わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

46 / 57
開国記念日大パーティー 5

わたしは賢者さまとご一緒に行動することにしました。行くところ行くところで賢者さまは皆さんに揉みくちゃにされていました。

 

「賢者様、俺達の国を救ってくれてありがとう。これは俺達の国で取れるココヤシの果汁だ。あの姉ちゃんと何処かの国の王さまがまた来る前に持って行ってくれ、お嬢ちゃんもほら。」

矢内「ああ、これは初めてだな。ありがとう。」

勇者「ありがとうございます。」

「さあ、グイっといってくれ。」

矢内「いいなこれ。」

 

砂漠の国の人達は本当に賢者さまに感謝しています。

 

矢内「勇者よ、次は茨木童子達の所に行こう。今回俺の為に取って置きの料理を用意してくれているみたいだ。」

勇者「はい、賢者さま。」

 

そして、次はシュテちゃん達の村の人達がいるエリアに向かいました。着くと直ぐ様皆さんがわたし達を取り囲みました。

 

「おお!賢者様がた、よく来てくれただ。」

矢内「何でも俺の為に取って置きの料理を編み出したって聞いてな。」

茨木童子「賢者殿、よく来ていただきました。取って置きはこちらに隠していたのでどうぞお召し上がり下さい。」

勇者「凄いです!」

矢内「ああ、さつまいもで作ったのか。これは凄いな。」

 

お芋がきれいなお花の形になっています。こんなの見たことありません!

 

矢内「花びらはさつまいもの皮を揚げているのか。真ん中はスイートポテトか。これは食べるのが少しもったいないないな。写メを取っておこう。」

茨木童子「賢者殿?それは?」

矢内「ああ、簡単に言うと見たものをそのまま写す機械だ。そうだ、勇者よ。これでみんなを写してやってくれ。」

勇者「あ、はい。」

 

わたしは賢者さまから小さい四角い箱のような物を受け取りました。

 

矢内「これはデジカメといってな、電源を入れてこのボタンを押したら撮影される。やってみるといい。」

勇者「はい。」

 

わたしは賢者さまに言われるままに操作しました。するとわたしが撮影した人達がそのままデジカメという物の画面に写し出されました。

 

茨木童子「人々が画面に吸い込まれている。賢者殿、中の人はいったいどうなったのだ。」

矢内「吸い込まれたんじゃないんだ。どう説明をしたらいいかな。1回撮影するか。勇者、デジカメを貸してくれ。」

勇者「はい。」

 

わたしは賢者さまにデジカメを渡しました。そして、賢者さまはわたしを撮影しました。

 

矢内「これが今撮った写真だ。」

茨木童子「勇者殿が写っている。勇者は?無事なのか?」

勇者「へ?何がですか?」

茨木童子「勇者殿?写真の中にも勇者殿、これはいったい?」

矢内「ああそうだな簡単に言うと今このデジカメが勇者の姿を撮った。絵で例えたらこの画面がキャンパスでこのデジカメが一瞬で勇者の絵を描いたって言ったら分かるかな?」

茨木童子「何となくは…。しかし、一瞬でこんなことが出来るなんて…。」

矢内「後で紙に現像してみんなに配るから勇者よ、これで色々撮ってみるといい。」

勇者「分かりました。先ずはここの人々を撮ってからみんなを探してみます。」

 

賢者さまは不思議な物をたくさん持っています。わたしはこのデジカメを持ってみんなを撮影することにしました。

わたしは他のエリアに行きデジカメで人々を撮影しました。みんな笑顔で楽しそうな姿がデジカメの中に収められています。ファンタルジニアの戦士の人達がおにぎりを食べています。美味しそうに食べています。写真に収めておきましょう。

奥で屑野郎さんがお料理をしています。シャッターを押して…。あっ、みんなに気づかれてしまいました。

 

畑中「勇者ちゃん、良いものを持っているな。」

勇者「あっ、はい。賢者さまにお借りしました。」

「勇者殿、それはいったい?」

畑中「デジカメだ。今日の出来事を写し出す道具だ。」

 

屑野郎さんが戦士の人達に答えてくれました。

 

「今日の出来事を写し出す?」

畑中「ああ、聞くより見た方が早い。勇者ちゃん、ちょっとそのデジカメを貸してくれ。」

勇者「はい。」

 

屑野郎さんはわたしからデジカメを受け取り操作して皆さんに画面を見せています。

 

「あっ、我々の姿が写っています。」

畑中「今さっきの写真だな。色々撮っているな。」

「勇者殿に茨木童子殿だ。なんだこの見たこともない花は?」

勇者「あっ、それはイバちゃんがお花に見立てて作ったさつまいものお料理です。」

「凄い…。このような物が食材で作れるなんて…。」

「行ってみよう。」

畑中「そうだ、お前達の誰でもいい。このデジカメを貸してやるから持って行ってくれ。」

「そんな、このような貴重な物を受け取る訳には…。」

畑中「こんだけの大パーティーだ。撮影係りはたくさんいるからな。簡単に使い方を教えるから色々と撮って行ってくれ。」

「良いのですか?」

畑中「ああ、今日の為に昨日矢内からデジカメを3台預かっているんだ。1台持って行ってくれ。後1台は俺が使うからな。」

「それでしたら自分が…。」

「待て!俺が使う!」

 

ファンタルジニアの戦士の人達がデジカメを取り合いしています。これも撮影しておきましょう。

 

畑中「ハッハーww!勇者ちゃん、今のはいい写真が撮れたな。お前等、珍しいのは分かるがみんなで交代で使っていけ。」

 

ファンタルジニアの戦士の人達はデジカメを1台持って他のエリアに向かいました。

 

畑中「後1台は…。そうだな…。」

「なんだい、それは?」

 

先程までお料理をしていた女の人が近づいて来ました。

 

畑中「よし、あんたにしよう。」

「え?なんだい?」

畑中「写真の撮影係りをしてくれ。」

 

屑野郎さんが女の人に説明をしました。

 

「へえ、これを押すのかい?あっ、みんな写っている、凄い…。」

畑中「それで色々なエリアで撮影していってくれ。」

「面白いねこれ。でも、このデジカメの中でしか撮影した物は見れないんだね。みんなで見れたら1番良いのにね。」

畑中「見れるぞ。後で矢内に紙に現像させるからみんなで見る事が出来るぞ。だからいっぱい撮影して欲しいんだ。」

「分かったよ。みんなー!面白い物をもらったよー!」

「何々?」

 

砂漠の国の貧民街の女の人達が集まって来ました。

 

畑中「貸しただけだから後で返せよー!って聞いていないか。」

勇者「みんな行っちゃいましたねぇ。」

畑中「まあ、この世界じゃあ絶対に手に入らない物だしな。無理もないか。勇者ちゃんもそのデジカメでいっぱい撮影してきな。」

勇者「そうですね。分かりました、行ってきます。」

 

わたしは他のエリアに向かいました。

先ずはさっちんがいた所に行ってみましょう。居ました。流石にもう食べていないみたいです。ノートルランドの王さまもいます。二人とも食べ過ぎで凄いお腹になっています。写真に収めておきましょう。

 

ノートルランド王「娘、ワシとここまで張り合うとはあっぱれじゃ。」

サチ「今日だけで1ヶ月分の食事量だったわ。」

ノートルランド王「ワシもじゃ。途中から民が面白がって大量に食い物を持ってきよったからのう。流石に動けん…。」

サチ「食事の後は適度な運動が必要よ。寝転んでいたら豚になるわよ。さあ、食後のデザートをいただきに行くわよ。」

ノートルランド王「デザートじゃと?」

サチ「ええ、そうよ。ゆうりん、案内して貰えるかしら?」

勇者「え?」

 

見つかっていたみたいです。それよりまだ食べるつもりなのでしょうか…。

 

ノートルランド王「ワシはもういい。少し休む…。」

サチ「では、デザートを貰いに行きましょうか。」

勇者「さ、さっちん、それよりみんなは何処に居るか分かりますか?」

サチ「エリカさんは酔い潰れた戦士長の介抱をしていたわね。エルフ達が踊っていた所よ。」

勇者「分かりました、早速行ってみましょう。さっちんも来て下さい。みんなを写真に収めに行きます。」

サチ「写真?」

 

わたしは賢者さまからお借りしたデジカメの説明をしました。

 

サチ「へえ、面白そうね。これでみんなを写す訳ね。デザートは後でいいわ。みんなを探しましょうか。」

 

わたし達はエルフの皆さんが踊っていた所に戻って来ました。山田さんは何処か違う所に行ったのでしょうか。姿が見えません。エルフの皆さんと他の方々がみんな楽しそうに踊っています。これも写真に収めておきましょう。

 

ロキ「ダハハハハ!なんでもいいから踊れ!」

マナ「さあ、皆さん!神のお告げです!下手くそでもいいから踊りましょう!」

 

賢者さまのお友達の神様も一緒に踊っています。それをアレスさんとリリーさんが眺めています。

 

アレス「マナの奴、なんか楽しそうに踊っているな。」

リリー「あの隣で踊っている青い肌の男もペテン師の賢者の仲間なのよね。」

サチ「あれ、邪神みたいよ。」

アレス「じゃ、邪神!?」

リリー「えっ?勇者ちゃん達いつからいたの?」

サチ「たった今よ。」

リリー「って、あんたなんなのよそのお腹は!?」

サチ「そうね、パーティーだから少し多めに料理をご馳走になっただけよ。」

アレス「少し多めでそんなに腹が膨らむのかよ。」

勇者「さっちんはノートルランドの王さまと大食い勝負をして全てのエリアの食べ物を食べ尽くしていました。」

リリー「呆れた…。」

勇者「お二人は今まで何処に居たのですか?」

アレス「ああ、さっきまで色々な場所で人々に英雄だ、英雄だ、ってもてはやされてな。逃げ回っていたんだ。」

サチ「あら?砂漠の国の英雄、勇者アレスがどうして逃げ回っていたのかしら?」

アレス「俺は…。英雄なんかじゃねえ。何も出来なかった…。」

サチ「それを言うなら賢者さんなんてただの中二病のキチガイよ。」

アレス「あのペテン師野郎は飢えで苦しんでいる砂漠の国の人々を救い、この国に戦いを仕掛けた。英雄はあのペテン師野郎の方だ。」

勇者「お二人がいたからわたし達は砂漠の国にたどり着けて、お二人が街を襲いかかってきたサンドワーム達と戦ってくれたお陰で誰も死ぬことは無かったのです。」

サチ「そうね、貴方達が後方から支援してくれたからこの戦いに勝つことが出来た。そしてこのパーティーがあるのよ。」

アレス「止めろよ…。俺は…。アイツの仲間に担がれて、それで調子に乗って…。街を襲いかかってきたサンドワームを倒しに行って俺一人では1匹も倒せず返り討ちにあって…。英雄だ、勇者だ、救世主だ、ってみんなにもてはやされる度に惨めになる…。」

サチ「貴方は人々の為に先陣をきって戦った。なかなか出来る事じゃないわ。」

 

踊っている女の人がわたし達に気づきました。

 

マナ「アホのアレスにその仲間の魔法使い。」

アレス「誰がアホだ!」

マナ「アホとは、なけなしのお金でパフパフを受けに行って緊張して何もしないで全財産取られたアレス!貴方の事を言うのです!」

アレス「ちょ!なんでそれをたくさんの人の前で言うんだ!」

「ハハハハハハ!パフパフで全財産を使うって!」

ロキ「ダハハハハ!お前、パフパフから出てきて『金返せよ』って、ダハハハハ!お前が金を払った癖に『金返せよ』って!」

「ハハハ!自分で金を払って『金返せよ』って!ハハハ!アホだ!アホの勇者だ!ハハハハハハ!」

アレス「笑うな!」

マナ「まだアホのアレスのエピソードはありますわ!さあ!アホのアレスにその仲間の魔法使い!更に恥を晒したく無かったらわたくし達と踊りあかすのです!」

アレス「わ、分かったよ!踊ればいいんだろ!リリー!踊るぞ!」

リリー「…。分かったわよ!ちょっとアレス、手を引っ張らないで!勇者ちゃん達、ごめん。ちょっと行ってくる。」

 

お二人は皆さんと一緒に踊りに行きました。

 

サチ「アレス、もう大丈夫そうね。」

勇者「そうですね。」

サチ「近くにいた人に聞いたけどエリカさんはあの小屋に居るみたいよ。行きましょう。」

 

わたしは踊っているアレスさん達を写真に収めてエリカにゃんの所に行きました。

 

キサラギ「ううーん…。」

エリカ「あっ、戦士長。大丈夫?」

キサラギ「ああ、エリカか、すまない。」

アリマ君「キー!」

エリカ「アリマ君、食べ物持って来てくれたんだ、ありがとう。」

アリマ君「キー!」

エリカ「きっと賢者が作ってくれたんだよ。戦士長、食べよう。」

キサラギ「矢内殿が作ったのか。」

エリカ「…。」

キサラギ「エリカ、どうした?」

エリカ「うん…。」

キサラギ「何かあったのか?」

エリカ「うん…。ねえ、戦士長…。あたし、このままみんなと旅をしていていいのかなぁ…。」

キサラギ「勇者達とは上手くいってはないのか?」

エリカ「ううん…。勇者達と一緒に居るのは楽しいよ、賢者もあたしと勇者が摘まみ食いしたら怒ったりするけど色々な事を教えてくれる。数字も100まで数えられるようになった。」

キサラギ「…。」

エリカ「あたし、サチみたいに賢くないし、勇者みたいに色々な人と直ぐに仲良くなれないし、戦う事しか出来ないのに急に現れたビーナスって奴に簡単に倒されて…。今回、サチに助けてもらった。この前もネクロマンサーって奴と戦った時も剣で斬れない相手に捕まって賢者に助けてもらった…。」

キサラギ「…。」

エリカ「あたしは…。みんなの足を引っ張っている…。それなのにさ、賢者や勇者達はあたしがビーナスにやられて起き上がった時も無事を喜んでくれて…。」

キサラギ「そうか、エリカ。今までの自分だったら戦士の敗北は許されないって言ってただろうな。しかし、賢者矢内 孝太郎殿に出会ってからはそんな自分の考えがいかに小さいかを毎回思い知らされてしまう。」

エリカ「なんで?戦士は敵を倒す為に強くないといけないのに。」

キサラギ「確かにそれは間違いではないが、今回の件が特にそうだ。」

エリカ「…。」

キサラギ「畑中殿の言葉の力でこの国の人々を立ち上がらせ、山田殿の義の力でエルフの人々を救いだし、そして賢者殿、矢内 孝太郎の人々を繋ぐ力でいくつもの国を変えてしまった。その中には勇者殿の人と直ぐに打ち解ける力もサチ殿の魔術の力もある。」

エリカ「うん…。」

キサラギ「エリカが城で貴族の兵士を全て相手にしていたからみんな無事に勝つことが出来たと聞いている。エリカの戦士としての力があったから今こうして皆でパーティーをしているのじゃないのか?」

エリカ「そうかなぁ…。」

アリマ君「キー…。」

キサラギ「エリカ、アリマ君、これからも旅を続けて二人の戦士の力で賢者殿の力になって欲しい。次は二人が勇者殿達が危機に面した時に助けるといい。」

エリカ「うん、分かった。でも、負けた事はやっぱり悔しいよ。だからさ、次にお城に戻ったときはまた稽古つけ直してよ。」

 

エリカにゃんがいました。戦士長さんとお話ししています。カメラに収めて…っと

思っていたらさっちんに止められました。

 

サチ「大事なお話しをしているみたいだから邪魔しちゃダメよ。」

キサラギ「話は終わっているから大丈夫だ。エリカ、お迎えが来たようだ。」

エリカ「あっ、勇者にサチ。」

サチ「賢者さんに面白い物を借りたからエリカさんを探していたのよ。」

エリカ「面白い物?なに?」

勇者「これです。」

 

わたしはシャッターを押してエリカにゃん達を撮影しました。

 

勇者「見てください。」

エリカ「あっ!あたしとアリマ君と戦士長が写ってる!なんで?」

サチ「なんで?って言われたら説明出来ないのだけど…。」

勇者「これでみんなを写す事が出来るのです。」

キサラギ「これは凄い品物だな。貸してくれるか?3人を撮ってやろう。」

 

わたしは戦士長さんにデジカメを渡して写真を撮ってもらいました。

 

キサラギ「よし、これでいいのか?」

勇者「見せて下さい。」

サチ「よくとれているわ。」

エリカ「凄いな、これ。」

勇者「もっとたくさん撮りましょう。」

エリカ「うん。戦士長、行ってくるよ。」

 

それからわたし達はたくさんの人達を撮って周りました。

 

サチ「ねえ、お城の中の写真を撮りましょう。」

勇者「お城の中を?ですか?」

サチ「ええ、戦った跡もまだ残っているから撮って置きたいのよ。」

エリカ「なんで?あたしはみんなが楽しくしている写真の方がいいよ。」

サチ「もしかしたらまたこんな戦いが起こるかも知れないわ。そのためよ。」

エリカ「なんで?」

サチ「今じゃないけど遠い未来になったらまたクーデターや戦争があるかも知れないわ。だから、私達よりはるか先の世代の人達にそんな事をさせない為にも今回の事を記録しておくのよ。」

エリカ「そうかぁ、やっぱりサチはすげえな。」

勇者「そうですねぇ。みんな仲良くするのが1番ですからねぇ。」

 

わたし達は長い階段を上りお城の門の前にたどり着きました。そこからみんなを見下ろしました。

 

エリカ「みんな、本当に楽しそうにしているなぁ。」

サチ「そうね…。この国に着いた時とは大違いね。」

エリカ「そうだ勇者、ここからみんなの写真を撮ってよ。」

勇者「えっ?ここからですか?ここからだったら誰が誰か分からないですよ?」

サチ「そうね、ここからだったら全体を見渡せる良い写真になるわ。ゆうりん、お願い。」

 

わたしは言われるがままに写真を撮りました。すると門が開いて誰か出てきました。虎のおっちゃんです。

 

虎王「ファンタルジニアの勇者達…。」

勇者「あっ、虎のおっちゃん!」

サチ「ゆうりん、今はこの国の王様、虎王よ。」

虎王「勇者達…。私は王の命令とは言え貴公達を処刑にしようとした…。」

サチ「今更そんな昔の事なんて覚えていないわ。そうよね?」

エリカ「え?」

サチ「そうよね?」

エリカ「あ、うん。」

勇者「あ、はい。」

サチ「そう言うことよ、虎王様。」

虎王「貴公達も中に居る賢者殿達と同じ事を言うのだな…。」

勇者「賢者さまが?ここに居るのですか?」

虎王「ああ、畑中殿と山田殿と中で休まれている。そして賢者殿に畑中殿に山田殿にも言われてしまった。そんな事を言ってる暇があったら外でみんなと楽しんでこい、とな。」

エリカ「そうだよ、せっかくのパーティーだから楽しまないとダメだよ。ほら、みんな待ってるよ。」

 

下を見るとみんなが虎のおっちゃんを呼んでいます。

 

「虎王様ー!」

「虎王様ー!」

 

やっぱり砂漠の国のヒーローはみんなの人気者です。

 

サチ「ほら、みんなが待ってるわよ?早く行きなさい。」

虎王「分かった、勇者達…。本当にこの国を救ってくれて感謝する。」

 

虎のおっちゃんは階段を降りてみんなの元に向かいました。そしてわたし達はお城に入りました。

1階から上に上がる階段に所々に血の跡があります。

 

エリカ「あたしが斬った兵士の血だ…。」

勇者「でも斬ったのに血の量が少ないです。」

エリカ「うん、絶対に殺さない様に手の甲や足を狙って斬ったから…。」

サチ「ゆうりん、先ずはここの写真を撮ってくれる?」

勇者「はい…。」

 

わたしは階段の血の跡を撮影しました。上に上がります。

 

エリカ「壁に穴が空いたままだ…。」

サチ「ああ、私がガリアスの用心棒をぶっ飛ばした跡ね。流石に死体は片付けられてるみたいだけど。」

 

わたしは壁に空いた穴を撮影しました。更に上に上がり4階にたどり着き、奥の部屋に入りました。

 

勇者「この国の王様が殺された所です。わたし達が入った時にはあのガリアスって人に斬られた後でした…。」

エリカ「えっ?王様って賢者がやっつけたんじゃないの?」

サチ「違うわ…。今思えばあの王様も被害者なのよね。10年もあのビーナスに心を操られていたそうよ…。」

勇者「それをあのガリアスって人は…。」

サチ「あんな自分勝手な男の為に…。たくさんの人達が酷い目にあっていた…。」

エリカ「アイツ、アレス達の仲間だったのに…。」

サチ「元々仲間ではないわ。アレス達を利用して後で殺すつもりだったのよ。だってアイツ、アレスとリリーを犯罪者に仕立て上げてたでしょ。」

エリカ「なんだよそれ…。それが戦士のする事かよ…。」

サチ「エリカさん、世の中にはどうしようもない奴だっているのよ。実力も無いのに権力を欲しがる奴は特にね。」

勇者「わたしは…。そんな人を取り逃がしてしまって…。」

サチ「確か、ガリアスに止めを刺そうとした時に山田に止められたのよね。」

勇者「はい…。」

サチ「きっと山田の行動が正解よ、気にしないで。確か腕を切り落としたのよね。アイツのこれから先の人生はきっと死ぬより辛いはずよ。片腕で死ぬまで不自由に暮らしていくわ。因果応報ってやつね。」

 

わたしはこの部屋の写真を撮りました。

 

サチ「後は、地下牢ね…。」

エリカ「うん…。」

 

1つ下の階に降りると何やら話し声が聞こえます。奥の部屋に賢者さま達がいました。

 

エリカ「あっ、賢者達だ。」

サチ「行ってはダメよ。」

勇者「えっ、どうしてですか?」

サチ「あの人達、今日のパーティーの為に動きっぱなしだったのよ。少しはゆっくりさせてあげましょう。」

エリカ「賢者達って普段はよく口喧嘩したりしてるのにさ、何だかんだ仲良いよな。」

勇者「何年たっても大切なお友達なのですね。なんか良いですね。わたし達もああいう風になりたいですね。」

サチ「何十年先の事なんて分からないわよ。」

エリカ「…。」

勇者「…。」

サチ「でも、私達もああなりたいわ。」

勇者「はい。」

エリカ「うん。」

 

わたし達が賢者さま達の様子を見ていると、下の階から賢者さまを呼ぶ声が聞こえてます。

 

サチ「賢者さん達がもう少しゆっくり出来る様に彼らの相手は私達がしましょうか。」

エリカ「分かった。」

 

わたし達が下の階に降りるとエルフの人達とシュテちゃんに前に会ったジークさんとかね童子さん達が来ています。

 

「ヤナピッピー!ウチらとオールで踊り明かすしょ!」

勇者「ダンスならわたしがお相手します。体を動かすのは得意なのですよ。」

「チビッ子ノリいいし、ウケるww。」

ジーク「賢者ー!今日は俺達の力をみせてやるぜー!勝負だー!」

かね童子「俺様達はカスじゃねえー!勝負だー!」

エリカ「うわっ!なんだよお前ら酒臭いぞ、そんなに勝負がしたいならあたしが相手をしてやるよ。外に行こう。」

ジーク「俺達だってファンタルジニアの戦士の一人だ!勝負だ!」

かね童子「後悔するなよ!」

酒呑童子「で、ワシの相手はお主か?娘っ子よ。」

サチ「ちょ、ちょっと2人共…。全く、1番面倒な相手を私に押し付けるんだから…。」

酒呑童子「賢者殿は上じゃな?」

サチ「ええ、でも残念だけどシュテちゃんのお相手は私がさせてもらうわ。」

酒呑童子「ガハハハハ!そうかそうか。ワシの相手はお主か、先程のトンヌラ殿も途中で連れて行かれてしもうたからな。さあ、飲み明かすぞ娘っ子よ!」

サチ「ええ、でもやるからには勝たせてもらうわ。」

酒呑童子「ガハハハハ!それでこそ賢者殿の仲間じゃあ!」

 

そうしてわたし達は賢者さまを呼びに来た人達のお相手をする為に外に出る事にしました。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。