機械の皇帝   作:赤髪道化

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 シルバーズ・ロゼ、竜宮城への招待を受け、シャボンディより 泳 い で 参 っ た!!!
 初の魚人島訪問。魚人島は海底1万メートル、魚人や人魚の水泳速度を仮に時速100キロとすると、直進で6分くらいですね。とはいえシャボンディからだともう少し距離が伸びるだろうし、海底火山の噴火とか海王類に襲われるなどの不測の事態を考慮しても、まあ片道1時間もあれば余裕で行けるでしょう。
 ネプチューン(新世界編70歳)とオトヒメ(新世界編生きていれば46歳)の夫婦。24歳差、恋はいつでもハリケーンですね。
 あと、赤ちゃんと動物の言葉を、ロゼが心を読むと反転処理されるのは変わりませんが、ちょっと違う表現に変更しました。自分でやっといてなんですが、もうあれは嫌だ……もっと早くフォント変更機能のこと知りたかった。


〝竜宮城にご招待〟

 タイガーさんとのマリージョア襲撃から10日が経過し、海軍本部はざわついていたし、流石に異変があったことはシャボンディでも広がっているが、具体的なことは広まっておらず、まだ新聞でニュースにもなっていない。天竜人からの事情聴取が済んでいないのだろう。中には重傷を負った者もいるはずだし、衛兵からはタイガーさんの生死は不明。前代未聞の事件だ、軽はずみな報道はさせられないのだろう。世界政府の威信に関わる。

 

 そういえば最近、というかハンコックが皇帝に即位したと聞いてから、毎朝電話がかかってくる。口調がちょっとニョン婆に似ていた。皇帝になったのだから、それにふさわしい喋り方をするようにと言われ、変えたそうだ。

 国の発展のためと、科学技術の話を聞かれて教えたりした。凪の海(カームベルト)を渡るのに使った蒸気船を貰いたいそうなので、父さんの仕事場に保管中だ。海楼石も『わらわ、欲しいのじゃ……』と言われたが却下した。蒸気船はどうせ手放すつもりだったが、海軍から手に入れた物を流石に海賊に渡せるものか。

 

 あとは、七武海入りを目指し、手土産に海賊の石像を量産しているらしく、オレの警告を守る気があるようで嬉しいので、どうぞご自由にお()り下さいといったところだな。

 いくらアマゾン・リリーに覇気使いが大勢いるといっても、女しかいない特殊な島、人口の増え方は緩やかだ。対して海軍は、大海賊時代で増える海賊を取り締まろうと毎年多くの海兵が入隊している。海賊行為による収入が大半の、外界との交流を持たない孤島……精鋭揃いの九蛇(クジャ)海賊団が遠征で留守の間を攻めて、数少ない畑や牧場ごと島を焼き払えってしまえばひとたまりもないな。

 まともな国ならともかく、代々海賊国家として海賊を出す国民を攻撃対象から外すほど甘い考えじゃない人は多い。オハラがダメならあそこもダメじゃないか? このまま何もしなければ滅ぶのも時間の問題だろう。

 七武海入りを目指すのは良い判断……ニョン婆の進言か? オレが頼まれて海軍で覇気使いを増やしていること等も知っているし。ハンコックも覇王色の覚醒者、上手くいけば延命出来るな。海楼石が欲しいなら七武海入りした後に、自分で取引するなりして手に入れてくれ。

 

 それと、何でもCDを売りに出すそうで、機材を揃えるため必要な物を聞かれたり、意見を求められる……何故そんなことに? まあ海賊行為ではないし反対する理由もないので、応援していると伝えたが、よくわからんことをする……毎回途中で倒れてソニアかマリーに代わるのだが、体調は大丈夫なのか? 歴代皇帝が亡くなった病に罹ったんじゃないよな? 忙しいのだろうが、ちゃんと休んだ方が良い。(※歌詞の愛の言葉を(ささや)かれて、意識が昇天しただけです)

 

 

 そして今日、タイガーさんとアラディンさんが我が家に訪れた。

 

「いらっしゃい。アラディンさんとはひさしぶり。2人共、そのマーク……」

 

 タイガーさんは胸、アラディンさんは左脇腹に、赤い太陽のマークが刻まれている。たしかその場所は……

 

「これか? おれ達のシンボルだ。おれやアラディン、奴隷にされてた奴らに、おれ達と一緒に来てくれるっていう連中と海に出ることにした。奴隷だった者とそうでない者の区別がつかねェように、あの焼印の上から全員……同じ海賊団の証としてな」

「そうか。まあ気を付けてな」

「い、意外だな……10日前はタイガーさんと少し揉めたんだろう?」

「だからだ。その時すでに話して約束もした。それに海賊になるのも、まあ宣戦布告と言った時点で、あれだけで終わるつもりはないだろうなと思っていた」

 

 タイガーさん達と天竜人の奴隷は奪還したし、シャボンディの人間屋(ヒューマンショップ)は潰したが、それらは世界の闇のほんの一部にすぎない。天竜人以外に奴隷を持つ奴らなど腐っているほどいるし、その方が多いくらいだ。人間屋(ヒューマンショップ)もシャボンディ以外に存在する。

 人間屋(ヒューマンショップ)のオークションで売られる寸前だった奴ら、ちゃんと光の中で生きていればいいんだが。オレと同じ能力者も何人かいた。闇の中に生きていたならば、オレが終わらせてやるのが(すじ)だよな。

 

「ああ、これからも人を奴隷にすることを容認するつもりはない……ロゼ、お前と仲の良い海兵と戦い、傷付けることになっても」

 

「ふははっ……面白いことを言うなァ……海賊? 海軍を舐め過ぎだ」

 

 それは聞き流せん。死にたいのか。

 

「(覇王色……いやあの時と違う、ただの気迫か……)」

「海賊が信念を海賊旗に掲げ命を懸けるように、海兵もまた自分の正義を背負い命を懸けて海賊と戦う。魚人の身体能力が生まれつき常人より優れている? 覇気が使えるようになった? 水中戦や海上戦はたしかに魚人が優位だろうが、そんなことは彼らに勝てるなんの保障にもならん。体を鍛え抜いた屈強な海兵の身体能力は常人の10倍なんて生易しいものではないし、覇気を使える者は海軍にはゴロゴロいる。正義のコートは簡単に落ちるようなものではない……オレへの気遣いなどせず、自分達の心配だけしているといい」

 

 あの人達の身体能力が10倍なんてかわいいもののはずがない。覇気だって、10日前に覚醒したタイガーさんはもちろん、オレが生まれる前から鍛錬を続けてきた人なんて大勢いる上、今なお覇気使いの数は増えている。オレが覇気を目覚めさせた人だっていることだしな。

 今年入隊したヴェルゴさんは最初から使える。長時間の全身武装硬化も出来るし、強かったな……レアだけど、まあ悪魔の実の能力者ほどじゃない。生まれつき、鍛錬、戦闘のショック、誰かの覇王色を浴びた、覇気覚醒の可能性が4つもある。何故か彼には避けられているけど。オレ、何かしたのだろうか? 覚えはないが……まあいいか。

 

「……なんでお前、それで海軍に入るつもりないんだよ?(入って欲しいわけじゃねェが……)」

「他にもやりたいことはあるから」

「ああ、農園か。去年に言ってたな」

「そういうことだ。ふははっ、他の理由も、家に入ればわかるかもな」

 

 今日は父さんがいるし。

 

 

 その後、2人を家に招き入れて、話をした。色々と。

 

「そういえばタイガーさん、すごいな。あの後海軍本部で試したけど、オレは正拳突きで五百枚しか瓦を割れなかった」

「……いや、充分なんじゃねェか? お前いくつだよ」

「今年で9歳だ」

「やっぱ充分じゃねェか……」

 

 【鉄塊片鱗(テッカイへんりん)黒腕(こくわん)”】も使えばもっといくだろうが、実戦ならともかく、それで瓦割りの記録を更新しても意味ないしな。

 そんな世間話の他にも、

 

「〝冥王〟シルバーズ・レイリー……聞いたことある名前、というかロジャー海賊団だったのか……」

「やはり、思う所があるかね?」

 

 父さんが自分のことを明かした。

 魚人島は大海賊時代の被害が大きいからな。いやまあ、大抵の島は大海賊時代前と比べて大きくなっているのだが、偉大なる航路(グランドライン)の後半に行こうとすると、海賊なら必ず通る場所だ。

 

「まあ多少は。だが、ロジャー海賊団に何かされたわけじゃねェからな」

「あんた達には恩がある。それに……正直、生きていたことへの驚きの方が強い……(海軍に入らない他の理由ってこれか……)」

 

 仲違いせずに済んで何よりだ。

 それ以外のオレにとっての懸念事項は……

 

「オレを竜宮城に招待したい?」

「ああ、オトヒメ王妃がお前に会ってみたいそうだ」

「……タイガーさん達って王族と面識があるのか?」

「旅で地上で見たことを島に戻る度に報告していてな、その縁だ」

「おれは、元ネプチューン軍の兵士だからな」

 

 抜かった……この人達、オトヒメ王妃と交流があったのか。そして心の声を聞かれて、オレのことがバレたそうだ。たぶん去年のタイガーさん達のことも含めて知られている。

 会ったことはないが、話は聞いている。オレと同様に生まれつき人の心がわかる、強い見聞色の使い手。正直会いたくなどない。生まれた時から人の心を聞いて、まともに育つはずがない。断言出来る。オレがそうだ!!! 何食わぬ顔で多くの秘密を抱え、バレたらアウトなことをしまくっている。

 今回のこともただ会いたいだけのはずがない。もしオレが彼女の要求を満たせなければ、オレという人間屋(ヒューマンショップ)とマリージョアの襲撃犯を手土産に、政府に何かを要求する気か? 王妃の座を手に入れていることから、権力欲が高いことが予想出来る。一体どんな要求されるのか……だが行かなければこのまま報告されるだけ……くっ、おのれぇ……オトヒメ王妃の高笑いが聞こえるようだ。

 

おーほっほっほ!(※幻聴)

 

(※オトヒメは魚人や人魚と友達のロゼに、魚人島の人間との共存、魚人島を地上に移すために人間の意見を聞きたいだけです)

 

 

「私も魚人島に行ってみたいです!」

 

 トリスタンが無邪気に言って来るが、

 

ダメだ!

「何故ですか!? 私だってメイプルさんや、話に聞くシャーリーさんに会いに行きたいです!」

 

 連れて行けるかっ! これはオトヒメ王妃の罠だ!(※違います)

 

「お前、少し前に心を読まれただろう? 余計なことを知られるかもしれないし、今日の所は留守番して、声を隠す練習でもしていてくれ」

「気にするなって言ってくれたのに、気にしてるんじゃないですかぁ……」

 

 そんなに落ち込むな、魚人島のおかしを買って来るから……無事に、帰って来られたらな……。(※無事お土産におかしを貰って帰って来ます)

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 タイガーさん達は、船をコーティングして行くつもりだったみたいだが、あまり待たせて王妃様にしびれを切らされては困るので、装備品ごと全身を機械に変えて泳いで引っ張ってもらい、魚人島に向かった。空気など必要なし。クウイゴスの木片で作ったサンダルは、浮力が邪魔でスピードが遅くなるので、雨靴にした。このサンダル、もう今のオレの体重では水面に立つと足が少し水に浸かるが、まあサイズが合う内は使うか。沈まない分ないよりマシだ。

 

 今どのくらいの深海なのだろうか? 喋れないから聞けんが、周りが非常に暗い。たまに発光しているものがあるが、たぶんチョウチンアンコウだな。何か大きな気配が周りにわんさかいる。海獣か海王類か……今2人とはぐれれば、オレは丸呑みにされ、エサになりそうだな。運が良ければ気付かれないかもしれんが、体を動かすことも出来ず、ただ海底に沈んでいくだけ。呼吸は問題なくても誰かに引き上げられなければ、いずれ体が錆びて朽ち、緩やかな死を迎えるだろう。

 

 しばらくすると、大きな光が見えてきた。光の方をよく見ると、巨大なシャボンが鏡餅のように2段に積まれており、下層には色鮮やかなサンゴ礁が見える。上層に見える城が竜宮城だな。そしてそのシャボンの周りに巨大な樹の根が生えている。

 海底1万メートルの魚人島に光があるのは、陽樹イブのおかげだと聞いている。地上から魚人島に太陽の光と空気を伝えているという樹だ。

 

 魚人島に無事到着。きれいだ、海獣や海王類も周りを泳いでいるけど。帰ったら壁に映して見せてやるか。いざとなったら手足の1,2本を爆弾に変えて自爆して逃走、体を見えなくして、おかしを代金を置いて勝手に持って行ったりしながら潜伏して、海賊のコーティング船を奪って帰ろう。自分の体を爆破して体が元に戻るかはわからないが(※元に戻りません)、それで死んだことに出来るなら安い。海上にさえ浮上出来ればいいから、いざとなればクウイゴスの木片を体に括り付けてシャボンの外に出るのも、最後の手段としてはアリだな。場所的に島のどこかに必ずあるはず。

 

 魚人島の南東に位置する港町、サンゴが丘に上陸する。大きな貝を屋根にした変わった家屋が建ち並んでいる。陸地に着いたことだし、これでようやく能力を解除出来るな。まずは音速移動で体の海水を落とす。

 周りの人から遠巻きに見られているな……疑問、不信、恐怖、怒り、そして少しの好奇心といったところ。シャボンディでのオレの扱いと大して変わらないな。タイガーさん達が人間と一緒にいるのが気になるようだ。

 シャボンを付けて宙を泳ぐ魚に乗って、上部のシャボンへ通じる連絡廊を進み、いくつもの門を抜け、竜宮城へ向かう。城の後ろには大きく口を開けた竜の像が建っていてかっこいい。だが油断は出来ん。この国の牙がいつオレに突き立てられるかわからないのだから……。

 

 城内に入り、玉座の間に着く。

 

「ようこそ、リュウグウ王国へ。わしがネプチューンじゃもん!」

 

 頭の上に王冠を乗せ、オレンジ色のふさふさの髪と髭を蓄えた〝海の大騎士〟の異名を持つ王に挨拶される。でかいな。何メートルあるんだ? タイガーさんの倍はあるぞ。

 

「お初にお目にかかれて光栄です。私はロゼと申します。本日はお招き頂き、ありがとうございます」

「うむ。ゆるりとしてゆけ、客人よ」

 

「(口調こそ丁寧だが全然(へりくだ)ってねェ……胸を張り過ぎだ)」

「(なんて敬語の似合わない奴なんだ……むしろ腹が立つ、慇懃無礼だな)」

 

 少しの言葉遣いで難癖を付けられ首を刎ねられては堪らないので、少々嫌味なくらい丁寧に話す。くっ、これが権力ってやつか……。(※ネプチューンは子供相手にそのくらいで目くじらを立てませんし、首も刎ねません)

 

「(普段はこんな口調じゃないの? 緊張してるのかしら?)初めまして、私がオトヒメよ。まさかその日の内に来てくれるとは思わなかったわ」

 

 金髪の髪を頭の上で結った、鱗模様のような服を着た王妃様に話しかけられる。この人がそうか。とても若く見えるが、立って歩いているということは、服で隠れて見えないが尾ひれが

 

どうかしました?

 

 オトヒメ王妃はにっこり笑っている……だがオレの生存本能が確実に警鐘を鳴らしている。

 それ以上は止めておけ!! と。

 

いえ、友人達よりお噂はかねがね……実際に見ると噂以上にお美しいですね

「あらお上手ね、ありがとう」

 

 ふう、なんとか虎口を脱したな。

 これ以上このことについて考えるのはよそう。人の秘密を探るのは趣味じゃないし、女の歳はアンタッチャブルだそうだ。

 オレ、母さんの年齢も知らんからな……大分若いし、オレが今年で9歳だから……30くらいか?(※今年で49歳の美魔女です)

 

「あとは、魚人島を地上に移すために演説をしていると」

「それについて意見を聞きたかったの。あなたはどう思う?」

 

 なんだ、そのくらいのことか。

 

「私が申すまでもなく、人間の魚人達への認識についてはご理解されていることと存じます。しかし、すべての国や島で偏見や差別意識が根付いているわけではありません。私も直接訪れたわけではありませんが、異なる人種を受け入れ共存している場所もあります」

 

 天竜人やいくつかの国の貴族層では、魚人や人魚を魚類と教育している所も多くあるみたいだが、すべてがそうじゃない。

 同じ偉大なる航路(グランドライン)の国であれば、新世界の平和の象徴と呼ばれるドレスローザでは、小人族のトンタッタと共存しているそうだ。それはマリージョアで、タイガーさんも小人族から聞いたはず。あの人小人族からリク王やノーランドみたいだと言われていたからな。

 モンブラン・ノーランドの名をあの場所で耳にすることになるとは……当時島を荒らしていた密猟者からノーランドに救われたのだそうだ。たしか北の海(ノースブルー)発行の2500万ベリーの賞金首として、モンブランの姓を持つ栗頭の手配書があったが……まさかな。

 

「ですが恐れながら、そういう国と友好を結ぶためには別の障害が、今のこの国にはあります」

「……何かしら?」

「この国が、大海賊、四皇〝白ひげ〟の〝ナワバリ〟だということです。この国が〝ナワバリ〟になった背景を考慮しても、〝白ひげ〟の名前の影響力は、良くも悪くも大き過ぎます。普通の国は海賊の存在を容認出来ません」

 

 

 〝白ひげ〟の縄張りになっても加盟国のままなのは、海賊の捕縛のためにリュウグウ王国の国民に被害を出した負い目もあるのだろうが、まともな国なら、海賊の縄張りになっている国との友好など願い下げだろう。リスクが高いし、ましてや〝白ひげ〟……ありえん。

 『かいぞくしろひげオニよりこわい』、子供でも知っている。そんな大海賊のことを気にせず、魚人島と友好を結べる場所が果たしてあるのか? 世界政府に睨まれたり、四皇同士の勢力争いに自国民が巻き込まれる可能性だってあるというのに。

 海賊の被害から魚人島の住民を守るためには良い効果を発揮するだろうが、国同士の友好にはデメリットでしかない。海賊の、無法者の縄張りになるというのはそういうことだ。

 

 ハンコックが皇帝となったアマゾン・リリーなら、あの三姉妹のタイガーさんへの恩もあって、魚人に対して差別意識などない……というかハンコック達は女ヶ島(にょうがしま)の外で初めて男を見たらしいから、あそこの住人は魚人や人魚を知ってもいない可能性が高いが、あそこも海賊国家、友好を結んでリュウグウ王国が世界政府に睨まれるのは想像に難くない。加盟国からの除名もありえる。

 せめてハンコックが七武海入りすればぎりぎり……いや七武海と四皇が表立って友好はマズイ。海軍本部、王下七武海、四皇の三大勢力の均衡を乱すと判断されれば、今度はハンコックが七武海を除名されかねん。それにあそこは男子禁制という障害もある。どちらにしても問題はあるな。

 

 海賊の縄張りでも相手を選ばなければ手を結べる相手はいるだろうが、この人達、そういう世界とは縁がなさそうだし、あまり友達の国にアンダーグラウンドの住人が出入りするようになるのは避けて欲しい。

 たとえば、四皇〝ビッグ・マム〟の支配する万国(トットランド)は、様々な人種が住んでいるらしいが、海賊業界一の情報力と言われるだけあり様々な裏社会の帝王達のコネクションがあり、巨大なマーケットを構築している。

 まず、ビッグマム海賊団に歯向かった者は基本的に殺され、その親類縁者は捕らえられ、〝福の神〟ル・フェルドが闇金で破産させ身売りすることになった者達と一緒に、〝深層海流〟ウミットの海運会社の船に乗せ運ばれ、死体は使える臓器を臓器販売業者ジグラが売り、売れる部位がなくなった死体は大手葬儀屋ドラッグ・ピエクロにより闇の中に葬られ、〝隠匿師〟ギバーソンの倉庫業という隠語で行われている人間屋(ヒューマンショップ)で奴隷として売られる。不都合な情報は『海の戦士ソラ』も連載している世界経済新聞社社長、〝ビッグ・ニュース〟モルガンズにより情報操作のアフターケアまで完備している。

 間違っても関わって欲しくない世界だ。

 

 

「ネプチューン王と〝白ひげ〟が友人だというのは伺っていますが、であるならば尚のこと、いつまでも厚意に甘え守られ続けるのは、却って友情を損なうのではありませんか?」

「……はっきり言う子供なんじゃもん(右大臣と左大臣みたいなんじゃもん……あの2人の小言もきついが、子供に諭されるのもつらい……)」

「でも参考になったわ。またお話ししてくれる?」

 

 意外だ。ネプチューン王はへこんでいるし、そろそろ首を刎ねられるかと思ったのだが……。

 

「……よろしいのですか? お気付きかと存じますが、私は海賊が嫌いです。今は〝白ひげ〟と争うつもりなんてありませんが、未来のことまでわかりませんよ? 私が賞金稼ぎ(バウンティハンター)で、相手が海賊の賞金首である限り。たとえその海賊がこの国を守っていたとしても」

 

 オレには〝冥王〟の息子という秘密がある。白ひげ海賊団と何度も殺し合ったロジャー海賊団の副船長、〝海賊王の右腕〟の息子という秘密が。それを知られて〝白ひげ〟本人や海賊団の隊長、船員、傘下の海賊達がオレを殺そうとすれば、戦わざるを得ない。

 

「そんな思う所があるあなたと仲良くなれたならば、魚人島と人間の友好の道も、少し進むと思わない?」

 

 微笑みながらそう言われた。

 言葉遣いこそ気を付けたものの、結構辛辣なことを言ったつもりなんだが、芯が強い人だな……ひょっとして、この人ただの良い人なのでは?(※Exactry(そのとおりでございます)

 

「それと、私には普段通りの話し方でお願いね。無理してる上に、あまり似合ってないみたいだから(それにしても()()()()()は聞こえないわね……たまに会う白ひげ海賊団の人と同じように)」

 

 解せん……天竜人に取り入ろうとしていた人の口調を、完璧にトレースしたはずなんだがな。

 

「そうだ! 良かったら、子供達と会って行かない? あなたと年も近そうだし、地上のことを教えて欲しいの」

「わかりま……わかった。オレの能力を使い、映像として見せることも可能だ」

「あら、そんなこと出来るの? あの子達も喜びそうだわ!」

 

 この人まったく感情を隠さないな……全部表情にそのまま出してる。そんなに取り繕って喋るのはダメか。まあこの方が楽だから助かるけど。これは本当に話がしたかっただけみたいだな。取り越し苦労だったようだ。

 というか王妃様? 頬を膨らませて睨みつけるって、そんな子供みたいなかわいいことを30過ぎた

 

 ゾクッ!!

 

何か?

「いや、あなた方の子供なら、それはよく出来た子供なのだろうなと」

「ええ、そうなのよ!この前も……」

 

 危機を逃れたか……迂闊なことを考えられないから、さっきまでとは別の意味で気が抜けんな……。

 

 その後子供部屋に案内された。タイガーさんとアラディンさんはネプチューン王と話している。

 長男のフカザメの人魚フカボシ王子はオレと同い年で、ノジコよりは濃く、アインよりは薄い青色の髪を肩につくくらい伸ばしている。

 1つ下の次男のリュウボシ王子はリュウグウノツカイの人魚で、オレンジの髪を長く伸ばし、なびかせている。歌が得意だそうだ。

 オレの4つ下の三男のマンボシ王子はアカマンボウの人魚で、帽子を被り茶色い髪を伸ばし、耳の位置にヒレが生えている。ダンスが得意なようだ。

 末っ子のしらほし姫はまだ1歳で、ピンクの髪のまだ鼻を垂らした赤子だが、オレや3兄弟どころか母親より大きい。ビッグキスの人魚だそうだ。近付いたらいきなり体を鷲掴(わしづか)みにされ、口に入れられた。オトヒメ王妃が、「コラッ! ペッしなさい、ペッ!」と叱ると出してくれたが、体が唾でベトベトだ……。

 

 貸してもらったタオルで体を拭いてから、人間社会の勉強としてオレの能力で映像を見せる。とりあえずオレが見せても問題ないと判断した範囲で。裏社会科見学はまだ早いだろう。一応、底辺に近い闇は叩き潰したことだし。

 中でも太陽と遊園地が気に入ったようだ。遊園地はわかるが太陽もか。

 

「そんなに気に入ったのか?」

「ああ、初めて見た」

「いつかこの目で直接見たいな……」

「本当にキレーだなー」

わたくし、タイヨウとけっこんしたいです(ほぎゃー)! タイプです(おぎゃー)!」

 

 たしかにこの海底には太陽の光は届かないな。それに、タイガーさん達のシンボルも太陽だった。ここの人達にとっては未知の、だからこそ憧れるものなのか。

 赤子のしらほし姫まで喜んでいる。心を読んだところで、「!すでプイタ !すでいたしんこっけとウヨイタ、しくたわ」と相変わらず意味不明だが。

 なんかナミちゃんを思い出すな……あの3人、元気にやっているだろうか?

 

 

 

 東の海(イーストブルー)、コノミ諸島、ココヤシ村

 

 

「「うわ~ん!」」

コォ~ラッ! なんであの子達泣かしたのよ? ノジコ、こんなことするためにあんた強くなりたかったの?」

「子供のすることだからいいわよ、ベルメール。元気な証拠よ」

 

 ノジコとナミの姉妹が泣かした子供達とその親の前で、2人を叱るベルメール。

 

「だってぇ~!」

「あいつら、あたし達のみかんはマズイって」

 

「こんのガキャァッ!!」

「コラ、ベルメール!」

 

 自分達のみかんを貶され、まるで子供のように怒り、そして叱られるいい大人(ベルメール)

 ココヤシ村は今日も平和だった。

 

 

 

 

 偉大なる航路(グランドライン)、リュウグウ王国、竜宮城

 

 

「太陽はオレだけでは無理だが、遊園地ならなんとか出来るかもな」

「本当か!?」

「ああ、時間はかかるが」

 

 どのみちしらほし姫のサイズではシャボンディパークのは無理だし、オレの能力次第で……出来れば協力者が欲しいな。腕のいい大工が。たしかここには……材料はいつも通りに

 

「嘘ついたらハリセンボン飲ますぞ!?」

「絶対に実現するから、それはしまってくれ」

 

 マンボシ王子よ、何故魚のハリセンボンの木彫りなど持っている……? 嘘ついたら飲ますのは針千本ではないのか。これがリュウグウ王国のジョークなのか。

 

「(皆あんなに目を輝かせて……来てもらって良かったわ)」

 

 

 王子達と指切りして、今は城を出てタイガーさん達と魚人街に移動している。

 なんか、すごく良い人達だったな……奴隷も連れていないし、本当にタメ口を聞いても、発砲も斬首もしないなんて思わなかった。あんな権力者、話には聞いても見るのは初めてだ。能力でいつでも首を分離する準備はしていたんだが。お土産におかしまでシャボンで包んでもらってしまったし……他に何か出来んものか。

 そうだ。魚人島が海賊の縄張りになっている現状が気に入らんなら、オレが自分達で国を守れるよう鍛えればいい。王族の3兄弟とも組手をしないか誘ってみようか。

 

 ふっはっはっ、今まで海底ということもあり来たことがなかったが、俄然やる気が出てきた。あれだけ言えばオレを〝白ひげ〟の関係者と会わせようとはしないだろうし、シャボンディの用事もひとまず終わって時間の余裕が出来た。たまに来て訓練にも混ざるか。決闘(デュエル)を挑まれて逃げてはネプチューン軍の名折れ、受けざるを得まい。人間の海賊と戦う機会が多いからか、町よりもこの城の中の方がオレへの警戒心が強かった。人間が気に入らないのであれば、オレを決闘(デュエル)(かこ)つけて痛めつければいい、出来るものなら。

 

 父さん達に教わった戦い方は、少々国の軍隊の戦法としてはマズイか。相手を言葉で挑発して見聞色を乱す、とかあるからな。ゼファーさん達に仕込まれた海軍式訓練を披露するとしよう。加盟国だし問題ないはずだ。

 海兵たる者、拳と背中で語るもの。オレは海兵ではなく、正義を背負っていないので、その分拳で語るか。これから存分に語り合おうではないか。ン熱血指導だ




 ロゼのオトヒメへの疑心
 人格者の王族や貴族を見たことが今までなく、ロゼの見てきた権力者は奴隷を買いに来る奴ばかりなので、良い噂しか聞いてないのに実際会うまですごく疑う。ワンピース世界の権力者って、天竜人だけを倒したところで何もかも解決するとは思えないほど、そういうのが多いイメージ。革命軍大忙し。まあ、オトヒメ王妃達とは打ち解ける、ただのフリです。他にもドルトン王とかコブラ王とかリク王とか、ルフィ達が仲良くなる国王達はかっこいいんですけどね。
 海賊に守られていることに思う所はあるものの、魚人島の地上への移住や人間との共存には協力する気なので、これから色々する。
 そのための障害を本文でいくつか挙げましたが、他にも障害があれば「これもマズイんじゃない?」と教えて頂けると有難いです。まあ他の障害が見つからない方が有難いのですが、早く気付いた方が話を考えたり、予定を修正出来るかもしれないので……あっホーディ達のことや、魚人島の人達の人間への感情に関しては、ロゼは拳で語り合う以外ノープラン、というかまだホーディのことは知りもしないのですが、作者は一応考えています。

 女の人魚は30歳で尾ひれが二股になる
 家族でも全然違う見た目になることがあるので、見た目で差別しない人魚、魚人の間でも、尾ひれが二股に分かれてることに触れるのはマナー違反だと思うんですよ。オトヒメの着物っぽい服も足が見えなくしてますし。
 ロゼが感じ取った生存本能の警鐘は、ロゼがそう感じているだけで、オトヒメは変わらずニコニコしてます。オトヒメ様は裏表のない素敵な人です。

 〝ビッグ・マム〟のマーケット
 原作設定じゃなくて、86巻の裏社会の帝王達の肩書を見て思い付いた想像です。〝ノックス探検隊〟の話で〝ビッグ・マム〟の縄張りに人間屋(ヒューマンショップ)があることにした理由ですね。あの裏社会の帝王達はノースの闇に関係あるのだろうか。というかノースの闇って結局何なの? いつわかるんだろ。
 〝歓楽街の女王〟の名前が挙がってないのは、シャッキーが「まだそういうのはロゼには早いわ」と情報をシャットダウンしてるからです。他はいいのかな? どうせ〝歓楽街の女王〟を知らないだけで、見聞色で赤子の時にそういう情報も聞こえてたし、レイリーが教えてるけど。
 2人の教育方針は基本“好きにさせる”なんですが、所々教えが違っていて、真逆のことを言われた場合、ロゼが自己判断ですり合わせたり聞き入れなかったりしている。海軍でも影響を受けているので、もはや両親もロゼの主義思想をおおよそだけで、すべては把握していない。

 
次回予告(無言のBGM


 やめて! ロゼの悪魔の実の能力と身体能力で、卑劣なずっとオレのターン(バーサーカーソウル)を食らったら、いくら魚人のタフネスを持つアーロンの体でもダウンしちゃう!
 お願い、死なないでアーロン!
 あんたが今ここで倒れたら、タイガーさんやシャーリーとの約束はどうなっちゃうの?
 ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、下等種族(ロゼ)に勝てるんだから!


 次回アーロン()デュエルスタンバイ!

 主人公の見た目を遊戯王キャラにしたので、どこかでこれやりたかったんです。タイトルは嘘ですが、内容はおおよそこんな感じ。アーロンと決闘(デュエル)(リアルファイト)します。どっちやねん。
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