幻想野球異変   作:紗夜絶狼

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1回10失点で早々にノックアウトされた寄神紫苑。ドリームズもなんとか1点を返したが、まだ流れは掴みきれていない。そこで紫は、本来先発であるレミリアを2回のマウンドに送る。


第17話 華麗なる夜の吸血鬼姉妹

レミリアはすぐさま投球練習を始めるのかと思いきや「投球練習なんていらないわ、早くしなさい人間」まるで挑発ともとれる言動。それにイラついた的井は、無言でレミリアを睨みつけながら打席に入る。(舐めきっている人間よ、まずはこの球を見るがいいわ)レミリアは滑らかなモーションから力強く腕を振り抜く。放たれたボールはあからさまに150キロを軽く超えていた。

 

(ど真ん中ストレート!ホームランいただきだ)

 

的井は初球からフルスイングした。とても鈍い音を残し。的井はすぐさま打った打球の行方を探した。だがスタンドめがけて打ったはずの球は、永琳のミットに収まっていた。レミリアの豪速球は、的井のバットをへし折ったのだ。

 

「ストラーイク!!」

 

主審の甲高いコールが、慌ただしい雰囲気の球場に響き渡る。身長が小学生並みの少女がいきなり木製バットをへし折ったのだから。そしてバックスクリーンに、レミリアの球速が表示された。ライトの定位置にいる俺は、開いた口が開かなかった。

 

「157キロだと...練習ですら150が限界だったはずなのに」

 

その後レミリアは自慢の豪速球と多彩な変化球を操り、この回を三者連続三振に抑え流れを切った。そしてドリームズの2回の攻撃。先頭は、練習で安定した打撃を見せていた椛。

 

「椛〜、焦らずですよ」

 

先輩である文からの声援を受け打席に入る。椛は持ち前の粘り強さと選球眼で粘り続け、プロ相手に既に20球は粘っている。

 

(やはりその道のプロ、中々の球です。だけど私の超人的な視力を駆使すれば、ストライクとボールの境界。そして球種に軌道、球筋もくっきり分かります)

 

しかし、あまりの長い粘りに耐えられなくなったバッテリーは勝負を諦め、椛を歩かせた。これで無死一塁、続く魔理沙は気合いが空回りしたのか、空振り三振に倒れるが、8番の小傘が左中間を抜ける二塁打を放ち一死二、三塁、打席にはレミリアの妹であるフランドールが投手を威圧していた。9番とはいえパワーは4番打者、ここは期待したいところだ。

 

「お姉様ばっかりいいとこ見せすぎ!私も活躍しちゃうんだから」

 

だがバッテリーはかなり長打を警戒してるようで、ボール球中心に組み立てる。フランは高めの釣り球に空振りするなどして、カウントはフルカウント。バッテリーはフランから1番遠いアウトコースギリギリに、140キロ後半のストレートを決め球にした。ストレートはノビに伸びていく、が次の瞬間。

 

「カーーーーン!」「ガシャーーーン!」

 

2つの音が立て続けに聞こえた。バットに当たった音は分かったが、最後の音はなんだろうか?何か機械が壊されたような音だった。だがその音の答えはすぐに分かった。

 

「あ、あれを見るんだぜ!」

 

ベンチの隅にいた魔理沙は、バックスクリーンを指さして声を荒らげた。俺達は魔理沙が指すバックスクリーンに目をやると...。

 

「なっ...バックスクリーンの電光掲示板の一部が破壊されている!」

 

なんとフランの凄まじい打球は、電光掲示板の一部分を破壊したのだ。球場の観客のみならず、打たれた前渡は開いた口が塞がらないぐらい唖然としていた。結果的にはスリーランだが、恐ろしすぎる一打だ。そしてダイアモンドを一周したフランはベンチに帰るなり「やったー!お姉様より目立ったよ!」姉のレミリアに向かって嬉しさを爆発させる。それを聞いたレミリアは「なら次の回、私は9球で終わらせてあげるわ」と、フランと張り合うみたいに高々と宣言した。

 

「レミリア、死亡フラグにしか聞こえないぞ」

 

「ありゃ次の回炎上するわね」

 

「ダメだこりゃ」

 

俺を含めベンチにいる霊夢達も同じことを考えていた。だがベンチのボルテージが上がったことに間違いはなく、1番の文からの三連打で一死満塁、打席には前の打席で不運な併殺を演出してしまった妖夢。4番としての重圧と、得点圏特有の緊張感が妖夢を襲う。(うっ...また併殺になっちゃったらどうしよう...)ベンチからも見てわかる腰の引けてる構え。そして結果は案の定セカンドへの併殺打。腰の引けたスイングでカーブをひっかけてしまいった。

 

「何してんだよ!」

 

「それでも冥界の剣士なのか!?」

 

「引っ込めよ魂魄妖夢」

 

内野席からのまるで脅しのような罵声にヤジ。ベンチに帰ってきた妖夢の顔は赤くなっていて、大量の涙を流していた。そりゃそうだ、あれだけの罵声は妖夢のような純粋な子にとってはもはや殺害予告みたいなものだ。「妖夢、大丈夫か?」俺は声をかけたが、妖夢は気持ちを切り替えることが出来ずに、この場を去るように早々とベンチ裏に消えていった。心配になった鈴仙が「私、妖夢の後を追いかけます」しかし紫は「行ってはいけない、あの子は自らの弱さに負けたの」と鈴仙に言った。納得のいかない一同をよそに、紫は主審の元へ歩いて行った。数十秒後、アナウンスが聞こえた。

 

「幻想郷ドリームズ、守備の変更をお知らせいたします。ファーストの魂魄妖夢に代わりまして、蘇我屠自古」

 

「えっ!?」ベンチ隅にいた屠自古は、いきなりの交代に焦りを隠しきれなかった。そこに丁度紫が戻ってきた。「屠自古、早く行きなさい。あと貴方達は心配しなくて大丈夫だから」と、一声かけた。

 

「よし、みんな、妖夢の分も頑張っていくぞ!」

 

この一言を聞き、ナインは守備位置に就く。代わったばかりの屠自古は念入りに捕球練習をする。そして3回の表、レミリアは先程とは違い変化球を中心に投げ込む。先頭の磯川をスピア・ザ・グングニルで空振り三振に、4番のローズに対しては、約100キロの緩いスローカーブを詰まらせライトフライと幸先好調であった。

 

一方の大阪ベンチ

 

「あのピッチャー中々やりますね、ストレートも変化球も一級品だぜ」

 

ベンチに戻ってきていた磯川はこう漏らす。指揮官である梨味監督も「これは攻略までに時間がかかりそうだな...」ベンチは勝っているにも関わらずピリピリしていた。するとベンチの出入口からとある女の声が聞こえた「私が彼女の攻略方を教えしましょうか?」すぐさま声のする方に視線を向けると、赤髪の女性が立っていた。「誰だお前は、ここは立ち入り禁止だぞ」近くにいた大木が怒り気味に注意した。しかし女は続けて「私で良ければ力を貸しましょう、必ず貴方方を勝たせてみせましょう」この一言を聞いた梨味監督は「君は選手かなにかかな?」落ち着いて問いただした。

 

「はい、私は...です。ポジションは外野で、左投左打です」

 

「なるほど...よし君を信じてみよう」梨味監督は彼女を受け入れた。「よし、それであのレミリアっていう投手の弱点はなんなんだ?」チームリーダーの中村はすぐさま弱点を聞き出す。

 

「まずレミリアの弱点なんですが...」

 

 

 

ここまで僅か5球と調子が上がってきたレミリアだったが、突如乱れ始めた。吉田に死球を与え歩かせると、続く星野には四球。中村にはレフト前ヒットを打たれ、二死満塁と一転大ピンチに陥っていた。流れを察した永琳はすかさず守備のタイムを取り、マウンド上のレミリアに駆け寄る。

 

「レミリア、もしかしたら貴方の癖が見破られてるかもしれないわ」

 

「私の癖ですって!?」

 

永琳はこの数日で見抜いていた。レミリアはストレートとツーシームを投げる際はグラブ側の脇を締めているのだが、スピア・ザ・グングニルや変化球を含め、無意識に脇が開いているという癖を。

 

「なるほど、私としたことが無意識に敵にヒントを与えていたとはね」

 

「だからこそ私に考えがあるの...」

 

数分の話し合いが終わりポジションに戻る永琳。バッターは先程三振している的井だが、バッテリーには抑える自信があった。そしてサイン交換を始めようとしたその時。

 

「タイム!的井、こっちにこい」

 

タイムをかけたのは梨味監督だった。梨味監督は何やら的井に指示をしているようだ、そして指示を受けた的井は打席に戻る。永琳は考えた(もしかしたら作戦が見破られた?だとしたら)

 

「レミリア!サインは、ルナティックヴァンパイアよ!」

 

打者の的井を含め、ドリームズナインも困惑した。だがレミリアは永琳の言葉を察したのか、不敵な笑みで頷く。そしてレミリアはセットポジションからから第1球を投げ込む。

 

(脇が開いていない、ストレートだ!)

 

前の打席同様初球から振りにいく。「ストラーイク!」投げられたボールはストレートではなくスプリットだった。(おかしい、まさかこちらの作戦が見破られた?ならば次は...)的井は作戦を読んでいると読み、逆手をとるような形で狙い球を絞る。そして2球目(脇は閉じてる、だが変化球だ)だが実際にはストレート。(何故だ、何故なんだ...)

 

(よし迷い始めてるわね、作戦成功。決め球はこれにするわよレミリア)

 

レミリアはサインに頷き、3球目を投げ込む。(脇が開いている、だがどっちなんだ...ストレートか?変化球か?)迷いながらも的井は中途半端にバットを振り抜く。

 

「ストラーーイク!!バッターアウト!!!」

 

最後は156キロのストレートだった。球場は歓喜とため息が同時に入り交じった。なんとか満塁のピンチを抑えた永琳はすぐさまベンチに戻り一休みする。

 

「永琳、少し聞いていい?」

 

話しかけてきたのは霊夢だった。「あんた、あの時言った言葉はなんなの?」やはり気になっていたようだ。

 

「あれは意味がないわ」

 

後ろからレミリアも割って入ってきた。そしてレミリアは続けた。「あれは相手に私の弱点を見抜かれたから、永琳のアドリブで惑わしただけ」それに加える形で永琳も話した。「そして私のサインで、脇が開いてストレートとツーシーム、脇を閉じて変化球と投げ分けを命じていたわけ」かなり難しいが霊夢は理解した。だが不審な点があった。

 

(でもなんで、あんな短い時間で分かったのかしら?なんか引っかかるわね...)

 

霊夢は深く考えていると「霊夢、アレを見てみるんだぜ!」魔理沙は大阪ベンチに何かを発見したみたいで、ベンチの梨味監督の隣を指さす。視線を移したその時、霊夢は言葉を漏らした。

 

「な、なんでアイツがあんな所に...まさか、アイツが?」




いや〜、中々投稿が出来ずに申し訳ないです。中々進まなくて遅くなりました。

今回ですが、レミリアの弱点を見破った謎の赤髪の女性...なにやら霊夢と魔理沙は誰かは知っているみたいですが一体誰なんでしょうか?

次回までに当てられますかな?




(新キャラの能力)

???

カード(不明)

左投左打 ポジション 外野手

能力

弾道4 ミートE パワーS 走力E 肩力C 守備E 耐エラーE

能力はこちらになります、カードが分かってもキャラを当てるのが難しいかな?
ではまた次回までおたのしみに
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