関われそうな原作の出来事がなかったので前回から少し時間が飛びます。
ロゼは大海賊時代が始まった年に生まれているのでWikiの年表で確認しやすくて便利。
ベルメールさん達一家と別れた年から3年経った。今年でオレも8歳だ。
オレは外を歩けば海賊や人攫いに襲われ返り討ちにしたり、賞金首や海賊の船と宝を換金する、今まで通りの日常を過ごしていたが、3人は元気でやっているだろうか?
話でしか聞いたことがないが、コンパスで方角を確かめて海図を見て航海するそうだ。
まあ見聞色で人の気配を探りながら航海して、人がいる方に向かえば島があるだろう、そこで買えばいい。海を泳いで旅する人だっているんだ、平気だろう。
……父さんに頼んであの3人の誰かのビブルカードを作ってもらえば良かったか? ……いやあの2人はともかくベルメールさんは海兵だったし会わせるのは……爪をくれって言って素直にくれるとも限らないし、勝手に切って持って帰るのもな……。
そういえばこの3年で倒した海賊の宝の中に、図鑑に載っていない悪魔の実が1つあった。たぶんこの島のオークションで売ろうとしていたんだろう。
前々から、オレの過去を見る見聞色を悪魔の実に使えば何かわかるのか?と気になっていたので試してみると、過去に食べた能力者の情報がわかり、間接的に何の能力の悪魔の実なのかがわかった。
チワワの能力を得る
オレはもう能力者だし、正直どうしようかと思ったが、センゴクさんを通して海軍に売ることにした。
チワワとはいえ仮にも
他に買ってくれそうな人脈もないし、海賊とかの手に渡って欲しくはない。ファンシーな姿で油断を誘い、騙し討ちしていた奴が過去にいた。くっ……何という卑劣な!
空を飛べるトリトリの実や幻獣種みたいな特殊な能力が身につく
見聞色のことを隠すために、何の能力の悪魔の実かは伝えなかったので、最低相場と言われる1億ベリーで買ってもらった。
いつものようにシャボンディでの戦闘と換金を終えて飛んで帰ろうとすると、造船所エリアの海辺の方から、死にかけのような弱々しい気配を捉えたので、様子を見に行ってみると、迷彩柄のバンダナをした巨漢が、血を流した長髪を1つ結びにした人魚を担いでいた。最初は人攫いかと思ったが、2人の首には黒い首輪がついている。奴隷だな。天竜人か金持ち、
とりあえず助けるにしても、人に見られるのはマズイ。周りを
「おい、アラディン、しっかりしろ! 今すぐ医者に連れて行くから! (くそっあいつら……何が遊びだ! こんなことの何が楽しいんだ……!)」
「もういい……タイガーさん……」
「何言ってやがる! この位の怪我すぐに治る! 輸血して失った血を戻せば」
「ここがどこだか、わかってるだろう……? たとえ病院に着いても、奴隷の人魚に、輸血なんてするわけねェ……たとえ輸血されても、すぐにまた、あの生き地獄に連れ戻される……おれを置いて、あんただけでも、魚人島に帰ってくれ……」
……今、聞き覚えのある名前を口にしていたな。
空から地面に降りて後ろからバンダナの巨漢に話しかける。
「なあ、あんた達……」
「なんだっ!? 時間がないんだ! 下らない話なら後にしてくれ!」
こちらも見ずに怒鳴られた。
どうやら人魚の方の出血量がひどいようで、さっきまでは喋っていたが、今は気絶しているようだ。海に潜っても魚人島に着く前に死にかねないって所か……。
「冒険家のタイガーさんと医者のアラディンさんか? ウィリーさん達からは冒険に出ていて数年帰っていないと聞いていたが」
「ウィリー達の知り合いなのか!?」
バンダナの巨漢が初めてこちらを向いた。
上や後ろから見ていた時はわからなかったが肌が赤く、たらこ唇。
そしてボロボロになった服の穴から、胸に天駆ける竜の
「ああ、オレはロゼだ。ウィリーさんやはっちゃん、メイプルから話を聞いていないか?」
「その名前にその恰好……メイプルを助けてくれたっていう子供か! 頼む、連れが死にかけてるんだ! 手を貸してくれ!」
「そのつもりで声をかけた。オレの家に輸血に必要な道具が揃っている。飛んで行くから、アラディンさんを担いだままオレに掴まってくれ」
オレのS型RH-の輸血パックがある。彼の血液型はわからないが、オレの血液型は基本誰にでも輸血出来るから問題ないはず。
「オレはたいしたことないからいい! それよりこいつだけ急いで」
「あんたの傷は浅くても、その首輪はどうする気だ? 外す当てがあるから、掴まってくれ。時間が惜しい。出血もそうだが、人に見られたら面倒なことになる」
首輪付き、しかも天竜人の紋章が人に見つかれば、連絡されかねない。
6年程前に父さんがギャンブルに負けて素寒貧になって
よくその時に〝冥王〟とバレなかったものだ。爆破した
あの時、オレはギャンブルには手を出さないと決めた。オレでは身を滅ぼしかねない。今まで通り、海賊から頂こう。
「(相手は人間……だがウィリー達の友人……それに、まだ子供……)わかった、頼む……!」
時間がないのに迷っていたな。人間に奴隷にされていたんだから、簡単に
タイガーさんにアラディンさんを担いでもらったまま、オレの首に手を回して掴まってもらった。機械化すれば絞まらない。
空を飛んで急いで家に向かった。
☆☆☆☆☆
「母さん、怪我人がいるから輸血お願い!」
「その紋章……またずいぶんと厄介事に出くわしたのね……用意するから家の方のベッドに寝かせておいて」
母さんに頼んで輸血の準備をしてもらう。次は
「父さん、この首輪外してあげて欲しいんだけど」
この数年で、前々から流れてはいた〝冥王〟死亡説が完全に民衆に事実だと信じられるようになったため、今までより父さんが家に戻るようになっていた。本でも死んだこととして扱われている。手配書は発行されたままだが。もう引退しているし、破棄してくれないかな……無理だろうな……。
海賊生活が長かったせいか、ずっと家にいるということはないが。
「ああ。キミ、外に出てくれ。その首輪を外して海に投げ捨てる」
「ほ、本当にそんなことが出来るのか?」
「大丈夫だ、前にも外したことがある」
父さんが半信半疑のタイガーさんと外に出るのを背に、オレはアラディンさんをオレのベッドに運ぶ。何かに噛まれたような跡がいくつかある……銃で撃たれたり、剣で斬られた傷じゃないのか? とりあえず輸血の前に、ガーゼと包帯で応急措置だけでも済ませておこう。
ボンッ!
アラディンさんの応急措置をしていると、外から爆発音が聞こえた。気配が弱くなっていないし、無事に首輪を外せたようだ。
「まさか本当に外してしまうとは……(どうやったんだ?)」
困惑した様子のタイガーさんと父さんが家に入ってくる。
「あんたも怪我しているが、輸血しておくか?」
「……いや、おれには必要ねェ。包帯だけ貸してくれ」
「そうか。じゃあ巻くから座ってくれ。届かない」
「自分で巻くから包帯を」
「いいから早く座ってくれ」
タイガーさんに包帯を巻いて止血を始めた。最初は自分でやると言って座らなかったが、無視して飛んで巻き始めるとおとなしく座った。
それにしても、何がたいした傷じゃないだ。重症じゃないか。アラディンさんと同じく噛まれたみたいな傷跡があった。肉食獣の
準備をした母さんが戻って来て、アラディンさんに輸血を始める。後はもうたいしてオレに出来ることもないし、体の中に収納していた金を金庫に入れて来るか。
しばらくすると、アラディンさんの顔色が戻って来た。
「もう少し寝てたら目を覚ますんじゃないかしら? 傷が塞がるまでここにいなさい」
「いや、だがおれたちが長居するとあんたたちも」
「はっはっはっ、そういうのは慣れている。それに
「? なんのことだ?」
「……オレ、
「……その話はあいつらからも聞いてねェな」
「あんた達がいなかった、ここ1、2年くらいの話だからな……」
オレがいつも通りに、海賊や人攫いをぶっ潰し続ける生活をしていると、商品になりうる海賊を先に捕らえられ、商品を供給する人攫いも再起不能にされ、商売の邪魔だと
一度人攫いからリストを奪って確認したが、体を機械に変える能力者というのも書かれていた。ゴーグルをかけるようにしていなければ、素顔の写真を撮られていたな…。
オレの個人情報をバラ撒きやがって……。
オレが能力者であることもバレているので、オレを奴隷として売って、元を取るつもりなんだろう。今まで以上に家に帰る所を見られないよう気を付けるようになった。この家が見つかったりすれば、口封じに喉と手と目を潰して人に伝えられない体にするしかなくなる。周りの気配を探って、しかも空を移動して帰っているからバレないだろうが。
まあバレていないが、他にも
「……なぜそんなことをしている?」
「嫌いだから。それに人攫いや
「……ありがとう、恩に着る。出来ればこの焼印のことはあいつら、ウィリー達にも秘密にして欲しい」
今は包帯で隠れているが、胸のマークがあるのだろう場所を指差しながらそう言った。
「元から言うつもりもない」
あの3人にはオレに関する隠し事はしていない。雑談で今のオレには能力でどんなことが出来るかと聞かれたら、家で実演して見せたりしているが、オレが知っている他の人の秘密まで隠さず言う気はない。それではただの口の軽い奴だ。
ガープさんが海賊の子を海軍に隠して育てていることも教えていない。聞くところによると、去年から友達と海賊になるための海賊貯金なるものを始めたらしい……うんまあその、友達が出来て良かったな。
「構わないわよ。わざわざ言うことじゃないし(私もロゼに海賊時代のことほとんど話してないし)」
「ああ、誰にでも触れられたくない過去があるものだ(私が死んだと情報を流すなら、ついでに手配書も破棄してくれてもいいだろうに……)」
父さん達もウィリーさん達に秘密にすることを特に気にした様子もなく頷く。オレ達にも人に言わないようにしてること、あるからな。
あれ? オレが1番抱えてる秘密が多いような……2人は元海賊関連だけだが、オレは過去を見る見聞色に両親のこと、能力のこともいくつか逃走用の奥の手を隠している。オレはこの家で唯一前科なしのはずなのに、何故だ?
「今はとりあえず2人とも包帯で隠してるとして、今後のために代わりの服を買って」
「ストップ。あんたはこの島で最近目立ってるから、私が買って来るわ。ここでじっとしてなさい」
「……わかった」
オレがタイガーさん達のボロボロの服の代わりを買いに行こうとすると、母さんにそう止められた。
誠に遺憾ながら事実だ。
あの手配写真が住民にも知られているのか、はたまた別の理由か、最近では街を出歩くと周りの人に避けられ、道が開くようになった。天竜人と同レベルの厄介事の種とみなされているのか……。
この扱いには激しく抗議したい所だが、悲鳴を上げられることすらあるので話も出来ない。お手上げだ。海軍基地の海兵からの同情や憐みの視線が痛いがほっとこう、実害はない。むしろ船や宝の換金で足元を見られなくなり、収入は上がっている……あまりうれしくはないが。
「ううっ」
「アラディン、気が付いたかっ!」
「タイガーさんか? ここは一体…」
「ハチ達が話してたバーだ。ほら、メイプルを助けてくれたっていう子供がいる」
「ああ、あの……」
「まだ血が足りていないだろうし、休んでいなさい。傷が癒えたわけでもないのだから」
「おれもいるし、ここなら大丈夫だ」
「じゃあ、そうさせてもらう……ありがとう……」
そう言って、アラディンさんは再び目を閉じた。
☆☆☆☆☆
「ロゼー、いるでゲソかー?」
2人の服を買った母さんが帰って来て、タイガーさんが着替えて、一緒にアラディンさんの回復を見守っていると、メイプルが来た。
父さんは造船エリアに行き、母さんは店の方にいる。
「あれ? タイガーさんじゃなイカ! 久しぶりでゲソ~」
「おお、久しぶりだな」
飛びつこうとしたメイプルを、タイガーさんが頭を押さえるようにして撫でている。
メイプルには抱き着き癖があるけど、8本腕の力と吸盤で1度抱き着かれたら離れにくいから、抱き着かれる前に避けられることが多いって、はっちゃんが言ってたな。
あまり褒められた癖じゃないが、あれは獲物を捕らえようとするイカの本能か何かだろうか? 人によっては締め付けで気絶しているらしいので、最近は注意しているみたいだが、久しぶりの再会でテンションが上がったのだろう。
そもそも今のタイガーさんは怪我をしているから、抱き着かれたら相当痛いだろうな……。
「久しぶりの再会でうれしいのはわかるが、アラディンさんが寝ているから静かに頼む」
「アラディンさんもいるでゲソか……怪我してるじゃなイカ。どうしたんでゲソ?」
輸血をしているのが見えたようだ。メイプルが聞いてくる。
返答はタイガーさんに任せよう。詳しい事情を知らないオレが適当に言うと、後で矛盾が生じるかもしれない。
「……ああ、ちょっと油断して鮫に噛まれてな」
……あの傷跡は鮫の歯形か。
世界一泳ぐのが速い種族と呼ばれる人魚や力が強い魚人が、鮫に簡単に噛まれるわけがない。聖地マリージョアから逃げて魚人島に帰る途中で鮫に襲われたのではなく、奴隷にされていた時、2人は鮫と同じ水槽にでも入れられていたんだろう。1匹程度じゃ返り討ちに出来るだろうから、おそらく複数の鮫と一緒に。子供がカブトとクワガタを同じ虫かごに入れてどっちが強いか戦わせるような感覚で。
「うう、痛そうでゲソ……早く治ると良いでゲソな……」
「ああ……そういえばお前、少しは毒入れずにお菓子作れるようになったのか? たしかこのロゼに手伝って貰ってたんだろ?」
タイガーさんが空気を変えるためか、少し明るくメイプルに聞いた。
「ふふん、今までの私はもういないでゲソ。毒はいらないって断られる物は作ってないでゲソ」
「ほんとか? 何か数年程前にも似たようなこと言って、結局ダメだったことがあった気がするんだが……」
「平気でゲソ! たまに驚いてスミ吐くことはあっても、料理中に出ることはなくなったでゲソ。これから作るからタイガーさんもイカが?」
「(普段ならともかく、今の体調で毒にあたったら、おれは無事で済むんだろうか……?)」
なんか迷っているな。オレより長く毒を食らっていたが故に信じがたいのだろう。
「オレは食べるし、オレの反応見てから決めればいいんじゃないか?」
「いや、大丈夫なのか? アラディンがいなかったから、薬もないだろ?」
「平気だ。薬がなくなる前に毒で痺れた状態で1日ほど耐えてみたら、麻痺状態に慣れて動けるようになったから」
平気にこそなっていないが、動けるならそこまで不便はない。体から自然に抜けるのを待てばいいだろう。オレの場合、いざとなれば能力で機械化して戦闘も可能だ。
「毒が入る前提で話を進めるのはやめてくれなイカ?」
「ああ、すまない。信用していないわけじゃない。ここ1年は本当に痺れてないからな。楽しみにしている。タイガーさんに頑張った成果見せてやれ」
「ふふっ、そうでゲソな。すぐ作るからちょっと待っててくれでゲソ~」
不満げな顔から機嫌を直し、メイプルはキッチンに向かった。
30分後、焼き上がったスコーンをいくつかのジャムと紅茶を一緒にトレーに置いて持って戻って来た。
「さあ、召し上がれ」
「いただきます」
1つ手に取って食べる。外側はサックリ、中はふんわり柔らかく口の中で簡単に崩れる。
「うん、美味い!」
「…………ちゃんと無害のようだな」
「だから言ってるじゃなイカ」
「ああ、わりい。いただこう」
オレがジャムを付けていくつか食べるのをじっくり見て、食べて大丈夫と判断したようだ。タイガーさんも口に入れる。
「ああ、
「これが今の私の実力でゲソ」
「これならパティシエになるのも、時間の問題なんじゃねェか?」
「……ふふっ、一度付いた悪評はそう簡単に消えるものじゃないんでゲソ……」
「あー、なるほど……(アラディンもいなかったし、食べてくれたのはハチ達くらいだろうな……あとこいつと)」
褒められたにも関わらず、遠い目をして、冷めた暗い陰のある笑みを浮かべるメイプル。初めて見る表情だな、そんな顔出来たのか。いつも明るいのに。
さっきみたいに警戒されているのだろうな。納得したタイガーさんも少し気まずそうだ。
一度付いた評価や前科はそう簡単に覆らないのだろう。父さんの手配書が取り消されないみたいに。
「たしかに過去は消せないだろうが、いい評判で上書き出来ないのか?」
「食べてくれる人もいるでゲソが、避けられてもいるでゲソ」
「消えないものをいいもので上書きか……」
「ん? タイガーさん、何かいい案でもあるのか?」
「ああいや、ちょっと考え事をしていただけだ」
「そうか?」
何か真剣な顔をしているがどうかしたのか?
まあいい。
「まあダメだったら、オレと一緒に旅に出て、旅先で過去のことを知らない人相手に屋台でもやってみるか? はっちゃんがたまにタコ焼きの屋台をやっているみたいに」
「それも楽しそうでゲソな。その時はよろしくでゲソ」
「ああ、だからこれからもパティシエを目指して突き進め。応援している」
「これからも試食して欲しいでゲソ」
「ぜひいただく」
「……話には聞いていたが、仲良いなお前ら」
メイプルとお互いの拳を合わせていると、タイガーさんがそう呟いた。
「それがどうかした?」
「いや、メイプルのお菓子も気にせず食べているなと思って。顔を見れば逃げる奴も多いのに(というか逃げる奴の方が多い)」
「もう毒の心配はない。そして悲しいことに、人から避けられているのはお互い様だ……」
その分海兵に仲良くしてもらっているが、海兵達よ、頼むからオレに優しくしすぎるのはやめてくれ。オレはあんた達に隠し事をしているから胸が痛い……。
「……そうか。こいつはちょっと抜けた所もあるが、これからもウィリー達共々よろしくな(いつかこいつらみたいに、種族関係なく仲良く出来る世界になればいいな……おれにはもう……)」
「ん? ああ……なんか父親みたいだな」
「そこはアニキって言えよ」
「んー? ん、ん~」
「おい、どういう意味だ?」
「ノーコメントだ」
「言ってるようなもんだろそれはっ!」
いやだって、タイガーさんの年齢は知らないが、今年で25歳のウィリーさんより年上で13歳のメイプルの兄は、少しばかり年が……。
その後は少しタイガーさんに睨まれながらも、スコーンを食べて紅茶を飲みながら談笑して過ごした。
タイガーさんとアラディンさんがここに泊まると聞いて、少しメイプルも泊まりたそうにしていたが、それではふとした拍子に2人の紋章のことが露見しかねないので、布団の数が足りないということで帰ってもらった。
布団の数が足りないのは本当だが、残念そうなメイプルを見ると罪悪感が……。
どうもこういう嘘は言わずに隠し事をするスキルが年々上達している気がする。オレが心の声を隠していても、表情とか態度で見破られないようにするため、出来るだけ自然に喋るようにしていたら身に付いたが、なんか詐欺師みたいだな……。
☆☆☆☆☆
2人は傷も塞がり、アラディンさんの首輪も外し、魚人島に帰ることになった。
「わけありのおれ達を手当てしてくれた上匿ってくれて、ありがとうっ。あんたたちにも危険が及ぶかもしれねェのに……」
「このくらい危険の内に入らんよ、タイガーくん」
「20年ほど前に比べたらちょっとした火遊びね」
「バレなきゃ平気だ。証拠がない」
元々この島には魚人や人魚は基本的に近付かない。元奴隷の魚人と人魚がここに目立たず潜伏出来ると思われなかったのか、そもそも2人が逃げた所でまた買って補充すればいいとでも考えて執着していないのか、捜索の手が伸びることはなかった。
「この島の人間にも、あんた達みたいな人がいるんだな……」
「まあ、人攫いが徘徊してる島だからな……だがそんなのやあんた達が捕まってた所の連中みたいなのしかいないなら、世の中もう終わっている」
偉いから何してもいいって考えているのばかりだからな、天竜人は。すべてがそうなのかは知らないが、少なくともシャボンディに奴隷を買いに来るのはそういう連中だろう。態度がそれを物語っている。
覇王色を思い通りに使えるようになってからは、やりたい放題しているのを見かけると周りにバレないよう気絶させていた。離れた場所から軽くぶつけるだけで気絶してこちらが驚いたぞ……あんなのが貴族で大丈夫なのか、世界政府?
そしてしばらくすると、下界の空気は汚れていて肌に合わない、病気になるえ、とカプセル状のマスクと防護服を着て来るようになった。肌に合わないなら来ないでくれるか? そんな物を付けてまで来るなんて、シャボンディのことが大好きじゃないか。この島の空気が悪い原因は、お前達の影響が多分にあると思うんだが……。
普通の島では奴隷売買なんておおっぴらに出来ないが、この島は面積の約3割が無法地帯。奴隷が売ってるから天竜人が来るようになったのか、天竜人が来るから奴隷を売るようになったのか。聖地マリージョアから近いことを考えれば、たぶん後者だろう。
まあそんな場所だから、海軍本部がすぐ近くにあるにも関わらず、元海賊が潜伏してもバレないのかもしれないが。
今年に入ってからは海軍に見られでもしたのか、口コミでも流れたのか、海賊相手に覇王色を使って気絶させていたのがバレたので、オレの仕業とバレては困るため天竜人には軽率に覇王色を使えないが、まあバレない方法なんて他にもある。絡まれている人を抱えて音速で逃げるとか。スピードに耐えられず気絶させてしまうが、顔を見られずに済むのでかえって都合がいい。
そういえば覇王色が使えるとバレてから、たまに海兵に気絶しない程度に覇王色を浴びせ続けてくれって訓練時とかに頼まれるようになったが、あれは何の意味があるんだ?後で父さんに聞いてみるか。
「じゃあ元気でな」
「ああ、また会おう」
2人は海に潜り、魚人島へ帰って行った。
過去を見る見聞色で悪魔の実を鑑定
ゲームのボス、記憶を読む見聞色が使える〝孤高のレッド〟が食べてすぐの悪魔の実を使いこなしていたので、そこから見聞色で悪魔の実の能力を鑑定出来ないかと思って作った設定。
イヌイヌの実モデル”チワワ”という名前は出て来てないけど、原作の獄卒獣ミノチワワの悪魔の実のつもり。インペルダウンって海軍と管轄が違う気もするが、手に入れたところで手放しても不思議じゃない悪魔の実で、真っ先にこれが浮かんだ。これを食べた人は原作通り獄卒獣になる。
アラディンが1年早く奴隷から解放
前にどっかの後書きで、オリジナルイベントで原作キャラに大怪我を負わせるつもりは今の所ないと書いといてすぐこれ。あれを書いた後で当初の予定と変更したからです。
1年早く奴隷から解放されてるし、アラディン的にプラマイゼロに、なったらいいな……。
最初は、タイガーが1人で首輪をつけた状態でロゼと出会い、レイリーの所まで連れてって外してもらう予定だったけど、人間の血を拒んで最期を終えたタイガーが、いくら魚人と友達だからって人間のロゼを初対面で素直に頼るのか? と後から不安になったので、アラディンを助けるために頼ったってことに変更しました。
そういや原作だと首輪どうやって外したんだろ? うまいこと鍵を奪えたのかな。
まだ旅にも出てないのにロゼの血液型の保険を使うことになるとは思ってなかった。
鮫と同じ水槽の話は、チャルロスがケイミーをピラニアと同じ水槽に入れて追いかけっこさせて遊ぶって言ってたのを参考にしました。
〝冥王〟死亡説
世界政府の伝家の宝刀、情報操作を実行したって設定。
原作でバレてないので海軍本部にカチコミでもしない限りバレないだろう。ロジャーの血筋>レイリーって優先順位でそんなに探されてないのかも。
天竜人の防護服
たぶんもっと前からあの恰好だったと思うけど、せっかくなのでロゼがヤンチャした影響ってことに理由を捏造した。
ステリーが魚人に触れたら奇病にかかるって信じてたし、天竜人も本気で下界の空気を吸うと病気になると思ってるかもしれない。
気絶させずに覇王色を浴びせ続ける意味
覇王色って王の資質なのに威圧の他に効果ないの? と思い設定を付け足した。効果は次で判明。
これと他のことが原因で、ロゼは覇王色持ちがバレても海軍に素性を詮索されていない。メリットを優先された。一般人から生まれて覇王色を持ってる〝ビッグ・マム〟みたいな色々とおかしいのもいるし、そういうこともあるかで済まされてる。数百万人に1人なら、確率的に人口1000万人のアラバスタにも目覚めてないだけで何人かいるだろうし。
シャボンディはレイリー達以外にもすごい人まだいそう。アマゾンリリー先々々代皇帝のニョン婆もどっかにいるはずだし。