市長の名前はビミネ。市長の一人娘はマルミエータで執事がヤメナハーレ。
アクア・ラグナの被害に救援物資を届けに来たあたり、ウォーターセブンとの関係は良好そう。これぐらいかな。
テゾーロさん達との話が終わり、昨日は2人の屋敷に泊めてもらった。
シャボンディでのことを結構聞かれた。
こういうファンは珍しいな……人身売買的な意味や性的な意味でオレの体が目当てだったり、鞭で叩いてくれって言われたり、あとはロボ目当ての男の子達とかもいたが、基本的に一定の距離を保たれていたから。
オレに何かされるとはもう思っていないが、あまり近付き過ぎても巻き込まれて危険とちゃんと理解している。あの島にはトラブルの種がそこらに転がっているので、強さか危機管理能力がないと命取りだ。
『はっはっは! 大口叩くだけのことはあるじゃねェか!』
『そちらこそ、熱の能力を鍛え続ければあそこまで出来るようになるんだな。勉強になった』
あの後、ドン・アッチーノとは和解。戦って怒りの炎は燃え尽きたそうだ。
カンパチーノとブリンドのほっとした顔が印象的だった。
試合中は怒っていたが、普段は穏やかな性格らしい。頭に血が上りやすい傾向はあるが。
ドンが『私の娘を嫁にどうだ?』と言った時は、明らかに冗談だったにも拘らず、殺気が渦巻いて周りの空気が凍った。こんな形で空気の温度を下げるのかアツアツの実の能力者……オレはやんわり断る以外何も言っていない。末娘の方はまだ子供だと言うし、この話はやめよう。
レイジュにその末娘が悪魔の実の能力者でもないのに持っているという、魚や植物を操る不思議な力のことだけ教えてあげてくれ。研究者の眼をしている。大丈夫、解剖したりしないから。
原因はおそらく血統因子絡み。氷に囲まれた環境とドンのアツアツの能力による高温が妙な化学反応でも起こしたのだろう。
そして現在朝食中。
「お兄様は手を使っちゃダメ! お医者さんの言うことはちゃんと聞くの! じっとしてなさい!」
「あのな、レベッカ。オレは右手でも食べられるから。能力で手を作ればいいだけだし」
口を開けろと箸を片手に迫るマイシスターに言う。
昨日はメイプルだったか。まああいつは手が6つ空いているからそのまま食べさせてもらったが、妹にあーんされるのは……逆なら喜んでするが。
「諦めなさい。私達は自分から休もうとしないあなたを、それぞれ適宜甘やかしたり甘えたりすることで無理矢理休ませると決めています。同じ船に乗ると決めた時から。そんな手でどうする気ですか」
笑顔を浮かべるスカーレットの言葉に、トリスタン、メイプル、レイジュ、レベッカが頷く。
そんな密約が交わされていたのか。レイジュはまだしも、大体はウソ下手なのに。
トリスタンに処置はしてもらったし、もう溶けた肉と骨は治ってきているんだが……【
たまにセクハラして印象を下げているにも拘わらず、なんだかんだ甘いな。
「異議ありだ筋肉マザー。オレはちゃんと休んでいる」
「現在能力は使っていますか?」
「もちろん使っているが」
探索は基本。人探しもあるし、船の管理はオレが機械でやっている。ヨコヅナの修行もつけていたし。
昨日の夜は【
船ではアイスバーグさんが呼んだ船大工達が盛り上がって話をしていたな。
「それは休んでいると言いません。去年の扱いに戻しますよ? まったく、嫌がるなんて失礼な……」
ばっさり……スカーレットは妹がギロギロの実の千里眼人間で、人の裏を見抜いてしまうことを気遣い、出来るだけ裏表なくはっきり物を言うようにしていたようで、思ったことをそのまま言う傾向が強い。オトヒメ様とも気が合うようだ。
オレの見聞色についてもすんなり受け入れてくれたのはありがたいが、去年初めて魚人島に一緒に行った時、タイヨウの海賊団に興味を持っていたので、タイガーさん絡みに関わったことを打ち明けたのは迂闊だった。
トンタッタから話を聞いていた様で、そのことも合わさりしばらくはネコっ可愛がりされる日々が……オレを甘やかさないでくれ。
くっ、どうせならレベッカがオレではなく誰かにお姉さんぶって世話を焼く所が見たかった。
オレに赤ちゃんプレイの適正はないようだ。
鉄のおしゃぶりも、鋼のバブみも感じられずオギャれない……何の問題もないな。
甘やかされるよりも甘えられたい……出来れば年上に甘えられたい。
普段凛としたこちらをリードしようとするしっかり者が、仕事や役目をこなして疲れた時に、こちらの方が年下であることを気にして恥らいながらも甘えてくるのが好きだ。
仕方なく抵抗をやめ口を開け、レベッカが満足そうに箸を運ぶ。
「ありがとう」
「良い子良い子~♪」
背伸びして、その無垢な手で頭を撫でられた。
「やめてくれ」
「あ、あれ? 私、上手く出来てなかった?」
「そうじゃないんだ……よし! この状況を甘んじて受け入れる代わり、オレがレベッカを甘やかす!」
「え~!? 大人しく面倒見られてよ~!」
何かやってしまったのかと戸惑うレベッカに違うと否定して、膝に乗せる。
甘やかされるのはちゃんとした良い子であるべきだ。膨れるレベッカが可愛い。
再び口を開け咀嚼。うん、美味しい。
「そこらの兄妹より仲良いな……血の繋がりなんてねェのに」
「仲良きことは美しきかな」
「今のマジなトーンやったな。修行中でもないのにレベッカ相手に出す声ちゃう」
「海賊助けりゃ吐血する奴だ。なんか抱え込んでるんだろうが、すぐ回復するからわかり辛ェ上、平気だと流すから自覚もねェ。だけどやっぱ、フィッシャー・タイガーの件が原因かねェ。はあ……どうしたもんか」
「彼女達は長期戦のつもりササ。まあしかし、見た目は不器用な兄妹ってかんじでまだいいササ。今はそれよりも……」
「「「あっちのバカップルか……」」」
「ふふっ仲の良い兄妹ね。はいあ~ん♡」
「あ~ん♡ そうだな。おれ達の子供も、仲良く育って貰いたいな」
「も、もう……一人目だってまだなのに、気が早いわよ」
「生活も落ち着いて来たし、そろそろ……」
夫婦仲は良好のようだ。まるで新婚。平和な風景だ。世界中がこうであったなら、戦争は起きないかもしれない。愛は世界を救う。
膝には可愛い妹もいるし、癒される。
「コーヒーをブラックでくれ。これは甘い」
「それがブラックやで」
「さっきから2人の空間が出来上がっているササ」
何人かが砂糖を吐きそうな顔をしたりしながら朝食時間が終了。
そして彼らと別れて海列車でプッチへ。
ここは〝美食の町〟と呼ばれる島。海列車で繋がる島々で最もオレ好みの島と言える。三大欲求は大事。食べるなら美味しいものが食べたい。
「なあ。おれ、ウォーターセブンに着いてから、寝ている時くらいしか修行してねェんだけど……」
「靴に重り付けて歩いてるだろ」
「まあそうだけど」
「島巡り楽しくなかったか?」
「いや、楽しかったけどさ……」
「心配せずとも、海に出ればまた鍛えてやる」
「「「(何故弟子は休ませるのに自分は休まない……)」」」
「ん~?」
海列車を降りて海沿いに歩いていると、ダディが唸り出した。
「パパ、どうかしたの?」
「いやな可愛いキャロルよ。パパの見間違いかもしれないが、あそこの小瓶に人が入っているように見えるんだ」
そう言って海を指差す。
あれか……瓶は見つけた。
この距離ではオレには中まで視認出来ないが、確かに人の気配がする。
小人族か? 瓶詰めにして島流しとは、ヒドイことをする。
「どれ~? わかんない」
「面倒だ。オレが拾う」
右拳を分離し飛ばして小瓶を掴む。
「うわあっ! なんだっぺ~!?」
いきなり持ち上げられ驚いているようだが、とりあえずこちらまで連れてくる。
そして瓶の蓋を開けた。
「いやあ、助かったっぺ。寝て起きたら瓶の中で、その上海に流されちまったみてェで、ほとほと参ってたぺよ!」
瓶から飛び出し、右手の上で喋る小人の女。
首に兜をかけて、小さな体には大きいフォークを持っている。
「小人族なの? トンタッタの皆とは少し違うけど……尻尾ないし」
「いんや。おら元々は巨人族なんだけっども、ミニミニの実さ食っちまって、体を自由に小さく出来るだよ。最小で5ミリだ」
「ミニミニの実……力はそのままに体のサイズと体重を小さくする能力だったか。巨人族には最適な能力だな」
「んだんだ! おかげで腹いっぱい食えるべさ! よっと!」
リリーがオレの手から飛び降り、服やフォーク、身に着けたものと一緒に大きくなり、普通の人間サイズに。
耳にはメダルのようなピアス。
緑色の癖っ毛を横結びにして肩にかけている。
「おらはリリー・エンストマック。人呼んで〝悪食リリー〟。よく食う女だっぺ!」
「ロゼだ。よろしく」
エンストマック? どこかで聞いたことが……。
全員一通り挨拶してから、
「で、なんであんなことになったか……わかるか?」
話を聞いた。
能力者が……いや、能力者でなくてもあの状態はかなり危険だ。放っておけば
「え? そりゃおめェ……あー! おら、こんなことしてる場合じゃねェんだったっぺ!
「父親? というか顔の大きさのバランスがおかしくなっているぞ」
体はそのままで顔だけが大きくなっている。
これは体の部分的な変化も出来るということなのか……? 焦って能力が制御出来ていないとも取れるが。
慌てるリリーから更に事情を聞くと、元々父親と2人で船に乗っていたが、嵐でミニサイズのリリーが飛ばされて逸れてそれっきり。
運良く別の海賊船の甲板に着地出来たが、船の食料を食べて満腹で眠っている間に瓶に詰められ海に流されていたと。
「海賊に同情はしないが、海上の船で食料を勝手に食べるのは重罪だ。死に直結する」
「おら、そこにあったもんをちょっくら食っただけだっぺ」
「民間船相手であれば拳骨を落としていた。海列車が出来たからこの辺では少ないだろうが。食い逃げするなよ? あれは、『お前の料理は食材を無駄にしただけのマイナスの味だから、お金を払う価値はない』という、コックへの侮辱だ」
「ああ。だからマーメイドカフェで私やシャーリーがいらないって言ってたのに、毎回お代払ってたんでゲソな」
それが当たり前のことなんだよ。
食うに困っての犯行ならまだしも、オレは困っていない。
「お前のお菓子は最高に美味しい。無料なんてとんでもない。いつもありがとう」
「……どういたしまして!」
後ろから抱きつかれる。
昔の様にぎりぎりと締め付けるようなことはせず、昔よりも背中に当たる感触が幸福。
「なるほど。こんな感じでオトしたんだな……あのCP-0の女王様も」
「ステューシーは元々オレのストーカーだ。前に話しただろ?」
ダディはあいつを信用してないみたいだ。結構経緯を聞かれた。
まあ海軍でCP-0は評判良くなかったからな。3日前話題になったトムさんの件に出てきたCP-5のようなこともある。
だが見聞色で確認はしたし、敵だったらそこでオレの人生終了している。おそらく今頃ステューシーの傍らで首輪をつけられ、CP-0の任務の補佐兼エロ奴隷にされていることだろう。だからこそ信用しているという謎の関係だ……人によってはその状況はご褒美か?
あの時の下ネタ会話はゴメン。
「聞いたからこそ信用出来ねェんだよ……弱み握って脅迫してきた奴を信じるお前がどうかしてる。ヒナのこともそうだが、ホントお前の女性関係はシャレにならん。それに関してだけは、たまに本気でしょっぴいた方が世のためなんじゃねェかと思う。頼むから自重してくれ。戦争になるぞ」
「失礼な」
元
脅迫云々はまあ、客観的に見て否定し辛いところだが、戦争など起こらない。起こったとしても、オレという共通の敵を前に団結するはず。
「それにしても、
「ついでで良ければ、オレ達の船に乗っていくか?」
途方に暮れたリリーに言う。
「ホントに!? 良いんだか!?」
「旅は道連れだ。父親の名前は?」
「新世界一の海賊料理人、パンズフライ・エンストマックだっぺ!
「パンズフライ……ああ、思い出した。元巨兵海賊団コック、〝大盤振る舞いのパンズフライ〟」
「……誰?」
「知ってるだか?」
今から90年程、新世界ウォーランドに住むエルバフの戦士達で結成され、世界に恐れられた巨兵海賊団。
突然2人の巨人船長、〝赤鬼のブロギー〟と〝青鬼のドリー〟が姿を消し伝説となった。
大海賊時代どころかロジャー時代の更に昔、まだ今ほど懸賞金のインフレが加速していなかった当時に、それぞれの首に1億ベリーという破格な額がかけられた大海賊。
重要なのはその後起こった歴史的大事件。
トップを失い油断した巨兵海賊団残党数名。海軍が捕縛し公開処刑という所で、『お待ちなさい! 天が和解を求めています!』と、咥えタバコの美しいシスターが乱入したという……名をカルメル。
巨兵海賊団が今まで世界に与えてきた恐怖は計り知れない。罪は裁かねばならない。
そう処刑を執行しようとする海軍に、『その者達を殺せば、エルバフの戦士達は再び軍隊を成し、人間達に復讐を誓うでしょう!』と毅然とした態度で言い放った。
その時、暗雲が空を覆い、稲光が走る。その光はこの者の言葉を聞き届けよという神の宣告のようにカルメルを照らす。『罪を許しなさい! 私が導きます! この世のあらゆる種族が手を取り、笑い合える世界へ!!』……この言葉にその場すべての人間が圧倒され、敬意を込めて
エルバフに略奪ではなく交易を勧め、巨人族と人間の懸け橋となった偉人である。
そして、その時処刑寸前であった1人がパンズフライ・エンストマックだ。
巨大なフライパンを武器に政府や海軍、海賊の船から食料を奪い、腹を空かせた貧しい人に料理を振る舞った海賊。どうしてお前は海賊の道を選んだのかと非常に疑問な男。
普通にレストランでもやって貴族あたりからぼったくって、貧しい人にはその利益でタダで振る舞えば誰も損しないのでは……貴族は安いものより高いものを喜んで買うから。
エルバフの戦士だからか? エルバフが原因で巨人族全体が野蛮と思われるからと、あまりよく思っていない巨人もいるらしい。
略奪で成り立つ国が他国から煙たがれるのは、自国を脅かす可能性を考慮しなければならないので仕方なし。当然の警戒。
少し前のアマゾン・リリーやジェルマもそうだ。昔の人が今の2国を見れば何があったのかと腰を抜かすだろう。今でも何を企んでいるんだと訝しんでいる者もいるはずだ。
とりあえず処刑取り消し時の様子と巨兵海賊団、パンズフライのことを皆に話した。
「お、おお~。よく知ってるっぺな。
「そんなことがあったのね……」
スカーレットやレイジュも知らない様だ。
加盟国の教科書には載っていないのか? まあオレも本で知ったわけではないが。
「アッチーノファミリーの話は知らなかったのに、なんで生まれる前の90年も昔のことは知ってんだよ……」
「海軍初の巨人海兵、現中将ジョン・ジャイアントさんに直接聞いた。本人も人に聞いたと言っていたが」
彼は海軍の中でも典型的な軍人気質。
ゼファーさん達より早く入隊し、オレの知る限り現役の中では最古参の海兵。
あの人がたまに海軍本部で飛ばしていた檄はオレも好きだ。士気向上のため節目などに定期的に、そして大きな戦いの前にも聞こえてくる。巨人族の巨体から発せられる大声は、本部にいれば大抵の場所で聞こえるだろう。
『逃げたい奴は今すぐ逃げ出せ!! ここは一切の弱み許さぬ海賊時代の平和の砦っ!! 民衆がか弱いことは罪ではない!! 正義はここにある!! 強靭な悪が海にあるならば、我々海軍がそれを全力で駆逐せねばならんのだ!!! 〝絶対的正義〟の名のもとに!!!』
海軍所属でないオレでも戦意が高揚し力が
戦士の村エルバフの出身だけあって、戦う者のやる気を出させるのが上手い。
マザー・カルメルが居なければ自分が海軍に入ることも、現在の巨人部隊の結成もなかっただろうと語っていた。
その後カルメルは身分種族を問わず、行くあてを失った子供達を受け入れる羊の家という施設を開設。
暴動の末国を追われた王子、貧しさゆえに奴隷にされかけた子供、親の手にも負えなくなった問題児達……いかなる子供も
当時巨人族から最も慕われた人間であり、だからこそ、現在の四皇〝ビッグ・マム〟シャーロット・リンリンの名が巨人族から嫌悪される存在となったそうだ。
リリーの前では極力名前を出さない方がいいかもしれん。巨人族にとっては口にするのもはばかられる存在らしい。ましてやカルメルに父を救われている。
カルメルと会ったことがあるなら、当時5歳の〝ビッグ・マム〟が起こしたという、羊の家がエルバフから移転するきっかけとなった事件を目にした可能性も……ん?
「ね、ねえリリー? 50年以上前に見たって……あなた今いくつ?」
レイジュが恐る恐る聞いた。
オレも同じところに引っ掛かっていたところだ。
「ん? 今年で66歳だっぺ」
「「「ウソ!?」」」
父さんやガープさんの3つ下、ゼファーさんの1つ上だな。
「だが巨人族は人間の3倍生きるし、換算すると22歳くらいか」
見た目もそのくらいだ。
「んだな~。まだまだ若輩だっぺ」
「お、おれ達の団長は順応が早いね……」
「ま、まあ? 元々ロゼって人種は気にしない人でしたね。人種は……年上好きですし」
「海賊嫌いの
ミンク族と、オレの肩に顎を乗せている半人魚が言う。
「えっ」
「元だから
「まあ政府が処刑を取り消してるんだし、問題ねェんじゃねェか?」
巨人族の戦士に安心するよう言う。
元海兵もこのことで海軍に追われることはないと判断したようだ。
「そ、そうだか? そんなら改めてよろしくだっぺ! おらは医者だ。傷ば負ったら言ってけろ。ちぎれた腕ば縫い合わせたり、直接体内に入って手術もお手の物。更には傷ば負わせた相手さブッ飛ばして、根本的な治療を施すエルバフ流医術を嗜んでるっぺ」
手に持った大きなフォークを突き刺す動作をする。
ネプチューン王の
それにしても、戦闘民族エルバフの医術
「アフターケアも万全な医者だな。腕切り落とした時はよろしく頼む」
「んだんだ! 切り落とす前と同じかそれ以上にしてやるっぺ」
リリーと握手を交わす。
オレも上手くやっていけそうだ。
段々バラエティ豊かなメンツになってきた……元からか?
「あっ、ヤバいわ。微妙に2人の
「アラディンさんは違いましたが、
「
「
オレもルスカイナには上陸したが
話を終えてリリーを加えて町を回って食べ歩く。
リリーはよく食べると自分で言うだけあってすごい食べっぷりだった。
アラバスタ料理のコナーファとか美味しかった。
行く先々で世界のグルメ情報を聞きながら移動していて気付いたが、ガルドアが目立つのを差し引いても、この島では魚人やミンク族に対して特別視線を向けている様子がない。どころかかなりフレンドリーに話しかけられている。
気になって聞いてみた所、元々世界の美食を集めた島であるので、他の島と積極的に交流を持ちたい折、渡りに船の海列車。他の島から観光客が来て大層島の経済が潤ったそうだ。
それを作り出した魚人のトムさんには直接何かすることはもはや叶わないが、感謝を込めて魚人、ひいては他人種も歓迎することを現市長ビミネ氏が推奨しているのだとか。
オレが思っていた程、世界は厳しくないようだ。
「そういえば、何故リリー達は新世界からこの前半の海に来たんだ? というかよく考えればどうやって……」
シャボンディでも見ていないし、魚人島には頻繁に足を運んでいたが、巨人の情報なんて聞いていない。
「おらが
「なるほど……待て。では今の父親のサイズは?」
「普通の人間サイズだと思うだ。おらが掴んで一緒に大きくならねェと、元の大きさ戻んねェだ」
それでは目撃情報は期待出来ないな……マリージョアでも5ミリの大きさの人間、それも騒ぎを起こしていないならバレずとも無理はないか。
それにしても、パンダマンにタイガーさん、そしてオレ……聖地なのに結構侵入されているな。もしかしてあの場所の警備ガバガバなのでは? 6年前に爆破しまくったのに不用心なことだ。
オレが言える立場ではまったくないが、その内また襲撃事件でも起きるのでは……?
今の天竜人を守る盾、CP-0長官はたしかスパン……スパンキング? いや違う、スパンダインだったか。
オハラの時のCP-9長官で、ここ2,3年でCP-0の長官になった。出世に繋がらない仕事には興味がない出世欲の塊とはステューシーの談。
スカーレットとレベッカの暗殺を引き受けた奴だとも、一昨日2人きりの時にステューシーから聞いた。
こちらから何かすれば、却って2人のことがバレたりと藪蛇になるかもしれんが、何の罪もない2人に追っ手を差し向けた時は、向こうにも事情があったとしても、オレの敵として対処する。
「こっちには2人のお頭達の決闘がどうなったかの確認と、
「決闘?」
エルバフには掟があり、意見が食い違い互いに引けない場合決闘を行い、正しい者がエルバフの神の加護を受けて生き残るとされているそうだ。
そして船長2人は決闘を行うために姿を消したと。
「90年も前から巨人が……リトルガーデンかもな」
「リトルガーデン?」
一般的に信じられていないような話ばかりをまとめた『ブラッグメン』の話の1つ、昔の探検家ルイ・アーノートの航海日誌の内容。
『あの住人達にとって……まるでこの島は〝小さな庭〟の様だ。巨人島〝リトルガーデン〟――この土地をそう呼ぶことにしよう』
たしかこんな文章だった。
出版業界からは『探検家が巨人島ウォーランドをご存知ない?』『巨人達にとって狭い島なら、何故そこに留まり続けるのか?』『ホラ吹きの妄想日誌なのでは?』などの辛辣なツッコミも多いそうで、だからこそ
妄想だと思うなら民衆への晒し行為はやめてあげてくれ。何故本に……売れるからだろうな。
Dr.ベガパンクの故郷バルジモアが科学の発達した未来国であるのとは逆に、ルイ・アーノートによるとリトルガーデンは巨人が住み今なお恐竜が生きるという太古の島だそうだ。
ウソかホントかは行けばわかる。恐竜の島なら他に人もいないだろうし、決闘の邪魔も入らない。
どこにあるかはわからないし、加盟国ではなく、シャボンディの近くではないようなので
そうして島を回っていると日も暮れてきたので宿を取る。
正直あと1週間くらいいても良い気がするが、そろそろシュライヤが焦れてきているのでここまでにするか。また来ればいい。
自室で寝る準備をしているとトリスタンが来た。
「どうかしたか?」
「その……私って、これからも船に乗っていていいのでしょうか?」
真剣な様子でそう聞かれた。
ホームシックか?
「もちろんいい。どうした? 故郷に帰りたくなった?」
「いえ、そうじゃないんです! ただ……ロゼって昨日の傷もそうですがすぐ治りますし、今日は私以外の医者まで同行することになって……私がいる意味ってあるのかなって」
オレの回復力の高さのせいで自信がなくなってしまったようだ。
「リリーがこれからも一緒に行動するかはあいつ次第だが、医者が1人だとお前が倒れた時誰が治療する? オレやレイジュも多少は心得があるが限界はある。それにお前が嫌なら止めないが、オレはトリスタンがいた方が楽しい」
「……良かったです! ガルチュー! ロゼぺろぺろ♪」
がっしり抱きつかれ顔を舐められる。
「すっかり外の世界の文化に染まってしまって……」
「私が染まったのは外の世界にではなくロゼにです。クンカクンカ♪ スーハ―スーハ―♡」
それだとオレが『誰々ペロペロクンカクンカスーハ―スーハ―』ってよく言っているみたいじゃないか。
さてと……こういう時、紳士であればトリスタンを励まし、暖かいココアでも入れて一緒に飲んだ後、そろそろ自室に戻るよう促すだろう。
だがオレは紳士ではなくただのスケベなエロい人だ。
「オレも可愛いリスちゃんをモフモフ愛でて楽しむか」
「きゃー! ケダモノ~♡」
尻尾を愉快に振って、結構ノリノリだった。
☆☆☆☆☆
一夜明けて3日ぶりにウォーターセブンに到着。
「ンマー。数日で2人増えてるな。ヨコヅナも一緒に行くんだって?」
「成り行きで。ヨコヅナ、後で機械でなくオレと戦ってみようか」
「
アイスバーグさんやヨコヅナと再会。
オレは機械と情報のやり取りをしていたので知っていたが、船には結構な数の人がいる。
アイスバーグさんは自分が船大工として巨大船、
「この船、大きさもそうだが、材木の一つ一つが尋常でなくデカい。一体どんな力の人間が造ったんだ……」
「機関部なんてメインは理解することすら出来ない……あんなものがこの世に存在するのか。そして船が進むと水力発電をすると同時に、海水を汲み上げ浄水している。お得だな」
デンさんやDr.ベガパンク、そして
そして誰も入らないでくれと言った場所には入っていないようだ……というか『そんなことより船を見ようぜ』という空気。
職人達の輪の中に入っていって、聞かれたので作った人達を教える。
すると、デンさんとトムさんの兄弟関係を知っていた人がいたようだ。
これはマズイことをしたかと思ったが、意外にもトムさんへの船大工達への印象は悪くなかったようだ。
自分達が不可能だと思った海列車を完成させた船大工としての腕は見事なものだと。
大海賊時代の開幕で自分達の生活が苦しくなったことで余裕がなくなり、更に〝海賊王〟の死後関係者が次々と処刑されたことで、関われば自分達にも罪が及ぶのではという恐怖から突き放した。
実際、〝海賊王〟関連の判例は、少しでも〝海賊王〟の海賊行為に肩入れした者は危険人物として死罪という過剰な特例。
こういう後から『今までの法と変わった。だから昔これに違反することをしたお前は罪人だから裁く』ということをされては、売った後にその者が罪を犯して暴れた場合、仲介人を使って犯罪者と知らずに売ってしまった場合……考え出したらキリがない。そこまで気にしていては物を売れなくなる。
オレが素性を隠すのも〝海賊王〟関連の苛烈さが理由の1つだし、仲睦まじいオレの両親の子供がオレだけなのは、おそらく政府の反応を気にしてのこと。オレは処刑前に生まれたからな。
更に1年前の司法戦襲撃事件当時は
だが今更そんなことを言ってももう遅い。政府が決めたことである以上、何を言っても……口を閉ざすしかない。
これにはアイスバーグさんも少し驚いている。
一方オレは……その会ったこともない
たしかスパンダムだったか? 余計なことを。
最後に質問に答えながら、出航準備を始める。
そして、アイスバーグさんにも改めて教えておくか。
「フランキーか……生きているに越したこたァねェが、正直どんな顔して会えばいいかわからねェ。トムさんが生きていても、あいつの造った戦艦がトムさんを傷つけ追い込んだことに変わりはねェだろ」
「だったら直接そう言ってやればいい。仲の良い相手にも気に入らないところの1つくらいあるものだ。元々顔を突き合わせればケンカする仲だったと聞いた。今まで通りじゃないか」
「えっ。わ、私のこともロゼは気に入らないところある?」
会話がレイジュに飛び火した。
「そうやってオレの顔色を窺うところは気に入らない。だがそれ以上に好きなところもたくさんある。今のお前の笑顔は昔よりきれいだ」
「ドキッ♡」
口で言った……お気に召したようだ。
人前でなければ……抱きしめるくらいなら許されるはず。
「ンマー……おれもお前が女侍らしてるところムカつく」
「ふははっ、そりゃそうだ。そこを気に入られても困る。オレも兄弟弟子のことでドンと胸を張ってないアンタを見るとムカつく」
卑怯だがトムさんの言葉を引用させてもらう。
「『男ならドンと胸を張れ』か……わかった、次会う時には直しとくよ」
「悪いがオレの方は次会う時も今のままだ」
腕の中にレイジュの温もりを感じながら告げる。
「私もこれがいい……♡」
「右目、見てもいい?」
今の状態も好きだがたまに見たくなる。
目を隠している前髪を上げようと手を伸ばす。
「ダメ。あなた以外に見られたくない♡」
顔をオレの胸板にうずめてしまった。
「残念」
シャーリーもガードが堅いんだよな。たまにしか見せてくれない。
「いいなぁ……」
「「「わかる」」」
「やっぱムカつくわ」
「「「わかる」」」
レベッカの呟きにはスカーレット、トリスタン、メイプルが。
アイスバーグさんの言葉にはウィリー、ダディ、パンダマンがそれぞれ理解を示した。
だがレベッカと他3人では意味合いが違う……そしてオレの大胸筋だけが目当てなオンリーワンがいるな。
言葉を交わしている内に準備が整った。
アイスバーグさんや海列車に乗っているココロさんに別れを告げながら、ウォーターセブンを出航。
「なあ。次に行く島って決まってるのか?」
「候補はいくつかあるが……どこか行きたいところでも?」
「おれの故郷。
こいつにとって約1年ぶりの故郷か……
「よし。区切りのいいところまで人探しをして、見つからなかったら、シュライヤの故郷を目指して出発。その次の目的地も決まった」
「どこにするんや?」
「フールシャウト島だ」
ジンベエに貰った
3年前タイガーさんがコアラを送り届けるために使ったものだ。
「……大丈夫か?」
「そちらこそ。過ごした時間は、この中ではお前がぶっちぎりだろ?」
「時間は、な(生きてるかもしれん言うても、人から聞いただけのワイより、実際に目の前で助けられんかったお前とでは絶望が違うやろ……)」
フールシャウト島のもウィリーに渡す。
「悪いリリー。時折ビブルカードの動く方向をウィリーに教えてくれ。おおよその予測を立てるから。この船にいる間は体のサイズを好きに変えてもらって構わない。元々巨人でも乗れるように作ってもらった」
「ありがてェだよ。まっ、1日も1年も10年も大して変わんねェし構わねェだ」
それは大分違うと思うが……寿命が長い分、時間感覚が豪快だな。
リリー・エンストマック(新世界編75歳)
アニメ『Zの野望編』に出てきた訛り口調の巨人族。父親のパンズフライはエルバフの戦士なのでたぶんエルバフ出身。
武器は巨大フォーク。年齢は新巨兵海賊団船医ゲルズと同じにしておきました。
身に着けているものごと体を小さくするミニミニの実の能力者。
アニメでは巨人族の力はそのままに5ミリと小人族サイズ、元の巨人族の姿の3種類の大きさに変化していましたが、サイズは最小5ミリまで自由に小さくなれることにしています。ゲーム『ランドランド!』に出てくる同じミニミニの実の能力者ブリューは人間サイズになれるので、2つを合体させました。
アニメでは違いましたが、小さくなって直接体内に入って手術したり出来そうなので医者に。外科医。
ベラミー海賊団にもリリーという女船員がいた。
ジョン・ジャイアント
新世界編63年前にすでに入隊しているので、56年前に入隊したガープ達同期組よりベテラン。漫画でも登場は意外と早く、初登場11巻。
頂上戦争では〝白ひげ〟に倒されたけど、これは流石に相手が強い。
CP-0長官スパンダイン(新世界編66歳)
CP-0の護衛対象は天竜人。つまり天竜人に直接命令されている可能性もありますが、まとめ役の長官くらいいるだろうということでこの作品ではいる。
原作で判明しているCP-0のメンバーはステューシーと元CP-9なので、この時点ではスパンダインがCP-0の長官ということにし、自由行動は出来るが成果が出るまで気の長い潜入任務をするわけでも、歩く危険物みたいな天竜人の護衛につくわけでもなく、安全圏(?)のマリージョアで他のCP-0にあれこれと口を出すという中々鬱陶しいポジションに。