機械の皇帝   作:赤髪道化

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 ようやくやりたかったことの1つが出来ました。
 なんとか今年中に1つだけでも出来て満足。


〝お別れ〟

 今年も1年がもうすぐ終わる。そんな時期に、オレはマリンフォードに来ていた。去年から決まっていた、ベルメールさん達一家と別れの挨拶をするために。

 

「分かっていたけど、もう行くのか……寂しくなるな」

「私が仕事の間、よくあの子達の様子を見に来てくれてありがとうね」

「オレも楽しかったから、礼を言われることじゃない」

「それでもよ。あと前に似たようなこと言ったけど、あんまり無茶やって周りに心配かけないようにね?」

「無茶はしていないし、鍛えているから問題ない」

「本当かなぁ……言っとくけど、あんたの基準はまったく信用ならないからね?」

 

 そう言い、ジト目でオレを見てくるベルメールさん。

 失礼な。現にオレは五体満足で何事もなく生きているじゃないか。

 オレは思考速度を速くし、怪我をしてから今月の初めにベルメールさんに謝った時までのことを思い返す。

 【オレの世界(ザ・ワールド)】発動。

 

 

〇〇〇〇〇

 

 

 左肘の怪我が完治するまでの間、もうすぐ会えなくなるということもあり、毎日ベルメールさん達の部屋に出入りしていた。

 そしてノジコに手袋をしている理由も言った。まあ本当かすごく疑われたが……覇気のことも知らないし、この反応は仕方がないか。

 それにしても戦闘が出来なくなるだけで、ここまでやることがなくなるのか……片腕じゃ本も読みづらいし、料理もさせてもらえない。人と話す以外やることがなかった。

 予想通り1週間ほどで怪我が治って良かったな。

 

 完治してからは今まで通りの日常に加え、父さんに教わって覇王色の制御の練習をしたりして過ごしていると、ノジコ達がベルメールさんに無事誕生日プレゼントを渡したと聞き、ノジコを危険な目に逢わせたことを謝罪するため、オレは正座してベルメールさんが仕事を終え、帰って来るのを待つ。

 そして帰って来たベルメールさんにまずは土下座し、オレの罪状を話す。いきなり土下座したオレに戸惑いながらも話を聞いてくれた。

 話してる途中でナミちゃんが土下座したオレの背に座ってお馬さんごっこをねだってきたが、今は真面目な話をしているのでどいてもらい、少し離れた場所でノジコの膝の上で抱えられ座ってる。

 

「……というわけで、すまなかったっ!

「はぁ、それでギブスつけてたのか。何が階段から転げ落ちたよ……嘘までついて、何で今まで言わなかったの?」

「言えばプレゼントのこともバレてしまう。渡した時に喜んでもらいたかった」

「はぁ……とりあえず頭上げて。ちゃんと怪我も治って良かったわ。あんたが怪我したら周りも悲しむんだから」

「……なんで怒らないんだ? 取り返しがつかないことにだってなってたかもしれないのに」

「あんたはもう充分に責任感じて反省してるでしょ? それに取り返しがつかないことにはなってないし……プレゼント、ありがとうね」

 

 上げた頭を撫でられながら礼を言われた。その手首には、ノジコが選んだブレスレットがつけられている。2人が大きくなったら

 ……ベルメールさんに許された以上、これ以上オレが気にするのも関係にヒビを入れそうだな。

 

「どういたしまして。まあ選んだのはノジコだが。ベルメールさんを喜ばせるために色々一緒に探したよ」

「そっか。改めてありがとうね、ノジコ……ナミもね」

「うんっ!」

「あたしたちが大きくなったら、3人でお揃いで付けたいな~と思って!」

 

 ノジコと、私は? という顔をしたナミちゃんに礼を言うベルメールさん。

 もう足を崩すか。正座をやめ、立ち上がる。

 

「そうだ。責任感じてるなら、いっそのこと将来ノジコに婿入りする? 正式にナミのお兄ちゃんにもなれるわよ?」

 

「なっ!?」

 

「ふははっ、そんな理由で婿入りするのはいくらなんでも失礼すぎるだろう。まあ冗談だろうけど」

「そうかもしれないけど冷静に断りすぎでしょこのバカッ!!」

 

 ドスンッ!!

 

ガァッ!?

 

 突然、オレの目の前に移動してきたノジコに腹パンされた。

 オレの体が力なく横たわる。ついでに長時間正座していたので足が痺れてきた。

 

「うっ……な、何をっ……?」

「知らないっ!〝()()()()〟もっ、変なこと言わないでよっ!」

「は、ははは……ごめんね? ノジコ(冗談のつもりだったんだけど、余計なこと言っちゃったかな……?)」

 

 怒ったノジコが、オレの痺れた足をつんつん突いて遊んでたナミちゃんを抱きかかえ、別の部屋に行く。

 ナミちゃんの兄になるのが目当てで婿入りする、って言った方が良かったとでもいうのか……?

 とりあえず効果があるかはわからないが、横向きに寝転がり回復体位を取る。

 

「もう1つのプレゼントも、ちゃんと上手くいったみたいで良かった」

「(その体勢で言うことか……?)あんたが言ったんだって? 〝お母さん〟って呼んでプレゼント渡したら? って」

「ああ。だってベルメールさん、2人と血が繋がってないのを気にしていただろう? ナミちゃんの兄だと胸を張って言うオレと違って」

 

 ノジコに婿入りしなくても、これを譲るつもりはない。

 

「あんたはもっと色々と気にした方が良いと思うけど……まぁ、そうだね。悪ガキだった私が自分で生んだわけでもないのに、この子達にちゃんと親として認められるのか?って思ってたよ」

「血の繋がりも大事かもしれないけど、夫婦だって血は繋がってないじゃないか。ベルメールさん達みたいに互いを思い合ってればちゃんと親子だろう。センゴクさん達やゼファーさん達だってそうだ。だからオレもナミちゃんの兄だ!」

「……途中まで良いこと言ってたのに、結論それ?」

 

 実際に見たわけではないが、〝白ひげ〟は船員や傘下の海賊達に〝オヤジ〟って呼ばれて慕われてるらしいし、そんなに気にすることはないだろう。海賊を見習うっていうのは少しあれだが……まあこのくらいなら。

 

「親が不安そうにしてると、子供だって不安になるみたいだぞ?」

「子供が知ったようなこと言うねぇ……(まあ確かに、兄だって自信満々に言ってるこいつに、ナミもよく懐いてるね……お母さんって呼ばれるようになったし、もっと母親として自信持たないとね)」

「子育ての本にそう書いていた」

「そんなの読んでたのっ!?」

「参考にするために。オレはもう読んだし、いるか?」

「…………いや、いい」

 

 結構悩んでたな。ふむ……

 

「まだ少し不安はあるけど、ノジコ達の親として自信がついてきた、って所か?」

「冷静に分析しないでよ……まあ、そんな感じ。私のことより、あんただって怪我して家族に心配かけたんじゃない?」

「そうだろうな……注意もされた」

「でしょ?これに懲りたら、まだ子供の内はもう少し大人しく」

「ちゃんと止めを刺して心を折らなきゃダメだって。今回の一番の失敗だ……」

 

 今までゴロツキ相手に手加減しすぎだった。

 サカズキさん程やるつもりはないが、二度とオレに向かってくる気が起きないように、せっかく化物に見えるみたいだから、もっと化物らしく叩き潰して心を折らないとな……。

 

「いやそこっ!? 他にもあるでしょ? まだ子供なのに海賊の相手なんかするな~とか」

「オレの家は基本的に、子供の自主性に任せる方針だからな。自分の生き方は自分で決めろって」

「ま、任せすぎじゃない? いや、確かに自主性は育ってるみたいだけど……あんたの場合、1人で突っ走るだけじゃなくて、もっと周りを頼りなよ?」

「それと似たようなことも言われたな……じゃあ早速頼りたいんだが」

「おっ、珍しいね。何だい? 言ってみな」

「なんでノジコに殴られたのか分からない……まさかとは思うが、ナミちゃんの兄になるために婿入りするって言った方が良かったのか?」

「そんなこと言ったら、もっとぶっ飛ばされてただろうね。最低じゃないか」

「やはりそうだよな……」

 

 そっちの方が良かったなら、お手上げだ。正直理解出来る気がしない。

 

「どうやったらノジコと仲直り出来るか教えて欲しい」

「あ~、今はノジコも頭に血が上っただけだから、時間を置けば大丈夫だと思うよ? 下手に謝っても、あんたの場合逆効果になりそうだし」

「別れの日までに仲直り出来ればいいんだけどな……しばらく会えないのにケンカ別れは……笑って別れたい」

「ははっ、大丈夫だよ。嫌いになって殴ったわけじゃないから。女のプライドの問題だから」

 

 ああ、そういう類の理由か……。

 確かにオレには無理そうだ。原因がわかった所で、何と返せば良かったのかわからないだろう。

 男と女は別の生き物だからな。

 例えば女にロボの魅力は理解されにくいらしい。ロケットパンチもビンズには喜んでもらえたが、アインは無反応(ノーリアクション)だった。

 

「放っておくしかないのか……」

 

 早めに機嫌を直してくれればいいんだが……。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 あの日はあの後、口も聞いてもらえなかったな……。

体が回復して、お馬さんごっこの馬になっている間も、少し離れた所から無言で睨まれていた。

 数日で許しを得られて良かった……。

 

「あたしとナミの準備終わったよ~」

「わたしもてつだったんだよ、おかあさん!」

「よしよし、偉いわね、2人とも」

 

 ベルメールさんに頭を撫でられながら褒められて、ナミちゃんは嬉しそうに、ノジコはオレの視線に気づいてからは少し照れくさそうにしている。気にする必要はないんだが。

 

「じゃあそろそろ行こうか。船に乗りに」

「たしか休暇で東の海(イーストブルー)に行くガープさんに、ついでに乗せてもらうんだって?」

「ああ、あの人東の海(イーストブルー)出身らしくてね。いきなり送ってやる、って言われた時はびっくりしたよ……」

 

 あの人気さくだけど、実力も実績もある偉い人だからな。

 そんな人がいきなり来たらそりゃあ驚くだろう。ベルメールさんは将校だが、東の海(イーストブルー)出身くらいしか接点はなかったはずだ。あの人らしいが。

 訓練で拳骨食らって気絶したオレを、拉致って東の海(イーストブルー)に連れて行こうとしたこともあったが、基本的にいい人だ。

 たぶんオレの親のこと知ってもそんなに気にしないと思うが、初めて会った時にオレに秘密を漏らしてしまったみたいに、周りに広められそうだ……うっかりで殺されかねん。

 

 

 適当に会話しながら歩いて港に向かう。

 ガープさんの、骨を咥えた犬が船首の船が見えてきた。

 船の近くにガープさんがいて、こっちに気付いたようだ。

 

「おお、来たかっ!」

「ありがとうございます、ガープ中将。送っていただいて」

「ぶわっはっはっはっ! かまわん、向かう方向は同じじゃ。わしも年末年始位かわいい孫に会いたいからなァ! コングさんから休みをもぎ取ってやったわいっ!」

 

 なんか一度孫に会って来てから急にじじい言葉になったなガープさん。

 孫達が成長して海兵になってくれたら、わしも安心して引退出来るなっ! とか言っていた。気が早いな……上手くそうなっても10年以上先だろう。

 

「おおロゼ、お前も来たか! なんだかんだ言いながら、一緒にわしの孫を見たくなったのか? かわいいぞ~?」

「いや、気にはなるけど、今日はベルメールさん達の見送りに来たんだ。オレが将来東の海(イーストブルー)に行った時にでも紹介してくれないか?」

 

 前にもでれっでれの顔で誘われたことがある。孫を自慢したくて仕方がないんだろうな。意志の強そうな良い目をしていたっ将来大物になるぞ! とべた褒めしていた。

 断りはしたものの、社交辞令ではなく本当に気になる。ガープさんの孫って、どんな人間に育つんだろうか?

 何をするにしても人の度肝を抜きそうだな……いや、祖父に似るとは限らないか。

 よく知らないし会ったこともないが、厳格な両親だったら、規則を厳守する真面目人間になるかもしれん。

 そもそもガープさんは、こんな自由奔放な性格でなぜ海軍に入ったんだろう? 軍の規律とか気にしない性格と海軍は相性悪いだろうに。まあ慕われてるし案外向いてるのかもしれないが。同期や同僚はともかく、部下にも上司にも友達感覚で接している中将はそういないだろう。

 

「おお、楽しみにしておけっ! それじゃあ3人とも、わしの船に乗れ。凪の海(カームベルト)を通って行くからすぐに着く。海王類が出たらわしがぶっ飛ばしてやるから、安心して船旅を楽しんでゆっくりしているがいい」

 

 凄く頼もしい同行人だな。ガープさんの前に運の悪い海王類が出ないことを祈っておこう。

 

「それじゃあここでお別れだね。元気でやりなよ?」

「ああ、そっちも元気でな」

「約束忘れないでよね?」

「必ず行こう。楽しみにしてる」

「またね~、にぃに~!」

「またな。2人と仲良くやれよ?」

 

 お互い笑って別れを告げ、ガープさんの船が出港する。

 船に向かって手を振り、やがて見えなくなった。

 しばらく会えないが、再会が楽しみだ。

 今日はもうシャボンディに戻るか。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 シャボンディまで飛んで行き、今日はもう帰るかと思っていると、

 

 

「私は今、金を持っていないから見逃してくれササッ!」

 

「ヒャッハー! 初めて見る、半ミンクか?珍種とは幸先がいい、捕まえろォ!」

 

 

 オレの友達との別れの余韻をぶち壊しにするように、あからさまに人を売り捌こうとするゴロツキの声が聞こえてきた。

 しばらくは、静かだったんだがな……。

 母さんが言うには、シャボンディの人攫いがこの島から逃げ出したりしてずいぶん減ったことが、他の島のギャング等のゴロツキ連中の耳に入り、ビジネスチャンスとばかりにシャボンディに来ているらしい。

 ここには政府や海軍に黙認された人間屋(ヒューマンショップ)があるため仕事がやりやすいんだろうか?海軍本部だって近いし、黙認されているのは人間屋(ヒューマンショップ)であって人攫いではないから、目の前で堂々と攫えば現行犯で捕まるし、他の罪が発覚すれば捕まるんだが……。

 はぁ……世の中ままならない。せっかく前より少しは魚人や人魚が出入りしやすい島になったと思っていたんだがな。

 大海賊時代の海賊と同様に、ブッ倒してもまた現れる。なんとか出来んのか。

 

 とりあえずゴーグルをかける。

 以前ノジコと買い物に来て襲われてからは、戦闘しなくてもシャボンディで人前に出る時はゴーグルをかけるようにしている。もう手遅れかもしれないが。まあ、これから来る奴らや今下で騒いでる連中に素顔を覚えられることはなくなるだろう。

 

 追いかけられている人の方を見ると……あれは何だ? マスクか? 顔がパンダだ。

 目が動いているし、喋ると口が開いてるから素顔か? 額にPANDAと書いてある。腕は黒く、竹のマークが入っていて、肘に笹の葉がついている。上半身裸で胸にも赤いハートマーク。

 すごく目立つ格好をした男だな。

 人とミンク族の中間のような見た目。だから半ミンクって呼ばれていたのか。

それとも動物(ゾオン)系の能力者か?そうならクマクマの実モデル”大熊猫(ジャイアントパンダ)”って所か?

 珍種とは、魚巨人(ウォータン)や手足長人間みたいなハーフとかの人間屋(ヒューマンショップ)で時価で取引されている者達の総称だ。最低で数千万ベリー、高い時は数億ベリーで取引されるらしい。

 ちなみにオレみたいな悪魔の実の能力者も時価。

 だからあの追われているパンダ男がどちらだろうと、人攫いにとっては優先的に捕まえて売りとばしたい対象になる。

 

 いや、今はそんなことはどうでもいい、置いておこう。パンダ男の正体もすごく気にはなるが後回しだ。

 謎のパンダ男と人攫いの間に飛び降りる。

 賞金首は……いないな。たぶん海賊じゃなくて人攫いだし、潰すだけでいいか。

 

 

「あん? 空からガキが……こいつが例の…ホントにガキじゃねェか! ここにいた連中はこんなのにやられたのか? はっ、情けねェなァ!」

 

「なッ、子供ッ!? おい君ッ! 危ないから早く離れるササッ!」

 

「いや、追われていたのはあんただろう? そっちこそ早く逃げればいい。後始末はオレがやる」

 

「はっ、どっちも逃がさねェよッ! 仲良く一緒に捕まえてやらァ!」

 

 

 言ってオレ達に襲い掛かってくる。30人くらいいるだろうか? 結構多いしこっちも手数を増やすか。覇王色はまだ上手く使えないし。

 

「【機械変化(メタルフォーゼ)】」

 

 能力で体を機械に変え両腕を、拳、前腕、上腕に分離し宙に飛ばす。

 その内の、拳以外の4つの部位(パーツ)をドリルに変形させる。

 

「能力者か! でも腕がなくなってるじゃねェか。降参でも」

 

「【機甲の斬撃(シルバー・スラッシュ)】」

 

 ザンッ!

 

ギャア!

 

 

 何か言っていた奴に近寄り、足の膝から先をチェーンソーに変化させ、飛び上がりながら胴体を下から斬り上げる。人の斬り加減はまだ覚えたてだが……まあすぐに慣れるだろう。悲鳴を上げる余裕があるなら死にはしまい。

 

 確かにこれはオレから腕がなくなり多少本体がお留守になるが、覇気が使えない奴がオレに傷をつけるのは相当な身体能力や技術が必要だ。こいつらじゃ問題にならない。

 海軍本部の訓練では、下手に体を切り離すと部位(パーツ)が捕まってえらいことになったが…。非常に好戦的な笑みを浮かべたガープさんは捕まえたオレの部位(パーツ)をぶん投げて攻撃して来た。我が部位(パーツ)ながら石より丈夫な分すごい威力だったな……五体満足で済んで良かった。まだまだ改良する必要がある技だ。

 

「【(ゲン)(コツ)隕石(メテオ)】」

 

 ドゴン!

 

「【ドリル・シュート】」

 

 ギュイィーン!

 

「えっ!? そんな攻撃しちゃって大丈夫なのササッ!? 海軍に捕まらないか!?」

 

 遠くの奴らに両手のロケットパンチで殴り飛ばしたり、4つの回転させたドリルを飛ばして足を攻撃したりしていると、パンダ男が近くに来て聞いて来た。

 

「いや大丈夫に決まっているだろう? 相手は無法者だ。それとも大人しくこいつらに捕まって、奴隷として売られるつもりなのか?」

「いやいやっ!? 確かに借金はしたが、そこまでされるほど借りてはいないササッ!」

「はあ? 借金って何のことだ?」

「こいつら、私の借金取りが雇った刺客だろう?」

「いや、ただの人攫いだが」

 

 借金しているのかこの人……。

 

「さっきこいつら、珍しいから捕まえる、とか言っていただろう?」

「たしかにそんなこと言ってたような……よく追われるからいつもの借金取りの刺客かと思ったササ」

「借金取りだと別に危なくないんじゃないか?」

「私がいつまで経っても借金を返せないことに我慢の限界が来たのか、最近はピストルで撃ってくるようになったササ……」

「いや、そうなる前に早く返せよ」

 

「テメェらのんきに会話なんてしやがって! ふざけてんじゃねェぞ!?」

 

「何を偉そうに。もう貴様しか残っていないのに、どこを警戒する必要がある?」

 

「はあ? 何を……お前らっ!?」

 

 パンダ男と話してる間も、オレは見聞色で敵を捕捉してロケットパンチやドリルで攻撃し続けていた。

 それに気付きもしないで人のことをのんきとか、どの口が言うか。オレの攻撃を受けた奴らの悲鳴が聞こえなかったのか。

 

 ガシャン!

 

 もう必要ないので部位(パーツ)を元に戻し合体する。

 

 

「数の優位はすでに逆転している。後は貴様を潰して」

「私にやらせてくれササ。何をしたわけでも借金取りでもないのに追い回されるのは、腹が立つササ!」

「オレは構わないが、あんた大丈夫なのか?」

「私はレスラー。倒していいなら問題ないササ」

 

「さっきまで逃げ回ってた奴が調子に乗るなよッ!」

 

 向かって来た人攫いを

 

「パン、ダァッ!」

 

ゲボァ!

 

 パンダ男が思い切り上空に蹴り上げ

 

「トウッ!」

 

 跳躍して後を追い

 

「これで決めるササッ! 【G(ジャイアント)P(パンダ)D(デスロック)】!」

 

 空中で人攫いの背中から、首と足に手を回し、両肩に担いでぐるぐる回転しながら下りてくる。

 

 ボキィッ!!

 

ガハッ!!

 

 ああ、あの音は着地の衝撃で人攫いの背骨が折れただろう。

 オレは折れてこそいなかったが、2か月前のことを思い出すな……。

 

 

「ふぅ……少しは気が晴れたササ」

 

 そう言って、背骨が折れた人攫いを投げ捨てた。

 まともに動くことも出来ず、痛みで呻いている。まあ自業自得だ。

 

「その強さじゃ、オレが助けに入る必要、あまりなかったな」

「いや、おかげで逃げる必要がないとわかったし、助かったササ。ありがとう。私はパンダマン。君は?」

 

 パンダ顔で、顔にPANDAと書いてあって、名前もパンダマンか。覚えやすいな。

 

「ロゼだ、よろしく。パンダマンはオレのこと驚かないのか? 腕をドリルに変えたりしていたんだが」

 

 オレが体を変化させた時点で、普通は人攫いに追われてた奴は悲鳴を上げて逃げる。それが普通だ。

 ……まあ目の前のパンダマンも普通には見えないが。

 

「悪魔の実の能力者だろう? 何人か見たことがあるササ。そういうロゼだって私のことを驚いていないようササ」

「いや、オレは驚いてはいるぞ……? その言い方、パンダマンは能力者じゃないのか?」

「ああ、私はちゃんと泳げるササ(そういえばパンサメが、変わった果物を海底の冷蔵庫に入れてたササ。あれは悪魔の実なのか?)」

 

 クマクマの実モデル”大熊猫(ジャイアントパンダ)”の能力者ではなかったか……。

 

「正直パンダマンがなんなのか、すごく気になるんだが……ミンク族とのハーフなのか?」

「その答えは私も知りたいササ……そのために海に出たササ!」

 

 自分でもわからないのか……孤児か?

 

「ところでたまに言われるが、ミンク族というのは何ササ?」

「知らないのか……ミンク族のことを教えるから、オレの家に来ないか? いつまでもここにいると、また追い掛け回されるかもしれん」

「……いいのか?」

「いいから言っているんだが……急ぎの用でもあるのか?」

「いや、人の家に誘われるのは、久しぶりだと思ってササ……」

 

 少し悲しそうな表情をするパンダマン。

 ああ、色々と苦労しそうな見た目をしているからな。

 普段は機械化しなければ見た目が変わらないオレでもよく襲われる。まあ、オレの場合は自分の行動の結果も多いから、自業自得なんだが。襲われたくないなら他の住民みたいに、首突っ込まなきゃ多少マシにはなるだろうからな。これからも止める気はないが。

 ……借金取りに追われているのは、パンダマンも自業自得か。

 

「問題なさそうだな。じゃあ行こうか。ついて来てくれ」

 

 パンダマンを連れて自宅に向かった。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「な、なあロゼ? 本当にここがお前の家なのか?(こんな堂々とぼったくりって書いて客が来るのか……?)」

「? ああ……あー、ぼったくられる心配をしているなら、家の方に入るか?」

「いや、その心配はしていないササ……すごい家だな(そもそもぼったくられるほど金持ってたら借金返しているササ)」

「よく言われる」

 

 店の扉を開け中に入る。

 

「いらっしゃ……あらロゼ、おかえり。そっちの人は友達?」

「ああ。ただいま、母さん。こっちは今日知り合ったパンダマン」

「初めましてササ」

「それでミンク族についてだが、パンダマンみたいに動物のような顔をして全身が毛で覆われた種族がいるんだ」

 

 イスに座って説明する。

 オレも実際にミンク族を見たことがあるわけじゃない。海軍には巨人族ならいるんだが。

 

「そんな種族がいるのか……私もそうなのだろうか? 最初からこの姿ササ」

「違うんじゃないかしら。全身じゃなくて一部しか毛で覆われてないし。ハーフか先祖返りじゃない? はい、これ。サービスだからお代はいらないわよ」

「どうもありがとうササ」

 

 母さんが持って来てくれたドリンクを飲みながら話を続ける。

 

「一度会ってみたいササ。どこに行けば会えるか知らないか?」

「モコモ公国という偉大なる航路(グランドライン)の後半、新世界にある国に住んでいるらしいが、巨大なゾウの背中の上で移動しているから正確な場所はわからないな」

「そうか……だが海を彷徨うのは慣れてる、大体の場所がわかればなんとかなるササ。これから行ってみるササ!」

「船をコーティングするなら、コーティング職人紹介しようか?」

「コーティング? それは何だ?」

「船をシャボンで覆って海中を進めるようにすることだが……えっ? 聖地マリージョアの通行許可を取って新世界へ行くつもりなのか?」

 

 通行許可出るのか? というか借金あるのに大丈夫なのか?

 

「いや違うササ」

「……じゃあどうやって行くつもりなんだ?」

赤い土の大陸(レッドライン)を素手で登って、無許可で聖地マリージョアをこっそり通って行くササ」

「……大丈夫なのか? というか船は?」

「はっはっはっ! 昨日も登ってこっそり観光して降りてきたササ。普段は泳いでるから船はないササ。たまに通りかかった船に(勝手に)乗せてもらうこともあるが」

「マジか……」

 

 昨日聖地マリージョアに行っていたのか……自由すぎるだろ……。

 よく泳いで偉大なる航路(グランドライン)を生き残れるな。というか通りかかった船って、それは海賊船なんじゃ……。

 父さんもたまに泳いで他の島に行っているらしいが……。

 能力者のオレには無理だな。飛んでなら行けそうだが。

 

「……私の話を信じるのか?」

「そんなウソを言ってどうするんだ? オレの知らない所で死ぬだけじゃないか」

「ははは、それもそうだな。新世界に行く前に、もう少しここで話をしてもいいか?」

「ああ、パンダマンの話は驚かされてばかりだから興味がある」

 

 

 それからしばらく、パンダマンの話を聞いた。

 竹藪の中でパンダに育てられた話。

 人にかぐや姫を見たと言ったが信じてもらえず虐められ、強くなろうと決心した話。

 昨日聖地マリージョアにこっそり観光に行き、パンゲア城の、周りにたくさんの剣が刺さった大きな玉座で記念撮影した話。

 

 パンダに育てられた話はありえそう。

 記念撮影は、確かに玉座に座り両手でピースしてるパンダマンの写真を見せてもらったが、オレは聖地マリージョアに行ったことなんてないからわからん。

 かぐや姫って何百年前の話だ?

 

 気になったのでオレの見聞色のことを話し、許可を取って素手で触れて過去を見ようとしたが……何も見えなかった。パンダマンの見聞色で防がれたのか?いや、自分のことがわかるかもしれないのに、そんなことをするとは……。

 謎は深まったし、どこまで本当かはわからないが、話としては面白かったからいいか。不思議な人がいるものだ。もしかしたらミンク族や半ミンクとも違う、未知の種族なのかもしれない。

 

 その後も少し話し、パンダマンと別れた。

 ちゃんとモコモ公国に行けるだろうか? ……自力でなんとかしそうだな。

 

 そういえばベルメールさん一家はもう東の海(イーストブルー)に着いただろうか?まだ凪の海(カームベルト)辺りか?

 あのガープさんがいるし心配はいらない。あの人も凪の海(カームベルト)を泳いで渡れそうだな。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 偉大なる航路(グランドライン)と東の海《イーストブルー》の間の凪の海(カームベルト)

 

「【(ゲン)(コツ)衝撃(インパクト)】ォッ!!!」

 

 ドゴォォォン!!!

 

「あのおじさん、すごいね……海王類を殴り飛ばしちゃったよ……」

「すごーい! あんなおっきいおさかな、はじめてみた!」

「なんたって海軍の英雄だからね。大きいお魚も拳で一撃だったね……」

 

 ガープが海王類を殴り飛ばすのを見ながら話すベルメール一家。

 

「ねぇお母さん。たまにでいいから、あたしを鍛えてくれない?」

「えっ? ……私には海王類を殴り飛ばせたりなんて出来ないんだけど」

「そうじゃなくて! あたし、強くなりたい!」

「……いいわよ。今の時代、女の子だって強くなきゃねっ」

 

 自分の海兵になった頃を思い出し、ベルメールは笑いながら娘のお願いに答えた。

 

「そういえば2人とも、ちゃんと泣かずにお別れ出来て偉いわね」

「な、泣いたりなんてしないわよっ! それにまた会うって約束したから」

「うんっ! にぃにとはまたあえるもん! あさってくらいにとんできそう!」

「「え?」」

 

 ベルメールとノジコが揃ってナミの顔を見る。

 その顔は、またすぐにロゼと会えると信じて疑っていない、一片の曇りもない笑顔だった。

 

「ね、ねえノジコ? 私、ナミには遠い所に行くから、ロゼと会えなくなるって話したよね?」

「う、うん。あたしも言ったし、ロゼも言ってたよ……?」

「だよね……ねぇナミ? 前に言ったけど、ココヤシ村っていう遠い所に行くから、ロゼとは会えなくなるんだけど……?」

「にぃにだったらどんなにとおくても、とんであいにきてくれるよっ!」

「(やばい、ロゼのこと信頼しすぎてる……あいつが飛べるのが余計にすぐ会えるって誤解させちゃってる。あいつ、ココヤシ村の場所知らないのに……お別れした後にこんな爆弾が発覚するとは、どうしよ……?)」

「(どうすんのよこれ……? ロゼ、あんたお兄ちゃんなんでしょ? なんとかしなさいよぉ……!)」

 

 2人の心配を他所に、満面の笑みを浮かべたままのナミ。

 

 

 ベルメール一家がココヤシ村に着いた1か月後、ようやくロゼと会えなくなったと気付いたナミが一日中泣き叫び、次の日からロゼの記憶を完全に無くすことになった。以降ナミの前でロゼの話は禁止となり、再会した時、ロゼに自力でなんとかしてもらうことがベルメールとノジコの話し合いの末決定された。

 

 

 10年以上後、再会した時にナミが自分の記憶を失ったことを知ったロゼが血反吐を吐くことになるが、別れることになるとわかっていながら溺愛しすぎたロゼの自業自得である。

 記憶が戻ったナミに腹パンされるのも含めて。




 ノジコやナミのベルメールさんへの〝お母さん〟呼び
 今回やりたかったこと。
 お母さん呼びじゃなくてもベルメールさんは2人の母親ですが、やりたかったのでオリ主と接点作った。
 こういうのはビビのゾロへの〝Mr.ブシドー〟呼びみたいに、時間が経つにつれて呼び方を変えるのが照れくさくなると思うので、早い段階できっかけが欲しい。
 それにあれだけ血縁気にせず兄兄うるさい奴が近くにいたら気にしなくなるはず。

 パンダマン
 ワンピース名物の隠しキャラ。38巻のカバー下で海底に潜って泳いでるので能力者じゃないはず。
 ~ササ口調はゲームのグラバトから。技の【G(ジャイアント)P(パンダ)D(デスロック)】もグラバト。
 映画のエピソードオブチョッパーでパンダマンの手配書があったらしい。
 何やらかしたの? ……色々やってそうだな。ここでは賞金首じゃない。
 年齢不明だが400年前のジャヤでノーランド達といたので、もし同一人物なら最低でも400年は生きてる。うん、ないな、原作者の遊び心だし。
 記念撮影は90巻のカバー下のことです。

 半ミンク
 原作でいなかったと思うけど、半魚人や半人魚がいるからいそう。パンダマンがそうかはわからないが。
 ジャヤ編のマシラとショウジョウも猿のミンク族の血を引いてそうな見た目をしてる。

 珍種、能力者は時価
 シャボンディ編の人類売買オークション基本最低金額リスト(対象人類は犯罪者及び世界政府非加盟国民とする)の右側にその他珍種-時価、一番下に能力者-時価と書いてある。とりあえず数千万から数億ベリーってことにした。
 珍種はハーフとかってことに。リストに載ってなかったので三つ目族も珍種かな。

 【機甲の斬撃(シルバー・スラッシュ)
 足の膝から下をチェーンソー等の刃物に変化させ、蹴りのように放ち相手を下から斬り上げる、レイリーから教わった設定の斬撃技。
 サウストのレイリーの2つの技、【冥王の斬撃】の〝冥王〟を〝機甲〟に変え、【シルバー・スラッシュ】をルビに振った。【機甲】と書いて【シルバー】と呼ぶのは少し厳しいか……。

 【ドリル・シュート】
 変形して作ったドリルを飛ばして攻撃する遠距離技。遊戯王のモンスターの技が元ネタ。

 パンサメ 悪魔の実
 扉絵の短期集中表紙連載「はっちゃんの海底散歩 はっちゃんお礼に肉を貰う」で冷蔵庫に入ってる。
 グラバトでパンダマンがパンサメを呼んで攻撃する必殺技があるのでたぶん友達。

 【(ゲン)(コツ)衝撃(インパクト)
 サウストにあるガープの技。説明に、渾身の一撃が大地を揺るがす。周囲広範囲に打撃属性の特大ダメージって書いてたので、本来は地面を殴って地震か地割れでも起こす技だと思われる。それを海王類に直接叩き込んだ。

 海軍の軍艦で海王類と出くわす
 いくら船底に海楼石積んで海中からは気付かれなくても、たまたま海上に顔を出してたら、見つかって襲われるかもしれないので、1匹だけ出してガープに殴り飛ばされた。
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