機械の皇帝   作:赤髪道化

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 劇場版ONE PIECE STAMPEDE(スタンピード) 公開中!
 さらにさらにィ、今なら入場特典第一弾として、壱萬八拾九巻がついてくるぞ! 映画登場キャラや最悪の世代の海賊船のデザイン画、ボスキャラダグラス・バレットやブエナ・フェスタの映画に至るまでの人生が描かれていて、映画をより楽しめる内容だ!

 今回少しだけバレットに触れています。早くちゃんと登場させたい。
 今を逃すと出番が作りにくいキャラもいるので、登場キャラ多め。色んなキャラとの絡みを考えるのは大変だけど楽しいね。


〝船出〟

 今日はようやく出航、シャボンディを()つ日だ。

 しばらく来ることもなくなるだろうということで別れの挨拶と、ゼファーさんのお見舞いに海軍本部に来ている。

 

 さっきはDr.ベガパンクの所に行った。前の研究所が立ち入り禁止になってからは本部にいる。ジャッジとは3年前のあの時以来、頻繁に連絡を取るようになったそうだ。

 物に悪魔の実を食べさせる瞬間は初めて見たな。失敗だったみたいだけど。天然物じゃないと駄目なのかもしれん。悪魔の実の模様も、渦巻きではなく丸模様だった。

 オレみたいな子供が、昔考えた戯言を実現しようとするとは……オレ自身はもう試す気はないんだけどな。モサモサの実はビンズが食べたし、メカメカの実で充分だ。だが、成功すれば確実に海軍の戦力が増強されるな。

 

 発想としては〝鬼の跡目〟のガシャガシャの能力が近いか。

 〝鬼の跡目〟ダグラス・バレットは、昔の父さんと肩を並べる強さだったらしいが、ロジャー海賊団を降りた後にバスターコールの前に敗れたそうだから、どちらが強かったかは明白。父さんならバスターコールも返り討ちにして、酒を飲みに行っていたはず。

 父さんもオレと修行するたびに強くなっている気がする。

 

 

 そして今は、ヒナ()さんとスモーカーさんに会ったので、ゼファーさんの病室に行く道すがら、話して歩いている。

 

「もう行っちゃうのね……月日が経つのは早いものだわ。ついこの前までこんな小さかったのに。ヒナ感慨」

 

 自分の腰の辺りまで手を下げ、オレの昔の背の低さを表現する姉さん。

 

「小さいままの方が良かった? 足を取ったらそのくらいになれるけど」

「その行為に、一体何の意味があるんだ……?」

 

 すっかり髪を刈られることも少なくなったスモーカーさんがやれやれと呆れている。

 別に命令違反がなくなったわけではなく、階級が上がって少し見逃されるようになっただけだ。海軍は実力社会だから。

 

「腕も取ればだるまだっこが出来るわよ? 煙のおじちゃん

「だそうだ、煙のおじちゃん

「お前らがその呼び方してんじゃねェ……!!」

 

 やはりこの人、子供に甘いな。

 

「それにしても、姉さんはアクロトモフィリアだったのか?」

「いえいえ、そんなマニアックな趣味はないわ。ただ身動き出来ない無抵抗なロゼも(おもむき)があると思っただけよ。ヒナ普通(ノーマル)

 

 身動き出来ない無抵抗という辺りから、(ほの)かにSの香りがするな。うん、知ってた。

 

「何言ってんのか意味はわからねェが、マニアックな話を廊下でしてんじゃねェよ、姉弟プレイ異常(アブノーマル)バカップル」

 

 本当に四肢欠損性愛(アクロトモフィリア)の意味がわかってないみたいだな。まあ、実際マニアックだ。

 

「私達のどこがプレイでバカップルなのかしら、スモーカー君?」

「今の自分達の状態を見てみろ」

 

 言われて、2人で互いを見る。

 姉さんと手を握って、たまに肩が当たっている。

 

「何もおかしい所はないな」

「そうね」

「おれは恋人繋ぎしている真面(まとも)な姉弟を見たことがない」

 

 いやいや、このくらい普通だろ。この前、母さんともやった。遊びに行った時に。

 

「仲が良かったらするんじゃないか?」

「そうか、もう手遅れだったな。今更済まない」

 

 心底疲れたような顔をするスモーカーさん。

 

「それにしても、能力者相手とはいえ、ゼファー先生がやられるなんてな。あの人、お前の機械を何体も爆発させてただろ」

 

 話を変えるように、ゼファーさんの話を振ってきた。

 

 まあ確かに。いくらあの人でも大勢の新兵を守りながらはきつかったか、相手が桁違いに強かったか。どういう理由か知らないが、その海賊が誰なのか情報が伏せられている以上、後者かもしれない。

 

「ゼファーさんの【ブラック・パンク】は、オレの弱点の1つだからな。それも、武装色が弱いオレには対策し辛い(たぐい)の」

「……あなた、弱点なんてあったのね。というか、あなたが武装色弱いって、冗談でしょ?」

「弱いぞ。今の中将で、オレより武装色が強い人なんてわんさかいる。見聞色では誰にも負ける気がしないが」

 

 

 オレが武装硬化を出来るようになった時、『お前でも出来るならおれにも出来るんじゃないか』と、結構な人がコツを聞きに来た。【鉄塊(テッカイ)】が出来る人には、『【鉄塊(テッカイ)】の要領で武装色を固めてみてくれ』と言えば、その場で出来るようになった人が何人もいた。『あっ、出来た』って。

 正直あれは辛かった。オレは習得に何年もかかったんだけどな……父さんには六式(ロクシキ)を見せたら、一目で再現されたし。どいつもこいつも天才か。

 

 オレが強くなっても、周りの人だって当然強くなる。ガープさんとかいう大将への昇進を拒否した中将詐欺はともかく、他の戦ってくれる人には白兵戦で勝てるようにもなったが、油断すると負ける。

 人の技をパクれば、自分の技もパクられる。

 まあ、『今は弱い』ということは、『まだ伸び代がある』と考えておこう。

 

 

「中将の人達に勝ったりしているのに、武装色が弱いの?」

 

 オレの心を読んだように、姉さんに聞かれた。

 

「見聞色では負けていないから躱せばいい。それに武装色の強さでは負けているが、その差を技術で補って五分五分(ごぶごぶ)に持ち込んでいる。【ブラック・パンク】みたいなかんじだ」

 

 正確には能力も上乗せしているが。

 武装色が捉えるのは能力者の実体。能力を無効化しているわけではない。海楼石よりも抜け道はある。

 

「技術? あれって、硬化した腕でただ殴ってるだけじゃなかったのか?」

 

 ああ、そこからか。

 

「全然違う。あの技は、硬化した黒腕が【RR(レイド・ラプターズ)】を殴った瞬間、オレの哀れな程薄っぺらな武装色を無理矢理ブチ破り、機体の噴射口や銃口みたいな穴から、もう片方の腕とかの攻撃に不要な部分の武装色を流し込み、内側から破裂させることで爆発しているように見えるだけだ……どうかしたのか、姉さん?」

 

 横で、オレと繋いでいない方の手の指を顎に当て、何か考えていた。

 

「ゼファー先生の黒くてぶっといあれが、ロゼの薄いものを無理矢理破り、中に流れ込んできて壊れちゃう……?」

「待て、待つんだ姉さん! それはいけない、それ以上いけない! その道は修羅の道だ!」

 

 姉さんの腕を両手で軽く引っ張る。、

 

「修羅道ではなく衆道。ヒナ訂正」

「どちらでもいい、やめてくれ……! 鳥肌が立つ」

「ふふ、ロゼはこの手の話題がホント駄目ね。その表情、すごくそそるわ……!」

「歪んでやがる……(こいつはこいつで、修羅場の地雷原でタップダンス踊ってやがるし、正気か……?)」

 

 

 スモーカーさんが呟く。

 

 オレの心からの懇願が、姉さんのSっ気を刺激してしまっているようだ。物理的に引っ張ったところで止まらない。非常にご機嫌そうな様子。

 

 だが無理。タイガーさんと一緒にマリージョアで目撃した、腐った女天竜人が奴隷にさせていた、身の毛もよだつ貴族の狂宴が脳裏に蘇る……まさかあのような(おぞ)ましき精神攻撃(マインドトラップ)が待ち受けているとは。

 覚悟が足りていなかった。というか、あんなものを目撃する覚悟など最初からしていなかった。記憶から消し去りたい。歴史の闇に葬りたい。

 あの時は思わずフリーズし、タイガーさんもあんな経験があるのかと疑い、無言で数歩分距離を取ってしまった。だが、流石にこれはオレも悪くないと思う。

 それにしてもスモーカーさん、この話題はわかるのか。

 

 

「おい、なんだその疑惑の目は?」

「オレ、男に興味ないから」

「おれだってねェよ!」

 

 スモーカーさんに怒鳴られた。

 オレもこんな疑惑を向けられたくないので、普通の反応だ。慌てたりしたら怪しいが、ただ怒っているだけ。問題なさそうだ。

 

「そうか、良かった。ドレイクと同じかと

「女が苦手=男好きって図式はやめてやれ。というかお前、あいつに嫌われてねェか?」

「嫌われているというか、苦手意識は持たれているな。せっかくフィジカルが強いのにメンタルが貧弱だったから、新兵時代に語尾に『ドン』とか『ザウルス』とか付けて煽った結果ザウルス」

 

 爬虫類とか恐竜好きの、リュウリュウの実古代種、モデル“アロサウルス”の能力者であるドレイクには効果覿面で、『恐竜をバカにするなァッ!!』とすごくキレられた。

 その甲斐もあってか、はたまた関係なく自分に自信が持てたのか、オドオドしていたのがちゃんと胸を張って話せるようになったようで良かった。

 

「あなたその、別に嫌われてもいいやっていう考え方どうにかならないの? ヒナ苦言」

「人を育てるって難しいから。それに、嫌われても二度と仲直り出来ないわけでもなし」

 

 先生とか人を鍛える立場って、嫌われるものじゃないのか? よく『あの先公マジうぜぇ……』といった心の声が聞こえてきたけど。

 

「(彼はあなたより年上……というかわたくしと一つしか変わらないのだけど)そういえば、あなたが面倒見ていた海賊の子はどうしたの?」

「『汗臭い修行はもうこりごりなんだよ! もっと甘やかしてくれて、一生だらだらしていても怒られない場所に行ってくる』って置き紙して消えた。アッカンベーした絵と電伝虫の番号も書いてたな」

「仲が良いのか悪いのかわからないわね……」

 

 置き紙の過去を読み取ったが、誰かに攫われた様子でもなかったし、たまに電話がかかってくる。獣臭い奴がいるとか愚痴られる。

 

 

「話を覇気に戻して、実演するとこうだ」

 

 ポケットからレベッカと武装色の訓練を兼ねて遊ぶ用のバルーンアートの風船を取り出し、

 

 パァン!

 

 武装色を流し込み、内側から破裂させた。

 

 武装色が弱いオレがしても大した威力は出ないが、ゼファーさんがこれをやると一撃で敵を戦闘不能にする必殺技になる。

 父さんが奴隷の首輪を外した方法もこれだそうだ。武装色が強い人間がやれば、海楼石の手錠も壊せるかもな。少しずつ上がってはいるものの、今のオレには不可能だが。

 

「武装色の流れを感じるようにならないと、コントロールが上手い人間相手だときついぞ。先程まで自分の武装色で防げる拳が、一瞬で危険な攻撃に化けるから」

「……拳銃を使う中将以上の人が少ないのって、これが理由?」

 

 自分の武装色で拳銃を壊してしまうから、ということか。いい線いっている。実際、壊さないよう少量の武装色しか発砲前の時点では纏えない。

 

「それもある。後は新世界の海賊には銃弾を避けられる奴はゴロゴロいるらしいから、当てるためには相手を上回る見聞色が必要になってくる。逆に使っている人は、発砲の瞬間、拳銃から飛び出た銃弾に武装色を流す素早い武装色のコントロールと、相手の動きを読み切る見聞色に自信がある人だな」

 

 

 オレは見たことがないが、おつるさんがライフルを使っていたとか。ダディが拳銃で練習中だ。

 20年程前にインペルダウンに投獄されたという〝世界の破壊者〟バーンディ・ワールドは、モアモアの実の能力で銃弾の大きさと速度を最大100倍まで倍加させ使用していたと、父さんから聞いたな。

 

 武装色を纏うなら矢やボウガンの方がやりやすい。ガープさんがそこまで考えているかは知らないが、あの人の【(ゲン)(コツ)隕石(メテオ)】は意外と理に適っている。砲弾を大砲より速く投げられるなら、手で掴んで武装色を纏い投げた方が威力が出る。

 

 

「じゃあアインちゃんは自信があるってこと?」

「あいつはあいつで特殊というか例外というか、悪魔の実の能力の裏技を使っている」

「どういうことだ?」

「能力者と能力は見えない何かで繋がっている。それを利用して、あらかじめ銃弾をモドモドの能力で1年戻して、銃弾が発射されてから目標に着弾する前に武装色を流しているから、時間の余裕がある分、普通よりスピードが必要ない」

 

 オレが【RR(レイド・ラプターズ)】でよくやる手だ。

 利点がある反面弱点もあるが、それをやってくるのは父さん位だ。〝赤髪〟や〝鷹の目〟辺りは出来るかもな。オレはまだ出来ない。

 

「スモーカーさんだと、自分の体ではない、葉巻の煙なんかも操れるようになれば、煙を吸った相手を内側からズタズタに出来るようになるから、厄介だな」

 

 クザンさんが氷を操るように。

 あの人は水も操るようになったが。ネプチューン軍の訓練に混ざって覚えた【水心】をパクられた。氷の能力が水と相性が良かったのか、魚人族や人魚族のように、オレより大量の水を操れる。

 

「煙は武装色で防げないってこと?」

「煙というか空気? 防げるものに個人差はあるだろうが、オレは武装色を使っている間、呼吸が出来なくなったことなんてないな。スモーカーさんみたいに、能力で体を煙に変えているなら、問題なく攻撃出来るが」

 

 こちらの攻撃の風圧に身を任せ避けるようになってきたのがやりにくいが。そのうち理科の実験みたいに、煙で雲を作りだすかもしれん。

 

「当たり前と言えば当たり前だが、つまり毒ガスも防げないってことか……それにしてもお前、負けると普通に悔しがる癖に、そういうアドバイスとかはするな?」

「敵ってわけじゃないからな。相手が強くなったなら、その上で超えていけばいい。それに、そういうことはオレを倒してから言ってくれ。スモーカーさんに負けたことはないぞ?」

「はっ、言ってろ」

「ふははっ、歳はオレが下だが、先輩としてのアドバイスだ。覇気は奥が深い。能力と組み合わせればさらに力も増す」

 

 言いながら、両手の人差し指を上に向け、指先から武装色を流し、文字を形作り硬化させる。

 宙に正義の文字が浮かぶ。

 

「あら器用……でも、これ意味あるの?」

「当然ある。出来るようになったら教えようか。どう使うのか、考えておいてくれ」

「この歳で宿題を出されてしまったわ……」

 

 そこまで話したあたりで2人と別れた。

 さて、ゼファーさんの病室に行くか。

 

 

 

「ぶわっはっは! 思ったより元気そうじゃな、ゼファー! 煎餅食うか?」

「フッ、腐るのは止めだ。あのクソ海賊はおれが捕らえる……あとその煎餅は、元々おれへの見舞いの手土産だ」

「お茶入れるから大人しくしてな(驚いたねェ……ガープじゃないが、もっと塞ぎ込んでるものと思ってたよ)」

「まあ今は休んでおけ(少々危ういが持ち直したか……今度ばかりはもうダメかと)」

 

 病室に近付くと声が聞こえてくる。ガープさんにおつるさん、センゴクさんが来ているようだ。

 海軍首脳会議の会議室ですか? ここは。

 コンコンコン、と扉をノックする。

 

「今日シャボンディを発つしがない賞金稼ぎ(バウンティハンター)だ。入っていいか?」

「おお、ロゼだな。入れ入れ!」

「……ここはおれの部屋だ、ガープ。まあいいが。数日ぶりだな」

 

 許可を得てから扉を開き入室する。

 ゼファーさんがベッドの上で体を起こし、傍らに椅子に座った2人と空いた椅子が1つ。おつるさんが急須でお茶を入れている。

 

「3人とは結構会うけど、おつるさんは久しぶり」

「……元帥のセンゴクと訓練教官のゼファーはともかく、なんであたしと同じ中将のガープは久しぶりじゃないんだろうねェ?」

「んっ!? あ、いや、それはあれじゃ。高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処するためにじゃな……」

「目が泳いでるよ」

 

 慌てるガープさんを尻目に、椅子を持ってきて、お茶を貰う。

 

「ありがとう。前に会ったのは、ガバナーの武器の横流しの証拠を渡した時だったな」

「そうだねェ……20年程前の軍法会議じゃ証拠不十分で無罪になったけど、よくまああそこまで詳しい証拠を見つけたねェ」

 

 過去を覗いて現場をそのままプリントした。この手に限る。

 他にはネズミとかの横領も押さえたな。

 

「それで、どうなったんだ?」

「相応の処分が下されたよ。正義ってのは時に非情な選択を迫られるもんさ。でも、それはあたしらの力不足故のこと。驕っちゃいけないよ。ましてや、金銭欲や権力欲に溺れて私腹を肥やすなんて言語道断さね」

「はあ……情けない。新兵時代にぬるくし過ぎたか……?」

「だからお前は今は休め。ガープ、お前には後で話がある(情報違いであって欲しい……)」

「え~ッ」

 

 考えてみれば、この同期の4人が揃う所を見たのは初めてだな。おつるさんがたまにしか会わないから。

 

「はいこれ、ウチのパティシエに作ってもらったお茶菓子」

 

 ゼファーさんに、持ってきた紙袋ごと渡す。

 

「ああ、機甲旅団の」

「機甲旅団……? オレと愉快な仲間達のことか? 牛や鶏を数に入れても旅団規模の人数なんていないぞ?」

 

 

 航海士で、航海日誌を魚人島に報告するウィリー。

 狙撃手のトリガーハッピー気味なダディ。

 操舵手の、この前借金取りのトマトギャングに肩代わりして借金0ベリーになったパンダマン。

 医者のトリスタン。内科医寄り。尻尾含む色々もふもふ。

 科学者のレイジュ。レイドスーツのデザインがエロい。ジャッジの趣味……?

 そして娯楽枠に、パティシエのメイプル、音楽家のキャロル、踊り子のスカーレットとお花屋さんのレベッカ。

 牛乳や卵を恵んでくれる牛や鶏達。

 最後に、操帆手、船大工、斥候、教官、看守、飼育員、戦闘員その他を担う農民であり雑用、ついでに名目上の船長のオレ。

 合計10人とちょっとだ。正直あの船に乗るにしては少な過ぎる人数。足りない人手はオレが補っている。元々は1人で動かそうとしていたし。

 

 

「お前1人でそのくらい増えるだろ」

「ただの旅する団じゃな」

「まだ人数欲しいな。船大工に植物学者、ファッションデザイナーあたりが特に」

 

 他には、出来ればコックも欲しい。今の所交代で作れる人が作ることになっている。

 

「船大工はまあ普通だな。植物学者も、お前の目的を考えれば納得だ。ファッションデザイナーってなんだ……?」

「衣食住は人間生活の基本だろ。船員……団員には健康で文化的な生活をしてもらいたい」

「そういやサンダルはやめたのかい? 革靴になってるねェ」

 

 おつるさんがオレの靴を指差しながら言う。

 

「……レストランなんて行ったことがなかったから知らなかったが、男のサンダルは服装規定(ドレスコード)違反だった。ずっとオレはサンダルで魚人島の王族に会っていた、人間族の恥さらしだったんだ……恥ずかしい!」

 

 スカーレットに聞いて初めて知った。無知の知ならぬ無知の()だ。

 何故オトヒメ様達は教えてくれなかったのかと思ったが、人口の半分近くが足がなく尾ひれの国にそんなマナーはなかったそうだ。

 文化の違い。ワノ国なら市中引き回しの上打ち首獄門が妥当であっただろう……いや、あの国は草履だからサンダルでも問題ないか? サムライ! ハラキリ! ブシドウ!

 

「妙なとこ抜けてる子だねェ……まだ10代のひよこが、そんなに気にすることじゃないよ」

「ぶわっはっはっは! ロゼも昔に比べればデカくなったが、おつるちゃんにはひよこか!」

「あたしゃアンタのことも、デカいジジイのガキだと思ってるよ」

「ジジイのガキって何じゃあ……?」

「的確な表現だ」

 

 そんなことを話して、お茶を飲みながら過ごし、病室を出た。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 病室を出て食堂、三大将にこの前の奢りをしながら、ゼファーさんの様子を話した。

 その後はオレの旅の行き先の話になり、

 

「そんで、お前はまずどこに向かうんだ?」

「とりあえず、魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)を迂回してウォーターセブンに行く」

 

 あそこに島はないし、七武海と無用な衝突も避けたい。あの男があの海域に潜んでから、ウォーターセブンから来る海賊は実際いなくなった。

 ステューシーの話では、特別(スペシャル)だの異常(アブノーマル)だの過負荷(マイナス)だのというゾンビがいるらしい。

 もし除名でもされれば狩りに行くかもしれんが。

 

「まあ~、あそこは避けた方が良いだろうねェ~(シキみたいな脱獄防止を兼ねてるとはいえェ、政府は少々モリアに力をつけさせ過ぎな気もするけどォ……)」

「新世界に行けい、新世界に。何を呑気に観光旅行なんぞしようとしちょる」

「今のオレが行っても、ドラゴンの群れにアリが突っ込む愚行だろ」

 

 こっちには10歳未満の子供が2人もいるんだぞ。あんまり危なっかしい真似が出来るか。

 

「アリはアリでもシロアリ、それも羽つきの増殖するシロアリじゃ。お前には、勝てずとも負けん戦い方が出来るじゃろうが。屋台骨を食いちぎって引っ掻き回してこい」

「羽虫の害虫扱いは流石にキレそうだ。あんな覇王色で駆除出来る程度の存在と同等だと……?」

 

 せめて益虫のクモならまだしも。

 

「お前、害虫駆除に覇王色使ってんのか……(というか、ナチュラルに『新世界に行く=四皇にケンカ売る』って思考回路してんのな、こいつら)」

「すぐ終わるし、殺虫剤いらずで子供の体にも優しい」

 

 おかげで我が家に飲食店の天敵、黒光りして増殖し飛翔するGはいない。昔メイプルに言ったみたいに、賞金稼ぎ(バウンティハンター)と食材集めしながら、飲食店やるのもありだな。

 

「餞別じゃ、持って行け」

 

 食事を終え席を立とうとした時、そう言ってサカズキさんが渡してきたのは

 

「髭の生えた電伝虫? 何だこれ? 初めて見たけど」

 

 噂に聞く盗聴妨害の電波を飛ばす白電伝虫か? 希少種の。

 

「わしのゴールデン電伝虫の電波を受信するシルバー電伝虫じゃ」

 

 ゴールデン電伝虫、バスターコールを発動させる時に使われる特殊な電伝虫。

 バスターコールとは、海軍本部中将5名と大型軍艦10隻を一点に召集する緊急命令。

 国家戦争クラスの軍事力を有し、島1つを消し去ることが出来る程の力を持つ。任務を遂行のためならば、敵味方関係なく無差別攻撃することも(いと)わない。

 オハラや〝鬼の跡目〟等を対象に発動されたことがある。

 

「オレのことをバスターコール扱いするのはやめてくれないか?」

 

 何が餞別だ。オレを()き使う気満々じゃないか。

 

「〝機甲〟は気に入らないんだろ? じゃあ〝一人バスターコール〟とかでよくない? あっ、おれも渡しとくわ」

 

 何その物騒かつ寂しい異名。

 オレ以外人が集まらなかったみたいだ。オレだけハブられたみたいだ。

 

「オレがぼっちみたいだからやめてくれ。というか、あんたらもオレと同じような結果が出せるだろ」

「見た目の物量的にィ、キミが一番似合ってるねェ~。わっしのも、はい」

 

 どんどんオレにシルバー電伝虫が集まってくる。

 こんなにいらない。というか1つもいらない。何故この人達は、オレを弄る時は一致団結するんだ。

 

「返却する。不要」

「海兵以外の人間の発言は却下じゃ」

「圧政!? 世経(せけい)に取り上げられて世間様からバッシングされろ!」

「あそこは政府と繋がっちょるけェ、そんな見出しは書かん」

 

 CP(サイファーポール)お得意の情報操作か……。

 

「お前なら民間人に被害出そうとしないだろ?(まあ、バスターコールする気ないけど)」

「コスパが良い上、軍艦10隻を動かすより、君1人飛んで行った方が速いからねェ~」

「動員出来る戦力は多いに越したことはないわい」

 

 三者三様の返答がくる。

 

「それに、本当に返してしまって構わんのか?」

「何? どういうことだ?」

 

 もしかしてバスターコール以外に、他に使い道が

 

「わしに返せば、オハラの時のように、お前の思想に沿わないやり方にバスターコールが使用されるかもしれんぞ?」

「なっ!? や、やり方が汚いぞ!! それが正義のやることか!?」

 

 あくどい顔しやがって……まるでマフィアの首領(ドン)だ。

 

「必要な犠牲じゃ。文句があるなら口先ではなく行動で示せ。わしの言いたいこと、わかるな?」

「ぐぬぬ……」

 

 つまり、『口で否定するだけなら誰でも出来る。代案を出せ。言う通りに動いてやる義理はないから、そうしたいなら先に自分で行動しろ』といったところか。

 

「なんでこいつら、()()で意外と仲良いんだろ?」

「海賊を倒すに至る過程や手段が違うだけでェ、好みが全く合わないわけじゃないからじゃない? この前盆栽の話で盛り上がってたよォ~」

「渋いな……」

 

 

 サカズキさんの脅しと言える言い分に屈し、結局受け取ることにした。【RR(レイド・ラプターズ)】だけ送るか。それが最適解。本体であるオレを倒せば消えるのにオレの居場所が遥か彼方。

 それで海賊だけ倒して民間人は逃がそう。オレなら見聞色で見分けられる。

 寝ている間も、そして今も能力を使い船の出航準備をしているせいか、日に日に悪魔の実の能力が上がっているのを感じる。

 

 さっきサカズキさんが言っていた『屋台骨を食いちぎれ』とは、【RR(レイド・ラプターズ)】だけでひたすら四皇の縄張りを荒らし回り、兵糧や金を焼くなり奪うなりの嫌がらせをしつつ倒せる敵は倒して、勢力の力を削れということだろう。

 性格は悪いが、やられたら非常に困る手だ。オレならキレて本体を草の根分けても探し出し潰しに行く。だから今はやらない。

 

 船にはアジサイを含むいくつかの花もあるから、たんとお食べ、シルバー電伝虫達。なんか名前で親しみを覚える。

 

「金はいらんが、オレを呼ぶ度に貸しが発生すると思ってくれ。まあ、オレがいなくなっても、仲良くしなよ……あっ、すまない」

「あん? 何謝ってんだ?」

「サボり魔に」

 

 クザンさんを指差す。

 

「マイペース」

「ん~?」

 

 次にボルサリーノさんを指差す。

 

「そして味方への誤射(フレンドリーファイア)ならぬ、味方への粛清(フレンドリーマグマ)

「なんじゃい」

 

 最後にサカズキさんを指差す。

 

「……こんな3人に『仲良く』などという、高度に社会的な行動を期待するなんて……無茶を言って、本当に申し訳ない。オレの頭はどうかしていたようだ。まあ、殺し合わないことくらい、出来るよな? それとも、ちょ~っと難しかったかな~?」

シロアリと一人バスターコール(さっき)の意趣返しか。煽りおるわ」

「これでケンカしたらァ、もォ~っと小馬鹿にされそうだねェ……」

「幼子に接するみたいな口調が腹立つ」

 

 レベッカと話したり、シャボンディの子供に路上で【RR(レイド・ラプターズ)】のサーカス(もど)きの芸を披露する時の口調が出てしまったか。

 

 まあいい。オレは確かに貸しだと言った。記録はした。気軽にポンポン呼び出そうものなら、オレも遠慮なく取り立てるからな。金でなんて済まさんぞ。

 というか海軍所属じゃない者にこんな物を……外堀を埋めようとしてる? 入隊させるための既成事実作り?

 まるで家に来た時に歯ブラシを置いて帰って、自分の痕跡を残そうとするような……ダメだ、あの3人で想像するな。吐きそう。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 マリンフォードから飛んでシャボンディに帰宅する。

 父さんと母さん、ハンコック達に、珍しくニョン婆もいるな。

 

「ただいま。ニョン婆久しぶり。元気にしてたか?」

 

 何かまた縮んでないか?

 

「おお。そなたの門出じゃ。見送りにニャ……そなたのわしへの態度は昔と変わらぬニョう」

「ん? ああ、九蛇(クジャ)じゃないからな」

「あそこの者達は、年々わしへの対応が雑になってきておる。近頃の若い者は……もっと年寄りを労わる心をじゃな」

 

 あそこは強いものこそ美しい。

 年老いてかつての強さを失った元皇帝には、たいした敬意は払われないらしい。

 

「いつまでも年寄り臭い話をしておらず、さっさとそこをどかぬか!」

「なんじゃとォッ!?」

「いつかみたいにニョン婆蹴り飛ばしたら、しばらく電伝虫の着信拒否する」

 

 以前、『誰じゃ!? こんな所に老婆を置いたのは!?』とニョン婆を蹴り飛ばすという考えられん暴挙に出たハンコックにドロップキックをかまして九蛇(クジャ)海賊団と戦争(ケンカ)した。

 懐かしいな。今考えたら皇帝を足蹴にしたオレも大概だな。

 

「お、おのれェ……(老婆の分際でわらわを差し置いてチヤホヤされおって……!)」

「もう少し敬老精神を持っても、罰は当たらないんじゃないか?」

 

 ていうか、ニョン婆がいなかったらお前達は女ヶ島(にょうがしま)に帰れなかったかもしれんのだが。

 

(あね)様は、この前ロゼをお持ち帰り出来なかったからご機嫌ななめなのワン」

「ニョン婆に妬いてるメェ」

「気に入ったのか、それ?」

 

 

 ソニアとマリーがイヌ耳とヒツジ耳のカチューシャを付けていた。ワンダーソニア(仮)とメリーゴールド(仮)だな。

 

 今年最後にルスカイナを訪れた時のこと。

 ハンコック達が料理を作ってくれたというのでありがたく御馳走になると、美味しそうな鍋が運ばれてきた。

 何でも出来るなと思いながら、一口食べて美味しいと感じた瞬間、舌が石化した。フゥ、またこれか……。

 喋れなくなったので見聞色を使いハンコックの体に直接聞くと、隠し味にメロメロの能力を使って、拉致しようとしていた。【メロメロ献立(メニュー)】というらしい。

 ハンコックは普通にしていたら完璧で幸福な美人なのに、どうして余計なことをしてオレの評価を落とすのだろう? 解除してもらって食べたら味はとても美味しかった。

 何故最初から素で出してくれないのか……歌の時も似たようなことを思ったな。

 

 Sの皮を被ったMなんじゃないかと疑問。なので、試しに角に翼、尻尾を付けて悪魔みたいな仮装しないとしばらく口を聞かないと軽く辱めてみた。

 コケティッシュな衣装に身を包み、口では『屈辱じゃ……!』と言いながらも、どこか満足そうなサタンコック(仮)が降臨した。この人どっちの気もあるわ。

 ソニアとマリーが今付けているのは、その時(たわむ)れに付けてたやつだな。

 

 

「妬いてなどおらぬ、怒っておるのじゃ! 全く、しばらく会い辛くなるのでわらわが直々に会いに来たというに、しわくちゃの老婆と戯れおってからに……」

「? 旅に出てからも今まで通り、遊びに行くつもりだったんだけど、まずかったか?」

「え?」

「え?」

 

 なんでそんな予想外みたいな顔なんだ。

 その後、ハンコックの機嫌が直ったのかいつもの調子に戻り、

 

「双子岬に行って灯台守のクロッカスに会ったら、これを渡しておいてくれ」

 

 父さんから手紙を渡された。

 双子岬は偉大なる航路(グランドライン)の入り口だな。

 たしかクロッカスという男は、人探しのために数年同じ船に乗っていたんだったか。

 

「わかった。急いだ方が良いか?」

「なに、ただの世間話だ。ついででいいさ」

 

 そうか。東の海(イーストブルー)に行く時、もしくは偉大なる航路(グランドライン)に戻ってくる時ついでに寄るか。

 手紙を懐に入れる。

 

「ハンカチ持った? ティッシュは? 何かあったらいつでも帰ってきなさいね?」

「大丈夫だ、問題ない」

 

 遅くても次の誕生日にはまた会うだろう。

 オレの誕生日は毎年、感謝の手紙を父さんと母さんに渡す日だ。

 

「そろそろ行かせてやらんか、シャッキー……もうかれこれ1時間だぞ」

「ていうかあと3年くらい遅らせても良くないかしら? まだ15歳よ、15歳」

「ワノ国なら元服して大人の仲間入りだから平気」

 

 今年になって旅に出ると言ってから始まった母さんのブロックを躱し、コーティングした船がある魚人島に向かった。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 魚人島に着き、竜宮城でしらほしと遊んでいるレベッカ、キャロルの子供2人と保護者のスカーレット、あと挨拶すると言っていたレイジュを迎えに行く。他の船員は船の方だ。

 

「お帰りダーリン♡」

「ただいま……ここオレの家じゃないけど」

「私があなたの帰る場所!」

 

 レイジュが腕に抱きついて来た。

 初めて会った時は、可愛くも、控えめに言って今のレベッカ達と変わらないつるぺただったが、しばらく見ないうちにずいぶんきれいになった。前に写真を見せてもらった母親によく似ている。会えなくて残念だな。

 

 少し離れた場所では、ネプチューン様にオトヒメ様、スカーレットがティータイムと洒落込んでいる。ネプチューン様、居心地悪そうだな。

 

「それで、あの子達は何してるんだ、フカボシ?」

「聞けばわかる……」

 

 何か言い争っている様子の子供3人を遠巻きに眺めているフカボシ達に促され、耳を傾ける。

 

「私のお兄様達の方がすごいです! 歌って踊って戦えます! 3人に勝てるわけないです!」

「私のお兄様の方がすごいもん! 飛行機雲で絵を書いたり、花火打ち上げられるもん! なんか良い匂いするし!」

「まあ結局のところ、私のパパが一番すごいんだけどね?」

 

 ああ、なるほど。自慢されてうれしいから止め辛いのか。

 ケンカというにはかわいいじゃれあいだな。

 まあでも、いつまでも待ってられないから、ここらで止まってもらおう。

 

「おーい、そろそろ行くぞー!」

 

「お兄様は黙ってて!」

「そうです! がーるずとーく中です!」

「今大事な話をしているところなのよ!」

 

 総スカンである。姦しい。

 

「大人はそういう時、みんなすごいって優劣つけず結論出さず、仲良く笑い合うもんだぞー!」

 

「キャロルちゃん様のお父様はお会いしたことがありませんのでわかりませんが、ロゼさんも高性能ですごいのです」

「ダディさん、渋くてカッコいいよね。さすらいのガンマンってかんじで」

「しらほしちゃんのお兄ちゃん達の歌と踊り、わたし好きよ」

 

 背伸びしたい年頃なのだろう。この手に限る。

 

「あらあの子、子供の扱いに手慣れ過ぎ……?」

「普段レベッカにも、嫌われるどころか慕われた上で、上手く勉強とか教えてますね」

「あの子わからないところを見聞色で読んで教えてるらしいですよ? ウチのしらほしに一番厳しいのもあの子だけど、全然嫌われてないし(ロゼがいなくなると、外に出る度に左大臣達の小言が……天使達を一緒に連れて行きましょう。最近逞しくなってきたし)」

「たぶんわしらがしらほしに甘過ぎるんじゃもん……」

 

 

 無事妹とキャロルを回収。

 だがまたオレにレベッカの矛先が向いた。

 

「お兄様は戦わない方が良いと思うな……雰囲気怖くなるし。特に目が怖い」

「そ、そうか。怖いか……」

「私は大好きよ! 何もかもを見通すような鋭い眼光、あなたの前じゃ私は丸裸……」

「……ありがとう。かなり大げさだけどうれしい」

「ああダメ、直視出来ない……♡」

「おっと」

 

 目を見て礼を言うとダウンした。早く慣れてくれないものか……。

 

「何ですかあれ?」

「元々好いていたのが、久しぶりに成長したロゼの姿を見て、見た目にも惚れ直したそうです」

「若いですね~。私にもあんな時代がありました……」

「(あの娘、声がオトヒメに似ている上内容が内容だから、話している声が聞こえると複雑な気持ちになるんじゃもん)」

「オトヒメ様だってまだお若いじゃありませんか」

「いえいえ、あなたのお肌もとってもきれいで、妬いてしまいます」

「(女子トーク混ざり辛いんじゃもん)」

 

 

 とりあえずレイジュを背負う。

 

「と~に~か~く~! お兄様はもっと私に構うべき。ネグレクト!」

「ふははっ、構ってちゃんめ。心配せずとも、これからは一緒に居る時間も増えるだろう」

「ホントッ!?」

「ああ。だからその分、いっぱい勉強しような」

「ワーイ、オベンキョ。レベッカ、オベンキョ、ダーイスキ……」

 

 レベッカの目から光が消えた。子供がしていい顔じゃない。

 学校に行っている子に比べたら、短い勉強時間なんだがな。ノルマを達成したら終わりだから。ウチの妹は優秀だ。

 

「ご愁傷様……」

「嘘嘘。さっさと終わらせて遊ぼうな」

「私、空を走れるようになりたい!」

 

 表情がコロコロ変わって、賑やかな子だ。

 

「【月歩(ゲッポウ)】か。まずは壁走りや水面走りが出来るようにならないとな。あと他人事みたいな態度をしていたが、キャロル、お前も勉強だ」

「何故!? どうして!? WHY!?

「嫌がり過ぎだろ……最低限の知識は身につけなさい」

「いっしょ! なかーま!」

 

 レベッカがキャロルの手を握る。

 まるで『お前だけ逃がさないぞ』とでも言いたげな様子だ。

 

 別れを告げて、竜宮城を出る。

 起きたレイジュにスカーレット、子供2人を連れて、港町サンゴが丘に到着。

 城から見えていた我が船、船首がハヤブサを模した巨大船RR(レイド・ラプターズ)号に近付いていく。

 

「パパーッ! 助けてパパッ! ロゼ(悪魔)が、シルバーズ・ロゼ(知識の悪魔)数学の公式(洗脳魔法)でわたしを操ろうとしてる!」

「何のこっちゃ……?」

「まるで意味がわからんササ……」

 

 キャロルがダディに泣きついた。

 たぶんオレのことだろうが、ウィリーとパンダマンには通じていない。そりゃそうだ。

 

「おお、可愛いキャロル! 女の子が大きな声出して走るのははしたないからダメダメよ~?」

 

 娘の前ではだいたいあんなかんじだ。初めて見た時は驚いた。

 そのダディが顔を引き締めこちらを向く。

 

「おい、キャロルはまだ7歳なんだから、別にいいだろ。教育ママじゃあるまいし、お受験戦争でもするつもりか」

 

「あれで意味がわかったんですか!?」

「ゲソー……あれが親子の以心伝心……」

「私達には馴染みがないわね……」

 

 トリスタンとメイプルが驚き、魚人街出身のシャーリーが何気に悲しいことを言っている。

 

「良いのか? キャロルの教養が足りず、チャライ男に騙されて、『ちーす! おれ、ちょっと前から? キャロルと付き合ってまァ~す! つーことでェ、しくよろ、お義父さん』とか言ってくる日が来ても」

カッハッ!? 済まないキャロル……パパは無力だ……!」

「パパ! しっかりパパ!」

 

 ダディを仕留めた。

 

「むごいのう……」

「ニュ~、一撃だな」

「たぶん、娘を持つすべての父親のウィークポイントをドンと抉ったねェ」

「自分だってレベッカあたりがそんな男を連れて来たら、吐血するか血の涙でも流すだろうに」

 

 ジンベエ、はっちゃん、デンさん、アラディン、魚人島の男達から非難の視線を浴びる。

 何とでも言うがいい。オレとて団員を守護(まも)らねばならぬ。団員を守護(まも)るのがオレの仕事だ。

 

 

 皆を船に乗せ、改めてデンさんに船の礼を言い、魚人島の皆とのしばしの別れの言葉を交わす。

 そしてオレ自身も乗船する。

 

「さて、出航準備はすでに済ませてある。忘れ物はないか? ……ないみたいだな。それでは出航する。まずは浮上し、ウォーターセブンに向かう」

 

 港を出て、地上に向けて発進するRR(レイド・ラプターズ)号。

 お前が地上に出るのは初めてだな。今はちょっときつそうだが、これから能力さらに鍛えて、いずれはお前を丸ごと空まで飛ばしてやるから、これからよろしくな。




〝鬼の跡目〟ダグラス・バレット(新世界編45歳)
 今映画やってます。

ブラック・パンク
 サウストにある、最近見つけたゼファーの技。ゼファーの戦闘までにもっと増えて欲しい。
 説明には、火属性、能力者に追加ダメージ、相手の防御を下げて、自分の攻撃を上げる技と書いてますが、名前の響きから、相手の体内に武装色を流し込んで、内側から破裂(パンク)させる技にしました。本文の話では【RR(レイド・ラプターズ)】を破裂させた。

〝世界の破壊者〟バーンディ・ワールド(新世界編78歳)
 『“3D2Y”エースの死を越えて! ルフィ仲間との誓い』のアニメ海賊。懸賞金5億ベリー。
 自分が触れたものの大きさや自分自身のスピードを最大100倍まで倍加させることが出来るモアモアの実の能力者。
 全身硬化の武装色に【(ソル)】と【月歩(ゲッポウ)】も使え、レベルを上げて物理で殴るシンプルな強さ。
 大きさを100倍すると縦×横×高さで質量は3乗となり、質量はエネルギー、つまり破壊力に比例する。そして破壊力は速度の2乗に比例する。結果、モアモアの能力は破壊力を最大で100の5乗の100億倍にまで引き上げる事が可能らしい。破壊力のインフレスパイラル。
 現在インペルダウンLEVEL6で氷漬け中。

 ガバナーとネズミ
 ガバナーはTVスペシャル『守れ! 最後の大舞台』に出てくる、金で海軍のトップになろうとしてた奴。まあ、後に覇気が出てきて中将以上は覇気使いが条件なので、最初から不可能だった。
 ネズミは言わずと知れたアーロン編の支部の大佐。地の文で退場。

 機甲旅団
 この呼び名、当初は旅に出てから付けるつもりでした。最初はロゼ1人旅から始めようかと思っていたので。
 ただ、それだと男が連続して仲間入りし、ハーレムタグを付けているにも関わらず男だけでしばらく旅という展開になることに気づき、色々修正し何人も仲間入り時期を早めることに。
 ちなみにロゼの最初の異名候補に〝鉄血〟というのもあり、もしそれを採用していれば機甲旅団ではなく鉄華団になって、ロゼの見た目も能力で生み出すものもその他のことも色々と変わっていたかもしれない。

メロメロ献立(メニュー)
 隠し味に愛情を入れて石化させる技。ちゃんと美味しいと思われないと効果なし。
 ワンダーソニア(仮)とメリーゴールド(仮)は語感で選びましたが、サタンコック(仮)はトレクルのコウモリの仮装が元。端的に言ってエロい服装。『ハンコック セクシーバット ハロウィン・ミッドナイトパレード』で検索すると、どんなのか画像が出てくると思います。
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