わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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愛の戦士 スコールマン 3

わたし達は大臣さん達に連れられて大きな広場に来ました。両手は鎖で縛られています。

 

ガリアス「よし、ここに張り付けろ!」

「ハッ!」

 

両足も打ち付けられた木に縛られてました…。さっちんは口も塞がれています。

 

ガリアス「大臣殿、準備が出来ました。」

大臣「ああ、分かった。えー、本日はお日柄もよく…。」

ガリアス「大臣殿、早く処刑を進めて下さい。」

大臣「いや、しかしだな…。こう言うことは挨拶からちゃんとしないと…。」

ガリアス「急いで下さい!」

大臣「えー本日は、晴天なり!」

ガリアス「そんなのはいいです!」

大臣「皆の者!この者達は今、巷で有名な賢者の仲間達である!」

 

大臣さんのお話が始まりました。わたし達はこのまま処刑になっちゃうのでしょうか?

 

大臣「その賢者の仲間達を我々が捕らえて国の危機を救ったのである!どうやって捕らえたかと言うと…。」

 

山田「あの男、よく話が脱線するな…。」

 

ガリアス「大臣殿!早く処刑を執行させてください!」

大臣「おお!そうだったな!この者達は処刑をするかどうかを集まった皆にアンケートを取ろう!よし、お前達!皆に聞いてまわるのだ!」

「ハッ!」

 

大臣さんの一言で兵士さん達がなにか周りに集まってきた人達に聞いています。

 

山田「何をしているのだ?」

畑中「ああ、なにか時間を稼いでいる感じだな。」

 

兵士さん達が集まってきた人達の所から大臣さんの所に戻って来ました。

 

大臣「ふむ、そうか。分かった。皆!この者達の処分だが!処刑すると流れた血を掃除をさせられるのは面倒だと言うことなので処刑は無しにする!」

山田「は?」

畑中「助かるのか?」

ガリアス「大臣殿!いい加減にしてください!処刑は決定事項です!」

大臣「しかしだな、掃除をするとなると大量の水を使わないといけない。我が国では水は貴重なので、使わないに越したことはないだろう。」

ガリアス「もう私が執り行います!これより私自ら異世界から来た賢者の仲間の処刑を行う!いいか!よく聞け!異世界から来た賢者は我が国に災いをもたらす大悪党だ!もし、かくまっている者がいたらこの者達と同じように処刑する!見つけ次第、我々に報告しろ!異世界から来た賢者とそれを招き入れた勇者と名乗るアレスとその仲間のリリーこの3人は我が国を脅かす重罪人だ!有力な情報を提供したものには褒美を授ける。」

山田「貴族の小僧、お前は仲間を殺すのか!」

ガリアス「口の聞き方に気をつけろ!」バキ!

 

山田さんがガリアスって人に殴られました。

 

勇者「山田さん!」

山田「ククッ。矢内の娘、案ずるな。こんな男の拳など痛くはない。」

ガリアス「何がおかしい!」

山田「つくづくお前は情けない男だな、動けない相手や立場の弱い者にしか偉そうに出来ない。処刑だと?面白い!殺りたきゃ私から殺れ!」

勇者「山田さん…。」

ガリアス「女、勝手に順番を決めるな。お前は最後だ!そこの勇者と名乗るチビからだ!」

畑中「勇者ちゃん!待て!俺からにしろ!お前、勇者を殺していいと思っているのか!」

ガリアス「勇者などいくらでも変わりを作ればいいだけだ。これより、処刑を開始する!」

 

ガリアスって人がわたしに剣を振りかざしました。

 

???「待ちたまえ!」

ガリアス「誰だ!」

???「ハハハハハハ!君達の蛮行、例え世界の神が許してもこの私が許さない!正義の名のもとに成敗する!」

ガリアス「何者だ!」

スコールマン「ハハハハハハ!良い子の味方、スーパーヒーロー、愛の戦士 スコールマン!ただいま参上!」

畑中「ハッハーww!」

山田「この状況で何をふざけているんだ矢内は…。」

ガリアス「たった一人で何ができる!かかれ!賢者の味方をする者は全て敵だ!」

スコールマン「こい!私が成敗しよう!」

 

ヒーローがわたし達を助けに来てくれました!何処からともなく音楽が流れてきました。

 

山田「なんだ、この音楽は?」

畑中「矢内は何を考えている?」

サチ(この二人が居るといちいちツッコミを入れなくていいから楽ね。)

 

スコールマン「宮崎県から や~あて~きた~♪」

畑中「お前が歌うんかい!」

スコールマン「みやこのじょうの~♪せ~いぎの使者さ~♪」

ガリアス「何をしている!やっつけてしまえ!」

「ハッ!」

 

兵士さん達がスコールマンに襲いかかってきましたがスコールマンが兵士さん達を次々とやっつけていきます。

 

スコールマン「疲れた体をリフレッシュ♪あなたのハートをリフレッシュ♪」

畑中「なんだ、この歌は?」

山田「自分で作詞作曲したのか?恥ずかしい奴だ。」

スコールマン「た~しゃの飲み物メーカー認め~ない~♪」

ガリアス「何!兵士が次々とやられているだと?」

スコールマン「絶対無敵のスーパーヒーロー♪愛のせ~んし♪スコールマ~ン♪」

 

スコールマン、とっても強いです!

 

アリマ君「キー。(今のうちだ。)」

エリカ「アリマ君!」

アリマ君「キー!(助けに来たよ!)」ヴィィィィン!

 

アリマ君が助けに来てくれました。手に持ってる機械でエリカにゃんの繋がれている鎖を切ろうとしています。

 

アリマ君「キー…。(なかなか切れない。)」

エリカ「あ、アリマ君、熱、火花が跳んで熱い!」

 

火花がエリカにゃんに直撃して熱そうです。

 

サチ「んー!んー!(アリマ君、こっちよ!気づいて!)」

アリマ君「キー。(1つ切れた。)」ヴィィィィィン!

畑中「1つ目、さっちゃんの口かせを先に取るんだ!」

アリマ君「キー。」

 

アリマ君がさっちんの口を塞いでる布を取りました。

 

サチ「アリマ君、助かったわ。みんな今から脱出するわよ。」

山田「何をするつもりだ?」

サチ「簡単よ。鎖を引きちぎれる怪力の持ち主を呼べばいいのよ。黒魔術、『パーソン エンター』」

 

さっちんの黒魔術でわたし達の前に光の渦が出てきました。

 

サチ「ガハハハハ!今日はみんなで楽しい宴会じゃあ!酒じゃあ!」

 

光の渦から誰か出てきました。

 

酒呑童子「おお?何処じゃ?ワシは屋敷で酒を飲んでいたのに?」

畑中「ああやって俺は呼び出されるんだな…。」

勇者「あっ!シュテちゃん!」

酒呑童子「おお!勇者の娘っこ!久しいのう!」

サチ「シュテちゃん、早速で悪いのだけど私達を縛っている鎖を引きちぎって欲しいのだけど…。」

酒呑童子「ガハハハハ!そんな事か!任せておけい!ワシの力で一発じゃあ!」

 

シュテちゃんがわたし達を縛っている鎖を次々に引きちぎってくれました。

 

畑中「ハッハーww!助かったぜ!」

サチ「シュテちゃん、助かったわ。ありがとう。」

酒呑童子「ガハハハハ!気にするな!所で彼処で戦っている変な格好の奴はお主達の仲間か?」

山田「私達にあんな三十過ぎで恥ずかしい格好をした中二病の仲間はいない。」

酒呑童子「まるで賢者殿のようじゃのう!」

勇者「あれはスーパーヒーロー、愛の戦士 スコールマンです。わたし達を助けに来てくれたのですよ!」

サチ「そうね、助けに来てくれたスコールマンにここは任せて脱出しましょう。」

 

 

 

 

よし、あらかた片付いたな。

 

ガリアス「何をしている!相手は一人だぞ!」

大臣「このままでは全滅だ。撤退!撤退だ!」

ガリアス「大臣殿!なりません!まだ処刑も始まってもないのに!」

大臣「ではガリアス殿、そなたがあの者を倒されよ!」

ガリアス「くっ。て、撤退する!」

 

街の人々が俺に歓声を上げている。

 

スコールマン「この世の悪は正義のヒーロー!愛の戦士 スコールマンが成敗する!明日の平和にラブ イン スコール!ではさらばだ!」

 

よし、俺も撤退だ。ヒーローは正体を表してはいけないからな。

 

サチ「何あの決め台詞…。」

畑中「ハッハーww!ダセェww!」

山田「どこまでも恥ずかしい奴だ…。」

アリマ君「キー…。(何考えてるのだろう…。)」

酒呑童子「ワシ等も帰るかのう…。」

 

 

 

俺は誰にも見つからないように変身を解いて俺達が使っている空き家に戻ってきた。勇者達も無事に戻って来ている。

 

矢内「おっ!もう戻ってきたのか?お前ら。」

勇者「あっ!賢者さま!」

エリカ「賢者!あたし達お城で捕まって大変だったんだぞ!」

酒呑童子「おお賢者殿!久しいのう!」

 

ヒーローは正体を表してはいけないからな。何も知らないふりをしよう。

 

矢内「あれ?シュテちゃんか?なぁ、どうなっているんだ?」

サチ「白々しい…。」

畑中「あいつ、バレていないと思っているのか…。」

山田「矢内、ふざけているのかお前は。」

矢内「山田、畑中。表に出ろ。」

山田「ああ、いいだろう。私もお前に言うことは腐るほどある。」

 

俺は山田と畑中を連れて空き家の外に出た。

 

山田「矢内、私達が処刑になろうとしてたのにふざけた事をするな!」

畑中「何がスコールマンだ、いい年して恥ずかしくないのか。」

矢内「黙れー!!一生懸命考えたんだぞー!」

山田「何を逆ギレしている。それになんだあの歌は?」

矢内「スコールマン 愛のテーマだ。ちゃんと作詞作曲したんだよ!レコーディングもしてちゃんとCDにしたんだよ!タワーレコードで販売するんだよ!」

畑中「売れる訳ないだろ!ハッハーww!」

山田「頭おかしいのか、それになんなんだあの全身タイツは。」

矢内「ゼクスの奴に作らせたんだよ!滅茶苦茶格好いいだろ。」

山田「はぁ…。もういい、お前と話しているとこっちまで頭がおかしくなる。」

畑中「矢内あの全身タイツ、いちいち着替えるのか?」

矢内「全身タイツ?違うな、間違っているぞ!スコールマン変身スーツだ。着替えるんじゃない、変身するんだよ。」

畑中「…。」

山田「…。」

 

なんだその目は?さては俺がヒーローに変身できて羨ましいのだな?

 

畑中「矢内…。仮面ライダーやウルトラマンの真似をするのは小学生低学年までだぞ。」

山田「三十過ぎのおっさんがやってて恥ずかしくないのか。」

矢内「響さんだって三十過ぎで仮面ライダーになっただろうが。それに俺はナイスミドルだ!」

山田「何がナイスミドルだ。まずお前と響さんではルックスが全然違う。もういいから早く食事の準備をしろ、貧民街の人々が帰って来るぞ。」

 

俺達が言い合いしていると貧民街の人々が仕事から帰ってきた。

 

矢内「まずい、みんな帰ってきた。」

「けんじゃさま?なにしてるの?」

 

昨日の女の子だ。続いて次々とみんなが帰ってきた。

 

矢内「ああ、今日は色々と忙しかったからな。ご飯はもう少し待ってもらえるか?」

「うん。」

矢内「いい子だ。ご飯ができたらこの女子力0の残念な山田が呼びにいくからな。」

「わかった。」

 

貧民街の人々がそれぞれの家に帰っていった。

 

山田「矢内、誰が女子力0だ。」

矢内「お前以外に誰がいる。俺は米を炊くからお前は空き家の隅で三角座りして待っていろ。」

 

俺は山田を追っ払い食事の準備を始めた。人数が多いからおにぎりと味噌汁にしよう。

 

畑中「矢内、手伝おうか?」

矢内「いや、いい。米を炊いている間はすることが無いからな。ご飯が炊けてからおにぎり握るの手伝ってくれ。」

畑中「今からだと40分後だな。その時みんなを呼ぶよ。」

矢内「ああ、頼む。」

 

そろそろ米が炊けたな。1つは昨日作っておいた味付けしたワカメ、ひじき、白ごまで和えた特製ふりかけをまんべんなく混ぜる。もう1つは焼き鮭の身をほぐしてまんべんなく混ぜる。後はこれを握るだけだ。味噌汁の具は豆腐とワカメだ。

 

矢内「よし、完成だ。」

勇者「賢者さま、今日のご飯はなんですか?」

矢内「ここの人々の分もだからな。おにぎりと味噌汁だ。サチ、量が少ないとか文句は言うなよ。」

サチ「人聞き悪いことを言わないで。それくらいの空気は読むわよ。」

勇者「わたし、皆さんを呼んできます。さっちん、行きましょう。」

サチ「良いわよ。行きましょう。」

山田「矢内の娘、私も行こう。」

 

そう言うと勇者はサチと山田を連れて貧民街の人々を呼びに行った。

 

エリカ「賢者、これ混ぜご飯?」

矢内「いや、今からこんな感じで三角の形に握って完成だ。」

エリカ「面白そう!」

矢内「よし、そうだな。教えてやるから一緒にやるか?」

エリカ「分かった!アリマ君、一緒にやろう!」

アリマ君「キー!」

矢内「手を水で少し濡らして米が手に引っ付かないようにして軽くフワッと握るんだ。」

エリカ「こう?」

矢内「ああ、もう少し力を抜いた方がいいな。」

エリカ「こう?」

矢内「ああ、いい感じだ。みんなの分だからな。ペースを上げるぞ。」

エリカ「分かった!」

 

俺達は黙々とおにぎりを握る。

 

エリカ「賢者ってすげぇよな。」

矢内「なんだ?改まって。」

 

そういえば、エリカと一対一で話をするのは初めてだな。

 

エリカ「だって、賢者はいつも弱い奴の為に色々と考えているじゃんか。」

矢内「…。」

エリカ「今も、困っている人達を助けている。勇者は誰とでも仲良くなれるし、サチは凄い魔法を使えるし賢い。あたしだけだ、何もできないのは…。」

矢内「何を言ってるんだ、お前はいつもみんなの前に出て魔物と戦っているじゃないか。」

エリカ「戦っているのはみんな一緒だよ。それにいつも賢者やサチがどう戦えばいいかを考えてくれてるからだよ。だから、あたし…。このままみんなの役に立たないのに一緒に居ても良いのかなぁ…。」

 

エリカなりにこの旅で色々と考えていたんだな。

 

矢内「いいかエリカ、人は出来る事と出来ない事があるんだ。俺やサチは剣が使えない。だからお前が前で魔物と戦ってくれてるからいつも俺達が作戦が立てられる。そうやって人は力を合わせてたくさんの事が出来るようになるんだ。」

エリカ「でもさ、あたしは戦う以外に何も出来ないよ。分からない事だらけだよ。」

矢内「分からない事があれば分かるようになればいい。今みたいにおにぎりの作り方を教わればいい。少しずつでいいから色んな事を覚えたらいい。」

エリカ「そっか…。でもやっぱ賢者はすげぇよな。」

矢内「エリカ、手が止まっているぞ。まだ3つ目じゃないか。」

エリカ「3つ?2個の次はたくさんだよ。」

矢内「…。数の数え方から覚えていこうか。」

 

また、俺達は黙々とおにぎりを握りだした。しばらくすると勇者達が人々を連れて戻ってきた。

 

勇者「賢者さま、みんな来ました。」

サチ「あら?エリカさん、何をしてるの?」

エリカ「賢者の手伝いをしてるんだ、おにぎりを握っているんだよ。今、20個目だよ。」

サチ「エ、エリカさん、数を数えれたの?」

山田「ゴスロリ娘、相手がバカでも流石にそれは失礼だ。」

サチ「いや、だって今までは2つ以上の数が分からなかったのよ。」

エリカ「賢者が教えてくれたんだよ!これで23個だ。」

矢内「教えるの大変だったんだぞ…。何しろ2の次はたくさんだったからな。」

勇者「賢者さま、わたしもお手伝いします。」

矢内「じゃあ、二種類のおにぎりを1つずつに分けてみんなに配ってやってくれ。」

勇者「はい、賢者さま。」

サチ「畑中がいないわね。」

矢内「奥でシュテちゃんの相手をしている呼んできてくれ。」

サチ「分かったわ。」

矢内「山田、何をボーッとしている。みんなにできた味噌汁をついでやれ。お前と違ってここの人達は無理矢理働かされて疲れているんだ。これだから女子力0の女は…。」

山田「30過ぎで中二病が直らないお前が私を罵るな。お椀を出せ、私が華麗についでやろう。」

 

味噌汁をつぐのに華麗もくそもないだろうが。残念な女だ。

俺達は貧民街の人々におにぎりと味噌汁を配り続けた。

 

畑中「矢内、手伝えなくて悪いな。」

矢内「まぁ、いいさ。」

酒呑童子「賢者殿!いったい何をしとるんじゃあ?」

矢内「シュテちゃん、せっかく来てくれたのに相手出来なくてすまない。ここの人達の飯を作っていたんだよ。」

酒呑童子「飯を?いったいどういうことじゃあ?」

 

貧民街の人達がシュテちゃんを見て怯えてる。そこに一人の女の子が近づいて来た。

 

「おじさん、だれ?けんじゃさまのお友だち?」

「だ、駄目よ!鬼に近づいちゃ!」

 

女の子が周りの大人に連れ戻される。

 

酒呑童子「ガハハハハハ!何じゃあ!ワシの名は酒呑童子!賢者殿とは良き友人じゃあ!怯えんでもいいわい!ガハハハハハ!そうじゃ!賢者殿!この者達に酒を振る舞ってやろう!今日は楽しい宴会じゃあ!ガハハハハハ!」

矢内「酒なんてねえよ!今日は我慢してくれ!」

酒呑童子「何じゃあ、残念じゃのう。」

 

俺の友達と聞いて安心したのか子供達がシュテちゃんに近づいて来た。質問攻めを受けている。

 

矢内「よし、みんなに行き渡ったな。」

山田「ああ、これだけの数だと流石に疲れたな…。」

矢内「味噌汁ついだだけで何を言ってる。俺はシュテちゃんをゲートで送って行くからお前達は先に食べていて良いぞ。シュテちゃん、送って行くよ。」

酒呑童子「賢者殿、すまんのう。皆の衆!次は楽しい宴会をしようぞ!では、さらばじゃ!」

「鬼のおじさん!バイバイ!」

 

俺はゲートストーンを使ってシュテちゃんの村にたどり着いた。

 

矢内「シュテちゃん、今日はアイツ等を助けてくれてありがとう。」

酒呑童子「賢者殿、今更水くさいぞ!礼など不要じゃあ!」

矢内「ああ、でも言いたかったんだ。改めてありがとうな。」

酒呑童子「ガハハ!気にするな!所で、賢者殿。あの者達の事じゃが?」

矢内「ああ。」

 

俺は砂漠の国での出来事を洗いざらい説明した。

 

酒呑童子「なんじゃと?あの者達は…。食うものもままならぬと言うことか!」

矢内「ああ、国の根本から変えないとどうにもならない。」

酒呑童子「どうにかならぬのか?」

矢内「まぁ、どうにかするさ。作戦は立ててある。」

酒呑童子「賢者殿、ワシ等に手伝えることがあったら言ってくれ。」

矢内「そうだな、じゃあ皇帝陛下に伝言を頼めるか?」

酒呑童子「賢者殿!お主はあの者達の為に戦うのじゃろう!」

矢内「ああ。」

酒呑童子「じゃったら!」

矢内「いや、駄目だ。」

酒呑童子「賢者殿!ワシ等に遠慮なぞするな!頼ってくれ!」

矢内「遠慮なんかしてない。シュテちゃん達にも戦わせたらファンタルジニアと砂漠の国の戦争になってしまう。」

酒呑童子「ならせめてワシだけでも…。」

矢内「いや、シュテちゃんは目立つ。俺は短期決戦で城に潜り込んで国王とその一部の配下だけを倒すつもりだ。」

酒呑童子「賢者殿、ワシは…。」

矢内「シュテちゃん、俺はみんなが大好き賢者様だぞ。少しは友人である俺を信用してくれよ。」

酒呑童子「ガハハ!賢者殿、分かった皇帝陛下の伝言引き受けたぞ!言ってくれ!」

矢内「ああ、『砂漠の国の王をやっつけてくる。万が一俺が負けたら貧民街の人々を国に引きとってくれ!』って伝えてくれ。」

酒呑童子「何を言い出すのじゃ!」

矢内「やるからには勝つつもりだがな…。相手は神様がバックにいる。」

酒呑童子「賢者殿、必ずや勝つのじゃ!ワシとの飲み勝負もあるからのう!」

矢内「ああ!」

 

シュテちゃんと別れて俺はゲートストーンを使って砂漠の国に戻った。俺は本当に良い友人をもった。

 

 

勇者「あっ、賢者さま。」

 

再び空き家に戻ってきた。

 

矢内「みんな居るか?」

サチ「ええ、居るわよ。改まって何かしら?」

矢内「明後日、この国の王をやっつけにいく。」

畑中「矢内、何を言い出すんだ!クーデターだぞ!分かっているのか!」

矢内「ああ。最悪は俺一人でもやるつもりだ。で、お前達はどうする?」

サチ「いちいち聞く理由があるのかしら?最初に言ったわよ。賢者さんに従うって。」

矢内「今回戦うのは魔物とかじゃなく同じ人間だ。人を殺すことになるかも知れない…。だから、覚悟がいる。」

エリカ「分かった。」

勇者「分かりました。」

矢内「お前達、分かってないだろ!下手したら死ぬかも知れないのだぞ!分かってるのか!」

エリカ「えっ?なんで?あたしはこの国の兵士なんかに負けないよ!」

矢内「お前達が相手を殺すこともあるんだぞ!」

エリカ「ならないよ。だって賢者が相手を殺すことにならないようにいつも作戦を考えてくれるじゃん。」

アリマ君「キー!」

矢内「いや、作戦どうりにいくとは…。」

勇者「わたしは何があったとしても賢者さまと一緒です!」

矢内「お前達…。何も考えてないだろ。」

サチ「賢者さん、ゆうりんやエリカさんが物事を考える訳ないじゃない。」

山田「矢内、お前が何を言ってもこいつ等はお前と共に行動する。いいから作戦を教えろ。」

矢内「山田、お前は別に元の世界に戻れるのだから命を危険にさらす必要ないだろ。」

山田「矢内、エルフの娘達が城に捕まっている。すぐにでも助けなければいけない。幼い子供は神の生け贄にされる。それにあの貴族の小僧に殴られた借りもあるからな。」

矢内「分かった。相手は武器を持っているから無理はするなよ。」

山田「お前が私の心配をするな。気持ち悪い。」

畑中「矢内、気を付けろよ!」

矢内「ああ。」

サチ「賢者さん、明日は自由行動よね。私達はちょっとスケットを探してくるわ。」

矢内「スケット?シュテちゃん達やファンタルジニアの連中は駄目だぞ。他の国の人間だと戦争になるからな。」

勇者「違います。虎のおっちゃんです。」

矢内「はぁ?誰だよ。」

エリカ「ここの人達に聞いたんだよ。その人がみんなに食べ物を持ってきてくれたり貴族の男達に襲われそうになった時に助けてくれたり、砂漠の国のヒーローなんだって!」

矢内「ヒーロー?ヒーローは愛の戦士スコールマンじゃないか。」

サチ「…。はぁ…。」

矢内「サチ!無視するなよ!何だよその溜め息は!」

サチ「呆れているのよ。」

 

 

 

決戦は明後日だ。今回は絶対に失敗はできない!ここの人達の明日の為に絶対に勝つ!

 

 

 

 

第12話

愛の戦士 スコールマン

END




    スコールマン 愛のテーマ

    作詞/作曲 矢内 孝太郎


  宮崎県から  やって来た

  都城の    正義の使者だ

  乾いた心をリフレッシュ

  あなたのハートをリフレッシュ

  他社の飲み物メーカー  認めない

  絶対無敵の正義のヒーロー

  愛の戦士   スコールマン



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