者さんが我慢したらいいじゃない!」

矢内「俺が釣ってきたんだぞ!!よし、みんな席に着け!食べよう!」イタダキマス!

 

俺は喚くサチを無視して食事にする事にした。

 

エリカ「サチ、あたしの魚、小さい方をあげるよ。」

アリマ君「キー。(僕のも小さい方をあげるよ。)」

勇者「あっ、それ…。」

サチ「エリカさん、アリマ君、ありがとう。どこかの三十路を過ぎても中二病が治らないキチガイとは大違いね。」

 

ん?小さい魚?

 

勇者「あっ!凄いです。お魚の身がぴろーんって取れました!柔らかくてとっても美味しいです!賢者さま!わたしが食べたお魚で一番美味しいです!」

エリカ「スゲー、身がぴろーんって取れた!」

矢内「そうか!そんなに気に入ってもらえて何よりだ!」

 

メバルはあまりスーパーとかには売ってない高級魚だからな。

 

勇者「しあわせです~。」

エリカ「勇者、大袈裟だなぁ。」

アリマ君「キー。」

サチ「何だか舌がピリピリするわね…。」

 

ん?俺はサチの方を見た。

 

矢内「サチ!お前、何食ってるんだ!」

サチ「何って、エリカさんとアリマ君に貰ったお魚よ。」

矢内「それ食うな!!」

サチ「ふざけないで!私が貰ったお魚よ!」

矢内「違う!それは毒魚だ!食べたらダメな奴なんだよ!下手したら死ぬんだ!吐き出せ!」

サチ「えっ?嘘?ほとんど食べたわよ…。そういえば、からだが、しびれて…。」バタ!

 

サチは倒れた…。

 

矢内「勇ーーーーー者ーーーーー!!!!!!!!!お前!!俺は捨てろって言ったよな!!」

勇者「えっと、あの…。」

矢内「言ったよな!!」

勇者「ごめんなさい…。」

矢内「ゴメンですんだら警察も裁判もいらないんだよ!!」

サチ「賢者さん…。大丈夫よ、身体中の痺れが引いてきたわ…。ゆうりんをあまり責めないで…。」

 

どうやら最悪の事態にはならなかったようだ。

 

お静「ねぇ、あたいのごはんは?」

矢内「」

 

何処から来たんだ?この幽霊?

 

サチ「あら、ごめんなさい。みんなに紹介するのを忘れていたわ…。私の友達のお静よ。」

勇者「さっちんのお友達ですか。こんばんは!わたしは一国の勇者です。よろしくお願いします。」

お静「うらめしや~。よろしくね。」

エリカ「あたし、エリカ!よろしくな!」

お静「うらめしや~。よろしく!」

矢内「おい、お前は俺達に何の恨みがあるんだ?」

お静「えっ?別に無いよ。」

矢内「お前、うらめしや~って言ってるだろ!」

お静「ああ、これ?幽霊どうしの挨拶だよ。」

矢内「あのなぁ、『うらめしや~』ってのはな、相手を恨んで使う言葉なんだよ。」

お静「えっ、嘘?みんな普通に挨拶に使っているよ。」

 

俺の言葉を聞いて周りにいた幽霊達がざわざわしはじめした。

 

「…嘘?」

「…知ってた?」

「…挨拶じゃなかったのか?」

「…初めて聞いた。」

 

お前ら全員知らずにうらめしや~って言ってたのかよ!

 

お静「じゃあさぁ、なんて挨拶したらいいの?」

矢内「普通にこんばんはとかでいいだろうが。」

お静「そうなんだ。じゃあ、こ~ん~ば~ん~わ~。」ヒュードロドロドロ

 

うらめしや~見たいににこんばんはって言うな!周りに出た火の玉はなんだよ!

 

「…こ~ん~ば~ん~わ~。」

「…こ~ん~ば~ん~わ~。」

「…こ~ん~ば~ん~わ~。」

「…こ~ん~ば~ん~わ~。」

「…こ~ん~ば~ん~わ~。」

「…こ~ん~ば~ん~わ~。」

 

うるせー!何なんだよ、コイツらは!

 

サチ「それはそうと賢者さん。私たち、この廃墟に閉じ込められたみたいなのよ。」

矢内「なんだと?どう言うことだ?」

お静「ここからは出られないよ。」

矢内「何でだ!」

お静「あたいも知らないよ。」

矢内「お前達は何か知ってるのか?」

「…。」

「…。」

「…。」

 

だんまりかよ。情報が何もないとはな。

 

サチ「仕方ないわね。私の黒魔術で原因を探すしかないわね。」

 

そう言ってサチは何か準備をし出した。

 

サチ「準備は出来たわ。みんな、少しの間協力してくれるかしら?」

勇者「分かりました。」

エリカ「うん、分かった。」

矢内「協力って何をするんだ?」

サチ「みんな、私の持っているコインに指を置いて貰える?」

勇者「こうですか?」

矢内「それ、こっくりさんだろ。」

サチ「違うわ。妖弧のコンちゃんと通信していろいろ情報を仕入れる黒魔術『フォクシーくん』よ。」

矢内「だから、こっくりさんだろ!」

サチ「…。さぁ始めるわよ。みんな、指をコインの上に置いて。」

 

都合が悪くなると無視するのを止めろよ!俺達はサチの言う通りコインの上に指を置いた。

 

サチ「フォクシーくん、フォクシーくん、私達の声が聞こえたら魔方陣から返事を下さい。」

 

サチの言葉の後、俺達が指で押さえているコインが動きだし、『はい』と書かれた所に移動した。鳥居の絵が魔方陣に変わっただけで全くこっくりさんと同じだ。

 

サチ「フォクシーくん、フォクシーくん、私達の質問にお答え下さい。」

 

俺達が指で押さえてるコインが『はい』と書かれた所に移動した。

 

サチ「先ずはこの廃墟から出られない原因を教えて下さい。」

 

コインが勝手に動きだした。

 

『ね く ろ ま ん さ ー が け っ か い を は っ て る』

 

サチ「フォクシーくん、ありがとうございます。」

 

俺達が押さえてるコインが魔方陣の絵の所に戻った。

 

サチ「フォクシーくん、フォクシーくん、結界を解くにはどうすればいいのですか?」

 

『む ら は ず れ の ぼ ち に い る ね く ろ ま ん さ ー を た お す こ と』

 

サチ「フォクシーくん、ありがとうございます。」

 

コインが魔方陣の絵に戻った。

 

勇者「さっちん、わたしが質問しても答えてくれるのですか?」

サチ「ええ、大丈夫よ。」

エリカ「よし、あたしが質問する!フォクシーくん、フォクシーくん、あたし達の明日のごはんはなんですか?」

 

下らない事を聞くな!明日の飯の事なら俺に聞いたらいいだろうが!ちなみに明日の晩飯は矢内流五目焼きそばとワカメスープだ。

指で押さえてるコインが独りでに動きだした。ちゃんと合ってるかどうか楽しみだな。

 

『あ ぶ ら あ げ が い い な !』

 

矢内「お前のリクエストじゃねぇか!!」

 

舐めてるのか。ちゃんとやれ!

 

矢内「インチキだろ!これ!」

 

指で押さえてるコインが独りでに動きだし『いいえ』の所に止まった。

 

矢内「サチ、おまえが動かしてるだろ!」

サチ「賢者さん、口を慎んで。コンちゃんに呪われるわよ。」

勇者「フォクシーくん、フォクシーくん、明日は晴れますか?」

 

『ゆ う が た か ら に わ か あ め』

 

だから下らない事を聞くな!

 

矢内「お前ら、どうでもいい事を聞くな!フォクシーくん、フォクシーくん、砂漠の国へは後、どれぐらいかかりますか?」

 

コインが動かない…。

 

サチ「賢者さん、インチキとか言うからコンちゃんに嫌われたわね。フォクシーくん、フォクシーくん、砂漠の国はまだ遠いのですか?」

 

『こ の さ き の え る ふ が す む ま よ い の も り を ぬ け る と さ ば く の く に は す ぐ ち か く』

 

サチ「どうやらそのネクロマンサーってのを倒さないといけないみたいね。フォクシーくん、フォクシーくん、ありがとうございました。私達の質問は以上です。ではお帰りください。」

 

コインが動きだし『いいえ』に止まった。

 

サチ「おかしいわね。フォクシーくん、フォクシーくん、お帰りください。」

 

またまた『いいえ』に止まった。これはまずいぞ!

 

矢内「フォクシーくん、フォクシーくん、500円あげるから帰ってください!」

 

コインが動きだした。

 

『さ き に お か ね』

 

がめつい奴だ。

 

矢内「アリマ君、俺のズボンのポケットから財布を取ってくれ。」

アリマ君「キー。」

 

アリマ君が俺の財布からお金を取り出した。ちょ、それは一万円札だ。待て!

 

『あ り が と う』

 

アリマ君が持っていた一万円札が一瞬で消えた!

 

矢内「フォクシーくん、フォクシーくん、お釣りの9500円を返して下さい!」

 

『いいえ』に止まった。ふざけるな、返せ!

 

『か え る』

 

それ以降、コインは動かなくなった。

 

矢内「フォクシーくん、フォクシーくん、お釣りを返して下さい!」

サチ「みんな、もう指を離していいわよ。」

矢内「フォクシーくん!フォクシーくん!お釣りを返して下さい!」

サチ「…賢者さん、コンちゃんはもう帰ったわよ。」

矢内「フォクシーくん!フォクシーくん!俺の金を返せ!」

サチ「………ゆうりん、エリカさん、アリマ君、賢者さんは無視してネクロマンサーの所に行きましょうか。」

勇者「分かりました。行きましょう!」

 

俺の金を返せチクショウ!給料日前で金欠なのに…。


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