「衣玖達は急いで永遠亭に向かったわ。貴方達がしてやれることは一つしかない」
その言葉を胸にまたも反撃の狼煙を上げる。この回から大阪の投手は5番手の岡林に代わっている。この回先頭の魔理沙に三塁打が飛び出すと、小傘の代打で出た聖が四球。あうんの2点タイムリーツーベースが飛び出し7点目。続く文と藍が凡打に倒れ二死になるもここで3番のサブローに打席が回ってくる。同時に梨味監督も出てくる。ここで6番手の登場のようだ。
「大阪バファローズ選手の交代をお知らせします。岡林に代わりまして、北白河ちゆり背番号69」
ちゆりはトルネードで投げ始めた。150㎞後半の直球に落差の大きいフォーク、どうやらちゆりのスペルカードはまさしくメジャーで活躍した野茂地だ、しかも全盛期。そんな能力を前にしても喰らいついていく、くさい所にはバットに当て、ボールは見逃す。しかし最後は落差の大きいフォークにバットは空を切り三振に倒れる。そして迎えた9回、ルールでは15回まで延長もあるが、とにかく表の追撃を抑えなければ話にならない。9回のマウンドには、不死なる肉体を持つフェニックスガール「藤原妹紅」が登板する。そして代打の聖はそのまま小傘の居たサードに就く。大阪の先頭は怪力のルー・ローズ、今日2安打のマルチだ、だが妹紅は変化球を使わずにストレートだけで勝負を挑む。ローズもそれに答えるようにフルスイングしてくる。当たれば即ホームラン、そんな恐怖もある中ひたすらストライクゾーンに投げる。そして8球目、ローズは妹紅のストレートに当てるも、ボールの下だったため高いフライがセンターに上がっていく、文はゆっくりと下がりながらフェンス手前で捕球する。5番の吉田は見逃し三振に倒れ早くも2アウトとなる。6番の星井は痛烈なピッチャーライナーを打つ、だが妹紅は軽やかにライナーを捌いて見せ見事三者凡退で切り抜ける。そして迎えた9回裏の攻撃、場合によっては最後かもしれないイニングを前に、再びドリームズは円陣を組み志気を高める。
「皆、もう一度見せるぞ、幻想郷の底力を!!!」
この言葉が更なる起爆剤となり、少女たちは意地を見せる。4番の屠自古が1ボールからレフト前にヒットを打つと、5番の代打寅丸は1ストライクから一塁線を抜く二塁打でチャンスメイクすると、ライトスタンドのドリームズファンは沸きに沸きまくる。6番の椛は1ストライク3ボールからワンバウンドしたフォークを見逃し四球となり無死満塁となる。次は魔理沙だがここで紫が動く。
「幻想郷ドリームズ、選手の交代をお知らせします。バッターの霧雨魔理沙に代わりまして、代打、東風谷早苗。背番号36」
(ここで代打の切り札を使ってきたか、だがこの展開どこかで見覚えが?)サブローは見覚えのある雰囲気に「?」を浮かべたが、考えるのを後にした。「ようやく私の出番ですね。ここで決めて見せますよ」練習では頼りなかったが、今だけは物凄く信頼できる。マウンド上のちゆりは乱調状態、対する早苗はチャンスになると強くなるがそこに満塁、サヨナラの状況、早苗にとっては最高の舞台が整っていた。一発出れば逆転サヨナラ、早苗は笑顔を絶やしてはいないが、誰よりも緊張していた。
(そうだ、ここで私がホームラン打てばサヨナラなんですね…)
内心まるで漫画のような逆転劇を描いていた。だが立ち直りを見せたちゆりの前に徐々に追い込まれていく。2球連続空振りを奪われるものの、3球目の低めの際どいフォークを見逃しバッティングカウント、早苗は一度打席を外し呼吸を整える。同時にちゆりもプレートを外し肩を数回回す。お互いの集中力は極限を越え境地の域まで達していた。
(次のスイングで決めて魅せる)
(この決め球でねじ伏せる)
両者もう一度定位置に就く。そして大歓声の中二人はモーションを始動させる。ちゆりはダイナミックなトルネードから凄まじいボールを投じる、ボールは刃物のように鋭いキレを見せ落ちていく、まるで高所からストレートを投げ下ろされるの如く。対し早苗は下からのアッパースイングでフォークを迎え打つ。
「カーーーーーン!!!」
早苗はフォークを捉えた、打球は60度ぐらいの高角度でレフトに向かって上がっていく。ランナーの三人はタッチアップに備え塁上に就いている。レフトのローズは打球を見ながらゆっくりと下がっていく、ちゆりは「ローズ!捕ってくれーーーーー!!!」と叫ぶ。早苗は心の中で(入ってください)と祈る。打球はフラフラとレフトスタンド柵際に落ちてくる、ローズはホームランにさせてたまるかと、おもいっきりジャンプしホームランキャッチを試みる。落ちてきた打球は無残にもローズのグラブに収まった。これを見たちゆりは「ナイスキャッチだローズ!」と声を上げる、一方の早苗は大きく頭を落とした、、、がしかし、次の瞬間、時が止まったように静寂に包まれた球場が狂ったような大歓声に包まれる。(しまった、やっぱり私には決められなかった)一人で落胆してると
「早苗、早くダイアモンドを一周するんだぜ!」
魔理沙の喜びに包まれた声を聞きゆっくりと頭を上げる。マウンドのちゆりは泣き崩れ、ドリームズベンチにいた霊夢達はホームベースを囲っていた。どうやらローズが捕球した際、ボールの入ったグラブが外れ、スタンドに落ちたとのこと。つまり代打逆転サヨナラ満塁ホームランだ。嬉しさのあまり早苗は嬉し涙を流した、そしてゆっくりとダイアモンドを周り始める。一塁、二塁、三塁と涙で前が見づらいのか、若干フラつくも皆が待っているホーム前にたどり着く、そして両足でホームを踏んだ途端、手荒い祝福が早苗に襲い掛かる。一瞬にして揉みくちゃになる少女達と逆に、ちゆりは崩れたまま立てなかった。
「打たれちゃった。教授の前でいいとこ魅せれなかった」
一人泣き続けていると背後から「ちゆり、貴方はよく頑張った、だから帰ったら思いっきり楽しいことしましょう。貴方は私にとってただ一人の助手ですもの」ちゆりは夢美に抱き着いた「教授、私は一生ついていきます!」二人は仲良くベンチに引き上げていった。
「早苗、今日はお祝いだぞ!もちろん守矢神社でな」
早くも宴会をしようと盛り上がる勇儀達、だがそんな中で、一人だけが歓喜の輪に居なかった。
これにて幻想郷ドリームズVS大阪バファローズの試合が終わり、見事ドリームズが勝利しました。
去年の10月頃から暇の時に描き続けようやくここまで来ました。ちなみにブルーウェーブ戦の構想はまだ練れてないので、どうなるかはお楽しみにです。
何か感想や文字の訂正などがありましたら、教えて頂けると幸いです。
おまけ
北白河ちゆり
能力 (元メジャーリーガーの野○○雄)
158km コントロール D スタミナS
変化球
フォーク カーブ スライダー