「賢者様、本日は我々まで呼んでいただきありがとうございます。」
勇者の兜を手に入れた時の国の大臣だ。今は王さまになるが。
矢内「どうだ、その後は?」
「はい、出ていった国の者は少しではございますが戻って来まして、更に住んでいた所を追われて難民になったゴブリン達を受け入れをしまして、人も増えてなんとか生活もそれなりになりました。」
矢内「ゴブリン達…。」
「ええ、何でも静かに暮らしていた所に黄色い1つ目の使い魔を従えた凶悪な女戦士に襲われたみたいでして…。」
エリカのバカの事だ…。そう言えば…。アイツ、何処かの村の者に騙されて魔物退治に行ってたな。
矢内「ゴブリン達…。来ているのか?」
「ええ、神様の使いの僧侶の方が全員参加しないと死刑にすると言われまして、余所の国に皆で押し掛けるのは気兼ねしたのですが…。」
矢内「いや、来てくれてありがとう。今日は楽しんでいってくれ。」
「流石に手ぶらと言うわけにはいかなかったので今作れた作物はこのモヤシだけではございますがどうかお持ちください。」
矢内「モヤシか。ありがとう、早速使わせてもらうよ。後でエリカのバカと1つ目をゴブリン達に謝りに行かせる。パーティーはもうすぐ始まるからくつろいでいてくれ。」
「分かりました、我々はこの国の方々に挨拶に周りますのでまた後程。それでは失礼します。」
本当に色々な国から来ているな…。
10時を過ぎているな…。乾杯のドリンクがいる。
勇者「賢者さま~!」
勇者達が来た。ベストタイミングだ。
勇者「賢者さま、みんなでお手伝いに来ました。」
矢内「勇者よ、良いところに来た。子供達用の乾杯のドリンクを用意してくれ。」
勇者「分かりました。あっ、スコールですね。」
サチ「賢者さん、時間は過ぎているけどまだ始まらないのかしら?」
勇者「あれ?さっちん?何時の間に来たのですか?」
サチ「あら?ゆうりん、少し前よ。5分前行動は人としてのマナーよ。」
リリー「私達が藁助を捜していた時にはまだ寝ていたのに…。」
エリカ「サチがご飯の時間まで起きて来ないのはいつもの事だよ。」
アリマ君「キー!」
サチ「無駄に起きているのは意味の無いことよ。それより賢者さん、まだかしら?」
矢内「サチ、今までぐうたらしていて何が5分前行動だ、舐めてるのかお前は。」
サチ「私はちゃんとゆうりん達より先に着いているわ。」
矢内「5分前行動ってのはな、全ての準備を終わらせる事を言うんだよ!寝癖位直してから来い!」
サチ「賢者さん、細かい事をガタガタ言っているとストレスで禿げるわよ。」
矢内「良いから寝癖を直して来い!お前だけ何も食わせねえぞ!」
サチ「しょうがないわね。」
舐めた事を抜かすサチは寝癖を直しに戻って行った。
アリサ「あ、あの…。」
矢内「アリサ、だったか?」
アリサ「え、ええ…。あの…。」
矢内「藁助から聞いている。今まで辛い思いをしてきたんだな。」
アリサ「藁助から?」
エリカ「藁助は喋れないのに聞ける訳ないじゃんか。賢者、お前バカなの?」
矢内「エリカよ、俺はお前だけにはバカとか言われる筋合いはない。俺はな、今まで言わなかったが神様のロキから魔物や動物とかとも話が出来る力をもらっているんだ。だから1つ目、お前が分からないだろうと思って俺の悪口を言っても全部分かっているからな。」
アリマ君「キー…。(マジか…。)」
矢内「ああ、マジだ。アリサ、お前の受け入れ先については童帝達と話をするから安心しろ。だから今日は精一杯楽しめばいい。」
アリサ「私達は…。貴方達と敵対していたのに…。どうして…。」
矢内「お前はビーナスに心を操られていただけだ。悪いのはビーナスって神を語る糞野郎だ。ビーナスは俺がいずれ倒すから気にしないでいい。」
アリサ「神様を倒す?そんな事が…。」
矢内「ああ、自分勝手に俺の友人を傷つける糞野郎は王様だろうが神様だろうが関係無い。さあ、パーティーが始まるから今日は楽しもう。」
アリサ「賢者様、ありがとう。」
俺達が乾杯用のドリンクを用意していると各国の王様達が戻って来た。
ロキ「矢内、これで全員だ!さあ、始めようぜ!」
矢内「ああ、そうだな。みんなを連れてきてくれて感謝する。」
山田「矢内、この人数は流石に多すぎではないか?この広場では収まりきらんぞ。」
矢内「おう、山田か。ノートルランドの国王には会ったか?」
山田「ああ、拐われたエルフの娘を連れてきてくれて今家族と合流している。エルフのみんなも到着した。」
矢内「そうか。流石に収まらないか…。」
畑中「矢内、場所を移動するぞ。城の前だ。周りの破壊した家の瓦礫は朝からみんなで撤去している。」
矢内「城の前か。何もせずにぐうすか寝ていた山田と違って気が利くな。」
山田「私はエルフの民を迎えに行っていた。さりげなく私をディスるな愚か者。」
矢内「よし、みんなすまないが場所を変えるから城の前まで行くぞ!」
「おー!」
矢内「すまないがテーブルや料理を運ぶのを手伝ってくれ!」
「ほら、男連中は早く運ぶんだよ!」
「よし、運ぶぞ!慎重にな。」
砂漠の国の人達が皆で荷物を運んでくれる。城の前にたどり着くと瓦礫は全て撤去されだだっ広く何も無い。
虎のおっちゃんが俺に近づいてきた。
「賢者様…。」
矢内「虎、思っていたより人が多くてな、城の前を使わせて貰うぞ。」
「賢者様…。やはり私はこの場にいて良い者では…。」
矢内「何を今更下らない事を言っているんだ。パーティーだ。派手に楽しめば良いんだよ。畑中!乾杯の音頭を頼む。」
畑中「よし、城の門の所がみんなを見渡せる。各国の代表者達は門の前に来てくれ。」
矢内「虎、お前は砂漠の国の代表だ。門の前に行けよ。」
「賢者様、しかし…。」
畑中「矢内!お前もだ!上がって来い!」
矢内「行くぞ。」
各国の代表者達が門の前に集まった。童帝陛下にノートルランドの国王に酒呑童子、各町の長達に、戦士長に、砂漠の国からは虎のおっちゃんにトンヌラか。ん?山田まで居る。
矢内「山田、お前は何で居るんだ。」
山田「ああ、エルフの民達に代表者にされてしまった。更に国の女王になって欲しいと泣きつかれている…。」
矢内「そう言えば、お前がエルフの国王を追放したんだったな。諦めて女王でもなんでもする事だな。」
山田「全くお前と関わるとろくなことにならん。」
集まっているみんなにドリンクが配られる。俺達の所にもドリンクが配られた。
畑中「みんなー!今日は、この新しく生まれ変わる砂漠の国の開国記念日に集まってくれて感謝する!そして!砂漠の国の新しい国王にお前達がよく知る伝説のヒーロー!虎のおっちゃん、そうだな、今俺が虎王と名付ける!そして、兵士の隊長にトンヌラを任命する!」
畑中が虎のおっちゃんとトンヌラを国の代表に任命した。人々の歓声が沸き起こる。
畑中「これからは王だけではなく皆、それぞれが国を思い!意見を言い!共に国を発展していくんだ!」
畑中の演説に歓声が止まらない。
キサラギ「エルフ達の代表に選ばれた山田殿に言葉で人々の心を掴む畑中殿、矢内殿達にはいつも驚かされる…。」
酒呑童子「流石は賢者殿の友人じゃあ!戦の時もあの男は凄かったからのう!」
山田「相変わらず口の上手い男だ。」
皇帝陛下「矢内が賢者ならあの男は言霊の魔導師と言った所か。」
虎王「私が王に…。」
矢内「そうだ、諦めて代表になれ。皆がそれを望んでいる。俺達を含めてな。」
畑中「最後は矢内、お前が決めろ。」
矢内「ああ。」
畑中から演説を受け継いだ。
矢内「みんな!明日からの事は明日に決めよう!そして、今日と言う日を精一杯楽しもう!各国から様々な料理を用意してある!みんな!グラスを掲げろ!」
俺の声に皆がグラスを掲げる!
矢内「さあ!!パーティーの始まりだ!!スコール!!」
「スコール!!」
「スコール!!」
楽しいパーティーが始まった!