乾杯の合図と共に皆の笑い声が聞こえてくる。おっと、俺が作った料理が勢いよく減って行くな。直ぐに作らないとな。
「肉が焼けたぞー!食いたい奴は一列に並べー!」
あれは金で裏切ったガリアスの用心棒達か。少し行くか。
矢内「お前達、昨日から手伝わせてすまないな。」
「おう、賢者か!こっちもしたくてやってるんだ、それにしても凄いな、本当に国が生まれ変わるなんてよ!」
矢内「ハハハ!みんなの協力があったからだ。そうだ、先に報酬を渡しておこう。」
「いや、それはもういい。本来なら俺達はガリアス側で倒されて処刑されていたかも知れないのにそれがこんな凄いパーティーに参加できるんだ。これ以上何かしてもらったらバチが当たる。」
矢内「そうか?しばらくしたら誰かに肉を焼くのを代わってもらってお前達もしっかり楽しめよ。」
「ああ!賢者、焼けた肉を少し持っていけよ。」
矢内「ああ、すまないな。」
俺は焼肉を少し貰い少し歩く。あれはエルフのイベサーチームか。俺達の応援に駆けつけてくれたんだったな。みんなで踊っているな。
「ヤナピッピー!」
矢内「おう、みんな!今日は来てくれてありがとう!」
「ウチ等こそ、仲間を助けてくれてマジ感謝。だから今日はテンアゲマックスで踊り明かすっしょ!」
「料理も激ウマだしマジ最高っしょ!」
「マジ卍ー!」
「ヤナピッピ、1曲お願いするし!」
矢内「いや、そうしたいのはやまやまだがな。料理が無くなりそうなんでまた作らないといけなくてな。」
皇帝陛下「矢内よ、1曲ぐらい踊って行かんか。」
童帝…。イベサーチームと一緒に踊っている…。中々キレのある動きだ。
皇帝陛下「ハハハ!矢内よ、お前が言っていた通りエルフの連中は気さくで楽しい者達だな!」
「グロメンやるじゃん!ウケるww!」
キサラギ「陛下に対してそのような…。」
酒呑童子「戦士長殿、固いことはいいっこ無しじゃあ!1杯飲め!」
酒呑童子が戦士長の酒を飲ますが戦士長は一口酒を口に含むと豪快にぶっ倒れた。酒は飲めないって聞いていたがここまでとは思わなかった。
矢内「誰か!戦士長が酔いつぶれた!日陰に運ぶから手伝ってくれ!」
「は、はい!」
ファンタルジニアの戦士達が直ぐに駆けつけて戦士長は運ばれていった。
矢内「シュテちゃん、飲めない奴に無理矢理飲ませたら駄目じゃないか。」
酒呑童子「まさか、一口でぶっ倒れるとは思わなくてのう…。」
皇帝陛下「ハハハ!ファンタルジニア最強の男にも弱点はあるわい!ハハハハハ!」
「いきなりぶっ倒れるなんて超ウケるww」
「陛下!笑っている場合ではありません、戦士長が倒れたのに!」
皇帝陛下「ハハハハハ!しばらくしたら起きてくるから大丈夫だ!お前達も一緒に踊らんか。」
矢内「踊る踊らないはさておきせっかくのパーティーなんだ。料理を摘まみながら精一杯楽しまないと駄目だぞ。」
「料理でしたら先程、砂漠の国の民からおにぎりという食べ物をいただきました。中に魚の切り身が入っていて大変美味でした。」
「えっ?魚?俺が食べたのは魚の卵が入っていたぞ?」
「いや、俺のは何か味がついた黒い野菜みたいなのが入っていたぞ?」
矢内「野菜じゃなくて昆布だな。海の中にある海藻だ。」
「海藻?とはいったい?」
矢内「学者じゃないから詳しくは答えられないが簡単に言ったら海の植物だ。細かい事は省くがそれを色々としてこのおにぎりの中の具にしているんだ。」
「このおにぎりという食べ物は…。まさか賢者様が?」
矢内「ああ、砂漠の国の貧民街の人々に指示して作ったんだ。」
「しかし、中身がそれぞれ違うだなんて…。凄い食べ物だ。」
「よし!もう1つ貰ってくる!」
「あっ!お前!ズルいぞ!」
ファンタルジニアの戦士達は走っておにぎりを貰いに行った。
矢内「ハハハ!そろそろ俺も料理を作らないと不味いな…。」
皇帝陛下「矢内よ、行くなら1曲踊ってからだ。」
酒呑童子「いや、皇帝殿。それを言うなら賢者殿はワシとの飲み勝負の決着がついておらん!賢者殿!あの時の勝負の再開じゃあ!」
矢内「いや、俺は減った料理を直ぐに作らないとだな…。」
山田「矢内、早く行け。皇帝陛下よ、ここは私が1曲披露しよう。ライアン、飲み勝負の相手をしてやれ。」
ライアン「えっ?自分が…ッスか?」
山田がライアンを連れて来てくれた。いきなりライアンにそんな役を押し付けるな。泣きそうになっているじゃないか。
酒呑童子「お主がワシの相手か?」
ライアン「じ、自分はあまりお酒飲めないッス…。」
トンヌラ「なんだ?情けねえ奴だな。代われ、俺達の国の女子供を守ってくれた鬼の大将よ。俺が飲み勝負の相手をしよう。国の為に戦ってくれた恩人と是非飲み交わしたい。」
今度はトンヌラが来たか。何故集まってくる?
トンヌラ「賢者様が作ってくれた料理の数々が空になりました。」
矢内「は?大分作ったんだぞ、30分足らずで無くなる訳ないだろ。」
山田「矢内、残念だが事実だ。お前の所のゴスロリ娘とノートルランドの国王が勝手に大食い勝負を始めて食うものが無くなってしまった。それで我々はお前を探していたんだ。」
何をやってるんだアイツは…。
矢内「分かった、急いで戻る…。」
俺は急いで料理を置いてある所に戻った。すると山田達が言っていた通り料理の数々が全て空になっていた。
「賢者様、良いときに戻って来てくれたよ!」
矢内「あ、ああ。直ぐに料理にかかろう。すまんがまた手伝ってくれ。」
パスタに使った茹で汁はまだ残ったままだ。米は炊くには炊くが時間がかかる。簡易のレンジ用のご飯を使うか。
先ずはパスタから。このパスタは真ん中に切り目が入っているやつで茹で時間が3分でいい。便利なのが出来たもんだ。5キロほど茹でて置こう。
矢内「よし、まずはパスタを盛り付けた皿を持ってきてくれ!たくさんだ!」
「あいよ!」
すかさず大皿が10枚ほど並べられる。
矢内「一気に5種類作る、みんな!フライパンに油をひいてくれ!」
1つは冷凍用のシーフードミックスを1つは玉ねぎ、ピーマン、ベーコン、1つはベーコンのみ、1つは細かく切ったタラコをフライパンで炒めていく。
矢内「よし、パスタを入れていくぞ。」
「賢者様、これだけ何も入っていないけど。」
矢内「ああ、良いんだ。それから味付けしていく。他のみんなは具材を均等に混ぜてくれ。」
先ずは何も具材が入っていないパスタに醤油を少しに紫蘇のふりかけをかけていく。ベーコンのみの分は粗挽きのブラックペッパーをかけていく。
矢内「よし、紫蘇のパスタは完成だ。皿に盛り付けてくれ。ベーコンの方は冷ますから火を止めてくれ。」
この間に簡易のレンジ用のご飯を茹で汁の中に入れておく。
そしてタラコのパスタに香り付けにバターを少し投入。
矢内「よし、タラコのパスタも完成だ。皿に盛り付けてこのきざみのりを振りかけてくれ。」
シーフードのパスタにトマトソースを多目に入れる。そしてもう1つはナポリタンだ。トマトソースを入れてからトマトケチャップで味付ける。
そして、冷ましたブラックペッパーで味付けしただけのパスタにお手製ソースをかけて矢内流カルボナーラの完成だ。
矢内「これで5種類完成だ!みんな!できたてだ!食べたい奴は並ぶんだ!」
俺の一声で周りの人々が一斉に集まりだす。
「こんな短期間に5種類も作るだなんてまるで魔法の様だね。流石は賢者様だよ!」
矢内「すまんが集まったみんなに取り分けてくれるか?俺はまだ作るから。」
「分かったよ、賢者様のお仲間の女の子と何処かの王さまがさっき根こそぎ食べられちゃったからね。みんなに渡る様に取り分けていくよ。」
矢内「すまん、頼む。」
そして俺は温まったレンジ用のご飯を全て取り出して次にかかる。その間に米も炊いておこう。
「賢者様、これはまたおにぎりかい?おにぎりだったら私達に任せてくれたら良いよ。」
矢内「うーん、そうだな。出来たご飯を半分使ってくれ。後の残りは俺が使う。」
矢内流黄金卵チャーハンを作る。作り方は企業秘密ってやつだ。
矢内「よし!完成だ!」
「おにぎりも出来たよ!欲しい人はみんな並ぶんだよ!」
更に人が集まってくる。
「おお!おにぎりだ!次は違う具材を当てるぞ!」
先程のファンタルジニアの戦士達が集まって来た。俺はすかさず声をかける。
矢内「お前達、いいタイミングで来たな。」
「賢者様、我々が来た時は既に何もない状態でして、他のエリアも食べ物がほぼ無くなっていて途方にくれて戻って来た所だったのです。」
矢内「他のエリアもか?」
「ええ。」
矢内「お前達は戻って来てラッキーだったな。今日はこれが食えるぞ?」
俺は出来た矢内流黄金卵チャーハンを指差した。
「あ、あれは!まさか、あの時城の食堂で陛下と戦士長が食べていた…」
矢内「ああ、矢内流黄金卵チャーハンだ。」
「おお!あれが我々にも食べれる日が遂に!」
矢内「さあ、大食らいの二人がこっちに来る前に色々食べておけ。」
「賢者様!ありがとうございます!」
ファンタルジニアの戦士達は感動して俺に敬礼しだす。
矢内「大袈裟に敬礼なんかするな。周りを見ろ、早くしないと無くなるぞ?」
「あっ!いつの間にこんなに人が集まって!賢者様、失礼します!」
さて、次は揚げ物にかかるか。と思っていたら畑中がこっちに来た。
畑中「矢内、揚げ物だったら任せておけ。お前は他のエリアに行け、一日なんて短いからここに居たら料理作るだけで終わってしまうぞ。他にもお前と絡みたい奴は沢山いるんだ。」
矢内「畑中、気が利くな。すまんがそうさせてもらう。サチとノートルランドの国王がこっちに来たらいっさい食い物を渡すなよ。」
畑中「ああ、それは多分大丈夫だ、さっきさっちゃんと国王があっちで焼き巨大サンドワーム1匹丸々早食い勝負ってのをしていた…。」
矢内「何をやってるんだ…。」
ここは畑中任せて俺は他のエリアに向かった。
あそこに人だかりが出来ているな。近くに行って見てみよう。
ノートルランド王「娘、賢者の仲間か知らんがワシにまだ勝てると思っているのか!」
ノートルランドの国王が丸焼きのサンドワームにかぶりついている。
サチ「国王なのに食べ方がなっていないわね。」
サチが凄い勢いでフォークとナイフでサンドワームを切り分けながら食っている。
ノートルランド王「しかし、見てくれは悪いが中々ジューシーな肉だ。いくらでも入るわい。」
サチ「そうね。これを食べ終わったらデザートが欲しい所ね。」
二人が勢いよく食べる姿に周りのギャラリーの歓声が沸き起こる。
「流石は賢者様のお仲間だ!」
「あの国王も負けていないぞ!」
「なんか分からんが凄えぜ!」
「丸焼きにしたサンドワームを食うなんてなんの冗談だと思ったけど、あれ美味いのかな?」
「始めにあった食い物もあの二人に全部食われてしまったし、俺等も食ってみるかサンドワーム。」
「ああ、そうだな。」
丸焼きにされたサンドワームを周りの人々が手をつけようとしたら衝撃の言葉が飛び出てきた。
サチ「おかわり貰えるかしら?」
ノートルランド王「ワシももう1匹くれるか?」
「え?」
「1匹丸々食ったの?」
「嘘だろ?」
流石に止めに入るか、これ以上食い荒らされたらたまったもんじゃない。
矢内「お前等!いい加減にしろ!」
ノートルランド王「おお!賢者よ!今まで何をしておったのだ?」
矢内「何をしていたじゃねえよ!お前等が根こそぎ食い荒らしたから料理を追加で作っていたんだよ!」
サチ「あら、賢者さん。そうだ、お口直しにデザートでも貰えるかしら?」
矢内「デザートじゃねえよ!お前達のせいで他の人達が何も食えてないんだよ!少しは遠慮しろ!」
サチ「仕方がないわね。腹八分目って言うしね。」
何が腹八文目だ、周りに気を使え。
「面白い物が見れたな。」
「ああ。」
ギャラリーは喜んでいる様だしいいか。って思っていたら今度は半分に切った巨大なバタールにアホみたいに具材が乗ったスモーブローが2つ運ばれて来た。
勇者「さっちん、次のお料理ができましたよー!」
矢内「おい…。」
ノートルランド王「おお!新たな料理が来たわい、ファンタルジニアの勇者よご苦労であった。」
サチ「中々の量ね。賢者さん、デザートは後にするわ。」
巨大料理に歓声が沸き起こる。
「勝負の再開だ!」
「それではヨーイ、スタート!」
二人が一斉に食い始める。
矢内「勇者、何をやってる。」
勇者「あっ、賢者様。実はさっちんとノートルランドの王様がさっき全てのエリアで提供している食べ物を食べつくしちゃったので、みんなで相談してお二人に巨大なお料理を出している間に他の皆さんに色々とお料理を楽しんでもらおうってお話になったのです。」
矢内「そ、そうか。」
勇者「皆さんの分もご用意しています。普通サイズのスモーブローです。」
「おお!やった!俺達も食い物にありつけるぜ!」
周りのギャラリーがスモーブローを摘まみ出す。
矢内「勇者よ、他のみんなはどうした?」
勇者「えっと、始めはみんな一緒だったのですが…。今は分かりません。」
矢内「そうか。せっかく色々な国から人が来ているんだ。お前も精一杯楽しむんだぞ。」
勇者「はい、賢者様はどうするのですか?」
矢内「俺は他の所にも顔を出していくつもりだ。」
勇者「だったらわたしもご一緒します。」
俺は勇者を連れて他のエリアに向かった。
サチ「賢者さん、行く前にデザートをいただけるかしら?」
俺は舐めた事を抜かすサチに黄桃の缶詰めを投げつけ立ち去った。