わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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時を越えて 3

矢内「みんな、遅くなってすまないな。今からゲートを開いてそれぞれの国に帰してやる。」

 

ゲートの前に溢れる程の人達が居る。

 

クロノス「ヤー!賢者、また倒れられたら面倒だから私達がやるよ。」

矢内「私達?どういう事だ?」

クロノス「私とコローニャの歌の力でみんなをお家に帰してあげるんだよ。」

畑中「歌の力だぁ?シンフォギアかよ、ハッハーww!」

クロノス「シンフォギア?」

コローニャ「どうせパチンコで得た知識にゃ。こいつは仕事もろくにしていない奴にゃ。」

クロノス「そっか、パチンカスだもんね。」

畑中「うるせえ!」

矢内「パチンカスのせいで話がそれてしまった。コローニャ、早速みんなを帰してやってくれ。」

畑中「お前もパチンカスだろうが。」

 

黙れパチンカス。1度でも敵と戦ってから物を言え。

 

クロノス「じゃあ、みんな!お別れの時間だよ!また会おうね!」

矢内「お前は何もしてないだろカス女、凄いのはコローニャだ。」

クロノス「ちょっと賢者!話しかけるからまた最初からじゃない。もうお別れの歌は始まって居るんだから邪魔しないでよ!やり直しじゃないのさ!」

 

その台詞から始まるのかよ!

色々な国から来た子供達が俺に近づいてきた。

 

キール「なあ賢者、ちょっと良いか?」

矢内「キールか、どうした?パーティーの時は余り話が出来なくてすまなかったな。」

キール「そんなのは良いよ、俺達も他の国の子供達と勝手に仲良くやってたしな。ちょっと来てくれよ。」

勇者「キール、どうかしたのですか?」

キール「ああ勇者、実はな…。砂漠の国のチビスケがエースに帰らないでくれって泣きついて離れないんだ。」

矢内「分かった。案内してくれ。クロノス、ゲートを開くのは少し待ってくれ。」

 

キールに案内されて奥に行くと砂漠の国の女の子がエースに泣きついて離れようとしない。

 

「あああーーん!嫌だよー!」

エース「な、泣くなよ…。またいずれ賢者がパーティー開いてくれるからその時にまた会えるから、な?」

「あああーー!そんなのまてないー!」

矢内「どうした?」

ポーキー「あ、賢者様。あの子、昨日のパーティーでエースに凄くなついたんだけど、帰る時になったら行かないでって泣いちゃって…。」

矢内「そうか、次って言っても直ぐではないからな…。」

「うん…。あの子じゃないけど僕達もせっかく他の国の子達と仲良くなれたのもうお別れするのは嫌だよ。」

「エルフの子やゴブリンの子とも友達になれたのにね。」

山田「なんだ、そんな事か。」

「そんな事ってなんだよお姉ちゃん!」

「そうだべ!おら達だって、初めて他の国の人間と仲良くなれたのに!」

「そうだー!新しい女王様はヒドイよー!ショッキングピーポーマックスだー!」

「女王がん萎えだー!」

 

子供達が一斉に山田を批難する。こう言う空気の読めない残念な発言するから婚期を逃すんだ。

 

山田「いいか?お前達よく聞け、私は来年の春までに学校を作る。」

「学校?なにそれ?」

山田「ああそうだな。学校が出来たら子供達はみんなそこに集まり色々な勉強をする事になる。」

「みんなが集まる?」

山田「ああ、だから近い将来、毎日みんなと会える様になる。」

ポーキー「えっ?本当?」

キール「そんな事が?」

山田「出来る。今朝、私は各国の代表者達とその話をして可決された。」

矢内「はぁ?山田、勝手な事を言うなよ。だいたい、どうやって毎日学校なんか通うんだよ。具体的な事はまだ何も…。」

 

pipipipipipipipipipi俺の携帯電話が鳴り響く。嫌な予感がするが電話に出る。

 

社長『矢内、お前今何処におんねん!』

矢内「あっ社長、今は出張で砂漠の国です。アラビアンドリームです。コローニャと一緒です。」

社長『お前何言ってんねん!ゼクス商会からまた急な工事の仕事が来たんや!現場代理人お前にしといたから早く打ち合わせに行けや。』

矢内「…。社長、ちなみにどういう仕事内容ですか?」

社長『エルフの森私立山田麗子学院新築設置工事や。』

矢内「エルフの森私立矢内孝太郎学院新築設置工事ですね。」

社長『山田麗子学院や、こっちはスターゲート追加設置工事の作業追われてるから任せたからな。』ガチャ

 

電話は一方的に切られてしまった。

 

矢内「おい山田、どういう事だ。」

山田「何がだ?」

矢内「何がだ?じゃねえ、学校の工事がもう始まっているじゃねえか!」

山田「は?何を言っている。今日の話だぞ各国の代表者と話をしたのは。」

矢内「俺の所の会社で見積りが決まって現場代理人が俺になっているんだよ!どういう事だよ!面倒な事を勝手に押し付けるなよ!」

山田「は?私は知らんぞ!だいたい私が知っていたらお前などに現場は任せたりはしない!」

勇者「賢者様?どうしたのですか?」

矢内「ああ、勇者よ。春まで冒険の旅は中止になった。」

勇者「えっ?」

矢内「みんなが通う学校の工事が始まってしまっている。俺が責任者にされたからもう少ししたらずっと付きっきりになる。」

山田「工事が始まっているってどういう事だ矢内。何処の誰がそんな勝手に…。」

矢内「ゼクス商会のゼクスだよ!毎回何かあったらアイツがうちの会社に見積り出しているだよ!」

山田「毎回?あのゲートもか?」

矢内「ああ、また追加でゲートも作っている。だから俺が学校の工事の現場代理人を任されている。」

山田「ゼクス?何者だ?」

矢内「俺がこの世界で初めに会ってぶん殴った神様だ。」

山田「神様をぶん殴るな愚か者!」

矢内「じゃあお前も1度会って見ろ!ぶん殴りたくなるから。」

山田「お前と一緒にするな。」

矢内「とりあえずみんなに学校の説明するか。」

 

俺は子供達をみんな集めて学校が出来る事を説明した。

 

「学校かあ。」

「おら達ゴブリンも行けるだか?」

山田「ああ、問題ない。どんな種族の子供でも通う事になる。」

矢内「そうだな、子供の時から色々な種類と交流していたら差別などはしない世界になるな。」

ポーキー「凄い…。」

エース「賢者、本当にそんな事が出来るのか?」

「ほんとう?学校が出来たらエースやみんなと毎日会えるの?」

矢内「ああ、そうだ。だから、もう泣き止め。」

「わかった。けんじゃさま、ありがとう。」

矢内「ああ、立派な学校を必ず作るから楽しみに待っていてくれ。山田、行くぞ。」

山田「待て、何処に行くつもりだ。」

矢内「ゼクスの所だ、畑中、ちょっとの間みんなを頼んだ。」

勇者「賢者さま!わたしも…。」

畑中「勇者ちゃん、ここは矢内に任せておけばいい。」

 

俺はゲートを開いて山田を連れてゼクスの元に行った。

 

畑中「学校か、考えたな山田さん。」

勇者「いつもお友達と会える学校、わたしも行ってみたいです。」

畑中「心配しなくてもちょいちょい行く事になるよ。矢内と旅をするんだからな。」

勇者「そうですね、わたし、その時が楽しみです。」

 

 

ゼクス「賢者様、急に来て…ブフェ!」

 

俺はゲートを通りゼクスを見ると同時にぶん殴ってやった。

 

ゼクス「いきなり殴らないで下さいよ。いたたた…。」

 

ゼクスは尻餅をついて何か言っているが俺は構わず捲し立てる。

 

矢内「テメエ!毎度毎度俺を巻き込みやがって!」

山田「矢内!落ち着け!神様相手に殴りかかるな!」

 

山田が俺を止めに入る。

 

ゼクス「賢者様、そんなボンビーガールを連れて来たら駄目じゃないですか。あっ、30過ぎの年増はガールではないですね。」

山田「き、貴様ー!神だか知らんが無礼にも程があるぞ!」

矢内「なっ?ぶん殴りたく気持ちが分かるだろ?」

山田「お前と一緒にするな!」

ゼクス「まあ、冗談はこれくらいにして本題に入りましょうか。学校設立の件で来たのですね。」

山田「ああ、私が各国の代表者と話をしたのは今朝だ。それをどうして建設工事が始まっているんだ?」

ゼクス「神は何でもお見通しですよ、ボンビーさん。」

山田「何!?貴様、真面目な話をしている時にふざけた事を抜かすなよ。」

矢内「山田、こんなふざけた糞野郎の言うことをいちいちムカついていたらキリがないぞ。」

山田「お前も糞野郎ではないか。」

ゼクス「まあ、学校の件は前々からそう言う事になるだろうと思っていましたので準備はしていたのですよ。骨組みはほぼ出来ていますので2月末には完成予定です。」

矢内「ゲートの時といい相変わらず準備が良いな。」

山田「準備が良すぎる…。あらかじめ分かっていたとしか思えない。」

ゼクス「(鋭いな、この年増…。)そ、そんな訳ないじゃないですか。」

矢内(こいつ、絶対に何か隠し事をしてるよな。)

山田「で、学校の設置場所は何処になる?」

ゼクス「迷いの森を抜けた砂漠に入る前の平原です。」

矢内「ゲートを設置した所か。」

ゼクス「ええ、こちらで土木の基礎調査は終わって杭の打ち込みも昨日済んでいます。」

矢内「鉄骨はどうなっている。」

ゼクス「来週から随時搬入していきます。これが図面です。」

 

俺はゼクスから図面を受け取り確認する。

 

山田「お前に分かるのか?」

矢内「バカ言え、こっちはプロだぞ?今が11月頭だから、納期も厳しいな…。」

ゼクス「電気は通しませんのでそこまでは厳しくないかと…。」

矢内「ああ、そうか。灯りはランタンとかか。だったら鉄骨は耐火塗装だな。で、2階建てだから、鉄骨は1本10mが350角で…。それが24本でそれにつく梁があるから…。だいたい450㎡だな。錆止めの塗料は会社の在庫を使うから…。ゼクス、壁はどうする?」

ゼクス「モルタル材を使います。」

矢内「腕の良い職人じゃないと駄目だな。もうすぐ年度末に入るのに人がいないだろ。」

ゼクス「それはこの世界の人達を使いましょう。中には器用な人もいるでしょう。みんな喜んで手伝うと思いますよ。ボンビーさん、早速各国に人を募集してください。」

山田「貴様、目上の者に対する物の言い方がなっていないようだな?」

矢内「山田、落ち着けよ。こんな奴にキレるだけ時間の無駄だぞ。ゼクス、こっちの人達の給料はどうするつもりだ、タダ働きさせるつもりじゃないだろうな?」

ゼクス「日給で金貨2枚払います。現場代理人の賢者様とは別にみんなに指示を出す人間を二人賢者様の会社で用意して下さい。」

矢内「ああ、分かった。それにしても金貨2枚か、太っ腹だな。」

山田「この世界の紙幣価値が分からないが金貨2枚とはどれくらいなんだ?」

矢内「ああ、金貨1枚で約2万円で銀貨1枚が500円だ。」

山田「そんなにするのか…。この金貨1枚で2ヶ月も暮らせるとは…。」

 

お前は一ヶ月一万円生活でもしているのか。ラーメン1杯千円するのに暮らせる訳ないだろ。

 

矢内「それなら直ぐに人は集まるな。」

山田「しかし、募集はかけるとはいえそんなに直ぐに集まるのか?」

矢内「バカ言え、金貨2枚、1日40000円だぞ。原発の汚染除去作業でも15000円ぐらいだのに俺達の世界じゃ10秒で募集打ち切りになる。山田、早速準備に入るぞ。ゼクス、また後で来る。」

ゼクス「…。」

 

俺達はまた砂漠の国に戻った。


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