幻想野球異変   作:紗夜絶狼

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第15話 運命のスターティングメンバ―

翌日。いつものように目が覚め、紫達と朝食を済ませてから特訓の準備をしていると、マヨヒガ上空から一人の女性がマヨヒガに降り立った。蘇我屠自古である。

 

「おはようございますサブローさん、時間的には・・・ピッタリみたいですね」

 

マヨヒガの庭に設置されている器材を見て察したみたいだ。

 

「あぁ、丁度終えたところさ。とりあえず始めようか、あと紫達は用事でいないが、スペルカードは貰ってあるから渡しておくね」

 

「これが昨日言ってた特殊なスペルカードか」

 

スペルカードは光りを放ち屠自古を包み込んだ。数秒してから光は徐々に消え去っていった、どうやら選手が判明したらしいので見てみることに。

 

「ほほぉぅ、これまた意外な選手だ」

 

屠自古に宿ったのは元名古屋ドラゴンズの立川一義

立川一義、攻守に輝きを放った名二塁手。通算二塁打の最多記録を持っているだけではなく、守備でもゴールデングラブ賞を何度も受賞した守備の名手でもある。何やら黒い噂もあるらしいが触れないでおこう。

 

「何やら顔がイカツイおっさんだけど大丈夫なのか?」

 

「大丈夫だよ、とりあえず始めるか」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

その後俺と屠自古は午前中のうちに、走り込みに打ち込みなどの練習をこなした。少々不安が残るが、必要最低限の技術は出来てるみたいだし、大丈夫であろう。そんなことを思っていると、紫達と出かけていたはずの藍が帰ってきた。

 

「サブロー殿、紫様からの伝言を伝えに来た」

 

「紫様から?一体どんな伝言だ」

 

藍によれば紫から「屠自古のことだけど、練習を終えて神霊廟に帰らせてあげて、神子が屠自古に用事があるらしいの」と。つまり屠自古との特訓はこれで終わりと、でもなんか心配になってきた。

 

「ではサブローさん、短い時間でしたがありがとうございました。明日もよろしくです」

 

「頑張ろうな屠自古。あと明日は17時30分に人里にあるデカい球場に来てくれ、みんなも同じ時間にくるから」

 

「分かりました。では失礼します」

 

そう言うと屠自古は空を飛び神霊廟に帰っていった。俺は器材を藍と一緒に片付け紫と橙の帰りを待つことにした。その後紫達が帰ってきていつものように夜を明かした。そして試合当日の朝、俺はいつものように起床し身支度を済ませていた。

 

「あら、試合までは充分に時間があるのよ?」

 

「そうなんだけど、なんだか興奮するんだよ」

 

「やっぱり久々の試合でウキウキしてるのね」

 

「早く来ないか待ちどおしいよ」

 

そんなことをしてるうちにあっという間に時間は過ぎていき、とうとう試合開始30分前の17時30分になった。

 

~少女ベンチ待機中~

 

ファンで埋め尽くされたスタンドに木霊する大量の声援、響き渡る売り子の声、これぞプロ野球の醍醐味のひとつだ。そんな中ドリームズのベンチはというと。

 

「ようやくだなサブロー」

 

「そうだな魔理沙、霊夢たちも気合が入ってるし、屠自古もみんなと馴染めてるし、今日は勝てそうな気がしてきたぞ」

 

勇儀や椛もやる気十分。するとベンチ裏から監督である紫が出てきて、みんなをベンチ前に集めて円陣を組んだ。

 

「今日は大事な初戦よ、絶対に負けられないわよ」

 

「鬼に怖いものはない!」

 

「全力で南無三させにいきます!」

 

「美鈴さんの分までも頑張ります!」

 

最後の締めはキャプテンである俺が渇を入れた。

 

「みんな、絶対に勝つぞ!!!!!」

 

「おぉーーーーーーー!!!!!」

 

それぞれの決意を言葉に出し、渇を入れて、最高の円陣を終えた。そしてその後、スタジアムのDJにより両チームのスターティングラインナップがアナウンスされる。まずは先攻のバファローズだ。

 

「お待たせいたしました。只今より、大阪バファローズVS幻想郷ドリームズの試合を行います。試合に先立ちまして、両チームのスターティングラインナップ」

 

(いよいよだ、向こうはどういうメンバーでくるか)

 

「まずは先攻の大阪バファローズ」

 

アナウンスを聞いて俺は驚いた、何かの間違いではないかと、電光掲示板を凝視した。そこにはこう表示されていた。

 

「1番センター 大木直之 背番号7」

「2番指名打者 益田陸 背番号0」

「3番ライト 磯川文一 背番号8」

「4番レフト ルー・ローズ 背番号20」

「5番ファースト 吉田夕二 背番号3」

「6番ショート 星井修 背番号62」

「7番サード 中村秀紀 背番号5」

「8番キャッチャー 的井哲也 背番号2」

「9番セカンド 水谷栄二 背番号10」

「先発ピッチャー 前渡勝巳 背番号22」

 

なんなんだこのオーダーは・・・主砲の中村が7番もそうだが、優勝メンバーじゃないのか?一体なぜなんだ・・・。

 

「続きまして後攻の幻想郷ドリームズ」

 

(紫はどんなオーダーを組んだのか)

 

「1番センター 射命丸文 背番号51」

「2番キャッチャー 八意永琳 背番号85」

「3番ライト サブロー 背番号1」

「4番ファースト 魂魄妖夢 背番号55」

「5番ショート 十六夜咲夜 背番号6」

「6番セカンド 犬走椛 背番号64」

「7番指名打者 霧雨魔理沙 背番号18」

「8番サード 多々良小傘 背番号8」

「9番レフト フランドール・スカーレット 背番号60」

「先発ピッチャー 依神紫苑 背番号34」

 

1番の射命丸と3番の俺は分かるが、何故調子の良かった勇儀と聖を外しているのか、それに咲夜と椛が中軸、フランが9番に2番に永琳先生、打線の繋がり全く無視じゃないか・・・もうこれは紫マジックでもするつもりなのか?だとしても納得いかない。俺は紫をベンチ裏に連れていき問い詰めた。

 

「紫!このオーダーはどういうことだ、ポイントゲッターの勇儀と聖を下げるなんて」

 

「あら、これは一つの戦術なの、サインは私が出すから貴方はいつものようにプレーすればいいの、分かったわね」

 

「作戦なら仕方ない」

 

紫には勝てる見込みがあってこのオーダーにしたらしい。そんなことをしていたらもう少しでプレイボールだ、みんなは急いで各ポジションに着くと。

 

「1回の表、大阪バファローズの攻撃は、1番センター 大木直之 背番号7」

 

DJにより、相手チームの先頭打者がアナウンスされた。そしてついに始まる幻想郷の未来を懸けた運命の第一戦が、永琳先生の後ろに立つ主審が大きな声で試合開始を告げる。

 

「プレイボール!」




次回からようやく戦いが始まります。どんな感じに区切っていこうかはまだ決めてないので、考えておきます。
(例 1イニングごとに区切って欲しいなど、提案があればお気軽にお申しつけください)

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