わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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開国記念日大パーティー 1

昨日はあれからコストコで買い出しをして俺は一人貧民街の寝床に戻って直ぐに眠ってしまったからな。まだ朝の4時だがパーティーの料理の準備を始めようか。

準備をしようとしたら何かが近づいてきた。何だ?藁で出来た…。ひとがたの…。

 

「…。」

矢内「何だ?」

「…。」

 

敵意は無いようだ。

 

矢内「何か用か?」

「…。」

 

手伝いに来たのか?ん?

 

「…。」

 

何故かコイツの事が分かる。そうか、俺がロキからもらった魔物とかと話が出来る力のお蔭か。

 

矢内「おー、そうか。藁助か。俺はみんなが大好き賢者様だ。手伝いに来てくれたのか。パーティーまで時間がないから助かるぜ。」

「…。」

矢内「そうか。そのアリサって女がお前の仲間なんだな。」

「…。」

矢内「そうか、エリカにお前達は助けてもらってビーナスって糞を裏切ったって訳だ。よし、まずはこのじゃがいもをこれぐらいにカットしてくれ。」

「…。」

矢内「ああ、そんな感じだ。何?ビーナスに逆らったら殺されるかも知れない?何を言ってるんだ?そんな神の名を語った糞野郎にこの賢者様が負ける訳がないじゃないか。それに俺はそのビーナスをぶっ飛ばす為にここまで来たんだよ。」

「…。」

矢内「よし、この3枚下ろしにした魚の身をこれくらいの大きさに切ってくれ。」

「…。」

 

この藁助、結構器用だな。これから先、俺達と一緒に来てくれないかな?昨日、何も荷物を持たずに45㎝のピザを1枚平らげたサチと交換出来ないかな。ダメ元で藁助の飼い主のアリサと相談してみよう。

土鍋で炊いたご飯がそろそろ出来たころだな。よし、上手く出来てる。これに俺が前もって作ってある矢内流特製ワカメのふりかけをたっぷりかけて。

 

矢内「藁助、このご飯をまんべんなく混ぜてくれ。」

「…。」

 

言われた事を1発で理解してやってくれる。きっとエリカの倍以上のIQ数値はあるだろう。

日が昇ってきた。下処理はこれぐらいで良いだろう。

 

「あれ?けんじゃさま?きのうはおしろでおやすみしていたんじゃないの?」

 

貧民街の女の子だ。笑顔で話しかけてきてくれた。この戦い勝てて本当に良かった…。

 

「けんじゃさま?」

矢内「あ、ああ。おはよう。そうだ、藁助!パーティーまでまだ時間があるからこの子と一緒に遊んでくるといい。」

「…。」

「わらすけ?けんじゃさまのおともだち?」

矢内「ああ、そうだ。」

「けんじゃさまっていろいろなおともだちがいるんだね。」

「…。」

 

藁助は女の子を肩車をしてゆっくり歩いていく。

 

「すごい!たかーい!きゃははは!」

「…。」

 

女の子は藁助を気に入った様だ。今は7時か…。パーティー開始まで後3時間か…。

貧民街の人々が俺が居るのに気づいて近づいてきた。

 

「賢者様、昨日はお城でおやすみしていたのでは?」

矢内「パーティーの料理の準備をするために俺だけ戻って来たんだ。」

「賢者様、国を救っていただいただけでなく…。そんな…。お一人で…。」

矢内「俺がしたくてやってるんだ。気にするなよ。」

「でも…。せめて私達も手伝わせてください!」

矢内「うーん。」

「賢者様、俺達の国の開国記念パーティーです!俺達がしないでどうするのですか!なんでも言って下さい!」

矢内「あー、分かった分かった!料理の下処理は終わっているから切り分けた材料とか運ぶの手伝ってくれるか?」

「はい、これですね。って凄い量じゃないですか!」

矢内「何を言ってるんだ。国民全員分だけじゃなくて他の国の連中も来るんだぞ。これでも足りない位だ。」

「男はさっさと運ぶんだよ!女の私達は賢者様のお料理のお手伝いをさせてもらうよ。」

矢内「ああ、それは助かる。いっぱいご馳走を用意するからな。」

「あのおにぎりは出るのですか?」

矢内「ああ、用意している。」

「カップラーメンは?」

 

カップラーメンなんか出すか!

 

矢内「パーティー開始まで余り時間がないから急いで広場まで運んで料理しよう。」

「オー!」

 

 

朝の8時、メインのパーティ会場になる中央広場にたどり着いた。

 

矢内「よし、時間がないから次々と料理を完成させていくぞ。まずはおにぎりをこれぐらいの大きさで握ってくれ。」

「前に食べた時より大分小さいけど…。」

矢内「他の料理もたくさんあるからこれくらいでちょうどいいんだ。おにぎりだけでお腹一杯になったらもったいないだろ?そっちの3人でワカメのおにぎりを握っていてくれ。」

「あいよ。」

矢内「こっちの3人はたらこに鮭におかかと色々用意してあるからこのくらいを中に積める感じでおにぎり握ってくれ。握ったらこんな感じでのりを1枚挟んでくれ。」

「こんな感じ?これじゃ中に何が入っているか分からないよ?」

矢内「ああ、それでいいんだ。中身は口に入れた時のお楽しみってやつだ。」

「へー、私達じゃそんな事思いつないよ。流石は賢者様だね。」

矢内「そんなに感心する事か?」

「そりゃそうさ。私達は毎日食事なんて出来なかったからね。楽しむなんて余裕はなかったよ。」

矢内「まあ、今日からは楽しむ余裕が出来る国に変わっていくさ。じゃあ、そこの3人でおにぎりを握って2人は握ったおにぎりに海苔を巻いてくれ。」

「分かったよ。」

矢内「よし、次は…。」

 

俺は手伝ってくれる貧民街の女達に次々と指示を出す。

中央広場の真ん中にある処刑にする張り付ける木が邪魔だな。

 

矢内「男連中、いるか!」

「賢者様、俺達は料理なんて出来ないぞ。」

矢内「あの処刑にする時の木が邪魔だ。取り外してくれ。」

「勝手に外してもいいのか?」

矢内「ああ、構わん。もう下らない事で処刑になる奴は居ないから急いで外してくれ。もう必要ない物だ。」

「そうか…。そうだよな。このお立ち台もぶっ壊すか。」

矢内「待て!その台はいる!処刑にする木だけでいい!」

 

男達が作業に取りかかった。

少しして城の兵士達が近づいてきた。先頭にはトンヌラがいる。

 

トンヌラ「賢者様、水くさいじゃないか。俺達に黙って一人でパーティーの準備をするなんてよ。」

矢内「トンヌラか、もう大丈夫なのか?」

トンヌラ「ああ、もう大丈夫だ。それより教会に貯えてあった食糧で街の女連中が色々と作ってくれている。こっちに運べばいいか?」

矢内「ああ、頼む。後は料理を置くテーブルだな。たくさんいる。」

トンヌラ「よし、分かった。それじゃあ…。」

「そう言う雑用は俺達がやるのでトンヌラさんは休んでいてください。」

トンヌラ「しかし、それでは…。」

矢内「いいじゃねえか。病み上がりなんだからみんなの好意に甘えておけよ。」

トンヌラ「分かったよ、みんな頼む。」

 

兵士達が作業に取りかかった。

今は9時か…。後1時間しかないな。

向こうから俺を呼びながら近づいてくる連中がいる。

 

酒呑童子「ガハハハハ!賢者殿!酒を持ってきたぞぉ!さぁ飲むぞぉ!」

トンヌラ「な、なんだ、鬼!?」

矢内「そうか、トンヌラはあの時倒れていたから初対面だったな。安心しろ、俺の大事な友人だ。」

酒呑童子「おっ?お主、傷はもう大丈夫なのか?」

トンヌラ「ああ。さっき賢者様から話を聞いた。戦いの時に貧民街の女子供を助けてくれたみたいで…。」

酒呑童子「ガハハハハ!気にするな!今日は宴じゃあ、楽しく飲もうぞ!」

トンヌラ「あ、ああ…。」

茨木童子「賢者殿、お久しぶりです。今回は我々村の者みんなお誘いいただきありがとうございます。」

矢内「何を言ってるんだ。パーティーに友人を誘うのは当たり前じゃないか。」

茨木童子「今日は、村の者一同で取って置きの料理を振る舞わさせていただきます。では、早速準備を致しますので失礼します。」

矢内「料理ならここでしたらいいじゃないか。」

 

村の娘達が話に割って入る。

 

「イバちゃんは賢者様に振る舞う為にすっごい料理を編み出したんだから作っている所を見られたくないのよ。」

矢内「そうなのか?分かった。楽しみにしている。でも、あまり時間は無いぞ?」

茨木童子「大丈夫です。あらかた準備はしてきましたので。」

 

茨木童子達が村の女達を連れて作業にかかりだした。

また俺を呼びながらこっちに近づいてくる連中がいる。

 

皇帝陛下「矢内よ、お前も昨日から動きっぱなしで疲れているだろうに相変わらずだな。」

矢内「よう童帝、お前達は普段からろくな物を食ってないから今日はちゃんと栄養をとっておけよ。」

「賢者様、陛下に対して…。」

キサラギ「矢内殿が無礼なのは今に始まった事ではない。ですよね陛下。」

皇帝陛下「ああ。いちいち怒っていたら切りがないからな。それより矢内、今日はお前に客が来ている。」

矢内「客?誰だよ?」

???「お前が異世界から来た賢者か。」

矢内「なんだよお前は?いきなり偉そうに。」

キサラギ「偉そうにではない!ノートルランドの国王陛下だ!」

ノートルランドの国王…。俺に何のようだ…。

 

「お前達は1度我が国に来た様だな。」

矢内「ああ、そこでノートルランドの勇者、タイショウ達と出会った。」

「おお、タイショウと会ったか!ラーメンは食ったのか?」

矢内「ああ、魂のこもった美味いラーメンだった。」

「そうだろう、そうだろう!ワシも2週に1回は店に食いに行ってたからな。それがタイショウが勇者なんかに選ばれてしまった為にワシはラーメンを2ヶ月も食えてない。」

矢内「王様の権限でただでラーメンを食っていたのか。」

「そんな事をするか!我が国は食に関しては厳しく取り締まっている!食い逃げは人殺しより罪が重い!食い逃げした輩は一族親戚一同死刑と決まっとる!それは王族でも同じこと!」

 

無茶苦茶だ。どんな国だ…。

 

矢内「で、何の用事だ。俺はパーティの料理を作っている最中なんだよ。さっさと用件を言えよ。」

「そうだった。まずはさっさと魔王を倒すなり何とかしろ。ワシは早くタイショウ達に帰って来てもらってラーメンを食いたいのだ。分かったな?」

矢内「だったら始めに適当な弱そうな奴を勇者に仕立て挙げてたら良かったじゃねえか。」

「おお、その手が有ったか!もっと早くに気づいたら…。何でもっと早く言わなかった!」

矢内「知るかよ。用件はそれだけか。」

「後、我が城に来た奴隷商人がエルフの女性を連れていたので奴隷商人を切り捨ててエルフ達を保護して連れて来ている。何処に連れて行けばいいのだ?」

矢内「何!?マジでか!そっちを先に言えよ!城だ!城にいる山田に言ってくれ!」

皇帝陛下「山田殿か…。矢内、我も1度城に行く。」

矢内「ああ、急いで行ってくれ!パーティー開始まで時間がないから頼む。」

「城か、ワシが戻って来るまで勝手にパーティー始めたら死刑だからな!」

矢内「うるせえ!!早く行けよ!」

皇帝陛下「国王よ、急いで参ろう。」

「分かった。」

 

童帝達がノートルランドの国王達を連れて城に向かって行った。

 

トンヌラ「他国の国王達とも知り合いなんだな賢者様は。」

矢内「いや、ノートルランドの国王は今初めて会った。なんか、子供がそのまま大人になった感じの奴だったな。」

キサラギ「矢内殿、他国の国王に対して余りにも無礼な振る舞いをされては…。」

矢内「戦士長、相変わらず頭が固いな。今日は開国記念のパーティーなんだ。楽にいこうぜ。」

キサラギ「自分はそなたの様に誰にでも無礼を働く訳にはいかない。」

矢内「そういうのが駄目なんだよ。部下の戦士達の為にも今日は精一杯羽目を外せ。じゃないと楽しみにして来た他の戦士達が楽しめないだろ?」

キサラギ「部下の為か…。矢内殿は相変わらずだな。いつも自分がちっぽけな人間に思えてしまう。」

矢内「ハハハ、今日は食いきれない位の料理を用意している。みんなと一緒に楽しんでくれ。」

キサラギ「フフ…。矢内殿、自分は少し町を探索させてもらう。パーティー開始までには戻る。」

矢内「ああ。」

トンヌラ「町なら俺が案内させてくれ。あんたに色々と教えてもらいたい事があるんだ。」

キサラギ「そなたは?」

矢内「俺達と共に戦った友人のトンヌラだ。」

キサラギ「そうであったか。では案内をお願いしよう。」

トンヌラ「ああ。」

 

トンヌラが戦士長を連れて町の中に消えていった。

 

矢内「料理もラストスパートにかかるか。パスタは4種類位で良いか。カルボナーラにボロネーゼ、和風パスタと後1つ…あれで良いか。エルフの森で好評だったアラビアータで。」

 

俺はパスタを次々と仕上げていく。

パーティー開始まで後、10分。肉を焼いていくか。

鉄板焼にしよう。それなら他の物も焼けるしな。準備を始めようとしたらまた俺を呼びながら近づいてくる連中がいる。

 

「賢者様、今日は我々までお呼びいただきありがとうございます。」

 

俺が初めてこの世界に来た時に訪れた町の町長達だ。オークの村の連中も一緒にいる。

 

矢内「あれから仲良くやってるみたいだな。」

「ええ、賢者様のお陰です。」

矢内「そうか、また物騒な事に巻き込まれないようにみんなで協力していかないと駄目だぞ。」

「はい、もちろんです。それにお城からジーク殿とかね童子殿が町を見回りしていただいているので心配要りません。」

矢内「ジークは元々は人拐いだっただろう。信用するなよ。かね童子も元は人間を見下したような奴だぞ。」

「賢者様、ジーク殿は我々の為に一生懸命に働いております。それにかね童子殿は凄く器用な方でしていつも日曜大工を手伝っていただいて、今ではお二人は町の人気者ですよ。」

矢内「子供達がなついていたのは知っていたが…。へー、そうか。」

「我々も皆で今日の為にお作りした料理とお酒を持ってきました。これをパーティーでお使いください。」

矢内「そうか、それじゃあそっちのテーブルに置いてくれ。」

「こちらですね。おお!すでに我々が見たこともない料理が用意されている。」

矢内「おっ?スモーブローだな。」

「はい、賢者様に教えていただいたお料理です。」

矢内「そうか、料理はいくらあっても足りないだろうからな。助かったぜ。もうすぐ始まるからみんな適当にくつろいでくれ。」

「はい、他にも賢者様にご挨拶したい者もおりますので我々は失礼します。」

矢内「ああ、今日は楽しんでいこうぜ。」

 

町長は俺への挨拶が終わると砂漠の国の人々と話をしだした。

 

「賢者!久しぶりね!今日という今日は前にぶん殴られた借りを返してあげるわ!」

 

えっと、こいつは確か…。シュテちゃん達の村の元村長の娘のブス。

 

矢内「おー、しばらくだなブス。」

「ブスじゃないわよ!あたしは可愛いのよ!」

矢内「そんな訳あるか。」

酒呑童子「おー!ブスじゃないかあ!しばらく村で姿を見なかったが何処に行っておったんじゃあ!」

「だからブスじゃないわよ!それにあんたがかね童子を城に置いて帰って来たから町に引っ越したのよ!それに町ではみんなに「かね童子さんの奥様はいつも可愛らしいわね。」って言われているのよ!」

矢内「かね童子…。こんなのと結婚したのか…。」

酒呑童子「ブスが急に居なくなって村の娘っ子達も心配しとったが無事で良かったわい!ガハハハハハ!」

「だからブスじゃないわよ!」

矢内「いいかブス、俺はパーティーの料理を作っている最中なんだ。邪魔だからあっち行け。」

「だからブスじゃないって言ってるでしょ!」

 

ブスの大声を聞いてかシュテちゃんの村の娘達がこっちに来た。

 

「あっ!聞いた事のある声がしたから来てみたらやっぱり!」

「ある日、急に居なくなっていたから心配していたんだよ。」

「な、何よ…。どうせそんな事思っていない癖に。」

矢内「ほら、さっさと行けよ。」

「ほら、賢者様もそう言ってるし、こっちでお料理作るの手伝ってよ。」

「何でこのあたしがそんな事しないといけないのよ!あんた達だけでやればいいのよ!」

 

相変わらず腹立つブスだな。と、俺は殴りかかろうと思っていたら一人の娘が俺に耳打ちする。

 

「賢者様、大丈夫よ。アイツ、チョロいから。」

 

そのまま娘達は気にせずブスに話かける。

 

「えー、一緒にしようよ。」

「そうだよ。それに貴女が一生懸命お料理したらかね童子も凄く喜ぶと思うのになー。」

「そ、そうかな?」

「そうだよ。愛情のこもったお料理だから喜ぶに決まってるよ!」

「そう?まあ、あんた達がそこまで言うのなら手伝ってあげても良いわよ。さあ、案内しなさい。」

「こっちだよ。」

 

ブスは娘達に連れて行かれて料理を手伝いに行った。

 

矢内「シュテちゃん達の村も上手くやっている様だな。」

酒呑童子「ガハハハハハ!かね童子は城の戦士にしたから村を出たが他のみんな元気でやっているわい!」

矢内「そうか、それは良かった。」

 

今度は俺を呼びながら子供達が近づいてくる。キール、エースにポーキー達だ。かね童子とジークが引率している。

 

キール「賢者、俺達も来たぜ。」

矢内「ああ、久しぶりだな。」

エース「久しぶりだな、じゃねえよ。1週間前に会っているじゃないか。」

矢内「ああ、そうだったな。砂漠の国では大変だったから1週間でも凄く長く感じたんだよ。」

キール「砂漠の国の王様をやっつけたんだろ?そんな偉い奴をやっつけて良かったのか?」

矢内「やっつけるって言い方は少し違うな。俺達はこの国の人々の明日の為にやった事だ。」

エース「明日の為に?明日なんて夜寝たら来るじゃないか。」

矢内「俺達はこの国に着いた時はな、一部の者以外みんなが毎日食べる事も出来ないでいつ死ぬか分からない状態だったんだ。だからみんなが当たり前に明日を迎える事なんで出来なかったんだ。」

ポーキー「何で?王様も兵隊さんも居るのにどうして?」

「おかしいよそんなの!」

矢内「ああ、この国はそのおかしいことにずっと気づかなかったんだよ。王様や貴族は自分達が贅沢したい為に国の人々から無理矢理食べる物もお金も奪っていたんだ。そんな事がずっと続いていてみんなどうすることも出来ずに苦しんでいたんだ。」

キール「どうしてみんな黙っていたんだよ。」

矢内「それが出来なかったんだ。逆らったら直ぐに殺される。だからみんな従うしか無かったんだ。」

エース「なあ、賢者。他の国もそんな酷い事が行われているのか?」

矢内「そこまでは分からない。」

キール「そうか…。」

ポーキー「賢者様、この国の人達はもう辛い思いをしなくてもいいの?」

矢内「ああ、そう言うことにならない様に今日は色々な国の人達が集まって仲良くなる為のパーティーなんだ。だからみんな、今日は来てくれてありがとうな。精一杯楽しんでくれ。」

エース「そうか、ただ賢者が騒ぎたいだけのパーティーじゃなかったのか。」

矢内「まあ、それもあるがな。」

「ハハハ!賢者様らしいや!」

キール「なあ賢者、この国の子供達は何処に居るんだ?」

矢内「藁助が広場に連れて行ったから近くに居ると思うぞ。」

ポーキー「藁助?」

矢内「ああ、藁でできたゴーレムだ。俺達大人よりデカイから直ぐに見つかると思うぞ。」

エース「よし、じゃあその藁助って奴を捜すか。」

キール「そうだな。先ずはこの国の子供達と友達になろうぜ。みんな行こうぜ!」

矢内「もうすぐパーティーが始まるから直ぐに戻ってこいよ。」

 

子供達はそのまま走って行った。

 

かね童子「ああ、行っちまった…。」

酒呑童子「かね童子よ!しばらくじゃな!」

かね童子「酒呑童子様、お久しぶりです!」

酒呑童子「ガハハハハハ!元気でなによりじゃあ!城の方はどうじゃ?皆と上手くやっておるのか?」

かね童子「国の戦士達は皆、鬼神の様な強さで俺様なんかじゃ足元にも及ばず特に戦士長様は普段からも己に厳しくとても素晴らしい方でして日々精進しております。それに町の者達にも良くしてもらっています。」

酒呑童子「ガハハハハハ!そうかそうか!皇帝殿や戦士長殿は素晴らしい男達じゃからな!これからも精進せい!」

かね童子「は、はい!」

ジーク「かね童子、挨拶はそれぐらいにして子供達を追わないと迷子になったりしたら大変だ。」

かね童子「そ、そうだな。」

矢内「しっかりやれよカス共。」

ジーク「誰がカスだ!」

矢内「お前達以外に誰がいる。良いから行け。」

かね童子「なんでお前に偉そうに言われないといけないんだ。」

矢内「俺は偉大なる賢者達だぞ。偉いに決まってるじゃねえか。」

酒呑童子「ガハハハハハ!賢者殿はこの国を救った英雄じゃからのう!」

ジーク「まあ、他国の王様に喧嘩を売る様な奴は賢者ぐらいだからな。でもよく勝てたよな。」

矢内「戦う前に色々と準備はしていたけどみんなが助けてくれたおかげだ。」

かね童子「村の村長を追い出した時と言い本当に無茶苦茶な奴だよ。」

矢内「まあ今日はパーティーだ。子供達の面倒を見るのも良いがお前達自身もしっかりと楽しめよ。」

ジーク「あ、ああ。」

かね童子「酒呑童子様、俺様達は失礼します。」

 

かね童子とジークは子供達を追いかけて行った。

それはそうとアイツ等は何をしているんだ。パーティーが始まってしまうぞ。

 

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