わたしの賢者さま   作:ジャックオニール

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いざ、ファンタルジニア王国へ 1

俺達は元の場所に戻ってきた。あの高速で動く光の階段、なんとかならんのか?また酔った…。気持ち悪い。

 

クロノス「ヤー、何とか戻って来れたよ。」

ゼクス「それでは、ファンタルジニアに向かいましょう。」

矢内「ちょっと、待って…。オェー!オェー!」

 

俺は余りの気持ち悪さに盛大に胃液を吐き出した。

 

クロノス「ヤー、賢者、大丈夫?」

矢内「オェー!オェー!」

ゼクス「!!前方から誰か来ます!」

 

前から誰かが近づいて来る。

 

「そなた達!そこで何をしておる!」

クロノス「ま、不味いよ…。」

ゼクス「まさか…。いきなりウィル公子に出くわすなんて…。」

 

俺はすかさずお面を被り素顔を隠す。

 

矢内「俺の話に合わせてくれ。」

 

ゼクスが無言で頷く。

 

「ウィル!敵か!?」

 

もう一人近づいて来た!キサラギ戦士長か!

 

矢内「待っておくんなせえ!私達は大道芸のヤナウィス一座と申します。」

キサラギ「大道芸?何だそれは?」

ゼクス「簡単に言いますと町の人達に我々の芸を見せて投げ銭で生計を立てている芸人でございます。(よく咄嗟にそんな嘘が思い付くな、この人…。)」

ウィル「ほう?大道芸、しかし、今は戦時中で民は食べる物もままならない状態だ。」

矢内「そうでしたか…。」

キサラギ「大道芸?どうも怪しいな?」

ウィル「キサラギ、余り疑うのは良くないぞ。」

キサラギ「しかし、コイツらは東のバッド王国の方から来ている。スパイの可能性もある。お前達、本当は何者だ?」

クロノス「ヤー、神様だ…。」

矢内「オラッ!」

 

俺は本当の事を言おうとしたバ神様に思いっきりボディーブローを喰らわせる!

 

矢内「何者って、私達はしがない大道芸人ですよ。」

キサラギ「さっきそこの女が何か言おうとしていたよな?」

 

完全に疑われている。後ろから誰かが走って近づいて来る。

 

「居た!おい助けてくれ!隊長達に命を狙われてやっとの思いで逃げて来たんだ!」

 

コイツ、最悪のタイミングで来やがった!

 

キサラギ「コイツはバッド王国の兵隊!どういう事だ!少し前に逃げて来た神父も…。もしかしてスパイか!」

「まさか、ウィル公子にキサラギ!お前、どういう事だよ!ファンタルジニアのスパイだったのか!」

ウィル「流石に見過ごせないな…。洗いざらい話して貰おうか?」

 

ウィル公子とキサラギ戦士長が俺達に剣を突きつける!

 

矢内「分かった、正直に話をする!」

 

俺はゼクスとクロノスにアイコンタクトを取る。

 

矢内「俺とそこの女は未来から来た…。」

キサラギ「未来だと?そんな嘘が通ると思っているのか!まずはそのふざけた仮面を外せ!」

矢内「訳あってそれは出来ない。ちなみにそこの小僧がお前達の国の本当の神様ゼクスだ。」

ウィル「我が国の神は美のアフロディア様だ。」

矢内「そのアフロディアが勝手にファンタルジニアを支配している為に今、戦争が起きている。」

ゼクス「ちょっと…。」

矢内「俺が話をします、ゼクス様。」

「えっ?えっ?あの…。俺は?助けてくれるんだよな?」

クロノス「ちょっと黙っていなよ。」

 

周りが困惑している。

 

キサラギ「話が見えてこない…。」

矢内「そうだな…。何処か人目につかない所に案内してくれないか?」

ウィル「そ、そうだな…。先程、バッド王国から亡命してきた神父と子供達を匿っている小屋があるからそこで良いか?」

キサラギ「おい、バッド王国の亡命者は全て城に連れて行って処分する決まりなのに良いのか?」

ウィル「俺には罪の無い人を殺す事は出来ない。」

矢内「そうか。子供達を助けてくれて感謝する…。」

 

俺はウィル公子に頭を下げる。

 

「おい!ガキ共の事など良いんだよ!俺はお前に言われた通りに国王を暗殺までしたんだぞ!俺はこれからどうしたら良いんだ!答えろよ!」

ウィル「何!?バッド王国の国王を殺した!?」

矢内「馬鹿かお前は。何他国に情報をペラペラ喋っているんだ。まあ良いか。」

キサラギ「では、今バッド王国は…。」

矢内「内乱が起きている。大方、3人の隊長が覇権を争って先に暗殺者を見つけようとしているのだろう。ここにもバッド王国の兵隊が来るかも知れないから直ぐに移動しよう。」

ウィル「わ、分かった。」

 

俺達は神父さん達が居る小屋へ向かう。

 

ウィル「あそこだ。ん?不味い…。バッド王国の兵隊達が見える。小屋に向かっているぞ。」

 

小屋に向かっている兵隊の中に一際偉そうにしている奴が居る。あれが隊長だな。兵隊達が小屋に入って行く。

 

「あっ!コイツらは!」

「ひぃ!兵隊だ…。」

「みんな、私の後ろに隠れて居なさい。」

 

不味い!神父さん達が見つかった!

 

矢内「童帝…。じゃなかったウィル公子と、えっとキサラギだったか?」

キサラギ「何だ?」

矢内「俺達が注意を惹くから周りこんであいつ等を倒してくれ。」

ウィル「何をする気だ。」

矢内「俺がコイツを引き渡す振りをする。」

「おい!俺を隊長に売るのか!」

矢内「良いからついて来い。」

キサラギ「いや、必要ない。俺一人であいつ等など充分だ。」

矢内「子供達の安全が…。」

キサラギ「関係無い。」

 

俺の制止を聞かずにキサラギが兵隊達に近づいて行く。俺が知っているキサラギ戦士長、誰よりも下の者の為に動く男だったのに…。

 

クロノス「ヤー、行っちゃったよ。どうするの?」

矢内「子供達の安全が先だ。いざと成ったらお前も手伝って貰うぞ。」

「おい!まだ俺に何かさせるのか!」

矢内「死にはしない。安心しろ。」

ウィル「何故そこまで子供達に気をかけるんだ?お前の身内では無いのであろう?」

矢内「子供達は国の宝だ。子供を大事にしない国などに未来は無い。ウィル公子、奴等の後ろに周りこんでくれ。」

ウィル「子供は国の宝…。分かった。俺が奴等を逃がさない様にするんだな?」

矢内「あのキサラギという男が奴等を討ち逃した時は頼む。」

クロノス「私はどうしたらいい?」

矢内「役立たずは何もするな。おい、行くぞ!」

「おい…。」

矢内「あの隊長に引き渡す振りをするだけだ、あの男が全て兵隊を倒したらその必要は無くなるがな。」

 

俺達も小屋に近づいて行く。

 

「隊長!今日、処刑をするはずだった神父が居ました!城に連れて行ったガキ共も居ます!」

隊長「よし、全て殺せ!俺の国から逃げ出す奴はこうなるって見せしめにするんだ!」

「ハッ!」

 

兵隊達が剣を抜き神父さん達に近づいて行く。

 

キサラギ「バッド王国の兵隊だな?ファンタルジニア王国の領土に入って来た敵国の兵は全て倒す命令が降っている。悪いが俺の生活費の為に死んでもらう!」

隊長「き、貴様は!」

キサラギ「俺の名は傭兵キサラギ。死んで恨むならファンタルジニアより先に俺を雇わなかった国を恨むんだな。」

隊長「き、キサラギ?お前が!しかし!一人でこの数を相手に出来るわけが無い!全員でかかれ!」

 

周りの兵隊達が一斉にキサラギに襲いかかる。

 

キサラギ「だいたい20人か…。俺と戦うなら桁が2つ足りなかったな。」

 

キサラギが剣を抜き電光石火の剣捌きで兵隊を倒していく。

 

隊長「なっ!あれだけの兵が一瞬で!?」

キサラギ「大将らしく覚悟を決めろ。」

 

キサラギが隊長の首に剣を突きつける。

 

「そこまでだキサラギ!剣を捨てろ!さもないとガキ共を殺すぞ!」

 

一人倒しきれなかった兵隊が子供を人質に取り出した!

 

キサラギ「…。」

「おい!剣を捨てろ!」

キサラギ「下らんな。」

 

キサラギは剣を下ろそうとしない。このままでは子供達が危ない!

 

矢内「行くぞ。」

「おい、大丈夫だろうな?」

 

俺達は子供達を助ける為に動き出す。

 

矢内「子供達を放せ!」

隊長「何だテメエ!」

矢内「お前達が欲しいのは子供の命じゃなくて暗殺者の首だろう、コイツがお前達の国王を殺した暗殺者だ。」

 

俺はキサラギとウィル公子にアイコンタクトを取る。

 

「おい!」

矢内「黙っていろ。どうだ、コイツを引き渡すから国に帰れ。」

隊長「そいつが暗殺者…。貴様、何故それを知っている?」

矢内「そんな事はどうでも良いだろ。お前はコイツを連れて帰って王に成るための大義名分を得る方が大事じゃないのか?」

隊長「そうだな…。確かに…。」

 

ウィル公子が後ろから油断している隊長に近づいて行く。

 

「た、隊長!後ろ!」

キサラギ「よし。今だ!」

 

キサラギが子供達を人質に取っている兵隊を斬り倒した!

 

隊長「な!」

ウィル「油断したな。ここで倒させてもらう。」

 

ウィル公子が隊長を斬り倒した。これで敵は全てだな。

 

「隊長が率いる1小隊が一瞬で…。」

矢内「良かったな。あの隊長に殺されなくて。」

「お前!俺を囮にしやがって!」

矢内「お前、マジで言葉に気を付けろよ?何時でもあの二人に斬り殺されてもおかしくないんだぞ。」

「えっ?」

 

やっと自分の立場が分かったか。

 

ウィル「貴公、えっと…。何と呼べば…。」

???「フフフ、時をかける魔導師って言った所かしら?」

 

女の声だ…。何処にいる…。

 

???「フフフ、こっちよ?」

 

何もない所にドアがある。ドアが開くとフードつきのローブに身を纏った女が出てきた。これはまさか…。

 

矢内「サ、サチか?。」

???「あら?誰かと勘違いしている様だけど?違うわよ。」

ゼクス「み、三神さん?どうして?」

三神「メスゴリラ…。じゃなかった、アテナから貴方達の監視を言われてね、面倒だけど来たのよ。」

キサラギ「怪しい女め、名を名乗れ!」

 

キサラギが剣を構えて警戒する。

 

三神「フフフ、大丈夫よ。貴方達の味方だから。それより、ここから移動しましょう。もうじき敵の部隊が来るわよ?」

ウィル「何故その様な事が分かる?」

三神「私は近い未来が見えるのよ。」

矢内「信用しよう、みんな直ぐにここから移動する!」

 

俺は中の神父さん達に声をかけて行く。

 

キサラギ「おい、コイツらも連れて行くのか。」

矢内「ウィル公子、ファンタルジニア国内の安全な場所に案内してくれ。」

ウィル「分かった、孤児院に行く。しかし、あそこもギリギリの生活をしているから…。更に子供が四人も増えるとなると…。はたして食べていけるかどうか…。」

矢内「食うものは心配しないでくれ。さあみんな!行くぞ。」

キサラギ「おい、足手纏いを連れて…」

矢内「剣が使えるだけの男が図に乗るな。お前ごとき、何時でも倒せるんだぞ。」

「おい、止めろよ!挑発するな!」

キサラギ「お前、死にたいようだな?」

ウィル「キサラギ、止めろ!」

キサラギ「いや、俺はこの男を信用していない。それに虚仮にされて黙って居られるか。」

矢内「ウィル公子、子供達と先に行ってくれ。ゼクス、クロノス、お前達も一緒に行け。」

クロノス「ヤー、分かったよ。」

ゼクス「あの…。ここで争うのは…。」

矢内「いや、一瞬で方がつく。心配するな、これも必要事項だ。行け。」

ゼクス「分かりました…。」

 

ウィル公子が子供達を連れてファンタルジニアに向かって行く。

 

矢内「お前は行かないのか?」

三神「あら、孤児院に行くまでの道案内がいるのじゃないかしら?」

キサラギ「貴様、武器を取れ。」

矢内「本当に剣の腕しかないつまらない男だな。俺の敵ではない。」

キサラギ「貴様~!どこまで俺を馬鹿にしたら気がすむ…」

矢内「そら、これで勝負ありだ。」

 

俺はワンカップを取り出しキサラギの顔にぶっかけた。

 

キサラギ「いきなり何を…。これ…。このにおい…。」

 

キサラギは豪快に倒れた。アルコールが弱いのは知っていたからな。

 

「本当にキサラギを倒したのか?」

矢内「酔っ払って潰れて寝ただけだ。」

「よし、じゃあ止めを!」

矢内「馬鹿な事は止めろ。それよりこれからファンタルジニアに行くからこれに着替えろ。」

 

俺は異次元袋から代えの作業着を渡す。

 

三神「フフフ、面白い男ね。さて、そろそろ私達も移動しないと不味いわね。」

矢内「この男を運びながらだからな、急ごう。」

三神「その心配はないわ。今回は特別に私の黒魔術を使いましょう。」

 

黒魔術…。この女…。やはり…。

 

矢内「お前、名前は?」

三神「三神 ネモフィラ、黒魔術を使う私に取ってネモフィラなんて名前は滑稽でしょう?だから三神で良いわよ。しばらく貴方に協力するわ。」

矢内「そうか。よろしく頼む。」

三神「では、行きましょうか。黒魔術、『ドワープ』はぁぁぁぁ!」

 

三神が両手を広げて魔力を込めると大きなドアが出てきた。この女、やはりサチの一族か。

 

三神「では行くわよ。」

矢内「それ、一人用じゃないのか?」

三神「強めに魔力を込めたから4、5人位は大丈夫よ。」

 

三神が召喚したドアを開ける。

 

三神「さあドアをくぐって。」

矢内「ああ。」

「えっ?えっ?」

矢内「早くしろ!」

 

俺達は眠っているキサラギをかかえてドアをくぐって行く。

 

三神「フフフ、本当に面白い男。見定めさせて貰うわ。未来から来た賢者様。」

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