わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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オークの混血児 4

縛り上げた人攫いを運びながらだったので原っぱにたどり着いた時には町の住民とオークの村の住民がみんな集まっていた。まだ気絶している人攫いを起こすとしよう。

 

矢内「よし勇者、コイツにこのラッカーシンナーを股間にぶっかけてやれ。」

勇者「はい、分かりました!」バシャ

人攫い「………ん、お前、何をかけて、あああぁ、熱い!痛い!痛い!あああぁ!」

矢内「みんな集まって貰ったのは他でもない!今、ここら一帯を脅かす人攫いを俺達が捕らえた!」ザワザワ、ザワザワ

町長「賢者様、子供達を助けて頂きありがとうございます。しかし、何故そちらのオーク達は捕らえないのですか?」ドウイウコトダー!ボケー

キール「親父!俺の友達になんて事を言うんだ!」

勇者「そうですよ!ポーキーとエースはわたし達と一緒に人攫いを捕まえた友達なんですよ。」

オークの村長「村の子供達を攫ったのは人間だろうが!ふざけるな!」フザケルナ-!ニンゲンシネー!

エース「待ってくれ村長!人攫いは確かに人間だけどコイツ等は仲間を助ける為に一緒に戦ったんだ!」

町長「キール!何故オークなんかを庇う!賢者様、これはどういうことか説明して頂けますか?」チャントセツメイシロー フザケルナ-!オークドモヲトラエロー!!

村長「おい、人間!賢者とか言ったな!俺達を此処に呼んだ理由を説明しろ!事と次第によってはお前等を八つ裂きにするぞ!」ソウダ!セツメイシロー!ヤツザキニシロー!

 

ヤバい!俺が思った以上にコイツラ仲が悪い。

 

矢内「黙れーーー!」シーン……

矢内「そもそもお前等が種族が違うからと言ってお互いいがみ合っていたからこんなバカな奴に子供達が攫われたりしたんだ。」バシャ

人攫い「あああぁ!また俺の股間に何かかけやがって、あああぁ!痛ぇーあああぁ!」

 

そのままチンコを火傷しろ。

 

矢内「俺達は人間のキールにオークのエース、そしてオークと人間のクソ女の混血児のポーキーの活躍で事件を解決したんだ!」ザワザワ、ザワザワ。

矢内「それをだ。オークだから捕まえろだと!ドMの町長!俺の仲間を捕まえようとするならコイツと同じ目に遭わすぞ!」バシャ

町長「まだ私は何も……あああぁ!熱!熱!あああぁ!あっでも気持ちいぃ♪」

 

コイツ、真性のドMだ。

 

キール「親父に何するんだ!」

矢内「いや、でも気持ち良さそうにしてるぞ。」

町長「あぁ♪この痛さ、いい♪」ゴロゴロ

村長「おい賢者、その液体を股間にかけると地面を転げ回る程に気持ち良いのか?」

 

変な所に食い付いて来やがった。気持ち良いわけ無いだろ!下手したら一生涯チンコが使い物にならんわ!

 

エース「村長!駄目だ!あれはキールの親父が変態なだけなんだ!絶対駄目だ!」

勇者「分かりました。じゃあかけますね。」バシャ

村長「おぉ、これが………あああぁ!熱、熱い!あああぁ!痛い、痛い、痛い、痛い!」ゴロゴロ

 

なんだコレ。町と村の代表が股間を抑えて転げ回っている。地獄絵図だ。

 

村長「あっでも、痛いのが良い♪」ゴロゴロ

 

コイツもドMだ。どうしようか、この状況。勢いで誤魔化そう。

 

矢内「見ろ!今、お前達の代表2人が分かり合えた瞬間だ!これを記念して明日の昼、お互いをもっと知る為ここでパーティーを行おうと思う。皆また明日に集まって欲しい!」ザワザワ、ザワザワ。パーティーダッテ?ナニヲスルンダロウ?

町長「そんな事より賢者様、さっきの液体をもう一度かけて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」

村長「あっちの人攫いは二回もかけて貰っているのに不公平だ!私達にももう一度かけてくれ!この通りだ、頼む。」

 

このドM共、何を言い出す!もう無視して明日の段取りを考えよう。

 

矢内「では、今日は解散!みんな明日は楽しみにしていてくれ。」

 

みんなとりあえずは揉めることなく帰って行った。

 

 

 

 

取り合えず借りている空き家に戻ってきた。

勢いでパーティーなんて言ったがどうしようか。

 

勇者「賢者様、明日は楽しみですねぇ。」

 

料理ぐらいしか思いつかない。ビュッフェ式の料理にするか。

ガチャ、ドアが開いて誰か入って来た。町の子供達か。

 

キール「賢者、パーティーって何をするんだ?」

子供A「僕達も何か手伝わせてよ。」

矢内「おーキール達か。そうだな、手伝ってくれるか。」

 

ガチャ、またドアが開いた。今度は誰だ?

 

ポーキー「賢者様、約束通りパーティーするんだね。」

エース「賢者は口先だけだからな、俺達も手伝いに来てやったんだ。」

矢内「何か引っかかる言い方だがまぁ手伝ってくれるのはありがたい。」

矢内「キール、昼に持って来てくれたバケットは明日の朝に大量に持ってこれるか?」

キール「町の人達に今からお願いしたら多分作れると思う。」

矢内「そうか、じゃあお願い出来るか?後、大きな皿もたくさん用意してくれ。」

エース「俺は何をしたらいい?」

矢内「そうだな、料理を置く大きいテーブルがたくさんいるな。」

エース「分かった。村の仲間を集めて運んどく。任しておけよ。」

矢内「頼むぞ。」

ポーキー「ねぇ、私は何か手伝える事無い?」

矢内「うーん、そうだな。じゃあ勇者と一緒にパーティー会場になる原っぱをみんなが来てくれるように折り紙で飾り付けしてくれるか?」

ポーキー「うん!私がんばるよ!」ガチャ、タッタッタッタッ

矢内「勇者、何している。友達のポーキーを手伝ってやれ。」

勇者「はい!賢者さま、行って来ます。」ガチャ、タッタッタッタッ

キール「じゃあ俺達もいくか!」ガチャ、タッタッタッタッ

 

みんな行ったか。子供達が一致団結しているんだ。大人達も意地を張っている場合じゃなくなるよな。俺も気合を入れるか。

 

 

 

次の日

 

 

 

勇者「賢者さま、おはようございます。」

矢内「勇者、後36時間ぐらい寝かせてくれ。」

キール「賢者、何言っているんだよ。さっさと起きろよ!」

矢内「あー、キールかぁ…すまんが後12時間ぐらい寝たら起きるから。」

ポーキー「12時間も寝たらパーティーの時間終わってしまうよ〜。」

エース「コイツ、本当に駄目な大人だな。いい加減起きろよ!」

勇者「賢者さま〜。みんなもう来てるのですから起きましょうよ〜。」

矢内「あああああ!分かった、分かった!起きるから、起きるから!」

エース「やっと起きたか、駄目人間め!」

矢内「さっきから黙って聞いていたら俺の事悪く言いやがって、それよりお前達、どうして此処に?」

キール「どうしてじゃねぇよ!お前が町の人達にバケットを作ってくれって言ったから持って来たんだろうが!まだ寝ぼけているのか!」

矢内「いや、ずっと起きているぞ。」

エース「バレバレのウソを吐くなよ!さっきまで寝てただろ!」

矢内「そんな事よりもバケットを持って来てくれたか。よし!これでパーティー用の料理が作れる。みんな手伝ってくれ。」

ポーキー「私、お料理なんて作ったこと無いよ。大丈夫かな?」

矢内「簡単な事だから大丈夫さ。じゃあキールとエースはバケットをこれぐらいにスライスしてくれ。ポーキーと勇者は俺が作った具材をスライスしたバケットにこんな感じに盛り付けしてくれ。」

キール「この量全部か?めちゃくちゃあるぞ。」

矢内「あぁ、時間が無いからスピーディーに頼む。」

エース「時間が無いのはお前がダラダラ寝てたからじゃねぇか!」

矢内「口を動かす前に手を動かしくれ。よし、一品できた。これをバケットの上に盛り付けてくれ。後10種類以上は作るから。」

勇者「そんなにですか?」

矢内「あぁ、たくさんの人が来るんだ。いろんな種類がある方が楽しめるだろ?よし、これで2品目だ。更にペースを上げるから急げよ。」

勇者「はい、賢者さま!わたし達も頑張りましょう。」

 

そうして俺達はパーティー用の料理を作っていった。

 

 

 

料理もなんとか作り終えてパーティー開場である原っぱにやってきた。

何だかんだで町の子供達と村の子供達みんなが手伝ってくれたのでそれなりに形にはなった。町長と村長がこっちにやってきたな。

 

町長「賢者様、わざわざこのようなパーティーを開いて頂きありがとうございます。それで、此方はうちの町で作っている焼酎でございます。此方をパーティーでお使い下さい。」

村長「いや、そちらよりもうちの村で採れたブルーベリーの果実酒をパーティーではお使い下さい。」

矢内「ありがたい。せっかく持って来てくれたんだ。パーティーの乾杯では両方用意する。」

村長「いや、それでは困る!我々はどっちの酒が優れているか勝負していますので、そして勝った方が昨日かけて頂いた液体を股間に浴びることになっています。」

 

勝手に俺を巻き込んでくだらない勝負をするな!子供達のドリンクはそうだな、俺がいつも飲んでいるやつにするか。今日は特別だし。そうこうしている内にみんなぞろぞろと集まって来た。乾杯が無いとパーティーは始まらない。急がないと。

 

矢内「町長に村長、すまないがみんなに乾杯用のドリンクを注いでくれ。子供達にはアルコールのないコレを注いでくれ。」

町長「しかし賢者様、我々の勝負はどうすれば…」

 

そんな事知るか。

 

村長「この白い液体は初めて見る物だな。どういう飲み物なのでしょうか?」

矢内「それはな。俺の住んでいる世界の飲み物でな、スコールと言って乾杯って意味を持ったジュースだ。この世で一番旨い飲み物だ。」

町長「この素晴らしい料理だけでなくその様な物を我々の為に用意して頂けるなんて。」

矢内「パーティーなんだ。気にするな。みんな集まって来たんだ。先ずは乾杯にしよう。」

町長 村長「賢者様、それではお願いします。」

 

はぃぃぃぃい!俺が乾杯の音頭をとるのか?しまった!考えてなかった。こういうスピーチ的な事は得意ではないからな。みんな俺に注目している。仕方ない、腹をくくろう。

 

矢内「みんな!今日は良く来てくれた!今、子供達が人攫いに攫われる事件は皆の協力で俺達が無事に解決した!しかし!普段からお互いにちゃんと交流があればこんなことには成らなかった!」ザワザワ、ザワザワ。

矢内「この料理は子供達がみんなで協力して作った物だ!子供達に出来たんだ!大人達もこれからはお互い協力していける筈だ!」

 

俺はグラスを手に持ち高々と上げた。オークも人間も同じようにグラスを手に持ち高々と上げた。オーク達のグラスは町の焼酎を人間達のグラスは村の果実酒が注がれている。ちなみに俺のグラスに注がれているのはやはりスコールだ。

 

矢内「これからは2つの町と村の交流していくことを祈って!スコール!」スコール!

 

そしてパーティーは始まった。

 

町長「賢者様、今日は本当にありがとうございます。」

村長「素晴らしいスピーチでした。では、こちらの果実酒を一杯どうぞ。」

町長「いや、こちらの焼酎を先にどうぞ。」

矢内「分かった、分かった。順番にいただくからグラスを両方貰うぞ。俺はみんなを見てくる。」

 

さてと、勇者やポーキー達は何処だ?ちょっと探して回るか。

 

ポーキーの父親「賢者様!おかげで娘にも友達が出来た。ありがとう。」

矢内「たまたまだ。元々優しい子だから俺達に会わなくてもきっと友達も出来ていたさ。」

ポーキーの母親「賢者様、昨日貴族の私の事クソ女って言ったでしょう!何で昔のあだ名知っているのよ!もう!」

 

コイツまだ自分の事貴族とか言っているのか?ってかみんなお前の事をクソ女だって思っていたんだな。

 

矢内「お前が喋るとポーキーがイジメられるからもう喋るな!」

ポーキーの母親「何それー♪ヒッドーイ♪焼酎もう一杯貰いに行こうっと。」

ポーキーの父親「あぁ、まだ飲むのか。全く。」

矢内「まぁなんだ。せっかく機会だ。楽しんでいたらいいさ。」ケンジャサマー!ケンジャー!

矢内「おっ、子供達が呼んでいるな。そろそろ行かせてもらうよ。」ケンジャサマー!コッチデスヨー

ポーキーの父親「あぁ、俺も賢者様の作った料理をもう少しいただきに行こうかな。最後にもう一度お礼を言わせてくれ。本当にありがとう。」

 

みんな心のそこから楽しんでいるな。いろんな所で笑い声が聞こえる。

 

オークの女性「賢者様〜!家の子供を助けてくれてありがとう〜!料理も最高よ〜!」

人間の男性「賢者様〜!素敵なパーティーを開いてくれてありがとう〜!」

人間の女性「この料理の作り方教えて〜!」

 

本当に楽しそうだ。子供達はこっちだな。行くか。

 

キール「賢者!探したぞ。みんな待っていたんだぞ。」

子供A「賢者様、みんなを助けてくれてありがとう。」

エース「賢者、この料理スゲー旨いな!いろんな種類があるから全然飽きない!」

勇者「エースは食いしん坊さんですねぇ。」ハハハハハハ!

子供B「エースじゃないけど本当に美味しいよな。」

オークの女の子「私はこのシュワッてした飲み物が一番好きだな。」

矢内「それは俺の住んでいる世界で一番旨い飲み物だからな。」

人間の女の子「そうなんだ。でも私はこの青いジャムのかかったバケットが一番おいしかったよ。」

矢内「青いジャム?俺は作っていないぞ。」

ポーキー「あっそれは私が賢者様に内緒で作ったやつだ。」

オークの男の子「あっ俺もそれ食べた!ブルーベリーだろ?」

矢内「ブルーベリーのジャムか。考えてたなポーキー。これは美味いな。いい味だ。」

ポーキー「えへへ、そうかな?」

勇者「賢者さま、実はわたしも賢者さまに内緒で作ったやつがあるのですよ。」

矢内「へー、そうか。見せてくれるか?」

勇者「分かりました。持って来ますね。」タッタッタッタッ

 

わざわざ取りに行ったのか。ん?あのガキは一番口の悪かった奴じゃないか。なんであんな所に独りで居るんだ?行って見るか。

 

子供C「…………。」

矢内「どうした?お前、そんな所に独りでいて。みんなの所に行かないのか?」

子供C「……賢者様。俺はアイツを一番イジメていたんだ。それにアイツと仲良くしようとしたキール達を大人達にいいつけようとして、今更、どの面下げて行ったら良いのだよ。無理だよ。」

矢内「意地張ってバカな奴だな。ちゃんと謝れば良いだけだろ?せっかくのパーティーなんだ。独りでいても面白く無いだろ?行って来い。」

子供C「……でも」

矢内「でもじゃねぇ!謝りに行くぞ。俺も一緒行くから腹くくれ!」

子供C「分かったよ。分かったから引っ張らないでくれよ!」

 

そして俺は独りでいた子供をキール達の所に連れて行った。

 

キール「あっお前今までどこに居たんだ?お前待ちだったんだぞ!」

子供C「あっ…。」

矢内「ほら。お前が後少し勇気を出したらいいだけのことなんだ。」

子供C「………ポーキー。」

ポーキー「ん?何?」

子供C「今まで酷いことしてゴメン。許して貰えないかも知れないけど謝りに来たんだ。じゃあ俺は行くよ。」

ポーキー「待って!君まだ何もお料理食べて無いよね。私遠くから見てたから知ってるよ。これ良かったら食べて。私の家で作ったブルーベリージャムのスモーブロだよ。賢者様も美味しいって言ってくれたんだ。」

子供C「どうして俺なんかに優しくしてくれるんだ!お前の事イジメていたのに……それにお前と仲良くしようとするキール達の事まで悪く言って…」

ポーキー「うん…。でも、独りでずっと居るのは辛いことだよ。私はもう気にしていないから。」

キール「ポーキーが気にしていないって言っているだ。お前も気にするな!」

子供C「………でも俺、キール達にも……。」

キール「だから気にするなって言ってるだろ!」

エース「お前だな。人攫いの奴に最後に攫われた奴は。」

子供C「うん…。」

エース「攫われた奴らから聞いた。お前、捕まっていてもずっと人攫いに抵抗して居たんだってな。」

子供C「俺はアイツの悪口言っていただけで何も出来なかったよ。勇者達がお前なんか直ぐにやっつけるぞって言っただけで……。」

エース「悪い奴に捕まっていた状態でそんな事なかなか出来やしない。他の捕まっていた奴らにお前の行動が勇気を与えてくれたんだ。きっと助けが来てくれるってな。」

キール「そうなのか?お前なかなかやるじゃねぇか!」

子供C「でも、結局勇者や賢者様を頼っていただけで……。」

エース「いや、それでもこの町と村の子供達のリーダーとして礼を言わせてくれ。仲間達を勇気付けてくれて、ありがとう。」

子供C「俺の方こそ助けてくれてありがとう。そして、キール、ポーキー本当にゴメン!」ポロポロ

矢内「今日、少しの勇気を出して良かったな。みんな許してくれたんだ。これからは種族とか気にせず仲良くしろよ。」ポン

 

俺は口の悪かったガキの肩に軽く手を置いた。

 

子供C「賢者様も本当にありがとう。」ポロポロ

矢内「気にするな…。それよりせっかくのパーティーなんだ。もう泣くな。精一杯楽しめ。」

子供C「分かった。賢者様本当にありがとう。」

キール「おいエース!さっきお前がみんなのリーダーだなんて言ってたな!」

エース「あぁ、事実だからな。実力的にも。」

キール「ふざけるな!リーダーは俺だ!」

 

一件落着と思ったらコイツ等くだらない争いをし出したぞ。

 

ポーキー「せっかくみんな仲良くなったのにどうして争うの?やめようよ。」

オークの女の子「ほっといても大丈夫だよ。」

人間の女の子「そうね、しょせん男なんてシャボン玉よ。私達は向こうに行きましょう。」

オークの女の子「そうね、向こうのお花畑の所に行きましょうか。でも、ここのお花畑不思議よね、冬でもお花が枯れているところ見たこと無いよね。」

ポーキー「これね、実はこのお花、私が折り紙で作った偽物なんだよ。」

人間の女の子「ウソッ?これ全部?凄い数だよ!」

オークの女の子「これ全部偽物なの?ぱっと見分からないよ!凄いね。」

ポーキー「私、今まで独りでここで遊んでいたから毎日作っていたら凄い数になって……。」

人間の女の子「じゃあ今度は本物のお花畑にしていこうよ!」

オークの女の子「いや、待って!それよりこの原っぱと私達の村と町を繋げる花壇の道を作ろうよ!」

ポーキー「そんな事出来るのかな?」

子供A「出来るよ!面白そうだから僕達も手伝わせてよ!」

オークの男の子「花壇を作るレンガとか運ぶんだ。男の手も必要だろ?」

人間の女の子「あんた達、盗み聞きしてたの?男って本当にいやらしいわね。」

子供B「手伝ってやるって言ってるのにそんな言い方無いだろ!」

子供C「俺も手伝わせて貰っていいかな?」

オークの女の子「いいよ!人攫いに捕まっていた時、君には凄く勇気を貰ったからね。大歓迎だよ!」

ポーキー「うん!一緒に頑張ろう!」

子供C「ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ。」

人間の女の子「まあいいわ。でもポーキー、男って頭の中はエロい事しか考えてないからあんまり信用ちゃダメよ。」

子供B「お前、一体何なんだよ!」

人間の女の子「でもさっきあなた私のスカートの中しゃがんで覗いたでしょ。」

子供B「覗くか!!被害妄想もいい加減にしろ!!」ハハハハハハ

ポーキー「あれ?キールとエースは?」

子供A「まだあっちで言い争いしてるよ。」

オークの女の子「本当にバカね…。でもあんなにムキになるエースって初めて見るなぁ。」

子供A「キールもだよ。普段は皆のことを気にかけているからかなぁ。二人は似た者どうしなのかもね。」

 

ポーキー、本当に良かったな。たくさんの友達に囲まれて。

 

人攫い「なぁ、昨日から放置しやがって、いい加減ロープ解いてくれよ〜。」

 

コイツ、昨日からずっとここにいたのか?

 

人攫い「昨日から何も食べて無いんだよ!俺にもそのご馳走一口くれよぅ。」ポロポロ

 

大の大人が腹空かして泣いていやがるwwww

 

勇者「賢者さま〜!持って来ましたよ〜!」タッタッタッタッ

矢内「おっ来たな勇者。どんなものを作ったか見せてくれ。」

勇者「見て下さい!これです。」

 

何だと!何でバケットの上に蝉が乗っていやがる!

 

矢内「おい勇者…。何で蝉が乗っている?」

勇者「賢者さま、これはヒグラシとツクツクボウシですよ。」

 

うるせー!蝉の種類なんて聞いているか!

 

勇者「わたしの自信作なんですが誰も食べてくれないのですよ…。パリパリして美味しいのに…。」ウワー、コンナノダレガタベルノダヨ。オマエタベロヨ。イヤダヨー

 

誰が好き好んで虫を喰うか!子供達がドン引きしてる…。どうすんだ、これ。

 

人攫い「おっご馳走を持って来てくれたのか?一口くれよぅ。一口でいいんだ。くれよぅ!」ポロポロ、ポロポロ

 

そうか、こいつが居た!

 

矢内「よし!誰かキールとエースを呼んで来てくれ。」

子供A「分かったよ。すぐ呼んで来るよ。」タッタッタッタッ

勇者「賢者さま〜。わたしの作ったやつ食べて下さいよ〜。」

矢内「まぁ、キール達も直ぐ来るから、」

 

キールにエースは何をしている?早く来てくれ。俺が蝉を食わされる。

キール「賢者、何か用事か?」タッタッタッタッ

エース「俺達はどっちがリーダーにふさわしいか決めている所なんだ。おっ!さっきの料理まだ残っているのか?一つ貰いっと。」パク

勇者「それわたしの自信作なんですよ。」

キール「へー、どれどれ。……なんだよこれ!」

エース「何も見ないで食ったから分からないけどなんかサクサクして結構いけるぞ。お前も食ってみろよ。」

キール「お前!よく見ろよ!それ虫が乗っているんだぞ!人が食うもんじゃねぇよ!」

エース「またまた、そんなわけないじゃ………ぁぁぁぁぁぁぁ!なんだよこれ!誰だ!こんな悪質なイタズラは!食ってしまったじゃねぇか!」

 

よし、一つ減ったな。

 

勇者「え〜。わたしの自信作で美味しいのに……」パク、サクサク

子供B「うわー、勇者の奴あれ普通に食べてるよ…。」

矢内「キールにエースよ。そこに俺達が昨日捕まえた人攫いが腹を空かしている。この勇者の作った料理をより多くたべさせた方がリーダーになると言うのはどうかな?面白い試みだと思うのだが。」

キール「面白そうだな。やるか。」

エース「よし、おいお前!昨日から何も食べて無いんだってな。しょうがないから俺達が食わしてやるよ。」

人攫い「お前たち、なんて良い奴らなんだ。」ボロボロ。

 

また泣いていやがる。これから虫を食わされるのにバカな奴だ。

 

キール「よし、まずは俺からだ。口開けろ。」

人攫い「なんだよこれ?なんかサクサクしているな。」

エース「よし、食ったな。もう一つだ。食え。」

人攫い「なぁ、これバケットの上に乗っているのはなんだ?」サクサク

矢内「ああ、それか。それは蝉だ。」

人攫い「……え?」

勇者「正確にはヒグラシとツクツクボウシですよ。」

人攫い「せ、蝉?虫じゃないか!なんて物を食わせるだよ!」ジタバタ、ジタバタ

エース「賢者、何でばらすんだ!暴れだしたじゃないか!」

矢内「バカだな。嫌がるコイツに食わせるから面白いんじゃないか。コイツへの罰になるし。」

キール「それもそうだな。次は俺が食わせる番だ。口を開けろ!」

人攫い「止めてくれ、反省してるから!止めてくれよぅ!」ポロポロ。

 

また泣いていやがるwwww。面白れえ。

 

矢内「ハハハハハハ!良い見せ物だ!ハハハハハハ!」

勇者「わたしの自信作だったのに……。」

町長「賢者様、此方に居ましたか。実はファンタルジニア城の兵士の方が人攫いを引き取りに来たのですが。」

矢内「ハハハ、コイツをか?」

人攫い「もう許してくれよぅ。虫を食わせないでくれよぅ。」ポロポロ

エース「口を開けろ!食え!」

キール「よし、次は俺の番だ。食え!口を開けろよ。」

兵士「お前たち!何をしている!止めるんだ!」

キール「なんでだよ!元はと言えばコイツが俺達の仲間を攫ったからだろ!」

兵士「我が国ではそのような拷問行為は認められていない!止めろ!」

矢内「まあまあ、子供のした事だ。そう怒るなよ。」

エース「お前がやらせたくせに…。」

兵士「酷い事を……。もう泣かなくても大丈夫だ。」

人攫い「ありがとう。ありがとう。」ポロポロ

 

これから城の牢屋に入れられるのに感謝していやがるwwww。本当にバカな奴だ。

 

矢内「なぁ、コイツを連れて行くと聞いたがここから城は近いのか?」

兵士「はい、町を北に道なりに行くと城下町に着きますので直ぐですね。ところで、あなたは一体?」

矢内「俺か?」

勇者「この方は賢者さまです。人攫いを捕まえたのも賢者さまのお力なんですよ。」

兵士「おお!そうでしたか。」

矢内「まあな。俺は偉大な賢者様だからな。こんな奴は相手にも成らなかったな。ハハハハハハ!」

キール「直ぐに調子に乗る…。」

兵士「我々が調査に来る前に事件を解決して下さるとは本当にかたじけない。」

矢内「そういえば勇者よ。お前、王様に会いに行くって言ってたよな。この兵士に付いて行ったら良いのじゃないか?」

兵士「我が国は王様ではなくて皇帝陛下なのですが。」

勇者「え?そうなのですか?」

兵士「まあ、似たような物ですから気にしないで下さい。私が城下町まで案内致します。」

矢内「城までは案内してくれないのか?」

兵士「はい、一度私はこの人攫いを城に連れて行き事務処理をしますのでお城に案内致しますのは明日に成ります。それでよろしいでしょうか?」

勇者「分かりました。城下町にはわたしの友達のさっちんが居ますから大丈夫です。」

勇者「あれ?賢者さまの方から何か音楽が聞こえてきますよ?」pipipipipipipipipipi

 

ん?俺の携帯からか?なんで電波が入るのだよ。まあいい、とるか。Pi

 

矢内「あーもしもし?矢内です。」

社長『お前、溝にフォークリフトのタイヤはめたまま何日もどこに行ってんねん!』

 

取るんじゃなかった。クソ!

 

矢内「あー社長、今、出張でファンタルジニアです。」

社長『そんなん良いから早く戻って来い!明日、取引先の常務が打ち合わせに来るからその書類作らなあかんねん。』

矢内「いや、しかし、」

社長「急いで戻って来いよ!」ガチャ

 

返事をする前に切られてしまった。しかしどうやって帰ればいいんだ。勇者に聞くか。

 

矢内「なぁ勇者よ、俺は今から元の世界に戻らないと行けなくなった。ゲートを開いてくれ。」

勇者「分かりました。神様にゲートを開いてくれるようにお願いします。」

矢内「ああ、頼む。」

勇者「ゲートが開きました。賢者さま、わたしは先に城下町に行ってます。」

矢内「ああ、達者でな。」

 

ゲートを通るともう会うことも無いだろう。お前は友達のさっちんとやらと皇帝の所に行くといい。

 

キール「賢者、行ってしまうのか?」

矢内「ああ、キール世話になったな。」

エース「賢者、少し待ってくれ。みんなを直ぐに呼ぶから!」タッタッタッタッ

町長「賢者様、いろいろとありがとうございました。お元気で。」マッテ、ケンジャサマー

 

あっちから子供達が走って来る。エースの奴が呼んだのか。

 

ポーキー「賢者様まだ行かないで!私、まだ賢者様にお礼言ってないよ!待って!待ってよ!」タッタッタッタッ

 

ポーキーか。アイツ、初めて会った時は聞こえないぐらい小さな声だったのに……

 

ポーキー「ハァハァ、私、賢者様のおかげでみんなと友達になれたよ。本当にありがとう。私、賢者様のこと絶対忘れないよ…。」ポロポロ、

 

ポーキー、泣いているのか。

 

子供C「俺達、賢者様が来てくれなかったらこうしてオークの子達と仲良く成ることなんてなかった。本当にありがとう。」

子供A「賢者様、みんなを助けてくれてありがとう。」

エース「俺達、絶対お前の事忘れないからな。」

矢内「ああ、お前たち元気でな!ポーキーももう泣くな!またいつかパーティーをしような。」

キール「絶対だぞ!約束だからな。」

 

ゲートを通って会社に戻るか。

賢者様、か。

貴重な体験が出来たな。こうして俺の冒険は幕を閉じた。

やっぱり焼却炉に出口のゲートが繋がっていた。ん?熱っ!誰だ!ゴミに火を付けた奴!ヤバい!服に火がついた!熱い!助けてくれ、誰か!

 

社長「おう、矢内戻って来たか。」

矢内「熱っ!熱っ!社長!見てないで服についた火を消して下さいよ。」ゴロゴロ

 

俺は地面を転がりながら火を消していると社長が何か持って来た。水か?いや違う!

 

社長「ハハハ!矢内これで火を消してやるわ。ハハハハハハ!それ!」バシャー

 

危ない!あれラッカーシンナーだ。

 

社長「クソ!避けやがった!」

 

俺は転がりながらやっと体についた火を消す事が出来た。殺す気か!この禿!

 

社長「まあ、冗談はこれぐらいにして早速明日の書類を作ってくれ。」

矢内「冗談でもやって良い事と悪い事が有るでしょう!!」

社長「お前、これぐらいで怒ってたら関西では生きていけんぞ。」

矢内「はぁ、もう良いですわ。それで明日の書類はどこからすれば良いですか?」

社長「いちからや。頼むぞ!」

 

俺の徹夜が確定した。クソったれ!

 

 

 

 

 

その後、パーティーをした原っぱは町の人間の子供達と村の子供達が矢内の事を忘れないように『賢者の皮っ被り公園』と名前が付けられ子供達に愛される事になるのであった。

 

 

 

第2話

オークの混血児

END


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