わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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15年前のファンタルジニア
過去の世界 1


矢内「オェー!オェー!」

 

時の扉を使い過去の世界にやって来た。なんか宇宙空間をさ迷った様に身体中が 回されてジェットコースターを何回も乗らされた感じだ。盛大に吐いた。まだ気持ち悪い…。

 

クロノス「ヤー、賢者、大丈夫?」

矢内「オェー!オェー!」

 

昨日食ったご馳走が全て吐き出された。

 

矢内「オェー!何だよあれは!全身がシェイクされたみたいじゃねえか!」

クロノス「ヤー、ジェットコースターみたいで楽しかったでしょ?」

矢内「楽しい訳あるか!ゲロ吐いてるんだぞこっちは!」

 

くそっ、スコールを飲んで少し落ち着こう。森の中だな。どの辺りになる…。

 

矢内「で、ここは何処だ?」

クロノス「ヤー、15年前の世界だよ。」

 

それは知っているわ!細かい場所を聞いているんだよ!何者かの足音が近づいてくる。

 

矢内「前から誰かが近づいてくる。身を隠すぞ。」

 

俺達はいきなりトラブルに巻き込まれるのを防ぐ為に森の茂みに隠れる。

 

「誰か!そこに居るのか!」

 

あれは…。だいぶ若いけど童帝か?何故城に居ないでこんなところに居るんだ?いきなり知り合いに会えて助かった。

 

クロノス「賢者、出て行ったら駄目…。」

矢内「童帝だから知り合いじゃないか。大丈夫だよ。」

クロノス「15年前だから向こうは賢者の事は知らないよ。怪しまれるから今は駄目。」

 

俺達が様子を見ながら話しているともう一人誰かが近づいてくる。

 

「敵が現れたのか?」

 

あれは…。戦士長か…。やっぱり若いな…。何故末端がやる警備などしているんだ?

 

「いや、気のせいのようだ。」

「そうか、自分は流れ者だから末端仕事でも有り難いがあんたは災難だな。王の一族なのに末端の仕事をやらされて。王に逆らうなんてどうかしてるぞ。」

「私は一族と言っても血の繋がりは薄いから元々疎ましく思われていた。仕事があって生きる為の飯が食えるだけ民よりましだ。」

「それもそうか、隣の国との戦争に勝ったらひもじい思いもしないですむさ。」

「しかし、仮に戦争に勝っても隣の国の民がひもじい思いをするだけ…。」

「まあ、俺は雇われた傭兵だから他の人間がどうなろうと関係無いがな。警備に戻るぜ。」

「ああ…。」

 

二人は引き返して行った…。

 

矢内「…。」

クロノス「ヤー、賢者?どうしたの?ボーっとして。」

矢内「ああ…。」

 

あれが俺が知っている誰よりも自分に厳しいキサラギ戦士長か?それに童帝が末端の兵士だと?それにあのファンタルジニアが戦争をしている?俺は夢でも見ているのか?

 

クロノス「賢者、とりあえず移動しようよ。」

矢内「ああ…。あの二人が向こうから来たからこっちに行こう…。ファンタルジニアと違う国があるはずだ。とりあえず情報を集めよう。」

クロノス「賢者、あまりに歴史が変わるような事をしたら強制送還で元の世界に戻されちゃうから気を付けてね。」

矢内「ああ…。」

 

俺達はそのまま歩いて森を抜けると大きな町が見えてきた。奥にはデカイ城がある。これがファンタルジニアの戦争相手か。町に入ろうとすると数人の兵隊に呼び止められる。

 

「待て!お前たちは何者だ!?」

矢内「ああ、俺か?俺はみんなが大好き賢者様だ。」

「は?」

 

この兵隊達は耳が遠いのだろうか、ちゃんと賢者様ポーズもとっていなかったしな。もう一度やるか。

 

矢内「ああ、俺か?俺はみんなが大好き賢者様だ!」

 

賢者様ポーズもバッチリ決まったので次はちゃんと聞こえただろう。

 

「それはさっきも聞いた!怪しい奴だ!賢者だと?嘘をつくな!引っ捕らえてやる!」

クロノス「ヤー、そんなダサい事をするからだよ。私達は旅の途中なんだ、通行料払うから通してくれる?」

 

クロノスが兵隊達に金貨を渡している。

 

「旅の方でしたか、引き留めてしまってすみませんでした。どうぞお通りください。」

クロノス「ヤー、ありがとう。賢者、行くよ。」

 

町の中に入る。

 

クロノス「賢者、駄目だよ。あんまり怪しまれる事をしたら…。」

矢内「怪しまれる?俺は何者だ?って聞かれたからカッコいい賢者様ポーズをとって自己紹介しただけじゃないか。」

クロノス「カッコいい訳ないじゃん、賢者ってさぁ、たまに凄くバカだよね。」

矢内「誰がバカだ!誰が!バイトに神様の役職を乗っ取られたお前にだけは言われる筋合いは無い!」

クロノス「ヤー、それは言いっこなしだよ。」

 

町に入るがなんか静かだな。町を歩くと広場にたどり着いた。広場の中央を囲む様に人が群がっている。何をやっているのだろう?俺達は人混みの中に入って行く。

 

「集まっている者達、聞け!これより!今月分の税金を払えなかった者の公開処刑を行う!」

 

公開処刑だと!今月、って言ったよな?この国は毎月こんな馬鹿げた事をしているのか!

 

クロノス「賢者?」

矢内「…。」

 

兵隊の一人が痩せ細った神父さんが連れて来られてギロチンにかけられる。

 

「しんぷさまー!しんぷさまをはなしてー!」

 

小さい女の子がギロチンにかけられた神父に近づいて行く。兵隊が女の子を蹴り飛ばし怒鳴りつける。

 

「どけ!!」

「ああああ!いたいよー!」

 

蹴り飛ばされた女の子は泣きじゃくるが誰も助けようとしない。周りの人達のひそひそ話が聞こえてくる。

 

「自分の生活もままならないのに戦争孤児なんかの面倒なんか見るから…。」

「あんな小汚ないガキ共を引き取ったりするから税金が払えなくなるんだよ…。本当にバカな人だね…。」

 

この国は腐ってやがる…。そこに住む人間達も…。

 

矢内「クロノス、あの子を連れて行ってくれ…。」

クロノス「賢者?何をするつもりなのさ、勝手な事を…。」

矢内「あの神父さんを助ける…。こんな事を許してたまるか。」

クロノス「賢者、顔ばれしたら不味いからこの仮面被って。」

 

俺はクロノスからお祭りの的屋のお面を受け取った。しかし、これ…。

 

矢内「おい、何でこれなんだよ。ポロリって、前回の件を引き継いでいるんじゃねえよ。」

クロノス「じゃあ、こっちのセーラームーンにする?」

矢内「ポロリでいい!」

クロノス「賢者、気を付けなよ?」

「しんぷさまー!やだー!」

クロノス「ヤー、大丈夫だよ。あの正義のネズミ仮面が神父様を助けてくれるから。下がるよ。」

「しんぷさまー!」

 

クロノスは嫌がる女の子を連れて人混みから離れて行った。俺はポロリのお面を着けて兵隊達に近づいて行く。

 

矢内「その人の2ヶ月分の税金だ、その人の処刑を取り下げろ。」

 

俺は兵隊に金貨を10枚投げつける。

 

「何だテメエは!」

矢内「聞こえなかったのか?その人の処刑を取り下げろって言ってるんだ!」

「王の意向で処刑は決定したんだよ!今更金を払っても遅いんだ!まあ、この金は俺達がありがたく頂いてやるから安心しな!」

 

兵隊は3人か…。手持ちの武器になりそうな物は…。俺は異次元袋の中に入れている物を思いだしながら作戦を考える。

 

矢内「金貨が足りないか?拾え!」

 

俺は30枚ほど金貨を兵隊達の周りにばら蒔いた。

 

「おい!マジでか?こんだけあればしばらくは贅沢三昧できるぜ!」

 

兵隊達が金貨を我先にとしゃがんで拾い出す。その隙に鉄パイプを取り出ししゃがんで無防備になった兵隊達の後頭部を殴り付け気絶させる。二人倒した時に最後の一人が立ち上がり剣を抜いた。

 

「き、貴様!何を!俺達に手を出して生きて帰れると思うなよ?」

矢内「そんなお喋りをしている暇があったらちゃんと周りを見るべきだったな、ティロ フィナーレー!!」

 

俺は一斗缶に満タン入ったラッカーシンナーを剣を抜いた兵隊に思いっきりぶっかけた!そして、直ぐ様マッチに火をつけて兵隊に投げつけた。シンナーを浴びた兵隊の体は一瞬で火だるまになって転げ回り断末魔をあげた。周りにいた人間は叫び声をあげて我先にと逃げていく。

そして、ギロチンにかけられた神父さんを助けだし声をかける。

 

矢内「大丈夫か?」

「助けていただいてこんな事を言うのはあれですが…。」

矢内「ちゃんと助かりたかったら俺の言う通りにしろ。」

「な、何を…。」

矢内「気絶している二人の兵隊の服を剥ぎ取る。手伝え。」

 

神父さんに手伝わせて兵隊の服を2着手にいれる。

 

矢内「お前の服を脱いでその兵隊に着せるんだ。」

「は、はい…。」

 

神父さんの服を着せた兵隊をギロチンにかけ首をはねる。

 

矢内「よし、これでパッと見はお前がギロチンにかけられて死んだ事になった。後の一人は連れて行く。何処かいい場所はないか?」

「私の教会の隣に物置小屋がありますのでそこなら…。」

矢内「よし、じゃあ連れて行こう。その前に…。」

 

俺はばら蒔いた金貨を全て拾い集めて一人生き残った気絶している兵隊を連れて行った。

 

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