そんな中、紅美鈴が困った顔をして、相談があると話しかけてきた。
一体美鈴に何があったのだろうか。
マヨヒガでのドタバタを終え、食事も済ませた俺達はスキマで、練習場のあるグラウンドに向かった。
「いや〜、まさか朝からドタバタするなんてねw」
「本当にすまない、寝ているところを起こしてしまい」
「大丈夫だよwもう気にしてないから」
藍はよほど気にしていたらしく、とても申し訳ないと頭を下げ続けたが、俺が大丈夫だよと言うと納得したみたいだ。
「ほら、そんなことしてる間に着いたわよ」
「ありがとうございます紫様」
「さぁ藍、急いで着替えて練習しようか!」
「そうだなサブロー殿」
三人はスキマから出ると紫は室内練習場、俺と藍はグラウンドに向かった。
〜男子更衣室〜
「ふぅ〜、とりあえず今日はランニングしてから、ストレッチして...」
俺は、今日の練習メニューを確認しながら着替えていると急に「バァン!!」と扉が開いた。
「なんだ!?」
俺はすぐさまドアの方を振り向くと、そこには、紅魔館の門番でチームの二塁手である紅美鈴が、ユニフォーム姿で立っていた。
「サブローさん!ちょっと相談にのって貰えませんか?」
「あの〜美鈴、俺まだ着替え中なんだよね...だから話はグラウンドでね?」
「あ〜!すいません!!ではグラウンドで待ってます!」
そう言うと美鈴はドアを閉めた。
「とにかく美鈴が困ってるみたいだし、早く着替えよう」
俺はとりあえず何事もなかったかのように着替え始めた。
〜少女着替え中〜
「とにかく、メニューの確認もしたし、そろそろグラウンドに行くか」
〜移動中〜
「遅いぞ〜サブロー!」
「まったく待たせすぎよ」
グラウンドに行くと、みんなが待っていてくれていた。
「いやいやすまない、ちょっとメニューの確認をしてたら遅れてしまってね、あと美鈴が来たからちょっとね」
「あやや〜?本当ですかね〜?」
「なんだよ文」
遅れた理由を話していると、横から文が割って入って来た。
「本当はナイスバディな美鈴さんと、その時に何かいやらしいことしてたんじゃないんですか?」
「変なこと言うなよ!そんなことないわ!」
「そうですよ!現に私は一番乗りでグラウンドに居たじゃないですか!」
文のデタラメを否定するため、俺と美鈴は文に向かって反論していた。
「天狗〜?練習が終わったら夜雀庵で飲もうな?」
「はひ〜!?それだけは勘弁してください勇儀さん〜!」
(そういえば天狗は鬼に頭があがらなかったんだったな、ありがとうございます勇儀さん)
「んじゃとりあえずまずは軽く足首、膝を屈指体操したら、五分間のランニングから始めようか」
「はーい!」 「了解〜!」 「やるか〜!」
それぞれが軽めのストレッチを終え、五分間ランニングへと向かったが、俺は美鈴を呼び止めた。
「あっ、美鈴」
「はいサブローさん」
「さっきの話を聞くからベンチで話そうか」
「分かりましたけど練習は?」
「悩んだ状態でやっても悪影響だろ?だからまずは練習よりも、話をするのが先決さ」
「分かりました」
「藍〜!しばらくは君がリーダーをやってくれ〜!メニューはベンチにあるからまた取りに来てくれ〜!」
「了解だサブロー殿!」
藍にしばらくリーダーを任せて、俺は美鈴と共にベンチに向かった。
〜移動中〜
ベンチに座った俺は隣に座っている美鈴に話かけた。
「それで美鈴、俺に相談って言うのは?」
「実は...ドリームズには私と同じポジションが一緒な椛さんがいるじゃないですか」
「うん、いるな」
「椛さんって私と違って選球眼があって、打撃、走塁、守備が上手いじゃないですか...昨日なんか私ミスばっかりしてしまって、だからレギュラーになれるか不安で」
実は美鈴昨日の紫の練習で、バッティングではヒット性の当たりはなし、ノックでもエラーが多かったりと散々だったらしい。対する椛は完璧にこなしていたとのこと。
「なるぼどな〜でも俺も同じだよ?」
「えっ、でもサブローさんはその道のプロなんですよね?」
「元だけどね」
「でも俺は美鈴がレギュラーになれる可能性があると思うな〜」
「なんでそう思うんですか?」
「俺は外野手だけど、パワーなら勇儀にひけをとらないフラン、足なら幻想郷最速の文、守備なら外野一のあうん、安定感は抜群のマミゾウ、勝負強さはピカイチの早苗...ある意味レギュラーが危ういのは俺だって一緒さ」
「でも...」
不安な顔をした美鈴にこう言った。
「練習なら今から俺が付きっきりで練習を見てやる」
「ありがたいのですが、それでは他の方々は」
「あぁ〜、付きっきりと言ってもずっとじゃないから大丈夫だよ」
「...分かりましたサブローさん」
「よし、分かったのなら軽くランニングしてみんなと合流してこい」
「はい!」
美鈴は迷いが吹っ切れたみたいで、足早にみんなのところに合流した。
「さてと、俺も早めに体を作らないといけないな、よし短ダッシュを二十本しとこう」
〜少女アップ中〜
「よしみんな集合してくれ!」
俺はアップを終えた野手陣を集合させて、次のメニューを伝えた。
「次はバッティングをしてもらう。罪袋達が既に二つセットしてくれたから一人三十球、あとその後ろでティーバッティングを五ヶ所で、あとは素振りをしてくれ、それを順番に回していく」
※二つセット。これは、プロ野球でバッティング練習に使われるゲージと言われる周りをネットなどで囲ったもの。
ティーバッティング。一人がボールをタイミングよく下から投げて、それをもう一人があらかじめ設置してあるネットに打つ練習である。
「サブローよ、順番はどうするんだい?」
「そうですよ、誰からやるんですか?」
勇儀と永琳がサブローに質問した。
「順番か...ならまずは勇儀と聖からバッティングをしてくれ、あとは...」
俺はみんなに指示を出して、なんとかみんな持ち場についた。
「よしそれじゃあ始め!罪袋さんよろしくお願いします!」
「はいよ〜あんちゃん!」
罪袋の元気な挨拶がスタートの合図となり、練習が開始された。俺はもちろん美鈴にマンツーマンで教えつつ、勇儀達のバッティングを見守る。すると最初から快音が響く。
「カーーーーーーーーーン!」「カーーーーーーーーーン!」
物凄い打球は、虹のような放物線を描きスタンドに入った。
「やっぱり凄いな〜勇儀のパワーは、聖の広角に打てる打撃も魅力的だ」
「そうですよね、やはり勇儀さんに聖さんも私と違ってパワーがあって、それにアピールポイントがあるのも羨ましいな〜...はぁ...」
溜め息混じりに美鈴の本音がこぼれた。
(そうとう昨日のことを引きづってるみたいだな、なんとかしないと)
「よし美鈴、こっちも始めるか!」
「はい!お願いします!」
「いくぞ、1、2、3!」
俺はいち、にの、さんのタイミングで下からボールを放った。
「ふん!」
「カン!」
美鈴はバットの先で捉えたため、小さめの乾いた音が鳴った。
「美鈴、これはしっかりとタイミングをとって打てばいいからね、よくボールを見て芯で捉えてみよう」
「はい!分かりました!」
「それじゃいくぞ、1、2、3...」
それから俺は美鈴と共にティーバッティングをしつつ、バッティングフォームの方も指導していった。まったく、四番候補の一人のフランや俊足好打の天狗コンビ、流し打ち中心の妖夢に咲夜と、クセのある打者だらけだから指導には苦労するよ。そしてついに最後の打者、美鈴と小傘だ。
「藍は小傘を見て欲しい、俺は美鈴を見るから」
「了解したサブロー殿」
俺は藍に小傘のバッティング指導をお願いして、付きっきりで美鈴を指導する。
「では行きますよ〜?」
罪袋は準備が出来たと聞いてきたので。
「よろしくお願いします」
俺は準備が出来てると答えた。そしてフリーバッティングが始まった。
「カーーーン!」
「カン!」
乾いた音が二つ響いたが明らかに音が違う。打球を見ると、小傘は左中間へのライナーを打っていたが、美鈴はボテボテのショートゴロだった。
「よし、小傘その調子だ」
「はっはい!」
藍に褒められた小傘は嬉しそうだったが、美鈴は少しばかり残念そうだった。彼女からしたらいいスイングをしていたが、打球はまったくだった。
「美鈴。ヒットを打つことをイメージするのも大事だけど、まずは芯で捉えることを意識してごらん?ティーのように」
「はい!」
しかしその後、美鈴からは快音が聞かれずフリーバッティングを終えた。そしてその後ノックのため、俺と美鈴達はそれぞれのポジションについた。
「まずは内野からいきまーす!」
「おーし!!!」
みんなの掛け声のもとノックがスタートした。
「カーン!」
「パシッ!」
「シュッ!」
「ナイスキャッチ!」
(よしよし、サードの聖と小傘、ショートの咲夜と寅丸も問題ないな)
そう思っていた矢先のことだった。
「次、紅美鈴お願いします!」
「カーン!」
(打球はショートバウンド。これは落ち着いて処理してっと...えっ...)
美鈴は落ち着いてショートバウンドを処理しようとした時だ。
(なっ!バウンドが変わって顔に!)
「痛っ!!!」
「バタっ...」
美鈴は「痛っ!」という言葉を発して、仰向けに倒れてしまった。
「美鈴!!」「美鈴さん!?」「中国門番!」
一瞬にしてグラウンドが凍りついた。
「...永琳先生!急いで美鈴を救護室に!あと担架を!」
俺は慌てず担架を要求した。
「鈴仙、救護室に担架があるから持ってきて頂戴!」
「はい!師匠!」
鈴仙はそう言うと駆け足で救護室に担架をとりにいった。永琳先生は美鈴のとこにきて、今の身体状態を調べた。
「美鈴?私よ大丈夫?」
「はい...なんとか大丈夫みたいです...」
「美鈴!動くなよ、今担架で救護室に運ぶからな」
すると永琳先生が俺にこう伝えた。
「多分だけど、軽い脳震とうだと思うわ」
「軽い脳震とうか...」
「師匠!持ってきました!」
鈴仙が担架を持ってきたので、俺は慌てず、鈴仙と一緒に美鈴を持ち上げて担架に乗せた。
「とりあえず美鈴の処置は任せてくれ、みんなは藍の指示のもと、練習を再開してくれ」
「お、おう...」
「よし、みんなポジションに戻ってくれ、再開するぞ」
藍は俺の指示通りノックを再開した。
「鈴仙いくぞ」
「はい、いきますよ」
「1、2の3!」
「慎重に運ばないと脳にダメージがいくからな」
「それじゃあ救護室に行くわよ」
俺と鈴仙、永琳先生と美鈴は救護室に向かった。
今回は美鈴の苦悩と言う話になります。
美鈴は椛と同じポジションなんですが、前日の練習にて失敗ばかりの美鈴と、淡々とこなす椛との差を感じたのでしょう。
次回その真相が明らかになりますのでお楽しみくださいm(_ _)m
P.S.最近Twitterのリプとかで(U^ω^)←この顔文字を添えることにハマってます