幻想野球異変   作:紗夜絶狼

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すっかり冬も終わり、春の訪れを感じますよね。しかもセンバツ野球の開幕に、プロ野球の開幕が近づく球春でもあります。とまぁこんな感じではありますが、本編始まります。


第14話 緑の稲妻少女

紅美鈴の離脱によりメンバーを一人失ったドリームズ。チーム内には困惑のムードが流れて始めていた。美鈴はチームのムードメーカー的な存在で、誰よりも一生懸命、誰よりも汗を流し、誰よりも努力家。サブローは美鈴の苦悩、そして涙を知っていたため悔しさがこみあげてきた。そんな気持ちの中俺はグラウンドに、紫は室内の方へ向かった。グラウンドでは中断していたノックが終わりかけていた。

 

「ラスト!あうん、ライトバックホームだ」

 

「はい、お願いします!」

 

「カーーーン!!」

 

ノッカーの罪袋がライトのあうんに向けて鋭く早いゴロを打つ。打球はバックホーム送球するのに完璧な打球だ。あうんは上体を低くし素早く打球の正面に入り捕球態勢を作る、鋭い打球はグラブにおさまると同時に、グラブを持ちあげ上体も起こす、そしてキャッチャーである藍のグラブに向けて、矢のような送球をする。低い送球はあっという間に藍のミットに収まる。

 

「よーしノックは終わりだ。各自休息を取ってから次のメニューに移ってくれ」

 

「はーい」

 

藍の一声によりようやくノックが終わり、皆はベンチに引き上げた。そのタイミングで俺は藍に声をかけた。

 

「待たせて悪かったな藍」

 

「あっ、サブロー殿。それで美鈴の具合はどうだったんだ?」

 

俺は美鈴の状態と、今後の試合へは出ずにメンバーから離脱したこと、そして新たなメンバーを追加で招集する事を伝えた。もちろんこれは紫の指示ではなく、美鈴自身の判断ということも。

 

「なるほど・・・美鈴がそんなことを」

 

「今日の夜紫とその人物のところに行くんだが、藍はどうする?」

 

「行きたいのは山々なんだが、私は仕事や家事があるから行けないんだ」

 

(そういえば藍には結界の管理とかがあったんだっけな、なら仕方ない、紫と俺だけで行くしかないか)

 

「そうだったな、すまない。なら紫と一緒に行くわ」

 

「あぁ、そうしてくれるとありがたい。とりあえず今は練習に集中しよう」

 

「よし、やるか」

 

この後俺たちは、実践練習に走塁練習、ランニングなどをこなしていき今日の全体練習を終えた。それぞれ更衣室で着替えてから、紫に投手陣と合流した。

 

「皆さんお疲れ様でした。今日は大切なお知らせがあります、明後日の夜18時より、人里近くにある神戸スタジアムにて、ドリームズ対バファローズの試合を行います。明日は休養日にしますので、各自しっかりと準備をしておくこと」

 

試合前に休養日?美鈴のいない今、チームには一体感が欠けている。そういう時こそ練習が必要だろうなのに何故だ?紫の狙いは何だろうか。

 

「美鈴は大丈夫なのかよ?」

 

やはり勇儀も心配を隠せていないようだった。

 

「美鈴ですが、試合には出れないほどのケガのため、メンバーから外しました。」

 

紫の一言により、「やはり重傷だったのか」「あの頑丈門番が・・・」など、一気に周りがざわつき始めた。

 

「心配だと思うが美鈴は大丈夫だ。とにかく今日は解散だ」

 

サブローの一言により勇儀達はそれぞれ帰っていったが全員やはり顔が険しかった。

 

「では私は仕事のため先に失礼します」

 

「分かったわ、晩御飯までには帰るから、じゃあ行くわよサブローさん、神霊廟」

 

「あぁ、行こうか」

 

俺と紫は新メンバーのいる神霊廟に、藍はマヨヒガへ向かった。というか、神霊廟ってなんだ?いかにもお化けがいそうな場所だな。そんなこんなしていると、あっという間に到着した。

 

「着いたわ、ここが神霊廟よ。私は中にいる人に事情を話してくるから待っててちょうだい」

 

「分かった」

 

(ここが神霊廟か・・・デカいし広いな~)

 

驚くのも無理はない、だってまるで厳島神社ぐらいはあるだろう鳥居に、奥には豪華に装飾が施されてる大きな神殿のような建物、そして両隣には、これまた豪華な長屋があった。一体どんな偉い方が住んでいるんだ。すると後ろから「ちょっとそこのお前」と声がしたため、俺はゆっくりと後ろを振り向いた。振り向くとそこには、目つきが鋭く、黄緑に近いの髪の毛で、緑の服を着た女性がいた。

 

「何の用で来た、ただの人間が気軽に来てもよい場所じゃない。さっさと帰りな」

 

「待ってくれ、俺はとある事情で紫と一緒に来ているんだ」

 

「紫様と?そんな分かりやすい嘘をつくんじゃない!即刻帰らないなら消し炭にしてくれる」

 

すると「バチバチっ」と静電気の音がしたがすぐに状況を理解した。彼女の右手を見ると、なんと無数の緑の稲妻に纏われていた。大きさは俺の顔ぐらいはあるだろう。と次の瞬間。

 

「死ねぇぇぇぇ!!!!」

 

彼女は殺意と稲妻に満ちた右手を、顔めがけて殴りかかってきた。

 

「助けてくれぇぇぇ紫ぃぃぃ!!!」

 

俺は反射的に目をつぶった。そして殺されることを覚悟しながらも、イチかバチかで死ぬ気の大声で紫に助けを求めた。

 

「待ちなさい屠自古」

 

「!?・・・太子様」

 

突如響いた力強い「待ちなさい屠自古」という静止の声。誰か確認したいが、多分俺の目の前には、稲妻を纏った拳があるため怖くて目が開けられない。まだ「バチバチっ」と音がしている。

 

「屠自古、その者はお客さんだ。その拳をどけなさい」

 

「はい、太子様」

 

「バチバチっ」と音が消えた。どうやら俺は助かったみたいだ。そしてゆっくりと目を開けた。そこには拳はなく変わりに、紫がいた。

 

「俺は助かったのか紫?」

 

「えぇ、なんとか間に合ったね」

 

とりあえず生きていることを再確認。と紫の隣にもう一人別の女性がいた。見た目から分かる高貴なオーラ、大きなマントに耳にはヘッドフォン?そして手には「笏」が握られている、もしかして聖徳太子か?

 

「君がサブローさんだね?先ほどは部下である屠自古が失礼したね」

 

「ははっ、私は何とか大丈夫です」

 

「自己紹介が遅れたね、私はこの神霊廟の主である豊聡耳神子だ。君のことは全部紫から聞いているよ、確か屠自古に用があるんだったな」

 

「えっ!?この私に?」

 

屠自古が驚くのも無理はない、なんせさっきまで俺を殺そうとしていたんだからな。とまぁそんなこんな色々あったがとりあえず屠自古にあの話をする。

 

「先程は本当に失礼した。まさか本当に紫様と来ていたなんて・・・」

 

「いやいやもう気にしてないから、とりあえず本題に入るね。率直に言う、異変解決に協力してほしい」

 

「えぇ!!なんでまた急に?」

 

「実は美鈴に頼まれて来たんだ」

 

それから俺は離脱した美鈴の代わりに、屠自古をメンバーに入ってくれと頼んだ。詳しく話をしていると、どうやら美鈴と屠自古は飲み仲間らしく、よく遊んだりと交流を持っていたみたいだ。

 

「美鈴がそんなことを・・・」

 

「屠自古君の力が必要なんだ!美鈴の思いを背負って一緒に戦おう」

 

俺はまるで告白するような口調で屠自古にお願いした。

 

「わ・・・私には神霊廟の家事とかがあるし、急に言われても・・・」

 

屠自古は顔を赤らめ、俺だけに聞こえるぐらいの小声でそういった。

 

「屠自己よ、神霊廟なら大丈夫だ。君は美鈴さんに託されたんだ。なら断るなんて美鈴さんの思いを否定しているのと一緒だ。行きなさい蘇我屠自古、幻想郷を救いなさい」

 

「た、太子様・・・ありがとうございます。サブローさん、私に出来ることがあれば協力させてください」

 

「あぁ歓迎するよ、よろしくな屠自己」

 

こうして一時は殺せれかけたが、神子さんの説得もあり、新メンバーの蘇我屠自古の加入が正式に決まった。紫によれば、明日マヨヒガに屠自古を呼ぶらしい。理由はユニフォーム等の支給に、個人特訓、そして例のスペルカードも渡すとのこと。

 

「では神子さんお邪魔しましたわ、いきなりでごめんなさいね。あと屠自古さん、明日の朝にマヨヒガに来てちょうだいね」

 

「はい、では明日よろしくお願いします」

 

「いえいえ気になさらずに、では屠自古を頼みますよ」

 

「では失礼しますね、じゃあサブローさん」

 

「そうですね、じゃあ今日はありがとうございました」

 

俺と紫はスキマに入り、神霊廟をあとにしようとした。そして無事にマヨヒガについた俺達は夕食を済ませ、お風呂等も済ませて、今日は早めに睡眠を取り、今日という忙しい日を終えた。




どうでしたでしょうか?新メンバーの正体は「蘇我屠自古」でした。勘のいい方ならタイトルを見た時点で察しましたかな。そう「緑の稲妻少女」は緑がイメージカラーの「蘇我屠自古」でした。
さて次回は屠自古の能力が判明します。ポジションは二塁手でヒントは、打てる二塁手です。良ければ次回までに予想してみてくださいね。
次回はまた一か月後になるかもですが、なるべく早く投稿できるように頑張りますので、よろしくお願いします。
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