海軍の出世の速度とか、階級ごとの部屋の割り当てとか全然わからないので適当です。
少尉以上で自分の船を持てることにしましたが、それは確認した限り一番階級が低くて船を持っていたのが、ノベルエースのイスカ少尉だったのでそこから。
早朝、非番の女海兵の部屋
「う~ん、頭が痛いわ……ヒナ頭痛……」
オリオリの実の能力者のヒナ、21歳。二日酔いだろう頭痛がする頭を押さえながら目を覚ます。
3年程前に海軍に入隊し、今は曹長の出世した、上層部の覚えも良い優等生。入隊した頃は他の同期の女海兵達と相部屋だったが、軍曹になった頃から今の個室が与えられた。
「昨日、何したかしら……? 確か、いつもの2人にロゼと一緒にお夕飯を食べて……」
いつもの2人とは、己の信じる正義感の強さ故に、その正義から外れた上官の命令は効かずに歯向かい、狂犬と呼ばれる問題児のスモーカーと、地雷を踏むと簡単に発砲し、後で始末書を書かされることもあるが、仕事に関しては優秀なダディの2人である。
2人共ヒナと同期で海軍に入隊し、実力に関しては申し分なく、スモーカーは世にも珍しい悪魔の実の中でもさらに希少な
この3人には愛煙家という共通点がある。よく休憩時に喫煙所で遭遇し話をするようになった。もっとも真面目なヒナと愛娘の前でタバコを吸わないダディはともかく、スモーカーは普段から色んな場所で葉巻を吸っているが。
面倒見の良いヒナが問題を起こしたスモーカーのフォローをするというのがよくある光景となっている。
「とりあえず何か飲み物を……」
ヒナが布団から出ようとすると、
「う~ん……」
自分以外の声が同じ布団から聞こえてきた。
見ると、彼女が実の弟のように可愛がっているロゼが無防備な寝顔を晒していた。というかヒナの抱き枕と化していた。
確かにヒナはこの少年から姉さんと呼ばれ、人から見れば少々良過ぎなくらい良好な関係を築いているが、実際は血の繋がりのない赤の他人。
たまに、『一緒に住んで本当の姉弟にならない?』と本気8割冗談2割で持ちかけているが、のらりくらりと躱されている。決して普段から同じ部屋の、同じ布団で一緒に眠る関係ではない。
「(二日酔いのような頭痛に、朝起きたら一緒に寝てる……いえ、落ち着きなさい。まだわからないわ。覚えていないけれど、たぶんこれはお泊り会でもしたんでしょう。ヒナ推測)」
11歳になったばかりの少年を、酔った勢いでついついお持ち帰りからの朝チュンにコンボを繋げてしまったわけでは断じてない、そう自分に言い聞かせ冷や汗をかきながら、弟のほっぺを指で突いて平常心を保とうとする姿は、傍目には現実逃避以外の何物にも写らない。
「ん~、ん?」
そうこうしていると、頬を好き放題弄られていたロゼが目を覚ました。
「お、おはよう、ロゼ。ちょっと聞きたいことが」
「おはよう姉さん。昨日着せた時も思ったが、ゴージャスな寝巻だな。お嬢様っぽくてよく似合っているけど」
「ヒナ
服を着せられたということは、つまり服を着ていない状態があったということ。限りなくクロである。
ヒナは1人で布団を被り閉じこもってしまった。
「えっ? 姉さん? お~い、どうかしたのか?」
ロゼが声をかけるが、天岩戸に籠った天照大御神のごとく、不動の構えをヒナは取り、復活するのに時間を要した。
☆☆☆☆☆
どうしたものか……。
今朝目を覚まし姉さんに挨拶をしたら、布団の中に引きこもられた。何故だ。
根気強く呼びかけた結果、顔と手だけ布団から出して、見た目は亀みたいだ。今はオレが入れたコーヒーをちびちび飲んでいる。
寝巻を指摘したのが不味かったのか? 似合っているのに、あのフリルが付いた白いゴージャスなネグリジェ。
「そ、それで、昨日一体何があったの?」
コーヒーを飲んで少し落ち着いたのか、姉さんがおずおずと聞いてきた。
「何がって……もしかして覚えていない?」
「ええ……一緒にご飯を食べたくらいしか覚えていないわ。ヒナ忘却」
「そうか。つまり、何故オレがいるのかわからなくて混乱したと」
「……まあ、そういうことね(気になるのはヤッたのかヤッてないのかだけど。ロゼの態度を見るにヤッてないのかしら? ヒナ
ならば話は簡単だ。
「では、昨日起こったことを伝えるとしよう……オレの能力を使って!
ベッドに座って、姉さんから見える位置に昨日の出来事を3D映像として映し出す。
とりあえず、食堂でごはんを食べた辺りのことをオレ視点で流している。
「えっ、ちょっと何これ? ヒナ困惑」
「ふははっ、人の夢がある限り、それを叶えるためにも、科学は日々ランクアップする。これはDr.ベガパンクの試作品、バーチャルシミュレーション具現化システム。ようするに、立体的に映像を映し出す機械だ」
見聞色で読み取ったオレの過去をそのまま映し出しているので、細部までバッチリだし、音声も再現している。
こんな複雑な機械、いくらメカメカの実を食べてから機械のことを理解しやすくなったとはいえ、過去を見る見聞色がなければオレには再現出来ん。それを素で思い付いて作り出してしまったDr.ベガパンクはやはり頭がおかしい。良い意味で。まだ製作費がかなりかかるが、オレには関係ない。
「(えっ? えっ? つまりもしヤッていた場合は……わたくしとロゼのチュドーン!(※自主規制)が立体的にッ!?)」
戸惑う姉さんにこれで昨日のことを伝えるとしよう。
〇〇〇〇〇
海軍本部で訓練に混ざった後、任務帰りの3人と会い一緒に夕飯を食べることになり、今年になって手に入れた子電伝虫で家に連絡してから食堂に来た。
「おい、ロゼ。火ィ点けてくれ」
食堂で注文するために、夕食時で混雑した列に並んでいる間、吸い口を切った葉巻を向けられ頼まれる。
「ちょっとスモーカー君、ロゼの前で、というかいい加減に喫煙所以外で吸わないでくれる? ヒナ忠告」
「食堂の席は喫煙OKなんだから、ここもほとんど変わらねェだろ」
「キャロルの前で吸ったらコロス」
「姉さん、タバコや葉巻には慣れているから気にならない。それよりダディさん。スモーカーさんが噂の愛娘に紹介されているのに、オレは会わせてもらっていないことの方が傷付く」
タバコや葉巻を吸う海兵は多いし、母さんもタバコを吸っている。副流煙に負けるほど
「キャロルがもっと成長して、自分で判断が出来るようになるまでは認めん!!」
「そうか……」
人差し指から火を出し、スモーカーさんの葉巻に着火すると、満足そうにスモーカーさんが吸い始める。
「フ~、この点け方でいいんだよ。この前は危ねェ点け方しやがって……」
「【
親指と中指で指を鳴らす瞬間、中指から火を出し目標に飛ばす技だ。【飛ぶ
「お前そんなえぐいことしてんのか……」
「流石に人に撃ったことはないけど、猛獣と戦う時には便利だ。髭に着火したりするな」
「いや、シャボンディには猛獣なんているの? ロゼ、危ないから大人しくわたくしの
「シャボンディではなく、たまに飛んで行く無人島にいる。それと、海賊を探しにシャボンディに来るのが面倒だから遠慮しておく」
ルスカイナの動物は、威力を落とした【
個室を貰ってからたまに姉さんからこんな風に一緒に住まないかと誘われるが、流石に悪いし、オレにはちゃんと帰る家がある。
「あなた、もう遊んで暮らせる額稼いでいるらしいじゃない。興味本位で調べた海兵が言い触らしていたわよ? 少し休業したら?」
「姉さん。お金はあるに越したことはないし、海賊はいない方が良いぞ」
そんなことを調べる暇があるなら、訓練するなり海賊の情報を集めるなりした方が良いんじゃないか?
「ほう……腕に自信有りか。おれと射撃勝負でもしてみるか?」
「拳銃ではなく
何やら海軍切ってのスナイパーのプライドに火が付いたらしい。
「射撃に限らないただの勝負なら食後でもいいけど?」
「……やめておく。お前の体に銃弾で傷を付ける術は、今のおれにはない」
まだ武装色が出来ないからな。まあこの人ならもっと昇進すれば、オレかセンゴクさん辺りに目覚めさせられるんじゃないかな。
新兵の頃の訓練で、オレやゼファーさんがスモーカーさんに攻撃していたのを見たから、覇気の存在はこの人も知っている。ゼファーさんは能力者には必ず覇気の存在を拳で体に叩き込む。能力で効かないと油断している所に、武装色の一撃を食らい致命傷を負うのを防ぐために。
「ダディ君、そもそも効こうが効くまいがロゼを撃たないでくれる? この子の体は自分の意志で変えているから、能力が間に合わない可能性はあるのよ? ヒナ警告」
「関節を撃ち抜いて動きを封じるだけだ」
「目を撃ち抜かないだけ良心的だな」
どっちも撃たれるつもりはないが。
「そう思うならお前も止めろ」
「しかしだスモーカーさん。オレの【
「お前それ
目では捉えられない相手は見聞色で捉えれば良いが、両方優れているに越したことはないな。
「言われずとも。海兵から未来を奪うつもりはない。海賊には撃つけど」
捕まえている時点で未来は奪っているも同然。流石に火の方はあれだが、必要とあらば躊躇う理由はない。普段撃っている動物より的が小さいので、あまり速い相手だと狙えないが。止まっていれば余裕。
「おれ、たまにお前が何で海賊を今まで殺したことがねェのか不思議になるな。実は何人か
非常に失礼なことをダディさんに言われる。
「
「お前はそこらの海兵より海兵らしいな。そこらの海賊より海賊らしくもあるが」
「失礼な!!」
「いやだって、海賊の物は身に付けている服以外、根こそぎ追剥ぎしてるらしいじゃねェか」
「法的には何の問題もない。海賊は人権を剥奪されるから、あれは誰の物でもない。だからオレが貰って構わん」
「理論武装してやがるが、七武海とあまり変わらねェぞ?」
確かに似た部分はあるが……
「オレは海賊以外から追剥ぎした覚えはない。それに収穫の一部を納めてなどいないな」
「ふん、
スモーカーさんが話の流れを変える。
もしかして庇ってくれたのか? この人は何気にオレに、というよりも子供とか民間人に優しい。歩く時に歩幅を合わせてくれたりする。指摘すると絶対に否定するけど。オレを子供かつ民間人として扱う非常にレアな人。
「最近も問題を起こして除名されたのと、殺害されたのがいたわね。たしか……」
「逃げているのが〝
〝錬金術師〟ウロボロス、元2億7000万ベリーの懸賞金が懸けられていた、黄金を生み出し操る、覚醒したゴルゴルの実の能力者だった。
能力で生み出した黄金で七武海の地位を買っていた彼は、世界政府にとっては非常に良い金づるだっただろう。死んで能力で生み出した黄金は消えただろうな。もう使ってしまったとしても、世界のどこかでババを掴まされた人がいる。
空いた席にはハンコックと、最近新世界で四皇の〝百獣〟に敗れて壊滅したスリラーバーク海賊団の船長、元3億2000万ベリーの賞金が懸けられていた、カゲカゲの実の能力者の〝影法師〟が加入した。今は
「そうそれ……あれ? あなたが海賊を異名で呼ばないのは初めて聞いたわ。〝錬金術師〟じゃないの? ヒナ疑問」
「死人はもう海賊じゃないだろう」
あとは引退した海賊のことも異名で呼ばないな。
会ったことないけど、イヌアラシ伯爵とネコマムシの旦那とか。
「スモーカーさん的には、死人も海賊?」
「いや、死んでんだからそこは正直どうでもいい」
「でもロゼ。あなた、ゴールド・ロジャーのことは死んでいるのに〝海賊王〟って呼んでるし、嫌っているじゃない。ヒナ指摘」
「〝海賊王〟は死んで海賊じゃなくなっても嫌いだから。スモーカーさんはローグタウンで処刑を見たんだって?」
この人の出身は
「ああ、たまたまな。だからあの言葉も聞いたし、死に際の顔も見た。あの男、確かに笑っていた。自分の死を受け入れて、笑ってやがった」
ふうん、だから海賊はどこまでいこうと海賊って言うのか? 〝海賊王〟が死の間際まで変わらなかったから。
「ふははっ、死に際の言葉を直接聞いても海賊にならないあたり、本当に人の言うことを聞かないな」
「そんな理由で海軍に入ったわけじゃねェよ!!」
「冗談冗談」
「ったく……とにかく政府に認められようが七武海は海賊、信用ならねェ」
まあ、王下七武海制度がいらないと考えている人は海軍でも別に珍しくはない。
「おれは七武海には興味ないな。狙撃手がいない。それより赤髪海賊団の〝
どっちも狙撃手で有名だな。
海兵が四皇の船員とそう簡単に戦えないと思うぞ。下手を打てば海軍全体の戦争になるかもしれないから。
そもそも
「白ひげ海賊団はともかく、赤髪海賊団は今
四皇が一体何しに行ったんだか。元船長の墓参りか?
「ちっ……相変わらず、どこから情報を仕入れてくるんだか」
「新世界から
「じゃあお前は信用してるのか?」
「いや全然。海賊が紳士だの礼儀正しいだのと胡散臭い」
オレが信用している七武海はハンコックだけだな。直接会ったことがあるのもあいつだけだし。
「そもそも七武海を信用なんかする必要はない。ただ海賊の時代を終わらせるために利用すればいい。王下七武海制度自体は間違っていないと思うぞ? 政府の人選に問題があるだけで」
周りに聞こえないように小声で言う。
本当に何故あの裏切り者を七武海に選んだ。案の定、問題を起こして抜けたじゃないか。
「ロゼ、絶対他の海兵にそんな政府を貶すようなこと言っちゃダメよ? ヒナ注意」
「オレは相手を選んで言っているから」
「スモーカーとヒナはともかく、おれはいいのか? 口を滑らせるかもしれんぞォ?」
「その時はオレも、たまに訓練外で撃たれていることをうっかり滑らせてしまうかもしれない」
「おれとお前の仲だ、安心しろ」
「ああ、安心だな」
そうこう話していると順番が回ってきた。
財布を出して料金を払おうとして、落としてしまう。
「もう、何やってるの?」
姉さんに拾い上げてもらった。
「ありがとう。ちょっとドジった」
「…………はい、財布(今のって……後で話をする必要があるわね)」
注文を受け取り席に着き、食事をしながら話をする。
話の内容は、主に今年に七武海入りしたハンコックと〝影法師〟についてだ。能力や強さ、エピソードなど、ハンコックの情報はすでに出回っている範囲で、〝影法師〟のは知っていることをすべて話した。
ハンコックについては石化の能力者というくらいしかまだ広まっていない。あいつの場合、
〝影法師〟の悪魔の実の能力は、自分の影を実体化させ攻撃したり、自分と影の位置を入れ替えたり、他人の影を奪い自身の強化を行い、影を奪われた者が太陽の光を浴びれば消滅する、等の多彩な攻撃が可能で、影を奪いさえすればどんな鍛えた奴でも太陽の光で殺せるという凶悪極まりない能力だ。
食事を終えて、スモーカーさんは葉巻を買いに、ダディさんは走って自宅に帰った。朝は家族と食べるが、帰りはいつになるか海次第なので、待たずに食べてもらっているそうだ。
「ねえロゼ、わたくし明日は非番だし、今日は部屋に泊まって行かないかしら? ヒナ招待よ」
「いや……いきなり言われても着替えなんて持って来てな」
「服ならあるわよ。サイズも合うはず」
「……なんでそんな物が姉さんの部屋にあるんだ?」
「こういう時のために。合わなくなったら孤児院に持って行くわ。ヒナ寄付」
「わかった。ちょっと連絡してくる」
というわけでまた母さんに連絡し、ため息を吐かれながらも許可が出る。
今度ウイスキーを用意して持って帰るか。今11歳で、どこから見ても子供にしか見えんオレに普通の店で買うことは出来ないが、方法はある。
「というわけで、今日はよろしく」
「ええ、お喋りしたりしましょうか……」
適当に飲み物やらを買ってから、歩いて姉さんの自宅に到着。
お邪魔したこと自体はあるが、泊まるのは初めてだ。よく整頓された上品な部屋で、変わった所は小型のワインセラーにシャンパンが保管されていることと、ドネルケバブを焼くための回転する調理器具があること。
ワインセラーはもっと大きいのが家にあるが、あんな調理器具は初めて見た……業務用じゃないのか? あれ。
「さてと……じゃあ」
ガシャン!!
オレの首にピッタリ【
「ロゼ、正直に答えてね? ……財布に入っていた〝海賊女帝〟のファンクラブカード、しかも0番ってどういうことか、わたくしにわかるように教えてくれるかしら? ヒナ尋も、質問」
……あ~、さっき財布を落とした時に見えたのか。そういえばハンコックの話をしていた時に睨まれていた。それで詳しく聞くために今日は泊まらないかって……この首輪みたいな【
三姉妹の秘密に触れないよう言葉に気を付けながら、正直に話すか。
「ファンだから持っている。カードは貰った、本人に」
「弟が知らない内に海賊に誑かされてた!? ヒナ絶望!!」
床に手をついて
本人に渡されたなんて話を簡単に信じる辺り、やはりこれで脈を測っているようだ。
しかしこれは良くない流れ。
「誑かされていない。あと、会ったのは海賊になる前だ」
一度は石化させられてしまったが、誑かされてはいない。情に
「……嘘じゃない……では何故、
ワインセラーからシャンパンを持って来て開け、グラスに注ぎながら聞かれる。
「どうせ飲むなら話が終わってからにすれば?」
「飲まなきゃやってられないのよ、ヒナ飲酒!」
グラスを一気に飲み干し、また注ぐ。
良いやつだろうに……シャンパンも手に入れるか。手間は同じだ。
「そうか……それで、海賊になる前に会っていたのは、あいつがシャボンディで行き倒れていたのを(ニョン婆が)拾ったからだ」
「流石にそれは……嘘じゃ……ない、ですって?」
「ああ、
すごく言葉を省きながらも、嘘は言っていない。
「……結局、どうやって帰ったのよ?」
かなりのペースで飲んでいるが、大丈夫なのか? もう顔は赤い。
「ビブルカードは(ニョン婆が)持っていたようだから、シャボンディにいた海賊から蒸気船を奪って、
「つまり、彼女にとってあなたは恩人?」
「そういう言い方も出来る」
「そう……逆だったのね……やっぱり飲まなきゃやってられないわ。ヒナ焦燥(このままでは……)」
「いや、もう止めておいた方が……いくら明日非番だからって、体を壊すぞ?」
「あなたが原因よ。ヒナ
オレの静止も聞かず次々に瓶を開けて飲んでいく。
尋問、もとい質問は終わったので首を分離して首輪を外す。
そして……
「ふふっ……ロゼぇ~、なぁんでそんなに離れているのぉ~? もっとこっちに来なさい。ヒナ
とろんとした目付きで手招きされる。
完全に酔っ払いが出来上がっていた。酔った影響で普段よりかなり雰囲気が緩い。ヒナ泥酔。
「別に離れていない。姉さんが酔っぱらって、視覚の遠近感が狂っているだけだ」
「何を言ってるのぉ~? わたくしはぁ酔ってなどい~ま~せ~んっ! ヒナ
「酔っ払いは皆そう言うんだ!!!」
とはいえ、酔っ払いは人の話を聞かないし、こっちが大人しく言うことを聞くことにした。
このままでは何度も何度も同じことを言われる無限ループが発生する。
「はい、ロゼ確保ぉ。わたくしはぁ、狙った獲物は逃がさない~。今日はもう離れてはだ~めっ♡」
近付いた所を捕まり膝に乗せられる。これは今日はオモチャだな。ロゼ玩具。
「聞いてよ~。この前ねぇ~……」
その後は酔っ払いの愚痴を聞かされることになった。普段から結構聞いているが、酔っているせいか中々容赦がない。
というか……海兵って、大変だな……。
「な~んで能力者のわたくしが水泳訓練を受けないだけで、ブーイングなんてされなくてはいけないのよぅ。同じ能力者のスモーカー君は何も言われなかったのにぃ。ヒナ不満~」
「それは、皆姉さんの水着を見たかったんだろ。その気持ちはオレにもわかる」
ついに遡って新兵時代の愚痴まで言い出した。
水泳訓練は海で戦う海兵なのだから、能力者でないなら泳げるに越したことはないし、報告していない隠した能力者がいないか探る意味もある。
「ふふっ、じゃあ~後で一緒にお風呂に入る時に見せてあげるわねぇ~。ヒナ水着ぃ」
水着は持っているのか。オレはない。泳ぎの練習をする前に能力者になったから。
「いや、あれだけアルコールを摂取して風呂は止めた方が」
ただでさえ能力者だから危ないのに、下手をすれば心臓発作で死ぬぞ。
「後で一緒にお風呂に入りましょ~」
「いやだから」
「一緒に入りましょ~」
正に無限ループ!
もういいや。出来るだけ水を飲ませてアルコールを薄めながら時間を稼ぐか。もしかしたら酔いが醒めてなしになるかもしれないし。それはそれで残念だが。
「わかった。楽しみだ。だがもう酒は飲まないでくれ。飲むなら水を」
「は~い! ふふっ、楽しみなんてぇ大胆ね~! ロゼ
テンションが高いな……。
「まあ、周囲からの評価に不満や不平があるなら、これから変えていけばいい。もうすぐ姉さんも将校、自分の部隊が持てるようになる。多くの部下に慕われている人間には、自然と他の人間からも人望が集まるものだ。姉さんなら大丈夫、面倒見の良さはオレが保証するから」
確か少尉以上になれば、誰か上官の部隊に所属するか、自分の船を持って部隊を率いるか選べるはず。スモーカーさんは絶対に自分の部隊を持つだろうな。
「励ましてくれてるの? ありがとう! ヒナ感激よ」
「あれだけ愚痴を言われれば励ましもする。本当……毎日お疲れ様」
しばらくされるがままに揉みくちゃにされてから、
「……でも、あなたはあなたで心配だわ。ロゼ、もう少しあの島での自分の評価を改めようとしなさい」
真面目な口調でそう言われる。ようやく酔いが醒めてきたか。
一緒にシャボンディパークに遊びに行った時のことだな。悪いことをした。
「海軍に入るわけでもなく、お金のために力で人を傷付けているんだ。たとえその対象が海賊でも、あの反応は仕方ないさ。彼らは弱い。オレを恐れるのは当然だし、関わることで巻き込まれる可能性は確かにある」
改めようにも、ああも避けられては話が出来んし……行動あるのみだな。
「せめて、自分が捕まえた海賊の子供の面倒を見るのは控えなさい……聞いているのよ? わざわざ鍛えているって。復讐でも考えていたら……」
「それは出来ん。親が海賊でも子に罪はないし、あいつにとっては家族。知らなかったで済まんし、たとえ知っていてもあの海賊のことは見逃さなかっただろう」
似たような境遇で、自分は家族が大事なくせに他人の家族はインペルダウン送り。地獄があるならオレは地獄行きだな。
親の海賊船から海賊旗を外し、船で生活していて、様子を見るついでに軽く鍛えている。これから何をするにしても、オレに出来ることなんて限られる。いつまでも親の仇に付き纏われるのは嫌かもしれんが、この大海賊時代に自分の身を守れるくらいの力は必要だ。それまで我慢してくれ。復讐がしたくなったら何時でも相手になるから。
「はあ……本当に譲らない所は譲らないわね。でも、お風呂は一緒に入りましょうね? ヒナ混浴」
「覚えていたか……だがもう少し時間を置いた方が」
「大丈夫よ。体の隅々まできれいにしてあげるから♡」
「いや、流石にそれはマズ」
「一緒に脱ぎ脱ぎしましょうね?」
そしてオレの服が脱がされ……
☆☆☆☆☆
「ごくり……」
「ここから先は見せられない」
姉さんが覚えていると言った所はがっつり飛ばしたので、そんなに時間はかからなかったな。
「ちょ、ちょっと! どうして止めるのよ!?(ここまでは思い出したわ。励まされたのがうれしくて、〝海賊女帝〟に取られたくなくて、わたくしが完全にヤル気だったことも! 結局最後まで出来たのかが全く思い出せないっ! ヒナ不覚!)」
「そうは言うが流石に入浴中は……では音声だけということで」
「…………仕方ないわね、それでいいわ。ヒナ妥協ね」
「だが、知らない方が良いと思うぞ?」
「ここまで見てそれはないわ。ヒナ却下」
はあ……仕方ない。姉さんが何を知りたいのかは察しが付いた。そこだけ流すか。
『ねえ、ロゼ……禁断の関係って、どう思う?』
「ごほっ!?」
自分の声の録音を聞いて咳き込む姉さん。
だから言ったというのに……コーヒーを飲み干していて良かったな。
『そりゃあ、いけない関係だ』
『そうね……だからこそ燃えると思わない?』
するすると紐を外す音が聞こえる。
確か水着を脱いだのだったか。濃い赤色のビキニを。てっきり競泳水着だとばかり思っていたが、よく考えれば泳げん能力者が競泳水着なんて買うわけがない。しかし大変良いものだった。水着ありも水着なしも。
2年前オレがハンコックの魅了の石化に、ある程度は自傷もせずに耐えられたのは、美人からのスキンシップに慣れていたからだろう。あと気合。
『待て、落ち着くんだ! 今の姉さんは酔って正常な判断が出来ていない!』
『そこは、『ダメだ、オレ達姉弟なのにそんなこと……』って言われた方がより燃えるわね。ヒナ興奮』
『興奮させたら意味ないだろうがァッ!!』
本当にそれ。酔っ払いに言っても意味がないが、姉弟ですることではないとわかっているなら止まってくれ。
『あなたがいけないのよ? わたくしを惑わして……それに、あなたのズキューン!(※自主規制)はすっかりその気みたいだけど? ふふっ……ロゼも自分に正直になりなさい』
正直にと言われても、ただでさえ〝冥王〟の息子って爆弾を抱えている上に、相手が酔っぱらった姉……スリーアウトだ。
『素手で全身隈なく、体を密着させてじっくり洗われたりすればこうもなる! ありがとうございました!!』
かなり気持ち良かった。だからこそきつかったとも言う。あのエロい洗い方は絶対にわざとだ……。
「げほっ!?」
「止めるか?」
「いいえ、早く続きを聞かせなさい。ヒナ催促!」
目が血走って腕を掴まれる。今は逆らわない方が良いな。
『大丈夫……優しく奪ってあげるから。姉さんと、もっとイケナイコトしましょう……?』
ドサッ!
そう言った後に何かが倒れるような音がした。
「えっ? ここまで来て何なのこれは?」
「あれだけ飲んで風呂に長時間入れば倒れもする」
受け止めたが、目の前で意識を失い倒れられるのは非常に心臓に悪い。
「……これで終わり?」
「この後はオレが体をタオルで拭いて、服を着せて髪をドライヤーで乾かせた後に、ベッドまで運んで一緒に寝て、今日の朝までぐっすりだ」
「……なんでわざわざ一緒に寝てたの?」
「今日は離れてはダメって言っていたじゃないか。これに懲りたら、風呂の前後に酒を飲まないように」
1人でそれをやったら命に関わる。人がいれば良いってわけでもないが。
「(結局最後までは出来なかったと……ヒナ未遂)」
「返事は?」
「わかったわ、気を付けましょう(続きはまた今度……血の繋がりはないからセーフ。ヒナ義姉)」
こうして、お泊り会というにはあまりにインモラルな一泊は終わった。姉弟ですることではない……普段真面目な人がストレスを貯め込むとああなるんだな。
組織に所属するというのは、大変で気苦労が多いものだ。オレはこれからも
後日、オレが捕まえた海賊の子供の様子を見に行くと、
「気に入らねェことがあると八つ当たりにぶん殴ってくるろくでなしの親だったし、てめぇのことは恨んじゃいねェよ。だからもうあの厳しい修行は
と言われた。
「ええ……恨んでないなら恨んでないで別にいいが、それはそれとしてあの程度で音を上げるとは、甘ったれ過ぎじゃないか? そんな調子でお前はこれから先の人生をどうやって生きていく気だ。渡したお前の親の懸賞金も、使うだけで稼ぎがないならいずれなくなるし、子供が大金を持っていたら狙われるぞ? おまけにカナヅチ……修行は続行だな」
「
「なんとでも言え。お前を一人前にするのがオレの責任だ」
遊戯王のデュエルディスクの、モンスターが実体化するあれ。ARC-Vの質量がある奴はない。
止める人がいないので、遊戯王の海馬剛三郎がやっていたように海軍の軍事用シミュレーターとして使われたり、貴族の娯楽に使われるだろう。現在試作品かつ高級品。
【
指パッチンで【
派生技の【
〝錬金術師〟ウロボロス、元2億7000万ベリー
オリキャラ、故人なのでこのキャラ自体には出番はない。覚醒したゴルゴルの実の能力者。懸賞金は鋼の錬金術師の巻数27から取った適当なもの。
〝影法師〟
ゲッコー・モリアのこと。ビブルカードで異名が判明すれば変更します。ゾンビを使うのはまだこれからでしょう。
比較的真面目に海賊狩りしてた七武海だけど、力不足として最大級の問題児のドフラミンゴをけしかけられた人。
原作最初の七武海の問題児、〝砂漠の王〟ことクロコダイルは計画のために絶賛猫被り中。よくマリージョアや海軍本部に出入りし、古代兵器関連と
〝
ウソップの父親ヤソップの異名とワノ国出身で歌舞伎の女形みたいな服装の二丁拳銃使いのイゾウのこと。
イゾウがこの頃すでに隊長だったかは、彼若く見えるので微妙な所ですが、カイドウがワノ国を支配する前に海に出る方がまだ楽かなって。
ケバブとシャンパン
ヒナの好物。たぶん自分の船を持つようになったら、そこにも用意するでしょう。